電通、「2014年(平成26年)日本の広告費」を発表 インターネット広告費は初の1兆円超えに

電通<4324>は、2月24日、国内の総広告費と、媒体別・業種別広告費を推定した「2014年(平成26年)日本の広告費」を発表した。この記事では、そのうちのインターネット広告費の部分を抜粋して紹介する。

2014年(1~12月)の日本の総広告費は6兆1,522億円(前年比102.9%)と、消費税率引き上げの影響はあったものの、通期では3年連続で前年実績を上回った。

媒体別にみると、「新聞広告費」(前年比98.2%)、「雑誌広告費」(同100.0%)、「ラジオ広告費」(同102.3%)、「テレビメディア広告費(地上波テレビと衛星メディア関連の合計)」(前年比102.8%)。その結果、「マスコミ四媒体広告費」は同101.6%となった。また、「インターネット広告費」(同112.1%)は、スマートフォン・動画広告・新しいアドテクノロジーを利用した広告が伸び、初の1兆円超えとなった。さらに、「プロモーションメディア広告費」(同100.8%)も3年連続で前年を上回り、全体の押し上げに寄与した。
 

<インターネット広告費(媒体費+広告制作費):1兆519億円(前年比112.1%)>


インターネット広告媒体費は、8,245億円(同114.5%)となった。インターネット広告媒体費を市場全体でみると、スマートフォン市場の成長や動画広告、新しいテクノロジーを活用した広告配信の浸透が下支えし、前年を上回る伸び率を示した。市場の内訳をみると、枠売り広告やアフィリエイト広告が堅調に推移し、運用型広告は大きく伸長した。

枠売り広告は、ポータルサイト中面のターゲティング商品が運用型広告に代替される動きが進んだものの、自社のブランディングを目的にした広告主のニーズに応える大型広告やリッチ広告の活用に加え、スマートフォン広告の活用、キュレーションメディアなどの新たなメディアの出現もあり、前年を上回った。また、マーケティングニーズの細分化、ユーザーの接触メディアの分散化を受け、ジャンルを特化した各種専門サイトの活用が拡大。従来型タイアップに加え、ネイティブ広告、コンテンツマーケティングといった手法も根付き始めた。さらに、PC、スマートデバイスともに動画広告の活用など、多くの新しい動きが本格化した。

運用型広告費の多くを占める検索連動広告の市場は、PC検索の伸びが落ち着きを見せた中、スマートフォンやタブレット検索は大きく伸長し、全体では堅調に成長した。また、大きく伸びた領域のひとつに、DSP(広告主側からみた広告効果の最大化を支援するシステム)が挙げられる。リアルタイムの入札形式で、広く効率的に広告配信するこの手法が浸透した。

DSPやSSP(媒体社側からみた広告効率の最大化を支援するシステム)などの普及・拡大により、各サイトが持つ広告在庫を広告主側に活用してもらいやすい環境も整った。さらに、DMP(蓄積したさまざまなデータを分析・加工し、広告配信を最適化するシステム)を用いてDSP配信するなど、新たな取り組みも進んだ。

動画の運用型広告は、広告主によるブランディング目的での活用を中心に拡大した。

インターネット広告制作費は、2,274億円(同104.4%)となった。案件数は増加したものの、前年に引き続き、大型キャンペーンの減少や制作単価の低下がみられたことから、成長率は前年の106.2%に比べ鈍化した。また、スマートフォンのさらなる普及などにより、コーポレートサイト・ECサイト・会員サイトは、前年に引き続き成長した。