KLab<3656>は、この日(9月26日)、ソフトウェアのソースコード共有サービス「GitHub」に、同社独自のゲームエンジン「Playground」をオープンソースとして公開したと発表した。
「Playground」は、マルチプラットフォームな2D/2.5Dゲームを効率的に開発するためのフレームワーク。描画管理、アニメーション(Flash/スコア/プログレスバー等)、サウンド(BGM/SE)管理、GUIフォーム、ネットワーク通信、ユーザ管理、知財暗号化、データベース管理、マルチタッチ管理、アプリ内課金などが実装されている。
KLabのゲームタイトルではブシロードと共同開発した「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」と、グローバル向けに開発した「Rise tothe Throne(ライズ・トゥ・ザ・スローン)」で使用されている。
「Playground」は、「高速に動作し、シンプルなAPIセットでスマートフォン向け2Dゲームを開発できる環境を構築する」というエンジニアの個人プロジェクトからはじまり、標準労働時間の10%以内であれば自由に時間が使える「どぶろく制度」を経て社内プロジェクトとして実用水準への発展を遂げた。
KLabでは創業以来、多くのオープンソース・ソフトウェアを利用する一方、可能な限り多くの情報やソースコードをコミュニティに還元してきたが、今回、「Playground」についても、そのソースコードが世界中の開発者の目に触れることで得られるフィードバックがゲームエンジンとしての品質や性能の向上、同社の競争力強化そして、ゲーム業界の技術発展にもつながると考え、オープンソース化した、としている。
■Playgroundの特徴(リリースからの抜粋)
1. マルチプラットフォーム対象の開発が可能
iOSとAndroidにおいて画面描画、マルチタッチを含むUIイベント処理、サウンド出力、ネットワーク処理、アプリ内課金やプッシュ通知の仕組みを網羅しています。
2. 優れたグラフィックス性能
2Dグラフィックスへフォーカスした特性を活かすため、以下のような最適化を行いました。リッチな表現を含むゲームは最新端末より1世代前まででしかスムーズに動作しないものが多い中、「Playground」では2世代以上古い携帯電話端末上でも快適なゲームプレイを実現しています。
・2D画面の描画におけるポリゴンの特性を活かし、Zバッファの利用を制限
・エンジン内部で保持するポリゴン頂点の持つデータ量を2D用に削減
・描画対象の座標計算をCPUで行うことで、GPUへ処理移行する前の段階での処理バッチ化を実現
・ポリゴンの描画コールを可能な限り自動的にバッチ処理し、OpenGLの描画コールを自動削減
・CPUアーキテクチャを考慮に入れたデータキャッシュを実施
・エンジン内部状態更新を可能な限り局所化することで、CPU処理負荷を低減
3. 高パフォーマンスなサウンド出力
iOS上のみならず、Android上においても低いサウンド出力レイテンシを実現しました。これにより、両プラットフォーム対応のリズムアクションゲーム制作における開発コストを低減しています。
4. 知的財産保護のためのデータ暗号化機能をプラグイン追加可能
ゲームの制作要件にあわせて、適宜暗号化の枠組みを追加できる構造になっています。
※実際のゲームで利用されている暗号化関連コードはオープンソース化対象に含まれません。
5. プログラミング言語
ゲーム本体を記述するプログラミング言語としてLua、C、C++、C#(プロトタイプ段階)を選択できます。
■関連サイト
ソース公開場所
「DSAS開発者の部屋」
会社情報
- 会社名
- KLab株式会社
- 設立
- 2000年8月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 森田 英克/代表取締役副会長 五十嵐 洋介
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高107億1700万円、営業損益11億2700万円の赤字、経常損益7億6100万円の赤字、最終損益17億2800万円の赤字(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3656