新規上場企業の紹介…カヤック(東証マザーズ・3904)

スマートフォンゲームに特化したゲームコミュニティ「Lobi」や、スマートフォンゲームの提供を行うカヤック<3904>が12月25日、東証マザーズに新規上場する。

同社は、様々なインターネットサービスの提供を目的として1998年8月に設立された合資会社カヤックが前身。2002年9月に鎌倉市に本社を移転し、05年1月に現在の株式会社カヤックとして設立されている。10年に現在の「Lobi」となるグループチャットアプリ「ナカマップ」をリリース。13年5月に「Lobi」に名称を変更するとともにスマートフォンゲームに特化したゲームコミュニティサービスへとシフトしている。

事業内容は、デジタルコンテンツ事業の単一セグメントだが、設立当時からのサービスである「クライアントワーク」、スマートフォン向けにネイティブアプリを提供する「ソーシャルゲーム」、そしてゲームコミュニティ「Lobi」の3つに主に分類される。「クライアントワーク」では、企業向けにインターネット上で提供される広告コンテンツの制作を行っており、テレビなどとスマートフォン・タブレット型端末を連携させたセカンドスクリーンなどの技術を用いた高付加価値なコンテンツの制作が主力となっている。

「ソーシャルゲーム」は、スマートフォン向けネイティブアプリをGoogle PlayやApp Storeをプラットフォームとして配信している。代表作はシリーズ累計480万ダウンロードを超える『ぼくらの甲子園!』シリーズや、『姫騎士と最後の百竜戦争』など。

「Lobi」は、スマートフォンゲームに特化したゲームコミュニティとして、チャット機能をはじめ、ランキング機能、プレイ動画の録画機能など、スマートフォンゲームと相性の良い機能を開発・提供している。主な収益源は「Lobi」内のインターネット広告枠の販売など広告収益となっている。「Lobi」は、『モンスターストライク』や『ブレイブ フロンティア』などアプリストアの上位タイトルに導入されるなど着実に実績を積み上げている。

各事業の13年12月期における販売実績と、14年12月期の第3四半期までの販売実績は以下の通り。現在の収益の中心となっているのは、「クライアントワーク」と「ソーシャルゲーム」という構造だ。

【2013年12月期における販売実績】


【2014年12月期の第3四半期までの販売実績】

続いて業績面を見てみると、売上高は安定的な成長が続いている。その半面、利益面ではその推移に凸凹が見受けられ、12年12月期には1億5800万円の損失を計上している。その要因を有価証券届出書から探ってみると、主要取引先の売上高比率が12年12月期にはDeNAが35.8%、Appleが2.0%になっているのに対し、13年12月期はDeNAが18.0%、Appleが11.9%となっていることから、ネイティブアプリへのシフトに向けた費用の先行などが影響したものと思われる。

 
【カヤックの売上高の推移(単位:百万円)】


【カヤックの経常利益の推移(単位:百万円)】

※14年12月期は予想(会社発表)
※グラフは有価証券届出書および会社側発表資料より作成

上場に伴う手取り概算金は、5億1717万円となる見通し。調達資金の使途は、新規ソーシャルゲームの開発に係る費用並びにスマートフォンゲームに特化したオンライン上のゲームユーザー向けコミュニティ「Lobi」の新機能の開発に係る費用として15年12月期に2億6217万円、広告宣伝費として15年12月期に2億円、組織規模拡大のための採用費として15年12月期に5500万円を充当する予定としている。

なお、上場時発行済み株式751万4000株と有価証券届出書提出時における想定発行価格530円から計算した想定時価総額は、約39億8242万円となる。


〈単独業績予想〉
注)単位は百万円。2013年12月25日付で1対1000株の株式分割を実施しており、一株利益は分割修正を考慮した数字


〈会社概要〉
本社=神奈川県鎌倉市小町二丁目14番7号
URL=http://www.kayac.com/
社長=柳澤 大輔
設立=2005年1月21日
発行済株式数=751万4000株(上場時)
資本金=2億3500万円(2014年11月20日現在)
大株主=柳澤大輔220万株(32.29%)、貝畑政徳190万株(27.88%)、久場智喜190万株(27.88%)、Globis Fund III, L.P.23万4000株(3.43%)、サイバーエージェント15万株(2.20%)、スタートトゥデイ7万5000株(1.10%)、Globis Fund III (B), L.P.6万6000株(0.97%)、藤川綱司1万1100株(0.16%)、庄司容崇1万1100株(0.16%)、原田良修1万1100株(0.16%)、片岡巧1万1100株(0.16%)、嶋田俊宏1万1100株(0.16%)、藤原秀樹1万1100株(0.16%)


〈上場要項〉
公開株式数=158万5800株(公募=98万9000株、売出し=39万株、オーバーアロットメントによる売出し=20万6800株)
仮条件=530円~560円
ブックビルディング期間=12月9日~12月15日
公開価格=12月16日決定予定
申込期間=12月17日~12月22日
払込期日=12月24日
売買単位=100株
主幹事証券=大和
監査法人=有限責任監査法人トーマツ
株式会社カヤック
http://www.kayac.com/

会社情報

会社名
株式会社カヤック
設立
2005年1月
代表者
代表取締役CEO 柳澤 大輔/代表取締役CTO 貝畑 政徳/代表取締役CBO 久場 智喜
決算期
12月
直近業績
売上高174億6700万円、営業利益10億2100万円、経常利益10億3800万円、最終利益5億1100万円(2023年12月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
3904
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