
説明会に参加したアナリストからは、12月6日に発表した韓国のNHNエンターテインメントとの提携に関する質問が相次いだ。ゲーム市場において「LINE」や「Kakao Talk」(以下カカオ)といったメッセンジャー向けアプリゲームの人気が高まっている点を、提携の背景として説明した。(以下、断りが無ければ、かぎ括弧内は林社長の発言)


■8~10月は「大ヒットタイトルを作れなかった」

これまで林社長は「8~10月は『レギオンウォー』のプロモーション費用で利益はほぼゼロになりそうだ」と伝えてきた。だが、『レギオンウォー』の広告効果が想定ほど良くないため、広告費を絞った結果、8~10月に約1億円の利益が出たという。

前年同期比ではエンターテインメント事業の営業利益は8割近く減少した。「前年同期は『ダークサマナー』と『AKB48ステージファイター(以下AKB)』の売上が一番伸びた時。この第1四半期は『ダークサマナー』の売上がピーク時の半分くらいに減っている」(林社長)という。一方、新作の『レギオンウォー』と『ダービーインパクト』の売上と利益が下支えとなった。
■『ダービーインパクト』『レギオンウォー』は月商1億円、一方「公式サイトが厳しい」
タイトル別でみると、好調組は競馬シミュレーションゲーム『ダービーインパクト』と『麻雀 雷神 -Rising-』だ。『ダービーインパクト』は「月商1億円規模に成長している」という。『麻雀雷神』は「北斗の拳」モードを搭載し、ソーシャルゲーム的な要素を取り入れたところ、売上が月次で数千万円規模に伸びたという。時計や視力ケアなどの無料ツールアプリ『zero app』シリーズも月商1000万円を超える規模に成長しているとのこと。新作のうち『レギオンウォー』は「狙っていた“ホームラン級”ではないが、11月以降、累計100万ダウンロードを突破し、月商1億円規模に成長している」という。一方の『ダークラビリンス』の売上は低調で「厳しい状況」だ。

▲『レギオンウォー』

▲『ダークラビリンス』
■ライフスタイルサポート事業は堅調、「引越し侍」は苦戦
引越し比較サイト「引越し侍」、車査定・車買取サイト「ナビクル」、ブライダルサイト「すぐ婚navi」などを手掛ける「ライフスタイルサポート事業」の売上高は、前年同期比31%増の12.28億円、利益が25%増の1.35億円と堅調に成長している。ただ、前四半期比では売上高が15%増にもかかわらず、利益が25%減った。
林社長は、この第1四半期でもっとも苦戦していたのが「引越し侍」と話す。競争激化で、広告費を中心に顧客獲得コストが増加しているという。「引越し価格ガイド」というサイトが、被リンク数が多いことなどを理由にグーグルからペナルティを受け、SEO(検索エンジン最適化)が低下したことも逆風だった。ここ何ヶ月間かリンクをはずしてもらう作業を実施し、すでにペナルティは解除されているとのこと。
■NHNエンターテインメントとの提携①「開発はエイチーム、パブリッシングはNHN」
林社長はNHNエンターテインメントとの提携のきっかけについて、「自社タイトルの韓国展開を模索する中でお会いした」と明かした。「NHN側が1年半くらい前から我々のゲーム開発力に注目していたようで、初めて会ったときから友好的だった。メッセンジャー向けのアプリが重要になるという展望を語ったところ、向こうから合弁の提案があった」という。また、「NHNエンターテインメントによるエイチーム株の保有を受け入れた理由は、より強い関係を築きたいと思ったから」と話した。
■NHNエンターテインメントとの提携②「利益率は低下」「LINE、カカオ向け企画が数本進行中」
メッセンジャー向けアプリのビジネスモデルについても中内氏が説明。「通常のネイティブアプリ同様、グーグルやアップルへの決済手数料がかかるほか、メッセンジャーに支払う手数料も発生するため利益率は下がる」という。LINEの親会社の韓国NAVERと資本関係があるNHNエンターテインメントと組めばLINE向けアプリの手数料が安くなるのか、という質問には「そういった話はしていない。まだ企画段階で、話が出てくるとすれば今後だと思う。それを見越して提携したわけではない」と答えた。合弁会社でつくったゲームはLINE、カカオ向けのみの配信となるのか、という質問には「基本的にメッセンジャー向けだが、作ったアプリは合弁会社の資産となる。出資している両社がメッセンジャー以外への展開が有効だと考えれば可能」(中内氏)と回答した。
なお、林社長は「いまはLINE、カカオ向けの企画を数本進めている」と明かし、「ホームラン級のヒット作を出し、海外にも積極的に出していこう、という期待を寄せている」と述べた。もちろん、エイチーム本体はApp StoreやGoogle Play向けにも注力していく方針だ。また『ダークラビリンス』の海外展開と合弁会社は関わりがないという。

■コスト削減で利益計画の達成目指す
エイチームの中間期(2013年8月~2014年1月)の経常益見通しは約5億円。残り3か月で4億円の利益が出せるのか、という質問については「『ダークラビリンス』などの外注費を圧縮し始めているので、エンターテインメント事業としては月次で1億円強の利益が出てくる見通し」(林社長)と答えた。中内氏が、タイトル別のコスト削減方針を説明した。コスト削減は広告費と外注費の圧縮を中心に実施していくという。
新作の『レギオンウォー』と『ダークラビリンス』のリリース時にかかった広告費は今後、抑制できる。『レギオンウォー』は「リリース時のプロモーションは一定の成果があり、収益は安定的に推移している。外注費などは売上規模にあったコスト構造に調整し、広告は費用が回収できるものだけ実施していく」(中内氏)という。同タイトルは利益を維持しながら、再成長の機会を探っていく方針だ。


▲販管費率が70%台で推移するなか、売上原価率が23%まで上昇
一方、『ダークラビリンス』は日本では非常に苦しく、運用コストは削減していく方針。広告は採算がとれる範囲で実施しつつ「海外展開を模索していく」(中内氏)とのこと。売上が低迷している『ダークサマナー』のコストも削減方向だ。
人件費は新規のアプリ開発に充てていくというが、今後の新作アプリの投入スケジュールについて、中内氏は「本格的には第3、4四半期(2014年2~7月)」と述べるにとどめ、詳細は語らなかった。
■関連リンク
・エイチーム決算説明会資料
会社情報
- 会社名
- 株式会社エイチーム
- 設立
- 2000年2月
- 代表者
- 代表取締役社長 林 高生
- 決算期
- 7月
- 直近業績
- 売上高239億1700万円、営業利益5億6200万円、経常利益6億900万円、最終利益9億5300万円(2024年7月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3662