【モブキャスト決算説明会】年間全てのQで黒字…アプリストア対策が奏功してユーザー数大幅拡大で売上寄与 『ルミネス』武器に企業ブランド高める
モブキャスト<3664>は2月12日、2014年12月期の連結決算(1-12月期)を発表し、都内で決算説明会を開催した。売上高は38億1800万円(前年同期比26.3%減)と減収にとどまったものの、営業利益3億1800万円(同4億4500万円の赤字)、経常利益3億1600万円(同4億400万円の赤字)、当期純利益1億5400万円(同6億5700万円の赤字)となった。
説明会で藪考樹社長は、第4四半期(4Q、10-12月期)の営業利益が前四半期(3Q、7-9月期)比で大幅増益となり、アプリストア対策が奏功して既存ブラウザゲームが寄与したことを説明。2015年12月期は新作ネイティブゲーム3本、韓国開発の新作1本、次世代プラットフォーム「ZERO」プロジェクトが始動したことも明らかにした。(以下、かぎ括弧内は藪社長の発言)
通期の売上は前年同期比で減収だが、利益は計画比を超える大幅増益を果たした。四半期別で見ると、売上高は8億7500万円(前四半期比9億1000万円、QonQで3.9%減)と、前四半期比でほぼ横ばいとなった。
2014年の主なトピックスでは、ネイティブゲームの開発体制を確立できたことが大きい。社員構成比の内訳では、ネイティブ開発人員が2013年12月に全体の17%であったところ、2014年12月には倍の30%に増員したという。これはブラウザゲーム・プラットフォームの運営体制が整ってきたことで、優秀なプログラマーをネイティブ開発ラインに移すことが、順調に進められることができたことが要因とし、「この比率は1Q(2015年12月期)でさらに高くなる」と言葉を添えた。また、韓国子会社もネイティブ開発人員を増強しており、1Qで2ラインまで開発ラインが増える予定であることも明かした。
ブラウザゲームは、2014年9月に実施したアプリストア対策の効果もあり、ユーザー層が大幅に拡大したほか、パートナーゲームも通期で24タイトルを配信開始し、既存タイトルで確実に利益が出る運営体制を構築。なお、韓国ブラウザプラットフォームは2014年12月末にクローズし、日本同様ネイティブ開発体制の構築にシフト。4Qの新規会員数は18万人となった(日本国内の会員数のみを記載)。
海外ライセンスでは、中華圏を中心に海外有名パブリッシャーとの関係を構築。ライセンス交渉準備も順調で、新規として中華圏が76社、北米が2社の交渉先を確立できた。このほか、韓国最大のゲームショウ「G-Star」への参加による交渉先開拓にも努めたという。藪社長は「これまでの1年間は業界の変化に対応し 2015年‐2016年の成長のための準備期間として位置づけた」と2014年を振り返った。
▲売上高の推移(四半期)。YoYはPCオンラインゲーム事業(2013 年度実績4億円)の売却とブラウザゲームの減少が原因となり減収。QoQは前述の通りほぼ横ばい。
▲営業利益の推移(四半期)。YoY、QoQともに大幅増益。年間通しで全て黒字となった。
▲費用の推移(四半期)。2013年12月期は広告宣伝費のコントロール不足により、大きな赤字となったが、2014年12月期は計画通り着実に利益を出す体制が整えられた。なお、3Qはアプリストア対策のため、WEB系の広告を多めに出したためとしている。
続いて2015年12月期の計画。日本では、新作ネイティブゲーム3本を開発中のほか、今春に既存ブラウザゲームの『モバプロ』(2015年版)と『モバサカ』(バージョンアップ版)がアップデート予定、パートナーゲームは現時点で具体的な話が進んでいるものが8タイトルあるとのこと。一方、韓国では日本開発のネイティブゲーム3本をローカライズ、さらに韓国子会社でもネイティブゲームの新作アプリ1本を開発予定。
ここで主力ネイティブゲームの紹介に移った。水口哲也氏プロデュースのもと、韓国子会社mobcast Koreaとの日韓ハイブリッド開発のスピンバトルRPG『ドラゴンスピンZ』は、2014年12月1日にAndroid版、12月15日にiOS版をリリースし、すでに20万ダウンロード突破を果たしている。直近では、2015年1月31日のVer.1.1.6アップデートで新ステージ・新イベント・新機能追加、不具合修正などを施した。
本作に対して藪社長は、「ビデオスロットを題材としたゲームアプリは競合が少ない。ターゲットも男性のコアユーザー層を狙っている」と改めてポテンシャルの高さを示した。続けて「慌てて広告展開はせず、4月まで適宜アップデートを行い、その後大規模プロモーションを展開する」と明かした。
そして、現在事前登録受付中の新作アプリ『【18】(エイティーン) キミト ツナガル パズル』(以下、『【18】(エイティーン)』)。本作は、世界的ヒットタイトル『ルミネス』を開発した主要メンバー の小寺攻氏率いる株式会社Monstarsとモブキャストの共同で開発したパズルゲームで、『ドラゴンスピンZ』に続いて水口哲也氏が監修を務める。配信予定は2015年2月末~3月頭で、iOS/Android同時リリース予定。
事前登録者数は、開始からわずか4日目となる2月13日(金)時点で10万人を突破した。ファンタジー世界観が主流の昨今、『【18】(エイティーン)』のような異次元の世界観に加え、プロモーション動画で流れる音楽などがユーザーから高く評価されているとのこと。また、藪社長は「AppleやGoogleといったアプリストア関係者からも評価が高い」ともコメントし、アプリストアでフィーチャーされることにも期待感を示してくれた。なお、本作はリリース後、大規模なプロモーション展開を準備しているという。
第2四半期(2Q、4-6月期)にリリース予定のスマホ初本格マルチ対戦RPG「コードネームMD」(仮称)は、同社の大ヒットタイトル『モバプロ』『モバサカ』を開発した国内の精鋭メンバーたちによる最新作。詳細は公開されていないこそ、現場の開発スタッフいわく、“過去のブラウザゲーム運営経験を生かし、次のトレンドを予測したタイトル”になっているようだ。開発期間は1年近くで、次の決算説明会では具体的な話ができるという。
また、モブキャストは、2015年1月27日に水口哲也氏が設立したエンハンス・ゲームズと共同で、キューエンタテインメントが保有する『ルミネス』シリーズと、『メテオス』シリーズに関する知的財産権および全世界での販売権を取得したと発表した。同時に、スマートフォン版「ルミネス」の新作ゲーム(iOS版・Android版)の2015年全世界配信に向けて開発に着手。なお、スマホの領域に関しては、モブキャストが単独でゲーム配信を自由にできる契約となっている。
新作は、原作プロデューサーの水口哲也氏監修のもと、『ルミネス』のもつ音楽とビジュアルがシンクロする気持ちよさなどはそのままに、スマートフォンの特性に合わせたプレイフィール(プレイ感)とゲーム性に一新するとのこと。また、ユーザー同士の競争を楽しくする、モブキャスト独自のSVS機能や、新しい世界観による魅力的なステージを多数追加する予定。『ルミネス』ファンだけでなく、スマートフォンでゲームを楽しむ幅広いユーザー層が楽しめるゲームに育てていく、としている。
『ルミネス』は、海外でも高い評価を受けたブランドタイトルで、今後モブキャストは、本作をフラグシップとしたグローバルブランディングとグローバルマーケティング戦略を推進するとのこと。また、本作は、『ドラゴンスピンZ』や『18(エイティーン)』に続き、スマートフォンゲームで世界に挑戦する「Global Game Challenge Project」の第3弾として、グローバル展開を前提とした開発に取り組むという。
決算説明会では、この日のために藪社長が水口哲也氏から意気込みコメントをもらってきたとのことで、紹介してくれた。
■水口哲也氏からのコメント
「世界中のプレイヤーが口を揃えて言うのは、このゲームに関しては気持ちが良くて没頭できるということ。それは、音やビジュアルを操る水口のマジックでもあります。スマホでそれを実現できる時代が来ました。スマホだからこそ面白い『ルミネス』を作ります。みんなの予想を“気持ちよく裏切る”ような新しくて面白い新『ルミネス』の世界配信に向けて頑張ってまいります」
最後に総括として、2014年-2016年までの展開を語った。前述しているように、2014年はネイティブゲーム開発体制を確立させた“準備の年”となった。2015年は複数のネイティブゲームが配信開始されると共に、『ルミネス』の海外ブランド力を武器に海外セールス強化に努めることも言及した。「この1年間で海外でのモブキャストブランドの評価を高めていく。来年度以降には、“世界中70億人に向けてエンターテイメントを提供する”という弊社が掲げる目標に繋げていく」とのコメントで説明会を終えた。
また、2014年末には次世代プラットフォーム「ZERO」プロジェクトが始動。これは、ユーザーがゲームをより楽しめるようなコミュニティやランキング機能を、自社のネイティブゲームに取り入れていく施策とのことで、夏以降の既存ネイティブゲームに追加されていく予定。
なお、2015年12月期通期業績予想は、新規タイトルについての不確実性が高いことから、適正かつ合理的な数値の算出が困難であるとし、連結業績予想については開示していない。
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説明会で藪考樹社長は、第4四半期(4Q、10-12月期)の営業利益が前四半期(3Q、7-9月期)比で大幅増益となり、アプリストア対策が奏功して既存ブラウザゲームが寄与したことを説明。2015年12月期は新作ネイティブゲーム3本、韓国開発の新作1本、次世代プラットフォーム「ZERO」プロジェクトが始動したことも明らかにした。(以下、かぎ括弧内は藪社長の発言)
■アプリストア対策が奏功してユーザー数大幅拡大…年間黒字化で着地
通期の売上は前年同期比で減収だが、利益は計画比を超える大幅増益を果たした。四半期別で見ると、売上高は8億7500万円(前四半期比9億1000万円、QonQで3.9%減)と、前四半期比でほぼ横ばいとなった。
2014年の主なトピックスでは、ネイティブゲームの開発体制を確立できたことが大きい。社員構成比の内訳では、ネイティブ開発人員が2013年12月に全体の17%であったところ、2014年12月には倍の30%に増員したという。これはブラウザゲーム・プラットフォームの運営体制が整ってきたことで、優秀なプログラマーをネイティブ開発ラインに移すことが、順調に進められることができたことが要因とし、「この比率は1Q(2015年12月期)でさらに高くなる」と言葉を添えた。また、韓国子会社もネイティブ開発人員を増強しており、1Qで2ラインまで開発ラインが増える予定であることも明かした。
ブラウザゲームは、2014年9月に実施したアプリストア対策の効果もあり、ユーザー層が大幅に拡大したほか、パートナーゲームも通期で24タイトルを配信開始し、既存タイトルで確実に利益が出る運営体制を構築。なお、韓国ブラウザプラットフォームは2014年12月末にクローズし、日本同様ネイティブ開発体制の構築にシフト。4Qの新規会員数は18万人となった(日本国内の会員数のみを記載)。
▲売上高の推移(四半期)。YoYはPCオンラインゲーム事業(2013 年度実績4億円)の売却とブラウザゲームの減少が原因となり減収。QoQは前述の通りほぼ横ばい。
▲営業利益の推移(四半期)。YoY、QoQともに大幅増益。年間通しで全て黒字となった。
▲費用の推移(四半期)。2013年12月期は広告宣伝費のコントロール不足により、大きな赤字となったが、2014年12月期は計画通り着実に利益を出す体制が整えられた。なお、3Qはアプリストア対策のため、WEB系の広告を多めに出したためとしている。
■2015年は新作ネイティブゲームが3本、韓国子会社の新作も準備
続いて2015年12月期の計画。日本では、新作ネイティブゲーム3本を開発中のほか、今春に既存ブラウザゲームの『モバプロ』(2015年版)と『モバサカ』(バージョンアップ版)がアップデート予定、パートナーゲームは現時点で具体的な話が進んでいるものが8タイトルあるとのこと。一方、韓国では日本開発のネイティブゲーム3本をローカライズ、さらに韓国子会社でもネイティブゲームの新作アプリ1本を開発予定。
ここで主力ネイティブゲームの紹介に移った。水口哲也氏プロデュースのもと、韓国子会社mobcast Koreaとの日韓ハイブリッド開発のスピンバトルRPG『ドラゴンスピンZ』は、2014年12月1日にAndroid版、12月15日にiOS版をリリースし、すでに20万ダウンロード突破を果たしている。直近では、2015年1月31日のVer.1.1.6アップデートで新ステージ・新イベント・新機能追加、不具合修正などを施した。
本作に対して藪社長は、「ビデオスロットを題材としたゲームアプリは競合が少ない。ターゲットも男性のコアユーザー層を狙っている」と改めてポテンシャルの高さを示した。続けて「慌てて広告展開はせず、4月まで適宜アップデートを行い、その後大規模プロモーションを展開する」と明かした。
そして、現在事前登録受付中の新作アプリ『【18】(エイティーン) キミト ツナガル パズル』(以下、『【18】(エイティーン)』)。本作は、世界的ヒットタイトル『ルミネス』を開発した主要メンバー の小寺攻氏率いる株式会社Monstarsとモブキャストの共同で開発したパズルゲームで、『ドラゴンスピンZ』に続いて水口哲也氏が監修を務める。配信予定は2015年2月末~3月頭で、iOS/Android同時リリース予定。
事前登録者数は、開始からわずか4日目となる2月13日(金)時点で10万人を突破した。ファンタジー世界観が主流の昨今、『【18】(エイティーン)』のような異次元の世界観に加え、プロモーション動画で流れる音楽などがユーザーから高く評価されているとのこと。また、藪社長は「AppleやGoogleといったアプリストア関係者からも評価が高い」ともコメントし、アプリストアでフィーチャーされることにも期待感を示してくれた。なお、本作はリリース後、大規模なプロモーション展開を準備しているという。
第2四半期(2Q、4-6月期)にリリース予定のスマホ初本格マルチ対戦RPG「コードネームMD」(仮称)は、同社の大ヒットタイトル『モバプロ』『モバサカ』を開発した国内の精鋭メンバーたちによる最新作。詳細は公開されていないこそ、現場の開発スタッフいわく、“過去のブラウザゲーム運営経験を生かし、次のトレンドを予測したタイトル”になっているようだ。開発期間は1年近くで、次の決算説明会では具体的な話ができるという。
また、モブキャストは、2015年1月27日に水口哲也氏が設立したエンハンス・ゲームズと共同で、キューエンタテインメントが保有する『ルミネス』シリーズと、『メテオス』シリーズに関する知的財産権および全世界での販売権を取得したと発表した。同時に、スマートフォン版「ルミネス」の新作ゲーム(iOS版・Android版)の2015年全世界配信に向けて開発に着手。なお、スマホの領域に関しては、モブキャストが単独でゲーム配信を自由にできる契約となっている。
新作は、原作プロデューサーの水口哲也氏監修のもと、『ルミネス』のもつ音楽とビジュアルがシンクロする気持ちよさなどはそのままに、スマートフォンの特性に合わせたプレイフィール(プレイ感)とゲーム性に一新するとのこと。また、ユーザー同士の競争を楽しくする、モブキャスト独自のSVS機能や、新しい世界観による魅力的なステージを多数追加する予定。『ルミネス』ファンだけでなく、スマートフォンでゲームを楽しむ幅広いユーザー層が楽しめるゲームに育てていく、としている。
『ルミネス』は、海外でも高い評価を受けたブランドタイトルで、今後モブキャストは、本作をフラグシップとしたグローバルブランディングとグローバルマーケティング戦略を推進するとのこと。また、本作は、『ドラゴンスピンZ』や『18(エイティーン)』に続き、スマートフォンゲームで世界に挑戦する「Global Game Challenge Project」の第3弾として、グローバル展開を前提とした開発に取り組むという。
決算説明会では、この日のために藪社長が水口哲也氏から意気込みコメントをもらってきたとのことで、紹介してくれた。
■水口哲也氏からのコメント
「世界中のプレイヤーが口を揃えて言うのは、このゲームに関しては気持ちが良くて没頭できるということ。それは、音やビジュアルを操る水口のマジックでもあります。スマホでそれを実現できる時代が来ました。スマホだからこそ面白い『ルミネス』を作ります。みんなの予想を“気持ちよく裏切る”ような新しくて面白い新『ルミネス』の世界配信に向けて頑張ってまいります」
■『ルミネス』を武器に企業ブランドを高める…業績予想は非開示
最後に総括として、2014年-2016年までの展開を語った。前述しているように、2014年はネイティブゲーム開発体制を確立させた“準備の年”となった。2015年は複数のネイティブゲームが配信開始されると共に、『ルミネス』の海外ブランド力を武器に海外セールス強化に努めることも言及した。「この1年間で海外でのモブキャストブランドの評価を高めていく。来年度以降には、“世界中70億人に向けてエンターテイメントを提供する”という弊社が掲げる目標に繋げていく」とのコメントで説明会を終えた。
また、2014年末には次世代プラットフォーム「ZERO」プロジェクトが始動。これは、ユーザーがゲームをより楽しめるようなコミュニティやランキング機能を、自社のネイティブゲームに取り入れていく施策とのことで、夏以降の既存ネイティブゲームに追加されていく予定。
なお、2015年12月期通期業績予想は、新規タイトルについての不確実性が高いことから、適正かつ合理的な数値の算出が困難であるとし、連結業績予想については開示していない。
(編集部 原孝則)
©mobcast inc. All rights reserved.
会社情報
- 会社名
- 株式会社モブキャストホールディングス
- 設立
- 2004年3月
- 代表者
- 代表取締役CEO 藪 考樹
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高33億7100万円、営業損益4億2800万円の赤字、経常損益4億3600万円の赤字、最終損益3億8000万円の赤字(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3664