【スマートフォンディスプレイ広告考察】アドテクノロジーと共に広告枠の改善も必要では?

インターネット広告の潮流からスマートフォンデバイスにもRTB・DSP・SSP等のアドテクノロジーの普及が広がり始めている。非常に喜ばしいことだが、スマートフォン広告(特にディスプレイ広告)の進歩発展にはテクノロジー領域だけでなく、まだまだアナログ的な観点でのトライ&エラーも可能だと筆者は考える。その理由と今後の業界発展への展望について述べたい。

 

■スマートフォンディスプレイ広告はアドネットワークを中心として拡大していった

ここ数年で日本市場にスマートフォン端末が急速に普及し始め、Webサイト、アプリのディベロッパーはそれぞれ、新しくスマートフォン広告というマネタイズチャネルを手に入れた。もちろん、広告だけでなくアイテム課金、月額課金、有料版アプリ等のマネタイズ手法も開かれているわけだが、PCメディア同様、収益の多くを広告メインとしているのが常だろう。

では、その広告の中でもどのような施策が中心かと言うと、それは「アドネットワーク」である。スマートフォン最適化サイトや無料アプリを閲覧してもらえれば、おそらく容易にその広告が目につくだろう。定番の広告施策である。

筆者は元インターネット系広告代理店でメディア・営業担当に従事してきたが、この流れはPCやガラケー時代のそれとは異なっているように感じる。PCやガラケーのメディアにおいては「純広告」と呼ばれる、期間保証型やimp保証型の商品が業界のスタンダードを作っていっていた。Yahoo!やmixi、ニコニコ動画等、単一メディアで圧倒的PV、UUを集めるメディアが多数存在し、その単一メディアの中で独自の広告商品を展開していったのである。その為、各メディアにおける広告商品ラインナップは総数10を超えることも稀ではなかった。

一方で、スマートフォンメディアの場合、GoogleplayやAppstore等のマーケットというプラットフォームが出現した点や、そのデバイス特性等から、従来型デバイスでのメディアのパワーバランスとは異なった展開となっている。PCやガラケーに比べ、単一メディアで圧倒的なPV、UUを稼ぐところは(少なくともスマホ黎明期には)なかった。単一メディアでの商品展開が難しい為、自然と「アドネットワーク」(複数メディアの集合体として広告商品販売)でのマネタイズが主流となったのは頷けることだろう。

 

■アドテクノロジーは進化している、しかし広告枠は変わっていない

RTB、DSP、SSP等のテクノロジー分野については、PC領域からまず盛んに拡大していき、遅れてスマートフォン領域にも広がっていっている。この半年程で急速に業界で聞かれるようになったキーワードだろう。こうしたテクノロジーによる広告効果/収益改善は非常に喜ばしいことである。今後も更なる技術向上に期待する。

だが気になるところとして、アドテクノロジーが進化する一方、その技術を展開する広告枠自体には特に変化は見られない。「インライン型」「オーバーレイ型」の2種類がメインだろう。この背景にはアドネットワーク中心で拡大していったスマートフォンディスプレイ広告の事情があると考える。PCやガラケーのように単一メディアの「純広告」主体であれば、各メディアは自社の広告売上を高めるべく、あの手この手で広告枠を設計し、トライ&エラーが繰り返されるが、アドネットワーク中心のスマートフォンの場合、各メディアの広告枠はアドネットワーク会社配布のSDKやタグによって規定される。単一メディアで広告枠改善を行うことは出来ない(個人アプリ開発者など、初めて広告に触れる事業者の方などは、そもそも既存の広告枠に疑問を抱かない人も多いだろう)。

 

■広告価値を高めること、それこそが業界発展の道

基本的なことだが、広告価値が高まれば、広告主による出稿は拡大しメディアの収益は向上する。「広告価値が高まる」とは広告主のニーズを[より満たすことが出来るようになる]ということだ。例えば、CPA目標が1,000円のプロモーションキャンペーンに対して、これまで1,000円ギリギリで展開していた広告施策が改善によって500円で獲得出来るようになったとすれば、広告主の出稿金額は予算の許す限り拡大するはずである。

では、その広告施策の改善はどのように行われるべきなのか、それは前述したように「アドテクノロジーの進化」そして「広告枠の改善」この2点であると考える。特に後者の点においては、まだまだトライ&エラーを行う余地があるのではないか。

 

■ファットフィンガー(誤タップ)問題への対応

スマートフォンは端末特性ゆえ、ユーザーが画面上のバナー広告をうっかり押してしまう問題が発生している。何の関心もないサイトにリンクしてしまうユーザーへは不快感を与え、またそうした関心のないユーザーのタップに広告費を払わなければない広告主にとっても問題である。

ここにも広告枠改善の価値があると考える。ビヨンド社が展開する全面型アドネットワーク「BEAD」においては、このファットフィンガー(誤タップ)対策を取り入れている。

 

【BEADにおける広告主コンテンツへのリンク方法】

 

バナー(画像)部分をタップしてもリンクせず、緑色のリンクボタンを押下した際にクリック課金発生、といったものだ。実にシンプルな内容であるが、自社配信テストの状況を見てみると、その広告効果は一目瞭然である。

 

【自社テスト配信におけるリンク方法別広告効果】

上述の全面型広告によるファットフィンガー(誤タップ)問題対策は、ひとつの広告枠改善に向けたトライに過ぎない。最近ではアイコン型広告枠等の展開も見られるようになっており、アドネットワーク事業者発の新しい広告枠展開がより盛んになれば、と感じる。

そして、「進化したアドテクノロジー」と「改善された広告枠」を組み合わせることで、よりスマートフォン広告のパフォーマンスが向上すると考えている。

 

 

■会社名:ビヨンド株式会社

■プロフィール:

2008年設立。当初からモバイル市場に着目し、自社でのメディア運営を行ってきた。2011年からのスマートフォン普及の動きに対応し、事業領域をスマートフォンに特化することでスマホアプリデベロッパーとして成長をしてきた。iOS、Android累計で1,000万超のDL実績を持つ。2012年11月より自社広告商品「BEAD」をリリース。

 

■筆者:ビヨンド株式会社 BEAD事業部 リーダー 福島智晴(ふくしまともはる)

■プロフィール:

2008年4月、株式会社セプテーニ入社。メディア事業部にて主にCGM系媒体(mixi、Ameba等)の仕入れを担当。翌年、同社営業部に異動し、Webサービス系、金融系アカウントをメインに担当。メディア担当で培った見識を生かし営業活動に従事。2012年4月、スマートフォン事業(主にアプリ開発)を行うビヨンド株式会社へ転職。主要収益チャネルである広告運用を統括し、11月より独自広告商品「BEAD」の事業部に所属。

セミナー資料等スライドシェア

 

■筆者過去セミナー実績等:

セプテーニ社主催「スマートフォンアプリマネタイズセミナー」

レバレジーズ社主催「ヒカラボセミナー」

ビヨンド社主催「アプリ企画/マネタイズセミナー」

HatchUp社主催「第8回iPhoneGames勉強会」