【セミナー】Social Game InfoとJストリームの共催セミナー「裏話と事例が満載!ヒットアプリに育てるノウハウ」が開催…様々な観点から見る、アプリ成功の秘訣とは



去る1月27日、Social Game InfoとJストリームの共催による無料セミナー「裏話と事例が満載!ヒットアプリに育てるノウハウ」が開催された。

アプリデベロッパーを対象に行われた本セミナーは、CLINKS、Jストリーム<4308>、カヤック<3904>、FULLERといったモバイルアプリの開発・運営に携わる方が登壇し、ヒットアプリを育てるノウハウ、さらには今後の業務に向けたヒントなど、事例を交えながら解説した講演となっている。

本稿では、スマートフォンゲームを成功へ導くまでの過程や、開発現場における裏話までも聞けた、セミナー内容の詳細を伝えていく。開発期から導入、成長期と、アプリのライフサイクルのどこに関わっている方であっても役に立つ、新しい情報が得られるセミナーとなっていたので、ぜひ読み進めてほしい。

 

■ソーシャルゲーム開発で意識するべき3つのポイントとは


最初の講演者は、『ソラノアーク』や『デコトラの星』、最近では『オオカミ姫』などのアプリを開発してきたCLINKSのマルチメディア事業部所属 マネージャーの青木智之氏。青木氏は、アプリの開発者という観点から、ソーシャルゲーム開発で行っている3つのポイントを紹介した。
 
最初のポイントとして取り上げたのが「ユーザビリティを良くする」という点だ。青木氏自身も「当たり前のことですが」と前置きをしたものの、ソーシャルゲームを開発する上でもっとも重要であると話す。

そして、実際にCLINKSが心がけているのは画面遷移を早くすることと、レスポンスを早くすることだ。ロード時間が長いゲームは、自然とユーザーのストレスを生み出してしまう。「3秒以内にレスポンスを返せないとユーザーは離脱してしまう」と言われている通り、これらの対処は必ずタスクとなるという。
 
具体的にCLINKSは、APIの通信回数を減らす努力をしているという。マイページなどゲームの中心となる画面には、カードやカードの詳細情報などのデータを介しており、一覧や詳細ページに行ったときに通信せずに画面遷移する工夫をしているとのことだ。

また、データの保存先を考えることも重要と話す。「クライアント側かサーバー側か、あるいはキャッシュサーバーか、どこにデータを保持させるかを最初に決めておかないと、のちのち大変なことになります」と青木氏。CLINKSは、クライアントにはユーザーの行動によって情報が書き換わらないマスターデータを保存させているという。そして、レベルや経験値、アイテムの使用回数など、データの変化が起こるものはサーバーに、行動力など逐一データが変わり続けるものはキャッシュサーバーに保存しているとのこと。
 
さらに同社が直近で開発している『WORLD WAR TITAN FRONT LINE』では、フォトンサーバーを利用している。フォトンサーバーはリアルタイムのネットワークエンジンで、Windowsで動くためコストは掛かるものの、ソケット通信を1から作らなくていいなどのメリットがあるとか。
 
加えて青木氏によると、不要なデータを返さないことも重要であると話す。かつてCLINKSは、データベースから情報を取得する際に更新日や登録日を返していたが、少しでも軽くすることを理由に、現在は削っているという。情報自体を少なくすることで、APIの通信回数にも良い影響が生まれるのだ。

このような作業を行ったあと実施するのが、本番を想定したシミュレーション、いわゆる負荷試験だ。ここでは、データベースに想定されるユーザーのレコードを入れ、さらにリクエストも実行する。有名なツールとしてはJmeterやApatchBenchがあるが、CLINKSはPHPでアプリを開発しているため、問題のあるファンクションを洗い出すのにXdebugも使用しているそうだ。
 

ここで青木氏は、負荷試験の具体例も紹介してくれた。今回の例は50万ユーザーを見込んでいた場合で、ユーザーカードは1ユーザー30枚想定として1500万、アイテムは1ユーザー5個想定として250万をレコードに入力する。レコードを増やすだけでレスポンスに3秒以上かかるAPIも出現するというが、この問題の原因は、SQLのインデックスが上手く効いていないなどが挙げられると青木氏は述べた。
 
準備が整ったら、続いてはテストケースごとに負荷を掛けていく。まず、APIごとに負荷を掛けていく単体負荷。そしてユーザーの行動を想定し、シナリオを作成した上で負荷を掛けるシナリオ負荷がある。シナリオはJmeterで作成でき、ユーザー登録からチュートリアル、マイページへの移動、クエスト実行といった具合に、10から20のシナリオを元に実行するという。

負荷試験での最終的な目標値は3秒以内を目指している。青木氏は3秒以内を「必達」であると語り、ここへ向かって何が悪いのか、そしてどのように改善すればいいのかを考えるという。呼ばれる頻度が高いAPIで重い処理があれば分割したり、時には作りを変えることもあるとか。
 
次に、2つ目のポイントとして語られたのが、スケールアウトできる設計であることだ。スケールアウトとは、サーバーの数を増やすことでパフォーマンスを向上させることだが、青木氏によると『デコトラの星』の運営開始時、ここで大きな失敗をしてしまったという。
 
『デコトラの星』は滑り出しこそ好調だったものの、プロモーションを打つことでユーザー数は増え続け、クレームに対応できないままサーバーが落ちる自体に陥ったという。青木氏は「当時は対応する技術力がなかったことと、ここまで良いスタートが切れると想定していなかったこと」が原因だと語る。

WEBサーバー自体は簡単に増やせるものの、DBのスケールアウトとなると話が変わってくる。実際に『デコトラの星』では、JOINしていて分割できない、スキーマーが分かれていないといった問題が発生したという。
 
この失敗から、データは役割ごとに整理して、SQLはシンプルに書くように改革していったとのこと。CLINKSではスキーマーをマスター系、ユーザー系、ログ系、ギルド系の4種類に分け、スキーマーが違うDBはJOINを行わないように工夫している。JOINが必要な場合も必ず出てくるが、このときは単一のSQLで2回実行して、それぞれのデータをプログラム側で整形し、レスポンスを整えている。

青木氏は「リリース直後は1つのDBでいいと思います。そしてユーザーが増えたときに分けられるように設計しています。ですが、リリース直後にブーストを打つのであれば3台くらいは必要かもしれません」とまとめた。
 

 
最後の3つ目のポイントとして青木氏が挙げたのは、リソース配信での負荷分散だ。リソース配信とは、アプリの初回インストール時に実行される、画像やサウンドといったデータの配信のことを指す。CLINKSが開発するアプリは、これが200~300MB、メーカーによっては1GBにも及び、配信時のネックになるという。

仮に100MBであっても流入ユーザー数が10万人いた場合、約9.8万TBのデータを通信することになる。これではサーバーの負荷も強くなり、構築自体も大変な作業になってしまう。そこでCLINKSが導入したのが、コンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)だ。これはエンドユーザーがいつどこからアクセスしても、最適な配信拠点を選択することで、大容量のコンテンツをスムーズに配信できる仕組みのこと。
 

CLINKSは当初S3とCloudFrontでサーバーを構築していたが、毎月10TB以上の通信があるとして、データ転送料だけで約2000$、日本円にして約20万円の費用が掛かっていた。現在は、JストリームのCDNを利用することでコストダウンに成功。直近のアプリ配信も大成功を遂げたという。
 
最後のまとめとして青木氏は、「3秒以内のレスポンスがユーザビリティに繋がり、100万人以上のユーザーにも対応可能なスケールアウトできる設計が開発の大きなポイントです。また、データダウンロードでの負荷分散は、CDNなどのサービスを利用すればサーバーエンジニアの胃を痛めつけることはなくなります(笑)」と話し、講演を終了した。


■CLINKSの新作『オオカミ姫』

 

■なぜアプリでCDNが必要とされているのか


続いて登壇したのは、Jストリームのプラットフォームサービス推進部 リーダーの浅岡伸年氏。同氏はCLINKSの青木氏も話していたCDNで実現する、「集客最大化」と「リスク軽減」の話題を進めた。

浅岡氏はフィーチャーフォンが主流だった時代にJストリームに入社し、当時盛り上がりを見せていた月額課金ビジネスの手伝いをしていたという。その後パソコンとモバイル端末の垣根がなくなる時代となり、現部署に異動。新規開拓を主なミッションとし、クライアントの課題や要望に合わせた動画活用やCDNを提案している。Jストリームは、「動画」のイメージが強いが、動画など大容量のデータを配信するための大規模なインフラを活用したCDN事業社の草分け的存在でもある。
 
では、そもそもCDNとは何か。これは青木氏も少し触れていたことだが、デジタルコンテンツに対するアクセスが集中しても、負荷を分散し安定して配信するために最適化されたネットワークのことを指す。CDNはContents Delivery Networkの略だ。
 
昨今のアプリは各ストアの制限やモバイル端末でダウンロードできるデータの容量制限の影響で、ストアにはアプリのみを格納し、画像やBGMなどのリソースは自社サーバーから配信するケースが目立つ。そして、自社サーバーから配信する際に近年利用増加の傾向にあるのがCDNだという。

具体的な利用シーンとして考えられるのは、アプリのプロモーション時だ。プロモーションでは事前登録はもちろん、ブースト広告でも用いられる。このようなプロモーションに成功し、ストアのランキングが上昇すると、その分新規ユーザーのインストール数も跳ね上がる。そのときリソースのデータが大量にダウンロードされる流れになるが、ここに思わぬ落とし穴があると浅岡氏は語る。
 
アクセスが集中すれば自然とサーバーがダウンする危険性が増し、実際にダウンしたとなればプロモーションで流入したユーザーが離脱してしまう。リソースがダウンロードできないとなると、それ自体がアプリの評価を下げることに繋がり、レビューもゲームの内容とは関係のないところで荒れてしまう可能性が出てくる。浅岡氏は「初期のプロモーションに成功しても、ダウンロードができないため、最終的にはプロモーションが失敗になるケースもある」と指摘した。
 

そんなときに活躍するのがCDNだ。負荷を分散し安定的にリソースを配信することで、より多くの人がスムーズにゲームを開始でき、「アプリがアンインストールされるリスクの軽減に繋がる」と浅岡氏は話す。また、レビューに関しても純粋にゲームの中身に関する感想が書き込まれ、悪い内容のレビューが書かれる可能性を潰すこともできる。
 
 
だが、負荷を分散するだけならクラウドでもいいのでは、と考える人も中にはいるだろう。浅岡氏はこの考えに対して、「クラウドは基本的にネットワークの帯域に制限を設けていることが多いので、トラフィックの予測に基づいてサーバー増強などの対策を実施する必要があります」と語る。それに対してCDNは、一時的にトラフィックが増加した場合でも、サーバー増強などの対策を行う必要はないという。
 
 
 
また、想定外のアクセスが発生した場合、契約帯域のキャパシティを超えてしまいリソースの配信ができなくなってしまう可能性もある。一方Jストリームが提供するCDNは帯域制限を設けていないため、一時的にアクセスが集中したときでも安定した配信を実現できる。これに加えて浅岡氏は「CDNは複数のロードバランサとサーバーで構成されているため、万が一、一部のサーバーで障害が発生したとしても、他のサーバーでカバーできます」とアピール。エンドユーザーにまで影響が及ぶことがないのは、CDNの大きな強みだ。さらに浅岡氏は、CDNと自社サーバー、クラウドなどを併せて使用することも可能であると強調していた。

最後に、「アプリでCDNを利用することで、集客の最大化とリスクの軽減に繋がります」と浅岡氏。Jストリームはサポート体制も充実しており、利用期間は最短1日からでも可能。また、オリジンサーバーを利用者側とJストリームのどちらに置くかを選択することもできるとアピールした。Jストリームは新しいCDNサービスの開始を予定しているとのこと。セミナーの段階では鋭意開発中との言及にとどまったが、新サービスを5月に提供開始することと、次世代CDNの技術トレンドを解説するセミナーを2月24日に開催することが発表された。

セミナー概要はこちら

 

■実況動画はなぜ流行るのか…。その全貌をカヤック・遠山氏が紐解く

 
「スマートフォンゲームに携わっている方でしたら、プレイ動画や実況動画というキーワードを耳にする機会もあるかと思います」。そう切り出したのは、3人目の登壇者、面白法人カヤックでLobiのディレクターを務めている遠山薫氏だ。

Lobiとは、ユーザー間でゲームの情報交換ができるコミュニティ機能と、ゲームデベロッパーにプレイ動画の録画やランキング機能などを提供するソリューション機能を内包したSDKだ。公開コミュニティ数は10万にのぼり、1コミュニティの最大参加者数は57万2,000人に達するという。コミュニティ数はあくまでも公開されているものに限定した数で、非公開のコミュニティも含めればさらに増えるという。
 
ソリューション機能についても同様の盛り上がりを見せており、導入企業は90以上、導入アプリは500以上だという。中には『モンスターストライク』『ブレイブ フロンティア』『チェインクロニクル』といったランキング上位の常連作品も名を連ねているので、Lobiの名前を見たことがある人も多いはずだ。
 
このようにリリースから約2年で多大な支持を得ているLobiだが、遠山氏はその要因として、「ユーザーさん向けのコミュニティと、デベロッパーさん向けのソリューションの連携にあります」と語った。そして、連携に大きく貢献しているのがプレイ動画だ。
 
Lobiにおけるプレイ動画機能は、ユーザーがプレイシーンを録画し、それをYouTubeやTwitter、ニコニコ動画などのSNSでシェアする。視聴者はSNSでそのまま閲覧し、アプリを気に入ればすぐにダウンロードページへアクセスできる。これにより、自然流入の増加と、継続率の向上が見込めるという。
 
ただし、上記した一連の機能はLobi以外のプレイ動画SDKにも備わっているものだ。では、どれを導入しても同じなのかというと、遠山氏は「そんなことはないです」と切り替えした。遠山氏によると、Lobiにはプレイヤー同士のコミュニティが基盤としてある分、得られる効果の大きさはLobiが最大だと語った。
 

プレイ動画を中心にしたコミュニティというと、まずは投稿者がいて、それを視聴する人が加わり初めて成立する。そこには、投稿するモチベーションと、視聴し続けるモチベーションの2つが必要になってくる。ユーザーのモチベーションを維持することは非常に難しいことだが、遠山氏は「投稿者と視聴者が繋がることで、また投稿したくなる、あるいはまた視聴したくなる環境に持っていける」と話す。
 
ここから遠山氏は、動画コミュニティを「投稿するモチベーション」「視聴するモチベーション」「繋がるモチベーション」の3種類に分けた状態で説明を進めた。まず「投稿するモチベーション」だが、SDKをただ導入しただけだと、一部のユーザーが熱心に投稿し続けてはくれるものの、アプリ全体で盛り上がっているとは言い難い状況が続くケースが多いという。

その打開策として例に挙げたのが、『ブレイブ フロンティア』で実施した「ブレイブキャストチャンピオンシップ」だ。この企画は、デベロッパーが「ブレフロあるある」「縛りプレイ」などのお題を課し、ユーザーはお題に沿った動画を投稿するというもの。ユーザーは「どのような動画を投稿すればいいか分からない」という層が一定数いるため、まずテーマを設定して「使い方」を啓蒙してあげることが重要だという。『ブレイブ フロンティア』はこの企画をきっかけに、投稿者数が4倍に膨れ上がったそうだ。
 
 
次に「視聴するモチベーション」だが、遠山氏が注目したのは「一体どのような動画が、一番視聴されているのか?」という点だ。実況動画というと、前述の「ブレフロあるある」のような、視聴者を楽しめせることを前提とした作品が思い浮かぶ。しかし遠山氏によると、もっとも視聴者数が多いのは攻略動画だという。
 
そこでLobiではユーザーが探している動画を素早く見つけられる環境を整えるためにタグ付け、検索機能を強化している。タグ付けに関してはステージ名やパーティの内容など、ユーザーの情報が自動で付くようになっている。遠山氏はさらに、「攻略動画を一番見たくなる瞬間はゲームオーバーになったときです」と付け加える。この瞬間を逃さないために、ゲームオーバーになった際のメニューに「動画を見に行く」という項目を入れたそうだ。すでに『モンスターストライク』では導入されており、視聴者数は以前の5倍になっていたという。
 
 
最後に遠山氏が説明したのは「繋がるモチベーション」。動画で投稿者と視聴者が繋がる機能というと、コメントやYouTubeの「評価」が一般的な例だ。しかし、コメントや評価だけでは一方通行のコミュニケーションしか生まれないため、Lobiでは、フォローユーザーの新着動画を通知してくれたり、フォロワーにゲームへの招待を送れたりといったアクティビティ機能を付け加えた。このアクティビティ機能によって、一方通行だったコミュニケーションを相互コミュニケーションへと変えることができる。

「そもそもコミュニティにアクセスしないとフォローしているユーザーが新しい動画をアップしたかどうか分からないとなると、なかなか継続しません。また、投稿者も毎日自分が投稿した動画をチェックすることはないので、コメントにも気づけません。なので、アクティビティ機能をLobiアプリに取り込みました」と遠山氏。Lobiさえ持っていれば、フォローしているユーザーの行動やフォロワーからのコメントをすべて把握できるようになっているのだ。
 
投稿、視聴、繋がるという3つのモチベーションの中に、Lobiだからこそ実現できた「知る/気づく」、そしてそこから「観に行く」といった行動が組み込まれることで、自然なサイクルが形成されている。「動画をキッカケにユーザー同士が相互コミュニケーションを取れるからこそユーザーは初めて他のユーザーと「繋がりたい」と感じるわけで、一方通行のコミュニケーションしかできないものでは、導入しても意味がない。」と遠山氏は断言。
 

さらに「Lobiはあくまでもゲームコミュニティで、ゲームを通して他のユーザーと繋がりたいと思っているユーザーさんが揃っています。Lobiを導入するだけで、そういったコアなユーザーさんと連携を取れます」とアピールし、講演を締めくくった。

 

■App Apeで見えてくるアプリ市場の変化


最後の登壇者は、FULLERの営業部長・森嶋大樹氏。FULLERは現在4期目を迎えたベンチャー企業で、アプリ分析サービス「App Ape」を主要事業として取り扱っている。今回森嶋氏は、App Apeから見えてくる最大 約10万人のスマートフォン利用状況を基に、アプリ市場の変化について語ってくれた。
 
まずApp Apeの特徴だが、ユーザーデータは前述の通り最大 約10万人と、国内最大級のサンプル数を誇っている。また、ユーザー数が多い分調査アプリ数も比例的に増加し、数万タイトルを網羅しているという。

さらに、約2年分のデータが提供可能であることも強みであると森嶋氏は語った。アプリの調査というと「App Annie」が世界的に有名だが、森嶋氏は「App Annieがダウンロード数や売り上げが分かるサービスだとすると、App Apeはアクティブユーザー数やアンインストール数、性別、年齢なども分かります」と違いをアピールしていた。

 
App Apeを使えば、数あるゲームの中から「MAUが高く、男性比率が多いゲーム」など、ピンポイントでゲームを検索、調査できる。アプリの配信から7日後の段階で、どれだけのユーザーが残っているかといったデベロッパーにとって気になるデータも集計できるとのこと。また、アプリの調査はゲームに限ったことではなく、facebookやmixi、LINEといったSNSの中で、DAUがもっとも高いものを調べることも可能。
 
App Apeの説明が終わったところで、森嶋氏はデータで見えるアプリ市場とその変化について話し始めた。それによると、相変わらず無料ゲームが上位を占めており、育成要素の強いジャンルや、パズルゲームが強いことも特徴であるとのこと。また、ゲーム以外のカテゴリーも使用頻度が上がってきている傾向にあるという。
 
ここで森嶋氏が、2014年11月におけるアクティブユーザーの1日あたりの起動回数が多いゲームアプリランキングを見せてくれた。それによると、1位は『モンスターストライク』で、2位以降は『なめこのおさんぽ』を筆頭に『なめこ』シリーズが上位に名を連ねている状態だという。このあたりは森嶋氏が言う「育成要素の強いジャンル」が上位に来ることを裏付けていると言えるだろう。

次に女性の多いアプリだけを抽出してみると、『LINE パズル タンタン』『LINE スイーツ』などのアプリが上位を占めている。また、2位には『ちっさいおっさん収集ゲーム みつけて!おじぽっくる』が入るなど、やはり通常のランキングとはかなり傾向が違う。
 

 
一連のランキングを総括すると、『パズル&ドラゴンズ』『モンスターストライク』といった大型タイトルの男女比は7:3、育成や単純パズルになると3:7となると森嶋氏は語る。そして、『ドラゴンクエスト』のようなRPGは8:2となることも、App Apeを通して分かるという。
 
続いて森嶋氏が注目したのはゲーム以外のカテゴリーだ。特にコミックアプリは日間起動ユーザー数が年々増加の傾向にあり、『LINE 占い』『ツイキャス・ビュワー』といったエンタテインメントアプリも好調の様子。『ツイキャス・ビュワー』は10代から圧倒的な支持を得ており、森嶋氏も特に注目しているそうだ。『ツイキャス・ビュワー』はゲームとの相性も高いと考えているようで、「ゲームを『ツイキャス・ビュワー』に絡めて、生放送の視聴者を掴めば結構な人気になるのでは」と可能性を示していた。
 
 
講演の最後に森嶋氏は、Web上で利用できる「App Ape Analytics(アップエイプ アナリティクス)」(https://analytics.appa.pe)についても話していたので、その内容もお伝えしよう、「App Ape Analytics」はGoogle Playで公開されているアプリを検索すると、現在の状況が瞬時に分かるサービスだ。同氏は「(膨大なアプリの利用状況データという)食材はあるので、あとは使い方次第だと思います。スマートフォンゲーム業界には情報感度の高い方が多いと思うので、ぜひ利用してもらえればと思います」と話し、セミナーの幕を閉じた。
 
なお、App Ape Analyticsは先日2月17日にEnterprise版がリリースされたばかりだ。無料で使えるFree版もあるので、是非とも試してもらいたい。また、App Apeのアプリに関する調査結果が発表されるApp Ape Laboratory(http://lab.appa.pe)にも注目していきたい。
 

セミナー終了後には懇親会も開かれ、参加者同士での交流も行われた。本セミナーは「Social Game Info」とJストリームとの共催にてゲームアプリの開発・運用に関わる方への情報共有の場になるよう企画・共催し、両社は今後もセミナー等の取組みを企画していくつもりだ。機会があれば是非参加してみてほしい。

 
株式会社カヤック
http://www.kayac.com/

会社情報

会社名
株式会社カヤック
設立
2005年1月
代表者
代表取締役CEO 柳澤 大輔/代表取締役CTO 貝畑 政徳/代表取締役CBO 久場 智喜
決算期
12月
直近業績
売上高174億6700万円、営業利益10億2100万円、経常利益10億3800万円、最終利益5億1100万円(2023年12月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
3904
企業データを見る
CLINKS株式会社
http://www.clinks.jp/

会社情報

会社名
CLINKS株式会社
設立
2002年12月
代表者
河原 浩介
直近業績
非開示
上場区分
未上場
企業データを見る