三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、3月19日付で「ソーシャルゲームの正体を探る(V)-続編-」を発行した。これは、3月9日付のレポート「ソーシャルゲームの正体を探る(V)」の続編で、グリー<3632>がリアルマネートレード(RMT)対策を発表したことと、機関投資家などとの意見交換を踏まえて発行されたものと思われる。
同証券は、3月9日付のレポートで、オークションサイトでのRMTがソーシャルゲームの高ARPPUの一因になっている可能性があると指摘した。大金を投じても入手しづらいレアカードを集めると、高く売れるという期待があるためだ。その後、機関投資家とディスカッションを行い、「ソーシャルゲーム≒パチンコ」という見方については概ね賛同を得られたものの、RMTが高ARPPUの一因との見方については「目立ちたいからではないか」という意見も出たという。
こうしたディスカッションを踏まえ、同証券では、「ソーシャルゲーム≒パチンコ」との見方を継続する予定としつつ、高ARPPUの原因についてはRMTでアイテムが売却できるため、高ARPPUが持続しやすくなっている側面もある、との見解を示した。そもそもRMTを規約で禁止しているにもかかわらず、オークションサイトでRMTを放任していること自体が問題視されるべきと考えているとのこと。
また、3月9日付のレポートに対し、グリーは、3月12日、RMT関連行為のチェック体制の強化や、GREE外でのRMT関連行為のチェック体制の導入、ユーザーへの啓発、開発パートナーのゲームに関するRMT関連行為への対応強化を行うとともに、未成年ユーザーの利用金額の制限を行うと発表した。同証券は、RMTに対する厳しい姿勢は、収益に対し、短期的にはマイナスになる可能性があるものの、中長期的にはユーザーから信頼を得るもので、幅広いユーザーを取り込みプラスに働く可能性がある、との見方を示した。
同証券では、3月9日付のレポートでの指摘からわずか1週間で対応策を発表したグリーの迅速な対応をポジティブと評価し、今後は施策の実行に注目するとのこと。さらにグリーのRMT対策の実施状況を見ながら、バリュエーション面でプレミアムの付与を検討する可能性もある、としている。
会社情報
- 会社名
- グリー株式会社
- 設立
- 2004年12月
- 代表者
- 代表取締役会長兼社長 田中 良和
- 決算期
- 6月
- 直近業績
- 売上高613億900万円、営業利益59億8100万円、経常利益71億2300万円、最終利益46億3000万円(2024年6月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3632