エクストリーム、中期計画でコンテンツプロパティ事業を「BtoC+BtoB」へ IP拡充とアセット型ビジネスで安定収益の柱に

エクストリーム<6033>は8月14日、2029年3月期を最終年度とする中期経営計画を公表した。今回の計画では、従来のデジタル人材事業と受託開発事業を「トータルソリューション事業(TSD)」に統合し、企業の課題に対して人材と開発の双方からソリューションを提供する体制へ移行する。

その一方で、コンテンツプロパティ事業(CPD)についても、これまでのBtoC中心のビジネスモデルから、BtoB領域を新たに加えることで事業領域を広げる方針を打ち出している。IPの拡充に加え、TSDで蓄積する顧客ニーズやノウハウを新たなアセット開発につなげる考えだ。

 

■IPを「点」ではなく「面」で展開

CPDの現在の課題について、エクストリームは、BtoCのコンテンツビジネスは知的財産ビジネスとして高い利益率が期待できる一方、新規タイトルがヒットするかどうかの予測は難しく、収益のボラティリティが避けられないと説明している。

 

そこで進めるのが、提供するIP数を増やしてポートフォリオを構築する戦略だ。既に一定以上の評価を得ているIPについては、リメイクやナンバリングタイトルのリリースを加速するとともに、新規IPの開発・発掘も進める。現在10タイトルとしている主要既存IPについて、中期計画期間中に13タイトル以上まで拡大する計画だ。

つまり、一つの大型タイトルに収益を依存するのではなく、複数のIPを継続的に展開することで、CPD全体の収益変動を抑える狙いである。

さらに、IPをゲームだけで終わらせない「面」での展開も進める。

 

その具体例が「LOLLIPOP CHAINSAW」だ。2024年に発売した『LOLLIPOP CHAINSAW RePOP』は2026年6月時点で世界累計販売本数が約40万本に達しており、今後は完全新作ゲームに加えてアニメ化も決定している。エクストリームは、こうした主要IPについてゲームにとどまらず、複数の収益化ポイントを作ることで事業を拡大していく考えだ。

 

もう一つの主要IP「ラングリッサー」では、『ラングリッサーモバイル』が世界40以上の国・地域で展開され、累計ダウンロード数は1億を突破。さらに2026年7月には、完全新作となるマルチプラットフォーム向けゲーム『ラングリッサー:剣の海』の全世界配信を発表している。

 

既存IPをリメイクや新作で再活性化しながら、新規IPを加える。そしてゲームだけでなく、アニメなどにも展開する――。CPDではこうした形でIPを「点」から「面」へ広げる戦略を描いている。

 

■TSDの顧客ニーズを「BtoBアセット」に

そして今回の中期計画で注目されるのが、CPDにおけるBtoB事業への進出だ。

エクストリームは、TSDで蓄積する顧客の課題やニーズ、開発ノウハウなどを「シード」として集め、それをもとにユニークな自社ソフトウェアを開発し、企業向けに提供する構想を示している。

 

現在のCPDは、自社ゲームやIPを消費者に提供するBtoCが中心だが、今後は企業向けにも自社アセットを提供する。BtoCではゲームのヒットが収益を大きく左右するのに対し、BtoBではTSDで培ったエンジニアの技術やアイデアを直接活用できる点を強みとしている。

ここで重要なのは、BtoB向けアセットの具体的な内容がまだ固まっていないことだ。

同社は中期経営計画の期間を、TSDのサービス提供を通じて競争力のあるBtoB向け自社アセット開発の「シード」を集める期間と位置付けている。集めたシードを育て、ユニークな自社ソフトウェアへとつなげ、CPDのBtoB領域を拡大する構想だ。

そのため、今回の3年間でBtoB事業を急拡大させるというより、TSDとCPDを組み合わせながら「何が企業向けアセットになるのか」を見つける段階と見るのが適切だろう。

そのための仕組みとして、営業部門と開発部門が連携する「BtoBシーズ発掘フロー」を構築。グループ横断のプロジェクトチームを立ち上げ、定期的な会議体で進捗をモニタリングするとともに、経営陣も直接コミットする体制を整える。

2026年3月期のTSD顧客は情報・通信業が55%、エンターテインメント産業が26%を占めており、こうした顧客との接点から課題やニーズを吸い上げ、シーズの蓄積につなげていく。

なお、CPDのBtoB事業については、具体的な事業化は次期中期経営計画での具体化を想定している。今回の中計では、その前段となるシードの収集・蓄積が主なテーマとなる。

 

■CPDは3年間で売上倍増、営業利益11億円へ

こうした取り組みにより、CPDは2026年3月期の売上高9億2400万円から、2029年3月期には20億円まで拡大する計画だ。

内訳はBtoCが19億円、BtoBが1億円。営業利益については、2026年3月期の4億6000万円から11億円を目指す。

BtoBは中計最終年度でも1億円という計画にとどまるため、当面のCPDの成長を担うのはあくまでBtoC領域となる。一方で、BtoBについては売上規模以上に、今後のCPDの収益構造を変えるための仕込みという意味合いが強い。

同社は、CPDについてBtoCからBtoBへのアプローチを追加し、TSDに続く安定収益の柱へ育成することを目指している。

 

■中期計画では「ITのプロダクションカンパニー」へ

今回の中期経営計画は、CPDだけを対象としたものではない。

エクストリームは、2029年3月期までを長期的なビジネス構造転換に向けた「土台作り」の期間と位置付ける。主力のデジタル人材事業と受託開発事業をTSDに統合し、企業の課題に対して人材と開発を組み合わせた包括的なサービスを提供する体制へ転換する。

2026年3月期の連結売上高117億9600万円、営業利益14億3900万円に対し、2029年3月期は売上高200億円、営業利益25億円、営業利益率12.5%、ROE19.6%を計画している。

さらにその先には「10年ビジョン」として売上高1000億円を掲げる。2029年3月期の200億円を中間地点として、その先の大幅な成長を見据える構図だ。

CPDについても、10年ビジョンでは売上高100億円を目指し、その内訳としてBtoC80億円、BtoB20億円を想定している。中期計画でのBtoB売上1億円は、この長期構想に向けた最初の一歩という位置付けになる。

エクストリームにとって今回の中期計画は、既存事業の延長線上で規模を拡大するだけではなく、TSDで企業との接点を広げ、そこで得た知見をアセット化し、CPDのBtoB事業へつなげるという循環を作る3年間でもある。

 

ゲーム・IPについては「数を増やす」「既存IPを再活性化する」「ゲーム以外にも展開する」というBtoCの拡張を進める一方、その裏側ではTSDとの連携から新たなBtoBビジネスの種を探す。CPDを「コンテンツを売る事業」から、IPとソフトウェアの双方をアセットとして収益化する事業へ広げられるかが、今回の中期計画における一つのポイントとなりそうだ。

 

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株式会社エクストリーム
https://www.e-xtreme.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社エクストリーム
設立
2005年5月
代表者
代表取締役社長CEO 佐藤 昌平
決算期
3月
直近業績
売上高117億9600万円、営業利益14億3900万円、経常利益16億6900万円、最終利益11億7700万円(2026年3月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
6033
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