黒字転換を果たしたドリコム、不採算タイトル改善とコスト削減で20年3月期は14億円の収益改善 第1四半期は2タイトルの周年と『ぼくドラ』貢献で大幅増益に



ドリコム<3793>は、5月14日、2020年3月通期の連結決算を発表するとともに、同日、オンライン上で決算説明会を開催した。発表した通期決算は、売上高101億5000万円(前の期比5.3%減)、営業利益6億1700万円(前の期は5億7700万円)、経常利益6億3500万円(同13億4900万円の赤字)、最終利益7億1100万円(同17億1200万円の赤字)と黒字転換を達成した。
 


内藤裕紀社長は、「1年間かけてゲーム事業の収益性向上と、enzaの黒字転換に取り組んできた。一時大きな赤字だったが、黒字転換が達成できた」と振り返った。3タイトルの運用を開始したが、開発に途中参加した『魔界戦記ディスガイアRPG』については11月のサービス再開から垂直立ち上がりを見せ、その後の業績にも貢献しているという。

黒字転換に成功した要因は、ゲームアプリの売上増というより、不採算タイトルの収益性の改善と、全社的なコスト見直しに取り組んだことだという。不採算タイトルの費用減で11億0900万円、全社的なコストの見直しで3億6700万円の改善を行ったそうだ。
 


不採算タイトルについては、全て改善が完了したわけではなく、「まだ一部残っている」と明かした。それについては引き続き改善を行い、「できれば第1四半期中、遅くとも、上期中に改善し収支均衡または利益への転換を目指す」。パートナーや版元との協議も行っており、改善に関しては「ある程度メドが立っている」とのこと。
 


2021年3月期の経営方針については、引き続き収益性を重視していく。一部残った不採算タイトルの収益改善に取り組むとともに、チャンスがあれば、他社の買収など自社開発以外での開発・運用パイプラインの拡大、ゲーム以外のエンターテイメント領域への投資などにも取り組む考えだ。

開発パイプラインについては、開発中(開発フェーズはα版以降)のIPタイトルが1タイトル、プロトタイプが2タイトルとなる。途中参加した『魔界戦記ディスガイアRPG』や、イグニスから譲り受けた『ぼくとドラゴン』が順調なことから今後も成功事例として重視していく考え。
 


「AROW」に加えてゲーム以外のエンターテインメント領域への参入も少しずつ行っていく。コストに関してはそれほど大きくはないそうだ。

続く2021年3月期の見通しは非開示としているが、第1四半期(4~6月)の見通しを開示しており、売上高30億円(前四半期比5.6%減)、営業利益3億円(同244.8%増)、経常利益3億円(同147.9%増)、最終利益2億円(同37.5%減)を見込む。
 


納品売上が発生しないため減収となる見通しだが、2タイトルの周年イベントや、スタジオレックスの運用タイトルが寄与することで大幅な増益を見込む。周年は、『ONE PIECE トレジャークルーズ』と『アイドルマスターシャイニーカラーズ』と見られる。不採算タイトルの改善も押し上げる。
 


最終利益については、前四半期に発生した特別利益がこの四半期ではなくなるため、QonQで減益となる見通しだ。

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大防止への対応として、リモートワークを全社的に行っている。内藤氏は、当初、生産性の低下などの影響が出てくると想定していたそうだが、実際やってみると、ゲーム開発や運営などはもちろん、会社経営全般でも特に大きな支障は出ていないとのこと。
 


 
(編集部 木村英彦)
株式会社ドリコム
http://www.drecom.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ドリコム
設立
2001年11月
代表者
代表取締役社長 内藤 裕紀
決算期
3月
直近業績
売上高108億円、営業利益22億8100万円、経常利益21億9200万円、最終利益11億5900万円(2023年3月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
3793
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