グリーが14年6月期の有価証券報告書を開示…Apple経由の売上高が首位に、Googleも2.3倍と急増 「ネイティブシフト」断行で成長路線に回帰できるか

グリー<3632>は、9月29日、2014年6月期の有価証券報告書を開示した。ソーシャルゲームプラットフォーム「GREE」を運営している同社だが、回収代行会社別の売上高を見ると、通信キャリアやプリペイドカード経由の販売が減少する一方、GoogleやApple経由の売り上げが伸びていること、そしてApple経由の売上高がNTTドコモ経由の売上高を上回っていることが確認できる(Googleウォレットにはアプリの課金だけでなくキャリア決済も含まれるため、一定の留意が必要になるが)。

まず、回収代行会社別の売上高を見ると、2013年6月期に最も多かったNTTドコモが341億円から41.6%減少し199億円となった。その一方、Appleが147億円から42.9%伸び210億円となり、NTTドコモを上回った。Google経由の売上高についても67億円から131.3%増の156億円に大幅に伸びた。またKDDIも225億円から28.1%減の162億円に、プリペイドカード経由を示すインコム・ジャパンも202億円から149億円に減った。ボルテージなどと同様、いわゆるアプリストア経由の売上高が伸びていることがわかる。

 

【回収代行会社別売上高の推移(単位:100万円)】

注)有価証券報告書より。


グリーは、2014年6月期の決算で売上高が前の期に比べて17.5%減の1255億円、営業利益が28.0%減の350億円と減収減益となった。フィーチャーフォン向けを中心にブラウザゲームのコイン消費の減少傾向が続いていることが主な要因だ。決算説明会でネイティブゲーム開発の組織規模を3倍の1000人規模に増やし、「ネイティブシフト」を断行することをを明らかにし、足元では、Wright Flyer Studiosやポケラボを中心とするゲーム開発スタジオが新作を続々とリリースしている。


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続いて、直近リリースされたタイトルの状況を見ていこう。まず、Wright Flyer Studiosが開発する『消滅都市』だ。App StoreとGoogle Playで配信されているが、7月以降の売上ランキングの推移を見ると、App Storeではゆるやかな上昇トレンドにあることが確認できる。他方、Google Playについては一時、170位台まで落ち込んだ場面もあったものの、直近では70位台まで復調している。

 


出所:AppAnnie


次にポケラボの新作『クロスサマナー』だ。iOSアプリ版はApp Store売上ランキングでTOP30に入るなど華々しいスタートを切ったが、iOSアプリ版、Androidアプリ版ともにその後は順位の低下傾向が続いている。今後、どこまで立て直せるかが注目点となるかもしれない。

 


出所:AppAnnie


ちなみに、運営期間7年を超えるモンスタータイトル『釣りスタ』の人気ぶりはいまだ健在だ。App Storeの売上ランキングでは現在でもTOP10にしばしば入るだけでなく、Google Playでも定期的にTOP30に入っている。ネイティブアプリ隆盛の現在、最新のアプリと互角に渡り合っている。この息の長い人気ぶりには驚くほかない。
 


出所:AppAnnie

 

さらに今冬には新作『PROJECT TIAMAT(プロジェクト ティアマト)』がリリースされる予定で、現在、事前登録の受付が行われている。14年7~9月期をボトムと想定している同社だが、かつての高い成長路線に回帰できるかどうかはネイティブゲームアプリの成否にかかっている。第1四半期の決算発表は11月7日の予定。ネイティブアプリの運営成績や、提供予定タイトルの開発状況など、「ネイティブシフト」の進捗状況に注目したい。



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グリー株式会社
http://www.gree.co.jp/

会社情報

会社名
グリー株式会社
設立
2004年12月
代表者
代表取締役会長兼社長 田中 良和
決算期
6月
直近業績
売上高613億900万円、営業利益59億8100万円、経常利益71億2300万円、最終利益46億3000万円(2024年6月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3632
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