任天堂、決算説明会における質疑応答を公開 Switch 2は1650万台計画と2年目も勢い維持へ 価格改定は「収益構造維持」と苦渋の判断

任天堂<7974>は、5月8日に開催した2026年3月期決算説明会の質疑応答を公開し、次世代機「Nintendo Switch 2」の販売見通しや価格改定の背景、ソフト戦略などについて説明した。質疑応答では、発売初年度に1986万台を販売したSwitch 2の勢いを維持できるとの見方を示す一方、メモリ価格高騰や関税の影響を受け、ハード価格改定に踏み切った理由も明かした。

同社の古川俊太郎社長は、2027年3月期のSwitch 2販売計画を1650万台とした背景について、発売初年度の販売が「当社の期待を大きく上回る水準」で推移したことを挙げた。前期末時点の累計販売台数は1986万台となり、当初予想の1500万台、さらに上方修正後の1900万台も上回ったという。

同社は、この異例の立ち上がりについて、既存のNintendo Switchユーザー基盤の大きさに加え、従来Switchソフトとの互換性によって移行ハードルを下げたことが寄与したと分析している。特に『あつまれ どうぶつの森 Nintendo Switch 2 Edition』や『ぽこ あ ポケモン』がハード販売を後押ししたことを強調しており、「遊びたい」と思わせるソフトの存在がハード普及を促進する構図を改めて確認できたとしている。

実際、『ぽこ あ ポケモン』は国内だけでなく海外でも販売を伸ばし、Switch 2のセルスルー増加に貢献したという。任天堂は今後も新作タイトルを継続投入することで、中長期的なインストールベース拡大を目指す考えだ。

一方で、今回の説明会で市場関係者の関心を集めたのが、Switch 2発売から2年目という比較的早いタイミングで実施された価格改定の背景だ。

古川社長は、今回の価格変更について「特定の要因によるものではない」としながらも、メモリを中心とした部材価格高騰や為替、石油価格の変動など、複数の市場環境変化が中長期的に事業へ影響を及ぼすとの認識を示した。

特にメモリ価格については、これまでハード採算性への影響は限定的だったものの、今後は徐々に収益を圧迫する要因になると説明した。関税措置と合わせ、約1000億円規模の原価影響を今期業績予想に織り込んでいることも明らかにした。

ゲーム専用機ビジネスでは、普及拡大を優先してハード価格を抑える戦略が一般的だが、任天堂は今回、「事業全体として健全な収益構造を維持する必要がある」として、一部コストを販売価格へ転嫁する判断を下した。地域ごとに値上げ幅が異なるのも、市場環境の影響度合いが地域によって異なるためとしている。

もっとも、古川社長自身も価格改定が「購入検討時のハードルを一定程度上げる」と認めており、今後は価格以上の価値を感じてもらえるソフト供給が重要になるとの認識を示した。

ソフト戦略については、従来同様に大型タイトルがハード販売をけん引する構図は続くとしながらも、Switch時代に築いた巨大ユーザー基盤を踏まえ、従来とは異なる時間軸での展開も意識しているようだ。

質疑応答では、『トモダチコレクション わくわく生活』のユーザーのうち約4割がSwitch 2ユーザーであることも明かされた。既存SwitchとSwitch 2を並行展開しながら、徐々に移行を促す戦略が透けて見える。

また、「ポケットモンスター」IPについては、『ポケットモンスター ファイアレッド・リーフグリーン』が発売6週間で400万本超、『ぽこ あ ポケモン』も5週間で400万本超を記録したと説明。ゲームだけでなくカードゲームやモバイルアプリを含め、IP全体がグローバルで非常に強い状況にあるとの認識を示した。

2027年には『ポケットモンスター ウインド・ウェーブ』も予定しており、ポケモンIPが引き続きSwitch 2普及の重要な牽引役となりそうだ。

一方で、ゲーム開発費高騰と開発長期化への課題も認めた。古川社長は「ソフトウェアの開発期間は以前と比べて長期化している」としたうえで、開発体制やプロセスを工夫しながら、多くのタイトルを投入していく考えを示した。未発表タイトルも当期後半向けに複数準備しているという。

近年のゲーム業界では、AAAタイトルの開発長期化やコスト上昇が世界的な課題となっている。任天堂も例外ではないが、Switch時代に構築した巨大なユーザー基盤と強力なIP群を武器に、ハード普及とソフト販売の循環モデルをどこまで維持できるかが、今後の焦点となりそうだ。

任天堂株式会社
http://www.nintendo.co.jp/

会社情報

会社名
任天堂株式会社
設立
1947年11月
代表者
代表取締役社長 古川 俊太郎/代表取締役 フェロー 宮本 茂
決算期
3月
直近業績
売上高1兆1649億2200万円、営業利益2825億5300万円、経常利益3723億1600万円、最終利益2788億600万円(2025年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
7974
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