SINoALICE(シノアリス)、スクウェア・エニックスに関するスマホアプリ&ソーシャルゲームインタビュー記事

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【インタビュー】『SINoALICE -シノアリス-』が経験した波乱万丈の1年を前田Pが振り返る…それは最悪の一周年までの軌跡

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ポケラボとスクウェア・エニックス(以下、スクエニ)の共同開発によって生み出された『SINoALICE』は、2018年6月6日をもってサービス開始から一周年を迎える。また、昨日(6月5日)より、「それは最悪の一周年」キャンペーンも開催している(関連記事)。

本作は、スクエニの『ドラッグオンドラグーン』シリーズや、『ニーア』シリーズで知られるヨコオタロウ氏が原作・クリエイティブディレクターを務めるスマートフォン向けアプリだ。現在はユーザー数350万人を突破し、まさに“鳴り物入り”といった勢いで登場した本作だったが、この1年は決して順風満帆というわけではなかった。

その最たる出来事が配信当日に起きた大規模な接続障害で、事前登録者数50万人突破という期待に比例するかのごとき大炎上を経験してしまう。その後の立て直しは困難かと思われたが、配信開始から1週間後にはサービスが安定化。同月末の6月27日にはApp Store売上ランキングで首位を獲得するまでの“復興”を果たす。さらにそれ以降も、最大15人対15人で戦うギルドバトル「コロシアム」の実装や、新たなモノガタリ「現実篇」の追加などで着実にファンの心を掴み、今やポケラボの看板タイトルとして名を馳せるまでに至った。

そこで、本稿では如何にしてこの1年間に起きた数々の困難を乗り越え、一周年という記念すべき日を迎えるに至ったのか。その軌跡を、『SINoALICE』のポケラボ側プロデューサーである前田翔悟氏(@shogo_maeda10)に伺ってきた。


■『SINoALICE』プロデューサー
ポケラボ:前田翔悟氏(@shogo_maeda10


 

■『ニーア オートマタ』の波に乗り、Twitter上の追い風受けて、到達するは事前登録50万人


――:まずは、前田さんの経歴を含めた自己紹介をお願いします。

ポケラボに入社したのは6年前で、2012年の時です。それ以前は日立システムズで仕事をしていました。入社当初はエンジニアとして働いていて、後にプロジェクトマネージャーになった形です。その後は『モンスターパラダイス+』や『栄光のガーディアンバトル』の運営に関わりつつ、先程のような流れで『SINoALICE』のプロデューサーになり現在に至る。……という感じですね。

――:『SINoALICE』も6月6日で配信から一周年を迎えますね。既に大御所の風格というか、もっと長くサービスをしているような印象がありました。

事前登録時点でのプロモーション活動がありましたので、それを含めると1年半くらいになりますからね。

――:では、この1年を振り返っていきましょう。まずは、企画立ち上げの経緯からお聞かせください。

リリースの2年ほど前に、スクエニさんからお話をいただいたのが始まりでした。その時にスクエニさんから、ヨコオタロウさんが作るアリス(『SINoALICE』)の世界観で、GvGを楽しむゲームという部分まで決まっていました。

――:ゲームの肝となる部分はかなり早い段階から決まっていたのですね。

ただ、当初は一度お話を断ったという経緯があります。当時の弊社はほかの製作・運営のラインが手一杯でしたし、その時期は『ニーア オートマタ』もタイトルとしては未発表でしたからね。新規IPはリスクも大きく、大きなプロジェクトを動かすのには若干不安があったんです。

――:しかし、最終的には製作が決まったと。なにが転換の契機になったのでしょうか。

実を言うと、スクエニさんにお話をもらう1年以上前から「世界観のあるGVGゲーム」という構想はあったんです。実際に企画も考えていたのですが、実働には至っていなかった。そこで過去の企画を鑑みて再考しつつ、実際にヨコオさんが手掛けた『ニーア レプリカント』をプレイしてみたら、心がえぐられるくらい面白く、この世界観を活かすことができれば間違いなく面白いゲームが作れると思い、共同開発を承諾させていただきました。

――:『ニーア』シリーズもそうですが、ヨコオさんといえばそれまでは全てコンシューマー作品を手掛けられていました。スマホタイトルへのコミットという部分での不安はなかったのでしょうか。

面白さの中核部分をGvG向けに翻訳するのは不可能ではない、というのが我々の考え方です。そこは作り方次第だと思いました。



――:製作を経ていよいよ発表となった時、ユーザーさんの反応はいかがでしたか?

(発表は)『ニーア オートマタ』のリリース一週間前にさせてもらいました。『ニーア オートマタ』の事前期待もすごく高かったこともあり、とても盛り上がりました。初報の段階ではティザーPVや一部情報しか公開していなかったのですが、それでもユーザーさんの反応は大きかったですね。『SINoALICE』の独特な世界観とビジュアルが、逆に想像を掻き立てたのでしょう。

【『SINoALICE(シノアリス)』ティザーPV】


――:結果的に、リリースまでに事前登録者数が50万人を達成しましたね。事前プロモーションは見事にハマッたと言って良いと思います。

弊社としてもそれまでに類を見ない伸び方をしました。確かに『SINoALICE』としてのプロモーションもありましたが、何より直近で『ニーア オートマタ』がヒットしたことが大きかったです。期待が高まっている所に、『SINoALICE』としての世界観やビジュアル、BGMなどの“ウリ”となる部分を提供できたのは、大きな成功要因のひとつだったと思います。ワクワクを途切れさせることなく、うまく上昇のスパイラルを維持できたと思います。

――:プロモーション戦略部分では、情報を小出しにするという部分で少しコンシューマーに近いものを感じました。その点は意識されていたのでしょうか。

もちろん、参考にさせていただいています。あとは、Twitterを中心とするSNSを重視して、バイラル(感染的な)広がりが起きるようなプロモーションを企画した点でしょうか。あえて言わないことで、ユーザさんの想像が膨らみ、自ら「こうではないか」という発信が多くあり、それによりTwitter上で多くの事前登録を集められました。ただ、この手法は『SINoALICE』のようなタイトルだから上手くいったと思います。この辺はTwitter運営を担当している弊社プロモーションディレクターの小林ともかなり話し合いました。

――:そういった部分での反響は、どこで実感できるのでしょうか。DL数に反映されているか否かは、少し分かりにくいですよね。

フォロワー数の増減はもちろん、Twitterは詳細にアクティビティをチェックできますので、そこを見るだけでも『SINoALICE』に向けられている期待の大きさはハッキリと分かりました。

 

■幕開けは大接続障害と共に 緊急シフトで乗り越えた、サービス安定に至る地獄の1週間の詳細とは


――:そうした期待を経てリリースとなったわけですが、サービス当初はアクセス集中で繋がらない状況が続くなど、かなり厳しい状態でした。

あの時はユーザーさんにご迷惑をお掛けし、本当に申し訳なく思っています。

――:先程お話されていた通り、事前登録数は50万件以上に到達していましたよね。アクセス集中は事前に予想可能だったと思いますが、その点についてはいかがでしょう。

おっしゃる通り。我々もアクセス集中は予想していましたので、GREEグループでも前例がないほど大量のサーバー台数を用意し、それらで処理できる範囲を最大化するため、負荷対策もリリース直前に1ヶ月近くかけて万全に行っていました。しかし、実際にはそれ(対策)が問題にならないレベルのアクセスが発生したんです。ピーク時は許容量の10倍に達する勢いで、まさに濁流に飲まれたような感覚でした。



――:事前登録数から予想される数を完全に越えていたのですね。

あとは、リセマラも負荷要因のひとつでした。ゲーム開始直後に10連ガチャが引ける仕様ですので、簡単にリセマラができてしまいます。結果、それで個々のアクセスが重くなっていたんです。

――:ゲーム開始から即座にガチャが始まる仕様は、どういった意図から入れられたのでしょうか。

今やリセマラ自体はスマホゲームでは普通ですよね。どうせやるなら、ストレスなく遊んでもらおうということで入れた仕様でした。

――:当時の社内は、どんな雰囲気だったんですか。

もう大慌てです。同時接続者数が20万人を超え、まずネットワークが死に、次にAPサーバーが死に、DBサーバーが死に、同期用のリアルタタイムサーバーが死んで……と、まさに死屍累々でした。GREEのインフラチーム総出で、可能な限りの人を集めて処理をしていました。山積みの問題を片っ端から対処して、一週間ほどで一気にサーバー台数を増やし、負荷対策をして……。もはや細かな部分は曖昧ですが、その一週間で家に帰ったのは2~3時間くらいでした。

――:その時、ユーザーから「ビルの光が消えてるから、あいつら帰ってるぞ」と話題にされていたこともありましたが、実際は違ったと。

2ch(現:5ch)では、弊社が入っている六本木ヒルズのビルの写真が上がっていたりしましたね。「ポケラボさん未曽有の通信障害も0時には完全帰社完了」とか(苦笑)。

ただ、あの写真は弊社のオフィスとは逆側の面なんですよ。もちろん、全員が24時間体制で1週間勤務していたわけではありませんが、緊急シフトを組んだり、近所にホテルを借りたりで、24時間対応行っていました。僕とエンジニアリーダー(覚張泰幸)は今にも倒れんばかりという感じでしたが、お互いに「ここで逃げたら負けだ、頑張ろう」と声を掛け合っていたのをよく覚えています。


――:それはまた壮絶ですね……。

あとは、ミニ四駆の大会をしているという話題もSNS上でありましたが、『SINoALICE』とは無関係な部署の方で、かといって僕らには対処不可能だったので申し訳なかったなと。その後しばらく2ヶ月間くらいは、ポケラボフットサル部でやる他社さんとの休日フットサル交流とかも僕は参加しないようにするなど、色々と気を使っていました。

――:事態の収束までは、どの程度掛かりましたか?

普通にプレイできるようになったのはリリース1週間後からです。また何かしらの問題が発生すると致命傷になりかねないので、慎重に各種の処理を行って対策を練りつつ進行し、2ヶ月後にGvG(ギルドvsギルド)である「コロシアム」の開催にこぎつけることができました。



――:GvG部分はゲームの中核部分ですよね。もともとは、もっと早く出す予定だったのですか?

はい、コロシアムはリリース時から開始予定でしたが、システム再構築のために後に回すことにしました。リリース1週間後に基本的なゲームプレイは可能な範囲に収まったとはいえ、GvGとなるとさらに負荷が高くなります。当初の計画では再び障害が起きてしまう可能性が高かったので、まずは“βテスト”という形で開始をして、2ヶ月後に正式リリースという形を取りました。

――:作業の面で苦労した部分はどこでしょうか。

コロシアムの仕組みの変更ですね。もともとはDAU(アクティブユーザー)がそこまで多くない想定で、コアなユーザーさん向け仕様になっていました。ただ、実際のDAUは想定の何十倍にもなっていたので……。

――:当初の仕様は、現状に見合わない仕組みになってしまっていたと。

はい。そのシステムはまるごと変えて、幅広いユーザーさんがライトに楽しめる仕組みに再構築しました。リリースまでに期間を要したのは、負荷対策とこの仕様変更が要因でした。

――:世界観の面では2017年12月に追加された“現実篇”が衝撃的でした。リリースから半年ほどでの発表となりましたが、こちらは当初から考えられていた構想だったのでしょうか。

リリース以前から予定していた展開です。やはり、シナリオを出すにあたって不安な部分はありましたが、受け入れていただけてよかったです。何より「こんなの『SINoALICE』じゃない!」という反応が怖かったです。やはり、今まで積み挙げてきた認識を180度変える行為なので、反感を受けないかとヒヤヒヤしていました。

【『SINoALICE(シノアリス)』現実篇PV】


――:イラスト一枚見ただけで全然違いますもんね。ここまで変えるのは、なかなか勇気が要る決断だったと思います。

むしろ「変えるなら徹底的にやろう」という気持ちで、色々挑戦ができた部分はあります。イラストだけでなく、実写PVを作ってみたりもしました。

――:『ドラッグ オン ドラグーン』をはじめとして、ヨコオさんの作品には“現実”との交差をもって衝撃的なシーンを演出することがありますよね。やはり、そういった流れを汲んでの展開だったのでしょうか。

ここはヨコオさんが考えたところなので、どこまで意識していたかは僕には分からないですが、繋がるものや、ヨコオさんなりのカラーなどを考えた結果と言えなくもないと思います。

――:それが“現実篇”に繋がったわけですね。あれは良い意味で裏切られました。

世界観やストーリーの部分は、予想を裏切ることも時には大事です。その反面、ゲーム性の部分については、ユーザーさんのご意見に助けられている部分は多いです。カスタマーサポートにいただいた内容も、毎週レポートとしてチェックしていますので、ご意見のある方は今後もぜひお声をいただければと思います。

――:特に多く指摘を受けたのは、どの部分でしたか?

一番大きかったのは、去年の10月から実装したGvGイベント「グランコロシアム」についてですね。ランキングを決める仕様の部分で、いくつか見直しが必要な部分があり、カスタマーサポートだけでなくTwitter上からも問い合わせやクレームが殺到しました。その改善の方策について議論する際に、寄せられたご指摘に助けられた部分があります。実際に改善版をリリースした後は非常に安定しましたので、ユーザーさんからの声は非常に重視しています。

――:外部意見を受け入れる部分と、作品の芯になる部分を混同させず、しっかり分割できているのは素晴らしいですね。やはり、組織体制の時点でその辺りの棲み分けが行われているのでしょうか。

ええ、世界観に合わせてクリエイティブ周りを作る班と、システムを作る班は完全に分割しています。ヨコオさんが直接関わるのは世界観の方ですので、そちらの方は今までのポケラボに世界観に関するノウハウがあまり無かったところで、今回一緒に作っていく中で色々と教わったところも多いです。

一方、システム班は今までポケラボが培ってきた通信や運営に関するノウハウを活かして、新規システムの実装や保守・改善を行うのが主な作業になります。


――:ストーリー面では、かなり衝撃的な展開も多いですよね。アプリとして世に出す以上、表現の部分で一定の基準は超えられないと思うのですが、本作はそのラインギリギリを攻めているように見えます。その辺りは、どのように実現しているのでしょうか。

現実篇の内容はかなりキワどいので、倫理チェックは本当に大変でした。リリース直前までずっと揉めていたくらいです。(苦笑)

――:倫理チェックというと、具体的にどういった行程を踏んでいるのでしょうか。

まずは、スクエニさんの文章チェックです。次に、ポケラボとしてプロモーションを行うにあたって必要な広報チェックを通さなければなりません。修正したら当然また2つの行程を通ることになるので、かなり時間が掛かります。

――:普通のゲームで自主規制音は入れませんからね。ある意味で新しい経験だった、と言えなくもない……かも?

そうですね。真面目な話、アウト・セーフのラインを見極めるにあたって貴重な経験になりました。根本部分の考え方が違ってくると、ルールの構築から変わってきますからね。その経験が得られたのは大きいと思っています。業界の一部では「『SINoALICE』がやっているからセーフ」「あそこがやってないんだからアウトだ」みたいな基準として使われていることもあるらしいですよ(笑)。



――:そして年明けのお正月イベントには、正直過ぎるプロモーションも大きな話題を呼びましたね。「1億DLされたよ! ……遊んでるのは300万人だけど」というアレですが、自分からKPIを公表するゲームは初めて見ました。

他がやっていないということは、それだけの理由があるのですが……。『SINoALICE』に限って言えば、ユーザーさんの驚きを引き出すという意味で“アリ”だと判断した結果になります。実際のところ、アプリの数値などはユーザーさんにとっては興味のある情報ですし、その上で面白いなら行けるでしょうと。

――:ここまで、サービス開始から現在までの流れについて伺ってきました。続いては、今後の展開についてもお聞きしたいと思います。話せる範囲で、今後実施予定のイベントなどがあれば教えてください。

6月5日からスタートしている「それは最悪の一周年」キャンペーンでは、ユーザーさんへの感謝の気持ちを込めて、一周年記念イベントとして「100億円ガチャ」を実施しています(関連記事)。こちらは、簡単に言えばみんなで100億円分のガチャを回すイベントです。

――:字面のインパクトが凄まじいですね(笑)。

あのスタートから一年間サービスを続けられたのは、本当に熱意あるユーザーさんたちのおかげです。今回は、それを還元できるようなイベントにしたいなと。ぜひプレイして確かめてみてください!

――:ありがとうございます。最後に、ユーザーさんへのメッセージをいただけますか?

皆さんのお陰で、『SINoALICE』はグループ内でもトップを走り続けられるようなタイトルとなりました。今後もKPIを公開しつつ…(笑) 真面目な話、KPIはあまり出せないのですが、『SINoALICE』をプレイしていればそういったソーシャルゲームの裏側も知れるようになるかもしれません(笑)。

もちろんゲーム外でもスクエニさんと協力して、皆さんが存分にこの世界を楽しめるよう、色々な施策を展開していきます。今はスクエニカフェでコラボも実施中ですので、そちらも是非お楽しみください!


――:本日はありがとうございました。


ポケラボ プロモーションディレクター:小林正英氏


ポケラボ エンジニア統括:覚張泰幸氏


 
(取材・文 編集部:山岡広樹)
(撮影 編集部:和田和也)


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■『SINoALICE(シノアリス)』
 

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企業情報(株式会社ポケラボ)

会社名 株式会社ポケラボ
URL http://pokelabo.co.jp/
設立 2007年11月
代表者 前田悠太
決算期
直近業績 非公開
上場区分 非上場
証券コード

企業情報(株式会社スクウェア・エニックス)

会社名 株式会社スクウェア・エニックス
URL http://www.square-enix.com/
設立 2008年10月
代表者 松田 洋祐
決算期 3月
直近業績 売上高1922億円、経常利益341億円、最終利益279億円(2018年3月期)
上場区分 東証1部(スクウェア・エニックス・ホールディングス)
証券コード 9684

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