【Digi Capital調査】13年オンライン/モバイルゲーム市場、アジアが売上・M&A・投資・IPOで牽引

米国・アジア・ヨーロッパを中心としたアプリ、ゲームなどの英国投資銀行Digi Capitalは、4月2日、世界のモバイルゲーム・オンラインゲームについてのレポート『Global Games Investment Review 2014 Q1 Transaction Update – Executive Summary』を公開した。

同レポートは、(1). ゲーム市場の企業マッピング、(2). 世界のゲーム市場に関する経済的分析、(3). 世界のゲーム市場におけるM&A・投資・IPOの動向、(4). ゲームアプリ市場の動向、の4部で構成されている。
 

(1). ゲーム市場の企業マッピング


まず、同レポートでは、ゲーム関連企業を下表のように分類している。
カテゴリ 説明
モバイル・タブレット スマートフォン・タブレット端末向けシングルプレイ・マルチプレイゲーム Supercell
オンラインソーシャルゲーム SNS連携のシンプルなマルチプレイオンラインゲーム King
会員制MMOゲーム PC向けの多人数参加型オンラインゲーム Activision-Blizzard
コンソール・PCゲーム 店舗購入・ダウンロード型コンソールゲーム、PC向けオンラインゲーム EA
OTTモバイルソーシャルゲーム LINEやKakaoなどモバイルメッセージングプラットフォーム上でプレイ可能なモバイル向けマルチプレイ型ソーシャルゲーム Kakao
オンラインカジュアルゲーム ブラウザ・PC向けシンプルなシングルプレイヤー向けオンラインゲーム(ダウンロード型オンラインゲームも含む) Miniclip
基本無料MMOゲーム PC・ブラウザ向け多人数参加型オンラインゲーム Tencent
開発支援、ゲーミフィケーション B2Bのビジネスモデルでゲーム開発支援、ゲーミフィケーションプラット関連などソフトウェアサービス Unity
 
これをもとに、同社は、ゲーム関連企業について、縦軸を「モバイル・オンライン、コンソール・PC」、横軸を「ハードコア、カジュアル」とし、以下のようにマッピングしている。
 

(2). 世界のゲーム市場に関する経済的分析


また、同レポートによれば、2017年までに全世界のゲーム関連売上は平均年次成長率10.1%で1200億ドル(約12兆円)を超える見込み。特に、モバイル・オンラインゲームの成長が著しい、という。

2017年までの全世界のモバイル・オンラインゲームの売上をみてみると、平均年次成長率23.6%で600億ドル(約6兆円)まで成長し、ゲーム関連市場のうち60%を占めるまでに成長すると予想される。
 

▲. ゲーム種別世界のビデオゲーム市場の売上 <単位:10億ドル(約1,000億円)>

 
また、モバイル・オンラインゲームの売上を地域別にみると、北米はモバイル・オンラインゲーム市場として重要であるものの、アジアとヨーロッパだけで80%を占めた。これは、特に日本・中国・韓国を中心としたアジアの寄与が大きい、という。
 

▲. 地域別モバイル・オンラインゲームの売上 <単位:10億ドル(約1,000億円)>
 

(3). 世界のゲーム市場におけるM&A・投資・IPOの動向


(A) 世界のゲーム市場におけるM&A動向

一方、2013年のゲーム関連のM&Aは、モバイルゲーム分野で活発であった。
 

▲. 2013年ゲーム種別ゲーム関連M&A

2013年のゲーム関連のM&A市場規模は2012年比29%増の56億ドル(約5,600億円)で、M&A件数は2012年比5%増の88件、1件あたりの平均ディール額は2012年比23%増の6380万ドル(約66億円)にまで成長した。

▲. 世界のビデオゲームのM&Aと投資動向 売上 <単位:100万ドル(約1億円)>

​ディール金額ランキング上位10社の買収者をみると、2012年は8社が日本、中国、韓国によるもので、2013年は9社が日本、中国、韓国を中心としたアジア企業によるものであった。
 

(B) 世界のゲーム市場における投資動向

また、2013年のゲーム関連の投資は、モバイルゲーム、開発支援、ゲーミフィケーションの分野で活発であった。
 

▲. 2013年ゲーム種別ゲーム関連投資

2013年のゲーム関連の投資市場をみると、モバイルゲーム、開発支援、ゲーミフィケーション関連への投資が寄与した。2013年のゲーム関連の投資市場規模は2012年比16%増の10億ドル(1,000億円)、投資件数は2012年比1%増の167件、1件あたりの平均投資額は2012年比14.8%増の600万ドル(約6億円)にまで成長した。
 

(C) 世界のゲーム市場におけるIPO動向

さらに、ゲーム関連のIPOは、日本、中国、韓国が市場を牽引した。2011年〜2013年のゲーム関連IPO企業をみると、15社中13社がアジア企業によるもの、という結果になった。
 
▲. ゲーム関連のIPO (国別件数)


▲. ゲーム関連のIPO (インデックス)


▲オンラインゲーム・モバイルゲーム企業の成長曲線
 

(D) 2014年第1四半期世界のゲーム市場におけるM&A・投資・IPOの動向

2014年第1四半期では、M&Aがモバイルゲーム、開発支援、ゲーミフィケーション、MMOゲームの分野で活発となり、2013年通期のM&A規模に迫る勢いとなった。また、2014年第1四半期の投資はモバイルゲーム、開発支援、ゲーミフィケーション、IPOでは英国KingのIPO (関連サイト1関連サイト2関連サイト3)が目立つ結果となった。
 

▲. 2014年第1四半期ゲーム種別ゲーム関連M&A規模


▲. 2014年第1四半期ゲーム種別ゲーム関連投資
 

(4). ゲームアプリ市場の動向


なお、同レポートによれば、2013年のスマートフォン・iOS/Android タブレット端末向けアプリユーザーのうちゲームアプリのユーザー数は全体の32%で、タブレット端末向けアプリユーザーだけでは67%。また、2013年のモバイルアプリの売上ではゲームアプリの売上が全体の74%、ダウンロード数ではゲームアプリが全体の40%を占めた。



 

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