
バンク・オブ・イノベーション(BOI)<4199>は本日9月29日、これまで非開示としていた2026年9月期の連結業績予想を開示した。売上高120億円、営業利益20億2000万円、経常利益20億5000万円、最終利益17億円を見込む。前期実績との比較では、売上高が3.0%減、営業利益と経常利益が6.2%減となる一方、最終利益は25.8%増となる見通しだ。
同社はこれまで業界の変化が激しいことや機動的な投資判断を行っていることを理由に業績予想を非開示としてきたが、最近の業績動向を踏まえ、合理的な予想の算定が可能になったとして今回開示に踏み切った。今回の数字を読み解くうえで重要なのは、単純な減収減益ではなく、『メメントモリ』の収益性を高めながら、次の成長に向けた開発投資を拡大している点だ。
■『メメントモリ』は広告を抑制、Webストアへの移行は順調
売上高については『メメントモリ』において広告効率を重視し、広告出稿量を抑制したことを減収の主因としている。売上高は前期の123億6600万円から120億円へ、3.0%減少する見込みだ。
その一方、は6月15日に「メメントモリWebストア」を開設し、アプリ外決済サービスを本格的に開始している。第3四半期決算説明資料によると、8月1~10日の10日間では、課金額に占める自社提供経路での決済比率が約52%に達した。6月15日から7月15日に実施した期間限定キャンペーンの影響が落ち着いた時期を対象としており、アプリ外決済への移行が短期間で進んでいることがうかがえる。
この移行は、今後の収益性にも影響する。第3四半期決算説明資料では、PF等手数料がアプリ外決済の利用拡大によって低下傾向にあり、決済コストの低減効果は第4四半期以降に本格化する見込みとしている。今回の業績予想でも、Webストア経由の決済への移行に伴う手数料負担の低減効果を織り込んでいる。
つまり、売上高を広告投資によって積極的に拡大するのではなく、広告効率を重視しながら、既存ユーザーから得られる収益の効率を高める方向に軸足を移しているといえる。
■営業減益の背景にある「新作開発投資」
今回、営業利益が前期比6.2%減となる20億2000万円となった背景には、広告宣伝費の抑制だけでなく、開発・運営体制の強化に伴う費用増加がある。同社は、今後の成長に向けた開発・運営体制の強化に伴って費用が増加すると説明している。
第3四半期の実績を見ると、その内容がより明確になる。第3四半期会計期間の売上高は29億1700万円と前四半期比1.6%増となった一方、営業利益は4億円と25.4%減少した。開発・運営体制の強化に伴い、開発・運営費用が1億5500万円増加したことなどが要因となっている。
さらに、3Q会計期間に計上した「新作開発投資」は5億1800万円。BOIでは開発・運営費用を資産計上せず、すべて当期の費用として処理している。
その投資先となる開発案件も、かなり具体的になっている。
・新作大型RPG第2弾
・『恋庭』改良版/海外版
・新規サービス
・新規サービス
の4案件が「本開発中」となっている。一方、新作大型RPG第3弾と「ゲーム×プラットフォーム」の新規サービスは企画中。新規開発案件について、具体的な進捗やリリース時期は非公開としている。
■「メメントモリ」の次を見据えた投資フェーズへ
BOIは第3四半期決算説明資料で、10年以上の長期運営を目指し、収益基盤の安定化と開発・運営体制の強化を同時に進めていると説明している。そのため、今回の営業減益は、既存タイトルの収益悪化だけで捉えるのは適切ではないだろう。
実際、同社は2027年9月期以降の損益構造について、メメントモリWebストアの導入を踏まえ、PF等手数料率を約15%とする一方、開発・運営体制の強化によって固定費を年間53億円程度とする前提に更新している。
既存タイトルについては決済手数料の低減などによって収益性を改善し、その一方で、人員や開発体制を強化して次のタイトル・サービスを作る。今回の業績予想は、こうした現在のBOIの経営方針を数字として示したものといえそうだ。
■次の大型RPGには「メメントモリ超え」を要求
その先にあるのが、新作大型RPGだ。BOIは新作について、自社IP×自社開発・運営×グローバル同時配信を軸に、「爆発型」のタイトルを目指している。具体的には、リリースから30日間で全世界100億~200億円の課金高、その後、全世界月額課金高40億円以上の規模を1年以上維持することを目標としている。
これは『メメントモリ』の実績を明確に上回る水準だ。『メメントモリ』はリリースから30日間で全世界55億円の課金高を記録し、その後、全世界月額課金高10億円以上を1年以上維持した。
もちろん、これらはあくまで開発目標・想定であり、実際の業績を保証するものではない。しかし、BOIが現在、単に『メメントモリ』の長期運営に依存するのではなく、その成功によって得た収益を次の大型タイトル・新規サービスへ振り向ける段階に入っていることは読み取れる。
今回の業績予想は、売上高・営業利益だけを見れば前期から縮小する見通しだ。ただ、その内訳を見ると、広告投資を抑えた既存タイトルの収益性改善と、4案件の本開発を含む次の成長への投資が同時に進んでいる。「メメントモリで稼ぐ」から「メメントモリで稼ぎながら、その次を作る」が着実に進展しているようだ。
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会社情報
- 会社名
- 株式会社バンク・オブ・イノベーション(BOI)
- 設立
- 2006年1月
- 代表者
- 代表取締役社長 樋口 智裕
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高123億6600万円、営業利益21億5400万円、経常利益21億8500万円、最終利益13億5100万円(2025年9月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 4393