モブキャスト決算説明会 「固定費削減」と「広告コントロール」で黒字化達成 『モバノブ』やサッカーゲームなど新作寄与で通期売上高は最大80億円と予想
モブキャスト<3664>は5月8日、2014年12月期間第1四半期(1Q、1-3月期)の連結決算を発表し、都内で決算説明会を開催した。第1四半期の売上高は11億732万円(前年同期比15.0%減)、営業利益1億6500万円(前年同期比49.8%増)と黒字化を達成。
説明会で藪考樹社長は、固定費の大幅削減と広告コントロールにより、営業利益を確保できたことで、前四半期(2013年10-12月期)から大幅に利益が増加したことを説明。第2四半期(2Q、4-6月期)の事業戦略としては、「FIFAワールドカップ2014」の開催にあやかり、サッカーゲームの世界大会を実施、また3つの勝負タイトルの投入にも意欲を示していた。(以下、かぎ括弧内は藪社長の発言)
第1四半期(1-3月期)の業績は、売上11億732万円(前四半期比13.0%減)、営業利益は1億6500万円と前四半期比で4.6億円増加。前四半期と比較して売上高は減となったものの、営業利益、経常利益、四半期純利益がいずれも黒字に転換。
売上減少については、2013年2月に子会社化したエンタークルーズ社のPCゲーム事業売却(日本・韓国)、さらに不採算タイトル2作品の配信停止、新規自社タイトル不在などが影響していると説明。また、4年目に突入した同社の人気作『モバプロ』の売上も前四半期の9割程度に落ち込んだ。藪社長は、同作の売上減少について、「4年目タイトルということもあり飽和状態に直面。また“スポーツの閑散期”のため」と原因を挙げた。
営業利益は黒字化を達成。今回の黒字化について、藪社長はふたつの要因を挙げた。ひとつ目は「固定費の大幅削減」。新規タイトルの開発が2013年第4四半期で終了したことにより、業務委託の人員が大幅に削減できたとのこと。ふたつ目は固定の広告費は一切取り止めて、売上の成長余力のあるタイトルを早めに見極め、戦略的に集中投下する「広告コントロール」を実施したこと。
続いて1Q(1~3月)のハイライト。プラットフォーム「mobcast」の会員数は、1Qで日韓合わせて30万人増加の累計520万人を突破。なお、会員数は自然増とのことだ。藪社長は「ある程度のプラットフォーム認知度の上昇もあるが、スポーツ情報などのゲーム以外のコンテンツが増えたことも挙げられる」と会員数増加の要因を添えた。
自社ゲームでは、2014年3月30日に『モバプロ』を2014年度版として配信を開始した(関連記事)。3月28日に開幕したプロ野球2014年シーズンに合わせてリニューアルを実施し、およそ800枚にも及ぶ選手カードを一新。
そして、『モバサカ』の第2回「mobcast Global Cup(MGC)日韓戦」では、参加ユーザーが第1回の3,000人を大きく上回る1万2,000人が参加したことを明らかにした。なかでも40万回の応援(観戦者の応援アクション)、さらに12,000回ものカードトレードが行われるなど、日韓戦へのユーザーの認知が進みだけではなく、“オンラインゲーム上の国際試合”というコンテンツの可能性も示した。
パートナーゲームは、2013年第4四半期に集中して増えた。資料の通り、プラットフォームのオープン化以来、毎四半期で過去最高額を更新中だ。
2014年3月には、プラットフォーム「mobcast」を大幅に刷新。現在は、“30代を中心とした負けず嫌いな男性”をメインターゲットに、競い合うことの楽しみを打ち出した独自概念「SVS(Social Victory Space)」に沿ったコミュニケーションサービスを展開している。この「SVS」では、ゲームに勝って、ライバルに「褒められたい」「尊敬されたい」といった欲求に応えるコンセプトのもと、「戦歴・トロフィールーム」や「ライバルグラフ」などの要素を追加。
また、同じく2014年3月には、「mobcast」上でゲーム攻略情報をユーザー間で共有するリアルタイムQ&Aコミュニティサービス「Quu」を開始。もともと『モバプロ』などで、ユーザー同士がカードのやり取りを積極的に行っていたこともあり、本サービスはリリースから3日間でDAUが3万人を突破する人気となった。「Quu」は年内中に、「mobcast」で展開中のゲーム全てに導入する予定。
2Qでは、「FIFAワールドカップ2014」の開催にあやかり、ソーシャルゲーム上で行うサッカー世界大会「mobcast GLOBAL CUP」の開催を予定。前述した日韓戦でも盛り上がりを見せたことから、「mobcast GLOBAL CUP」のゲーム参加見込数として、欧州30万人、アジア30万人ものユーザー数を想定。「社内では100万人を目標に動いている」と、藪社長はさらなる意欲を見せた。
2Qの業績予想に大きく寄与しそうな新規タイトルとして、『モバノブ』、『激闘!ぼくらのプロ野球!2014』、『チェインイレブン』(ネイティブアプリ版)の3作品が投入される。
コーエーテクモゲームスと共同開発した『モバノブ』は、事前登録開始からわずか3日で3万人を突破。「『信長の野望』ユーザーとモブキャストのプラットフォームを利用しているユーザー、これらの相性の良さが今回の結果に繋がった。とても良い感触を得ている」と話した。
なお、『モバノブ』開発中のモブキャスト社内では、開発陣の約8割がモブキャストのスタッフ、残り2割がコーエーテクモゲームスからモブキャストに出向していたとのこと。
『激闘!ぼくらのプロ野球!2014』は、ユーザーからの意見を元に4月16日(第1弾)と4月30日(第2弾)に大規模アップデートを実施。監督視点で試合の采配を楽しむ本作は、5月以降本格的にプロモーションしていくという。
そして、gumiと共同開発した『チェインイレブン』のネイティブアプリ版が5月末日に配信を予定。藪社長は、gumiの子会社であるエイリムの大ヒット作『ブレイブフロンティア』を、海外でもヒットさせたマーケティング力を引き合いに出して「国内だけではなくて世界市場で勝負する」と語った。日本リリース以降は、中国や欧米など、「FIFAワールドカップ2014」の開催前に約25ヵ国で配信を予定している。
パートナーゲームでは、1Q同様6タイトルを追加予定。藪社長は、パートナーゲームについて「数ではなくて質を重視し増やしていく。また、IPタイトルも意識する」と今後の方針を明らかにした。
プラットフォーム「mobcast」では、4月30日に韓国プラットフォームを正式にオープン化。『サッカー韓国代表2014ヒーローズ』の事前登録を開始するとともに、今後も順次タイトルが配信されていくようだ。
また、2Qの広告戦略は1Qと変わらず、成長余力の高い新規タイトルを見極めて、そこに集中的に広告展開をしていく予定とのこと。
▼通期売上高イメージ
繰り返しになるが、1Qでは広告費のコントロールと固定費の削減により、きちんと利益を出せる体制を整え、2Q以降は新規タイトルを中心とした「勝負タイトル」に注力して、売上高の上昇を目指すことを宣言。
通期売上高イメージは、既存ゲームの最終的な売上を40億~45億円として立てている。同社のヒット作『モバプロ』は減少と予想されるものの、「FIFAワールドカップ2014」で盛り上がりを見せる『モバサカ』やパートナーゲームで堅調な推移を目指せるという。
海外展開では、韓国プラットフォームのオープン化を皮切りに、『チェインイレブン』の海外版にも意欲を示している。5つの新規タイトルには、上期に3タイトル、下期に2タイトルが投入されるとのこと。なお、5タイトルのうち、ネイティブが4タイトル、ブラウザが1タイトルとなる。
ちなみに『モバサカ』のネイティブ版である『AllStar11』については、大幅な追加開発を行ったうえで投入するとのことで、通期予想に織り込むことを見送っているようだ。リリースは来期を予定。理由としては、まだ既存の『モバサカ』と同じゲーム内容であることをはじめ、「FIFAワールドカップ2014」に向けたサッカータイトルはすでに充分な数が揃っていることから、広告等の効果が分散されてしまうのを回避するためとしている。
最終的な通期売上イメージでは、52億~80億円の間で着地。2Qの6月頃の数字を見極めたうえで、新たに情報は開示するという。
なお、最後の質疑応答では、通期の利益予想の記載が無いことに指摘が入った。利益予想の記載が無いことに関して、藪社長はふたつの理由を挙げた。
「ひとつ目は、QonQごとに広告を展開してから収益に結びつくまで、ある程度の時間に差異が生じるため利益予想ができない。ふたつ目は、新規3タイトルは共同開発が2タイトルあるため、収益構造が各タイトルごとに異なることが挙げられる。そのため、どのタイトルがヒットするかによっては利益率が大きく変わっていく可能性があるので、現段階では予想ができない」とコメント。
とはいえ、1Qと同等の売上が最低限あれば、利益は見込めると言葉を添えた。
■関連リンク
決算説明会資料
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説明会で藪考樹社長は、固定費の大幅削減と広告コントロールにより、営業利益を確保できたことで、前四半期(2013年10-12月期)から大幅に利益が増加したことを説明。第2四半期(2Q、4-6月期)の事業戦略としては、「FIFAワールドカップ2014」の開催にあやかり、サッカーゲームの世界大会を実施、また3つの勝負タイトルの投入にも意欲を示していた。(以下、かぎ括弧内は藪社長の発言)
■「固定費の大幅削減」と「広告コントロール」により黒字化を達成
第1四半期(1-3月期)の業績は、売上11億732万円(前四半期比13.0%減)、営業利益は1億6500万円と前四半期比で4.6億円増加。前四半期と比較して売上高は減となったものの、営業利益、経常利益、四半期純利益がいずれも黒字に転換。
売上減少については、2013年2月に子会社化したエンタークルーズ社のPCゲーム事業売却(日本・韓国)、さらに不採算タイトル2作品の配信停止、新規自社タイトル不在などが影響していると説明。また、4年目に突入した同社の人気作『モバプロ』の売上も前四半期の9割程度に落ち込んだ。藪社長は、同作の売上減少について、「4年目タイトルということもあり飽和状態に直面。また“スポーツの閑散期”のため」と原因を挙げた。
営業利益は黒字化を達成。今回の黒字化について、藪社長はふたつの要因を挙げた。ひとつ目は「固定費の大幅削減」。新規タイトルの開発が2013年第4四半期で終了したことにより、業務委託の人員が大幅に削減できたとのこと。ふたつ目は固定の広告費は一切取り止めて、売上の成長余力のあるタイトルを早めに見極め、戦略的に集中投下する「広告コントロール」を実施したこと。
■プラットフォームを刷新…会員数は自然増で1Q・30万人増加
続いて1Q(1~3月)のハイライト。プラットフォーム「mobcast」の会員数は、1Qで日韓合わせて30万人増加の累計520万人を突破。なお、会員数は自然増とのことだ。藪社長は「ある程度のプラットフォーム認知度の上昇もあるが、スポーツ情報などのゲーム以外のコンテンツが増えたことも挙げられる」と会員数増加の要因を添えた。
自社ゲームでは、2014年3月30日に『モバプロ』を2014年度版として配信を開始した(関連記事)。3月28日に開幕したプロ野球2014年シーズンに合わせてリニューアルを実施し、およそ800枚にも及ぶ選手カードを一新。
そして、『モバサカ』の第2回「mobcast Global Cup(MGC)日韓戦」では、参加ユーザーが第1回の3,000人を大きく上回る1万2,000人が参加したことを明らかにした。なかでも40万回の応援(観戦者の応援アクション)、さらに12,000回ものカードトレードが行われるなど、日韓戦へのユーザーの認知が進みだけではなく、“オンラインゲーム上の国際試合”というコンテンツの可能性も示した。
パートナーゲームは、2013年第4四半期に集中して増えた。資料の通り、プラットフォームのオープン化以来、毎四半期で過去最高額を更新中だ。
2014年3月には、プラットフォーム「mobcast」を大幅に刷新。現在は、“30代を中心とした負けず嫌いな男性”をメインターゲットに、競い合うことの楽しみを打ち出した独自概念「SVS(Social Victory Space)」に沿ったコミュニケーションサービスを展開している。この「SVS」では、ゲームに勝って、ライバルに「褒められたい」「尊敬されたい」といった欲求に応えるコンセプトのもと、「戦歴・トロフィールーム」や「ライバルグラフ」などの要素を追加。
また、同じく2014年3月には、「mobcast」上でゲーム攻略情報をユーザー間で共有するリアルタイムQ&Aコミュニティサービス「Quu」を開始。もともと『モバプロ』などで、ユーザー同士がカードのやり取りを積極的に行っていたこともあり、本サービスはリリースから3日間でDAUが3万人を突破する人気となった。「Quu」は年内中に、「mobcast」で展開中のゲーム全てに導入する予定。
■2Qではサッカーゲームの世界大会を実施。参加者100万人を目指す
2Qでは、「FIFAワールドカップ2014」の開催にあやかり、ソーシャルゲーム上で行うサッカー世界大会「mobcast GLOBAL CUP」の開催を予定。前述した日韓戦でも盛り上がりを見せたことから、「mobcast GLOBAL CUP」のゲーム参加見込数として、欧州30万人、アジア30万人ものユーザー数を想定。「社内では100万人を目標に動いている」と、藪社長はさらなる意欲を見せた。
■『モバノブ』を含む新規3タイトルが控える
2Qの業績予想に大きく寄与しそうな新規タイトルとして、『モバノブ』、『激闘!ぼくらのプロ野球!2014』、『チェインイレブン』(ネイティブアプリ版)の3作品が投入される。
コーエーテクモゲームスと共同開発した『モバノブ』は、事前登録開始からわずか3日で3万人を突破。「『信長の野望』ユーザーとモブキャストのプラットフォームを利用しているユーザー、これらの相性の良さが今回の結果に繋がった。とても良い感触を得ている」と話した。
なお、『モバノブ』開発中のモブキャスト社内では、開発陣の約8割がモブキャストのスタッフ、残り2割がコーエーテクモゲームスからモブキャストに出向していたとのこと。
『激闘!ぼくらのプロ野球!2014』は、ユーザーからの意見を元に4月16日(第1弾)と4月30日(第2弾)に大規模アップデートを実施。監督視点で試合の采配を楽しむ本作は、5月以降本格的にプロモーションしていくという。
そして、gumiと共同開発した『チェインイレブン』のネイティブアプリ版が5月末日に配信を予定。藪社長は、gumiの子会社であるエイリムの大ヒット作『ブレイブフロンティア』を、海外でもヒットさせたマーケティング力を引き合いに出して「国内だけではなくて世界市場で勝負する」と語った。日本リリース以降は、中国や欧米など、「FIFAワールドカップ2014」の開催前に約25ヵ国で配信を予定している。
パートナーゲームでは、1Q同様6タイトルを追加予定。藪社長は、パートナーゲームについて「数ではなくて質を重視し増やしていく。また、IPタイトルも意識する」と今後の方針を明らかにした。
プラットフォーム「mobcast」では、4月30日に韓国プラットフォームを正式にオープン化。『サッカー韓国代表2014ヒーローズ』の事前登録を開始するとともに、今後も順次タイトルが配信されていくようだ。
また、2Qの広告戦略は1Qと変わらず、成長余力の高い新規タイトルを見極めて、そこに集中的に広告展開をしていく予定とのこと。
■「サッカー」ゲームと新作3本のヒットで、通期売上高は最大80億円と予想
▼通期売上高イメージ
繰り返しになるが、1Qでは広告費のコントロールと固定費の削減により、きちんと利益を出せる体制を整え、2Q以降は新規タイトルを中心とした「勝負タイトル」に注力して、売上高の上昇を目指すことを宣言。
通期売上高イメージは、既存ゲームの最終的な売上を40億~45億円として立てている。同社のヒット作『モバプロ』は減少と予想されるものの、「FIFAワールドカップ2014」で盛り上がりを見せる『モバサカ』やパートナーゲームで堅調な推移を目指せるという。
海外展開では、韓国プラットフォームのオープン化を皮切りに、『チェインイレブン』の海外版にも意欲を示している。5つの新規タイトルには、上期に3タイトル、下期に2タイトルが投入されるとのこと。なお、5タイトルのうち、ネイティブが4タイトル、ブラウザが1タイトルとなる。
ちなみに『モバサカ』のネイティブ版である『AllStar11』については、大幅な追加開発を行ったうえで投入するとのことで、通期予想に織り込むことを見送っているようだ。リリースは来期を予定。理由としては、まだ既存の『モバサカ』と同じゲーム内容であることをはじめ、「FIFAワールドカップ2014」に向けたサッカータイトルはすでに充分な数が揃っていることから、広告等の効果が分散されてしまうのを回避するためとしている。
最終的な通期売上イメージでは、52億~80億円の間で着地。2Qの6月頃の数字を見極めたうえで、新たに情報は開示するという。
なお、最後の質疑応答では、通期の利益予想の記載が無いことに指摘が入った。利益予想の記載が無いことに関して、藪社長はふたつの理由を挙げた。
「ひとつ目は、QonQごとに広告を展開してから収益に結びつくまで、ある程度の時間に差異が生じるため利益予想ができない。ふたつ目は、新規3タイトルは共同開発が2タイトルあるため、収益構造が各タイトルごとに異なることが挙げられる。そのため、どのタイトルがヒットするかによっては利益率が大きく変わっていく可能性があるので、現段階では予想ができない」とコメント。
とはいえ、1Qと同等の売上が最低限あれば、利益は見込めると言葉を添えた。
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決算説明会資料
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会社情報
- 会社名
- 株式会社モブキャストホールディングス
- 設立
- 2004年3月
- 代表者
- 代表取締役CEO 藪 考樹
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高33億7100万円、営業損益4億2800万円の赤字、経常損益4億3600万円の赤字、最終損益3億8000万円の赤字(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3664