「App Store」のゲームカテゴリーのトップセールスの状況を毎週まとめているが、多くの方は、「無料」ゲームの占める割合が高くなってきたことに気づいているかと思う。一度確認してみたところ、たしかに掲載初期に比べて「無料」の比率が上がっている。週ごとに点で見てもわかりづらいため、本記事では、無料ゲームと有料ゲームの比率がどう変わっていったか、サイトに掲載されたデータを集計してまとめてみた。
これまで掲載したトップセールスのランキング入りしたタイトルを有料と無料に分けてグラフ化したものが以下のグラフとなっている。過去のランキングで価格情報に一部間違いがあったので修正しながら入力していったが、まだミスが残っているかもしれない、ということは付記しておく。緑色が無料アプリ、赤色が有料アプリとなっている。
ご覧になってわかるように、ランキングを掲載しはじめた2011年7月ころは、無料と有料のゲームアプリが半分ずつを占めていた。それ以前は記録していないが、RainbowappsやAppBankのデータをランダムで見るかぎり、おおむね有料コンテンツが半数以上を占めていた。その後だが、8月頃から無料アプリの比率が徐々に増え、今年に入って一段と増加した。ここ最近にいたっては無料ゲームが20タイトル中、19タイトルを占めるようになっている。
無料ゲームアプリの比率が顕著に高まっているわけだが、無料ゲームアプリ=ソーシャルゲームではなく、落としきりのゲームも含まれている点に注意していただきたい。状況を簡単にまとめると以下のようになる。
(1)「GREE」や「Mobage」のスマートフォン対応が本格化し、対応するゲームアプリがリリースされて人気となった。「探検ドリランド」や「釣りスタ」、「ガンダムロワイヤル」などが良い例だ。この背景として、グリーやディー・エヌ・エーのプロモーション活動によるユーザーの拡大に加え、フィーチャフォンで「GREE」や「Mobage」を使っていた人はスマートフォンに移行しても同じコンテンツを使っていることがあげられる。
(2)「KingdomConquest」や「カイブツクロニクル」などのヒットをきっかけにSNSへの連携を必ずしも必要としない、アイテム課金型のオンラインゲームのリリースが増えたように思われる。特に「カイブツクロニクル」のヒット以後に出たゲームは、ゲームプラットフォームなどへの会員登録など面倒な手続きやログイン作業をせずに、すぐに遊べるため、ユーザーに大いに訴求した。「マジモン」などはこの点を利用し、「ハンゲーム」に登録しなくても遊べるようにしている。
(3)以前は有料で販売していたゲームアプリでも体験版的な意味合いで、プロローグや基本部分を無料にして本編を有料で販売するゲームが増えたことがある。金額は高くなくても、いきなりアプリを購入するのではなく、試遊して面白かったら購入したいというニーズが高まってきたのだろう。有料アプリはセールを活用するケースが現在主流だが、コンテンツによってはお試し無料のほうが高い収益をあげられるかもしれない。
今回の記事ではざっくりと無料と有料に分けて見てきただけであったが、今後は、「無料」ゲームの内訳についてもまとめておきたいと考えている。さらに米国の状況も含めて、比較検討できたら面白いのではないかと思われる。
会社情報
- 会社名
- 株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
- 設立
- 1999年3月
- 代表者
- 代表取締役会長 南場 智子/代表取締役社長兼CEO 岡村 信悟
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上収益1367億3300万円、営業損益282億7000万円の赤字、税引前損益281億3000万円の赤字、最終損益286億8200万円の赤字(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 2432
会社情報
- 会社名
- グリー株式会社
- 設立
- 2004年12月
- 代表者
- 代表取締役会長兼社長 田中 良和
- 決算期
- 6月
- 直近業績
- 売上高613億900万円、営業利益59億8100万円、経常利益71億2300万円、最終利益46億3000万円(2024年6月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3632