【TGS2013】カードイラストに天野喜孝氏も参加! 『サーガ・オブ・ファンタズマ』の開発スタッフが語る新世代ソーシャルゲームとは?

「東京ゲームショウ 2013」ビジネスデイ1日目のグリー<3632>ブースでは、スマートフォン向けソーシャルゲーム『サーガ・オブ・ファンタズマ』の開発スタッフによるトークセッションが行われた。

開発秘話や今後のアップデート計画が告知されたほか、思わぬサプライズも発表。モバイル端末でソーシャルゲームにも関わらず、コンシューマRPGに近いクオリティを実現して、業界に話題を振りまいた本作に迫っていく。

【登壇者】

・モデレーター:新 清志(ジャーナリスト(ゲーム・IT)、作家)

・土田俊郎(グリー株式会社 クリエイティブディレクター)

・荒川健(グリー株式会社 プロデューサー)

・鈴木進一(株式会社パオン 開発プロデューサー)

 

   

 

▲左から新清志氏、土田俊郎氏、荒川健氏、鈴木進一氏
 

 

『サーガ・オブ・ファンタズマ』は、2013年8月22日に一部機能を制限して先行公開したソーシャルゲームだ。iOS/Android端末向けに配信され、同社ゲームにおける特徴的な「GREE」の会員登録も不要である。現在はオープンベータ版という位置づけで配信され、すべての機能を取り入れた正式版は9月末にリリースされるとのことだ。

本作は、迫力あるリアルタイム3D映像や、美麗を極めるレンダリングムービーなどスマートフォンの表現力を最大限に追求した「3DシネマティックRPG」である。

物語は、魔力を司る精霊と様々な種族が生きる世界(ノイント)を舞台に記憶を失くした一人の青年が、謎の少女との出逢いをきっかけに、 自らの宿命と世界の運命に導かれていくという内容だ。

プレイヤーは、クエストマップでクエストを受託し、精霊カードを集めながら、様々な場所に冒険に出かけていく。フリック操作による「コマンドカウント・カードバトル」と3D演出による迫力のバトルが特徴となっている。

 


 

さて、トークセッションでは、モデレーターに新清志氏を迎えて、本作の開発スタッフに現状について、今後の展開などに関しても語られた。はじめに新氏は、『サーガ・オブ・ファンタズマ』の雑感について口にした。

同氏は、従来のソーシャルゲームは、シンプルでカジュアルな作品が中心ではあったが、今年に入ってからは、コンシューマと変わらないほどのクオリティ高いRPG作品が増えてきていることを指摘。すでにオープンベータ版がリリースされた本作は、一体どのような位置づけにあるのかを、近況も交えてスタッフに問いかけた。

これに対して、開発の総合マネジメントを務めるパオンの鈴木氏は、「現在のオープンベータでは、各種イベントを取り入れている状況にあります。シナリオに関しては、近々増やしていきます」と話した。

さらに本作のクリエイティブディレクターの土田氏は、「オープンベータのため、まだすべての機能が完全に遊べる状態ではありません。そのため現在は、ユーザーの皆様がコンテンツをどのように遊んでいくのかを、見させていただいております」と、各コンテンツに対する反響を確認しながら、来る正式リリース版について最終調整を行っていることを明かした。

 

 

 

■ 本作はコンシューマの制作出身者が多く関わる

続いて、プロデューサーの荒川氏からは、「現在、約2万人の方が本作を遊んでいます。また、『サーガ・オブ・ファンタズマ』は、コンシューマ制作出身のスタッフが多く関わっています」と、近況と制作体制ついて語った。

これについて外部として関わる鈴木氏は、「グリーさんにコンシューマのようなソーシャルゲームを作りたいと依頼されたとき、果たしてスマートフォンで実現出来るかが心配でした。しかし、一切の妥協はせずに、細かいバランスも調整して完成までに至りました」と苦労を話した。

筆者も本作を遊んでいるが、たしかに美麗なグラフィックや壮大な物語はもちろん、インターフェイスなどの細かい配慮などは、ストレスフリーでゲームそのものに集中できるほどだ。しかし、気になるところは、これほどの重厚なゲーム内容を手掛けるのに対して、同社としては膨大な開発期間がかかったことだろうと思う。新氏がつつく。

「開発期間は1年半ぐらいです」と荒川氏。さらに続けて「物語は当然ですが、バトルを通してユーザー様にも印象を付けていきたかった……。中途半端な作り込みが出来なかったため、こだわりすぎた結果、開発期間が伸びてしまったところがあります」。

続いて新氏は、こちらも気になる「端末の縦持ちを推奨した理由について」の質問があった。全てのゲームとまではいかないが、リッチなコンテンツや操作性豊かな作品として遊ぶためには、端末を横にして持つことが一見自由度が高そうにも思える。

鈴木氏が話す。「通勤途中に片手でプレイしてもらいたかったのが理由です。また、キャラクターと敵をアップで表示出来るようにもなりました。使いやすを意識した結果、カードの扱い方や組み合わせなど、縦の方がゲームらしくなりました」と、縦持ちだからこそ実現できた要素を伝えた。

ここで新氏からは、「それでは1年半前の企画を立てられた当時、こういうゲームが流行ると思っていましたか?」という質問が開発スタッフ陣に投げかけられた。

これに対して荒川氏は、「予想はしていました。ユーザー様もカジュアルなゲームから慣れ親しんで、次第に本格的なゲームを求めていくものだと思って手掛けています」と話した。

さらに新氏は、「本作は課金をする必要なく遊べてしまいますが、ハードルを下げた理由などはありますか?」という質問を続けて、本作の深い要素にもつついた。

多くの方が気になる質問について土田氏は、「これはお客様の幅を広げていきたいと思ったからです。いろいろな選択肢を与えたくて、そのうちのひとつが課金をせずとも進めるようにすることでした。まずは遊びやすくして、何よりも“ゲームに愛着”をもらうことが必要」と、本音を語ってくれた。

 

■ 豪華クリエイターの起用について

『サーガ・オブ・ファンタズマ』には、ゲーム内で展開される物語に、宮野真守さんや戸松遥さんら30名を超える人気実力派声優陣を起用しているほか、楽曲は『ファイナルファンタジー』シリーズの作曲でお馴染みの植松伸夫氏が手掛けている。

植松氏の起用について、荒川氏は「本作はファンタジーRPGのため、その代名詞たる作品の楽曲を手掛けた植松さんにお願いしたいと思いました」と語った。

また、楽曲の秘話として、土田氏が「音楽は開発終盤に入ったのですが、そのときの開発チームのテンションが急激に上がりました。プラスになることがいっぱいありましたね。私もバランス調整を行っている際は、植松さんの曲を聞きながら作業していたため、全く苦にならなかったです(笑)」と、ゲームにおける音楽の重要性を改めて伝えてくれた。

ここで、「東京ゲームショウ 2013」のためだけに用意された、植松氏からのビデオレターが流された。そこで同氏からは「オープニングとエンディングは、オーケストラで演奏しましたが、オケは本当に久々でした。しかし、本当に素晴らしい楽曲が出来ました。ぜひ、楽しんでください」と語られた。

さらに、今後の展開についてサプライズ発表があった。それが、『ファイナルフファンタジー』シリーズのパッケージデザインでお馴染みのイラストレーター・天野喜孝氏の起用だ。

天野氏には、今後登場する新カードのイラストはもちろん、10月に開催されるハロウィンイベントのカードイラストも手掛けるとのことで、間もなくの登場でユーザーによる期待感も増していくことだろう。

 

 

■ 正式リリースはいつごろ? 今後の展開について

「じつはもうちょっと時間をいただきたく思います」と荒川氏。肩を落としたいところだが、すかさず「とはいえ、もう間もなく大型アップデートを実装します」と続けた。この大型アップデートというのは、正式版ではないにも関わらず、エンディングまで遊べてしまう「シナリオ完全版」として提供するとのことだ。

今回の施策については、先ほど土田氏からも話があった“愛着を持ってもらう”ことが関係しているとのこと。まずはエンディングまで遊んでもらい、一通り物語を楽しんで作品に愛着を持ったあとに、すべての機能を実装した正式版を楽しんでもらうことにあるようだ。

 

 

 

最後に開発スタッフからプレイヤーに向けてメッセージが贈られた。

鈴木氏「『サーガ・オブ・ファンタズマ』は、カードバトルの正当進化型のような作品です。間口が広く非常に遊びやすい内容になっているほか、やり応えも十分あるかと思います。ぜひ、遊んでみてください」。

土田氏「家庭用ゲーム機で遊んでいた人たちが、そのまま自然に楽しめるような作品に仕上がっています。オープンベータ版を遊んでいる方々は、もう間もなくエンディングまで遊べるようになるため、ぜひ、続きを遊んでみてください」。

荒川氏「コンシューマやスマートフォンアプリでも3、4年前から海外ゲームが伸びてきています。私自身も遊びますが、やはり本作を通して、日本の作品・RPGの良さを伝えていきたいと思います。また、本作について、様々なところで議論していただければ幸いです。よろしくお願いします」。

 

グリーが贈る『サーガ・オブ・ファンタズマ』は、これまでのカジュアルなソーシャルゲームとは異なる作品であることが、ゲーム画面を見ただけで感じ取ることが出来る。よりコンシューマのJRPGに近づいた力作であるほか、豪華クリエイター陣が彩る世界観も手伝い、さらなる盛り上がりを見せてくれることだろう。

 

■ 関連サイト

公式サイト

iOS版ダウンロード

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(c)2013 GREE / Developed by PAON

グリー株式会社
http://www.gree.co.jp/

会社情報

会社名
グリー株式会社
設立
2004年12月
代表者
代表取締役会長兼社長 田中 良和
決算期
6月
直近業績
売上高754億4000万円、営業利益124億9800万円、経常利益130億8600万円、最終利益92億7800万円(2023年6月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3632
企業データを見る
グリー株式会社
http://www.gree.co.jp/

会社情報

会社名
グリー株式会社
設立
2004年12月
代表者
代表取締役会長兼社長 田中 良和
決算期
6月
直近業績
売上高754億4000万円、営業利益124億9800万円、経常利益130億8600万円、最終利益92億7800万円(2023年6月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3632
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