
コーエーテクモホールディングス<3635>は、中期経営計画のもと、ゲームの販売・マーケティング体制の強化を進めている。2026年4月にマーケティング組織を再編したほか、9月には米ロサンゼルスに拠点を開設。海外イベントへの出展や現地メディアへの働きかけも強化する。ゲームの開発力に加え、世界でタイトルを販売し、IPの価値を広げる体制づくりに取り組んでいる。
■北米拠点の開設など、グローバルな販売体制を強化
同社は中期経営計画において、販売・マーケティングの強化を重点施策のひとつに掲げる。説明資料では、企業ブランドの価値や認知度の向上、ファンコミュニティの拡大を課題として挙げている。
具体的には、2026年4月にマーケティング組織を再編し、グローバルな販売体制の強化に着手した。さらに9月には、米国のロサンゼルスにKOEI TECMO AMERICAの拠点を開設。海外市場でのマーケティング活動を強化する。
海外イベントへの出展も積極化している。2026年7月にロサンゼルスで開催された「Anime Expo 2026」への出展などを通じ、現地での認知度向上やメディアへの働きかけを進めている。
ゲーム市場では、タイトルを発売するだけでなく、発売前から情報を届け、発売後も継続的にユーザーとの接点をつくることが重要になる。海外市場での販売を拡大するうえでも、現地のユーザーやメディアに向けて情報発信を行う体制の整備が課題となる。同社の取り組みは、こうした販売・マーケティング機能を強化するものといえそうだ。

■ゲームの外にもIPの接点を広げる
同社は、ゲームの販売にとどまらず、保有するIPの活用にも力を入れている。説明資料では、海外ライセンシーへの包括的なライセンス供与や商品化を推進する方針を示した。2026年には「Licensing Expo 2026」に初めて出展したほか、韓国のMARIO OUTLETでポップアップショップを展開するなど、海外でのライセンス・コンテンツ展開を進めている。
ゲームのIPは、タイトルそのものの販売に加え、グッズやフィギュア、カードなどの商品化、コラボレーション企画を通じてもユーザーとの接点を生み出せる。海外でのイベント出展やライセンス展開は、既存ファンへのアプローチだけでなく、新たなファンの獲得にもつながる可能性がある。
販売・マーケティング体制の強化とIP活用を組み合わせることで、ゲームを発売して終わりにするのではなく、作品やキャラクターへの関心を継続的なものにしていく狙いもありそうだ。

■開発力の強化で、成長を支えるタイトルを生み出す
こうした販売面の取り組みを支えるのが、ゲーム開発力の強化だ。同社は中期経営計画で、コンソール・PC向けゲームを成長の柱に位置づける一方、オンライン・モバイル向けゲームを安定的な収益源として位置づけている。コンソール・PC向けタイトルのパイプラインの拡充に加え、開発の効率化にも取り組む方針だ。

開発面では、生成AIなどの活用も進めている。説明資料では、カスタマーサポートの自動化やユーザーの声の分析、デバッグ、ローカライズなどへの活用例を紹介。社内向けAIチャットの利用者が2,700人を超えたことや、会議音声の翻訳にも取り組んでいることを明らかにした。
AIなどを活用して開発や業務の効率化を進める一方、開発体制を強化し、タイトルの数と質の両面でパイプラインの充実を図る。開発したタイトルを世界で販売し、IPとして継続的に活用していくためには、開発力だけでなく、マーケティングやライセンス展開を含めた総合的な取り組みが求められる。

コーエーテクモの中期計画からは、ゲームを生み出す「開発力」に加え、世界に届ける「販売力」、そして作品を継続的な価値につなげる「IP活用力」を強化しようとする姿勢がうかがえる。海外市場での競争が続くなか、開発から販売、IP展開までを一体的に強化する取り組みが、今後どのような成果につながるか注目される。
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会社情報
- 会社名
- コーエーテクモホールディングス株式会社
- 設立
- 2009年4月
- 代表者
- 代表取締役会長 兼 取締役会議長 襟川 陽一/代表取締役 社長執行役員CEO 鯉沼 久史
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高883億9300万円、営業利益371億6800万円、経常利益570億円、最終利益428億3000万円(2026年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3635