【詳報】任天堂とDeNAの共同記者発表会レポート…任天堂IPのゲームアプリ、新しいメンバーズサービスを共同展開し、中長期的な業務提携のための資本提携


任天堂<7974>とディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>は、3月17日、業務・資本提携共同記者会見を東京都内で開催し、任天堂の岩田聡 取締役社長と、DeNAの守安功 代表取締役社長兼CEOが登壇した。(関連記事1)、(関連記事2

今回の発表のポイントとしては、以下の3点。

・任天堂のIPを活用したスマートデバイス向けゲームアプリを共同で開発し、運用していくこと。
・任天堂の新メンバーズサービスを共同で開発していくこと。
・中長期的な協業、ノウハウの共有のため、資本提携する。

 

■岩田社長「私たちは、家庭用ゲーム機の未来を決して悲観していない」
 

会見はまず、岩田社長のプレゼンからスタートした。両社の出会いに関しては、守安社長とは2010年6月に初めて会い、「モバゲーに任天堂IPを供給してもらえないか」という提案から話が始まり、守安氏はそれからも「任天堂と組む」という可能性に関して非常に情熱をもって取り組み、両社は継続して話し合いを持った。この話し合いの中で、岩田社長は「両社の組み合わせが、グローバルに相乗効果を生み出すチャンスが大いにある」とある時確信し、その後、両社のキーマン同士が話し合いを重ね、結果「業務提携して協業し、双方の強みを活かしあうことで、大きな相乗効果を生みだせるのではないか」との判断に至ったという。

その背景として、任天堂は、1983年のファミリーコンピュータ以来、ソフトとハードを一体化したプラットフォームビジネスを展開し、「Nintendo」は世界で最も認知されるビデオゲームブランドとなったが、一方、スマートデバイスの普及で、ゲーム専用機ビジネスの将来に対して悲観的な意見が増えてきた。任天堂がプラットフォーム移行のタイミングに超円高が重なって収支のバランスを崩したり、ニンテンドーDSからニンテンドー3DS、WiiからWii Uへというプラットフォームの移行が必ずしもスムーズに進まなかった時期と重なったことも影響していると思われるが、具体的には、「カーナビやデジカメなど、いろんな専用デバイスがスマートデバイスに呑み込まれてきた」と言われているように、「ゲーム専用機もスマートデバイスに呑み込まれるのではないか」という意見が代表例だ。ただ、任天堂のゲーム専用機向けの最大のソフト供給者は任天堂であるため、他の専用デバイスの話とは前提条件が異なるため、このは悲観論は「前提を無視している」と岩田社長は指摘した。

続けて、2014年後半の6カ月で、ダブルミリオン以上の実績を残したタイトルが5本登場するという史上初の出来事が示すように、スマートデバイスが普及しても、同社のゲーム専用機向けのソフトの販売は順調であり、「ハード普及は以前に比べて難しくはなったが、ソフトとハード一体型のビジネスは現在も機能している」と語り、「私たちは、家庭用ゲーム機の未来を決して悲観していない」と力強く語った。これに関しては、会見中何度も繰り返し発言され、家庭用ハード領域に対して、これまでと変わらず注力していくことを明確にアピールすることで、今回の会見がユーザーや株主に対し誤解を受けないよう、注意を払っていることがうかがえた。

■「任天堂IPを活用したゲームビジネスも展開する」と方針転換

いっぽう、これまでの経営方針説明会で明らかにしてきた「任天堂IPの活用」と「スマートデバイスの活用」の2点を「ゲーム人口の拡大」という目標のための方針に関しては、「任天堂の強みは家庭用ゲーム機の歴史と共に積み上げ発展させてきた、任天堂のソフトやキャラクター等の任天堂IPである」とし、今回、「任天堂IPの価値を最大化するための戦略的な取り組みとして、「任天堂IPを活用したゲームビジネスも展開する」と方針転換することを宣言した。

これは、かつて同社がテレビをファミコンなどで映像出力媒体として、かつメディアとしてCMなどで積極的に活用してきたことと構造的には同じように、スマートデバイスのユーザーの接触時間が強力な存在であることを認め、これまで同様の任天堂IPの伝達手段としても活用していきながら、その上でゲームビジネスも展開することで、より一層の同社IPの認知、普及へとつなげたい考えだ。

岩田社長は2014年1月の経営方針説明会でも、「スマートデバイスの活用においてゲームコンテンツは禁じ手にしない」と発言しており、スマートデバイスでゲームを作ることそのものは否定してはいなかった。ただ、「コンテンツ価値が容易にデフレ化し消耗しがち」、「コンテンツの新陳代謝が激しく、個々のコンテンツの寿命が短くなりがちで、コンテンツ価値の維持が容易ではない」という懸念があった。その対策において、「任天堂なりの答えがようやく出せた」ことが、今回の方針転換へとつながったようだ。

ただ、「スマートデバイスのゲームビジネスは甘くない」し、「やる以上は、絶対の勝算を持って臨みたい」と現状を踏まえた話を続け、その勝算を世界トップレベルのWebサービスの構築・運営ノウハウという強みを持つDeNAとの協業に求め、発売時に高い品質で顧客満足を得る必要のある「プロダクトの会社」としての任天堂の強みと、お互いに足りない部分を補う関係を構築し、グローバル市場を対象としたスマートデバイス向けゲームアプリを共同で開発・運営していくことで、「億単位のユーザー獲得を目指す」とした。

なお、スマートデバイス向けに活用するIPに関しては、例外を設けないが、「同時に展開するタイトルをむやみに増やしても、運営のエネルギーとユーザーのアテンションが分散するだけで、ビジネス規模の拡大は望めない」とし、タイトルは厳選する方針。また、操作の特性、強み、弱みが大きく異なることから、専用機向けの過去タイトルをそのままスマートデバイスに移植することは「一切予定していない」という。同じIPを活用するとしても、スマートデバイスのプレイスタイルに合わせた、全く別のゲームを作っていくとした。詳細は今後明らかにされるが「今年中には何らかのアウトプットを一緒に出したい」と岩田氏は質疑応答で発言していた。

さらに、ゲーム専用機向けには、これまで通りタイトルをしっかり開発していく。「むしろ、どうやってスマートデバイスを活用するかを決めたことで、今まで以上にこれからのゲーム専用機ビジネスへの情熱や展望を持っている」という。「ゲーム専用機に展開されているゲームソフトを世界中のより多くの人々に認知してもらうキッカケをつくるために、このアプローチが合理的だと考え、決断しました」と、今回の協業はあくまでこれまでの経営方針の延長であることを繰り返し述べることで強調した。

また、「任天堂がゲーム専用機ビジネスに対する情熱を持ち続けているひとつの証明」として、岩田社長は「今回の会見とは直接関係はないが」と前置きしつつ、「今のビジネス環境に適合するために、任天堂は全く新しいコンセプトのゲーム専用機プラットフォームを開発コード名『NX』として現在開発中」であることも明らかにした。「NX」の具体的な内容は2016年に発表される。

■ クラブニンテンドーに置き換える形で複数のデバイスを統合する新しいメンバーサービスを開発

ユーザーと任天堂がつながる可能性が高いデバイスとしてのスマートデバイスの活用は、ユーザーをゲーム専用機にいざなうための架け橋として機能する新しいメンバーズサービスという形でも具現化される。

これはクラブニンテンドーに代わる形で、ニンテンドー3DS、Wii U、そしてNXと、スマートデバイスやPCなどの複数のデバイスを統合する新しいメンバーサービスを両社が共同開発し、任天堂が中心となって運営するもので、任天堂の新しいプラットフォームの中核要素の一つとなるという。

■守安氏「考えられる戦略オプションの中でも最良のプラン」
ここからは、守安氏にプレゼンをスイッチした。

DeNAが2006年に提供を開始したモバゲーは、モバイルゲーム事業を主力事業として同社を成長させてきたが、ここ2、3年のスマートフォンシフトにより、ネイティブアプリへの適応に想定以上の時間を要したものの、2014年にヒットタイトルを生み出せたことで、市場で戦える手ごたえをつかむことができたという。

ただ、ゲームアプリの競争は激化し、多数の新作が日々リリースされているものの、利用者の限られた時間のなかで同時にプレイできるゲームの数も限られており、世界的にもアクティブユーザーの確保がどんどん難しくなっている現状、明確な差別化要素がますます必要になってきている。その要素の中で最もわかりやすいのはIPであり、任天堂はゲームIPで最も世界から支持されている会社であることから、任天堂との提携は、DeNAのモバイルゲーム事業を成長させるうえで「考えられる戦略オプションの中でも最良のプランである」と守安氏は述べた。

守安氏によれば、任天堂との提携アイデアは2014年夏ごろに話し合いの中で見えてきたといい、議論が深まれば深まるほど、両社の強みが補完関係にあることが分かり、「両社が組むことで世の中に今までにないインパクトを与えられる何かができるのではないか」、「現場レベルでもお互いの強みにリスペクトを持って、それにより信頼関係を築くことでプロジェクトが進められており、両社で共同チームを編成することにより、大きな化学反応が起き、利用者に新しい価値を提供できる作品を生み出せると確信している」と手ごたえを感じているようだ。

また、今回の提携では、両社が各々の強みの源泉であるノウハウを相互に提供することになるため、中~長期的に強固な信頼関係を構築する必要があり、相互に株式を保有することにしたという。守安氏は、資本提携まで至ったことにより、「中長期視点で大きな事業にしていくこと」、「提携内容にとどまらず、お互いの企業価値が向上する取り組みについては、是々非々で検討する」と目的を改めて説明した。

最後に抱負として、守安氏は「1人のゲームファンとして、子供のころから慣れ親しんだ任天堂さんのIPを活用したゲームをスマートデバイス上で楽しめるということについて、私自身いまから非常にワクワクしている。DeNAとしては、ユーザーに最も支持されるゲームを提供する任天堂と組む以上、スマートデバイスで最も愛されるゲームを提供していきたい」と述べ、岩田氏も、「スマートデバイスで成功している会社は単独のタイトルで稼いでいる会社が多いが、任天堂のIPを使う以上、スマートデバイスで早期に複数のヒットタイトルを生み出したい。従来のゲームプラットフォームの単位はデバイス単位であったが、スマートデバイスをも統合することで、より多くのお客様により私たちの作るソフトを的確にお届けしたい」とし、「DeNAとパートナーを組み、より早期に実現したい」と両社の提携の意義を述べてプレゼンテーションを締めくくった。
 

ここからは質疑応答の時間となった。

●任天堂のIPを使ったゲームタイトルはいつごろ、どのような形で出て、どちらが主体でやるのかについて教えていただきたい。

岩田氏:個々のゲームタイトルがどんなもので、いつ開始なのか、というのは、具体的には準備ができた段階で順次お知らせしたい。少なくとも、今年中には何らかのアウトプットを一緒に出したい。また、ゲームタイトルごとに両社の役割分担は異なってくるので、グローバルで売る場合は任天堂が表に出ることがよいということであれば、割合としては多くなることが考えられるが、個々で話し合っていくことになる。

守安氏:役割分担については両社の強みを生かしていく形になる。多くの場合はフロントサイド(アプリの部分)を任天堂が作り、サーバーやバックエンド、分析、運用をDeNAが担うことが多くなるだろう。ただ、タイトルによって役割分担が異なる。

●「課題に対しての答え」とはどこにあるのか、具体的に教えていただきたい。

岩田氏:まず、同じゲームを違うデバイスに出すようなことはしない。家庭用ゲームタイトルを素直にスマートデバイスにもっていくのは、その体験をそのまま実現するのが難しい。触っていただけるチャンスは増えるが、お客様の満足が得られないとなると、価値が下がってしまう。同じものを両社に展開すると、ビジネスモデルからくる価格帯の違いなども鮮明に見え、課題だった。スマートデバイスとゲームは近しく見えるが、我々の中で全く別物であると整理でき、認識できた。スマートデバイスへのゲーム供給は我々単独でやるよりも有力なパートナーとやったほうがスピーディーに展開できる。DeNAとの協業はスマートデバイスとの取り組みを考え続けていた時期と並行で進んでいた。

●ガチャで稼いでいく方法は射幸心を煽っていると言われているがどう考えているか?

岩田氏:任天堂のIPを活用してお客様に提案される以上、任天堂が納得しない方法で提供することはありえない。それは両社が合意した方法で行うことで、お客様が納得して扱えるものになる。Free to Startやアイテム課金を一律に否定しないが、世の中でビジネスとして行き過ぎでは? 子供に向かって提案していいの? という方法は任天堂は望んでいないし、問題になるようなアウトプットになることはない。

●今回の提携はスマホ向けゲームは1社だけではできないという危機感からのもの?

岩田氏:追い込まれてDeNAと組んだとはまったく思っていない。ただ、世の中がどんどん変化していくことに対応しなければどんな企業も必ず衰退していく、という当然の危機感は持っている。消去法でこのような提携をしたというのは全くの誤解で、むしろ、守安氏と話をすればするほど、自分たちが知らないことをDeNA側はよく知っていたし、DeNAはある意味「黒子になっても一緒にやりたい」と答えてくれた。単独でやるよりは、一緒にやるほうがスピーディにでき、ずっと魅力的なものが提供できるのであれば、これはポジティブなチャンスとして捉えらえるため、他社からもいろんな提案があったが、DeNAとの協業を積極的に選択した。

●任天堂のIPを使ったゲームと、DeNAのオリジナルタイトルはどうやって棲み分けるのか?

守安氏:スマートデバイス向けのアプリゲーム市場はど真ん中の事業となる。ヒットタイトルも出し、やっていけるという手応えを掴んでいる。この主力事業を成長させるうえで、任天堂のIPを活用して共同で取り組むことが最適と判断した。この協業は我々としても嬉しい。オリジナルタイトルとの住み分けだが、DeNAとしてはこれまでも様々な会社とIPを活用したゲームを作ってきた。IPは利用者のアテンションをひきやすく、有力な手段なので、当然力を入れていく。一方で自社IPを作りたいという思いもあるので、並行して作っていく。何本もつくっていくゲームの中で共同でやるものもあれば、自社でやるものもある。

●任天堂IPタイトルはDeNAに独占提供するのか?

岩田氏:こうして提携の発表をしたわけですから、最初に出すタイトルを他の会社と組むことは考えていない。一方で、お互いが100%が思うとおりにいくかは保証できず、未来永劫独占提供する保証はないが、DeNAと注力していく。また、スマートデバイス向けのゲームを受け入れられてもらい、実際にスマートデバイスのたくさんのお客様に遊んでもらうために、これまでのやり方とは違うビジネスのやり方にトライしてみたい。もっと改良できないか、こんな新しいビジネスの構造はないのか? といったことを守安さんと一緒にトライしていくと思います。もし、新しいビジネスモデルの発明ができたら最高ですね。

●グローバル市場向けということだが、そこに日本は含まれるのか?

岩田氏:「グローバル市場」に日本を含まないことはありえない。スマートデバイスの特長はどこにでも届けられることにある。一度に世界中全てで展開するかどうかはこれから考える段階で、どこの地域で、どんな風に展開するかは確定次第、順次お知らせしたい。まず今日は最初の一歩を踏み出すという発表となる。ただ、今年いっぱいお知らせできない、ということはない。

●任天堂のIPタイトルを子どもたちにどう遊んで欲しいか? コンソールビジネスの展開できない場所でもできると思うが?

岩田氏:子供に安心して与えられるという信頼が過去30年以上で積み上がっており、これが任天堂のとても大切な財産である。このお客様の信頼を維持できるようにしたい。スマートデバイスのビジネスモデルも今あるものにプラスアルファの工夫が必要ではないかと話したが、「こういうふうにするとスマートデバイスで収益が上げやすい」という常識もこれから変わっていく。今機能しているビジネスモデルが今後も続くとは限らない。モバイルゲームビジネスの普及の変化を見ていると、10年かけて起こった変化が数年で起きたようにも見える部分的にはある。そういう意味でビジネスモデルもどんどん変わっていくはずなので、子供を含めて安心して遊んでもらえるものを大事にしながら一緒に事業を展開したい。

それから、新興国の中ではハードを売るチャネルがなかったり、価格的なハードルの高さから我々の賞品が届かないところがあるのは事実。スマートデバイスで実際に我々のIPが提供できると、ひとつの問題が解決するが、おそらくそれにくわえてもう一工夫必要になってくるだろう。少なくとも任天堂IPを知っていただくという意味では、とても適用範囲が広く、意義があると思っている。

●今回の発表に関して戦略的な目的は?

岩田氏:DeNAとのスマートデバイスの展開に関しては、かなり深いところで中期・長期で考えていきましょうと話し合ってきた。それは紙の契約の上だけのものではなく、資本で関係を持つまでのもので、お互いの経営にも興味をもち、お互いの案件を優先的に処理し合うような、より深く・近く話しをするためのもの。これはどちらか片方が言い出したものではなく、両社から「これぐらいの関係になったほうがいいですかね」ということで今日の発表に至っている。

●課金決済やユーザーデータはどっちが持つのか?

岩田氏:メンバーズサービスは任天堂が持つことになる。ゲームアプリは、共同運営を行う。データへのアクセスはDeNAも行う。ただ、アクセスの目的は何で、その目的は共同の利益に敵うものかが基準になる。

守安氏:共同で提供することが目的となる。両社が協議の上で、そしてお客様の同意を得たうえで行うものなので、勝手に違うサービスのためにデータの目的外利用はありえない。

●新たなメンバーズサービスについてはどういったサービスを提供するのか?

岩田氏:今日の時点では複数のデバイスを統合するもので、今年の秋から開始するというところまでで、具体的なサービスは全体像を説明する準備を整えてから話したい。

●今回の提携による売上と利益の予想は?

岩田氏:今日の時点で話せることはない。本決算の発表時に来季の収益見通しの中で予想しうる見解を開示する。

●方針転換の理由は? スマートデバイスへの取り組みは遅いのでは?

岩田氏:ゲーム専用機向けに育ててきたIPをスマートデバイス向けに展開することで、両方にとってWin-Winにできるという答えがはっきりした。DeNAと組むことで、我々の得意でないことに過剰に開発人員を投入することで、結果ゲームソフト開発が疎かになるようなことがないようにしたい。取り組みが遅いかどうかは、数年後のアウトプットで判断すべきことだ。いろんなことが同時並行的に起こったので、「タイミングが来たんだな」と個人的には考えているが。

●ケースバイケースだと思うが、例えば、100の売上が計上された場合の按分はどうなるのか?

岩田氏:ゲームタイトルによって両社の役割分担は多少変わる。一般論的に言うと、任天堂がIPとアプリや企画を出すことが多く、サーバー開発や行動分析、運営業務はDeNAが得意。IPを除くと、半々くらいになるのでは? これは個別のタイトルごとに投入した労力・投資に応じてリターンを分配するのが会社の大小関係なく、フェアであろうという考え方で話している。何%を分け合うかを議論するよりもどうやってお客様を増やすかに力を使って方が建設的だと思う。どれだけリーチできるかに注力したい。

守安氏:スマートデバイス上のゲームアプリでは役務提供によって分配する。DeNAにとっては1本あたりのタイトルがどのくらいのビジネスの規模になるかが重要になるので、複数のヒットタイトルが出てくると、お互いの収益にインパクトをもたらす取り組みになるのではないか。

●なぜDeNAをパートナーとして選んだのか?

岩田氏:DeNAの「任天堂と一緒にやりたいという」気持ち、情熱がある。多くの会社が任天堂にノックをしてきたが、「任天堂は本当に応じるのか?」と疑問に持っていたように思う。でも、DeNAは繰り返し本気でアタックしてきた。もうひとつ、我々が得意な分野で力があるかが重要ではなく、我々の得意でない分野に強いことや、その部分について、言葉は極端だが、守安さんが「黒子になっても構わない」と明言してくれたことで、我々の戦略の選択肢が広がった。メンバーズのプラットフォームの開発でも協力することを厭わない、そのためにエース級の人材を充てるというコミットメントをもらえた。DeNAが真剣で高い評価をしていただけたことが決めてになった。

●DeNAにとっては任天堂が大株主となるが、今後、DeNAのIPを活用したゲーム作りに抜本的な影響を与えるか?

守安氏:戦略的なパートナーシップを行う株主でもあり、DeNAの企業価値にプラスになる株主と認識している。スマートフォンでのゲーム作りは、他社との比較で不得意なものもあるため、今回の協業を通じて、ゲームの作り方や考え方などをお互いに学び合って、高めあっていきたい。一緒に企業価値を上げていける重要なパートナーだと考えている。

■関連情報

発表資料

株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
https://dena.com/jp/

会社情報

会社名
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
設立
1999年3月
代表者
代表取締役会長 南場 智子/代表取締役社長兼CEO 岡村 信悟
決算期
3月
直近業績
売上収益1367億3300万円、営業損益282億7000万円の赤字、税引前損益281億3000万円の赤字、最終損益286億8200万円の赤字(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2432
企業データを見る
任天堂株式会社
http://www.nintendo.co.jp/

会社情報

会社名
任天堂株式会社
設立
1947年11月
代表者
代表取締役社長 古川 俊太郎/代表取締役 フェロー 宮本 茂
決算期
3月
直近業績
売上高1兆6718億6500万円、営業利益5289億4100万円、経常利益6804億9700万円、最終利益4906億0200万円(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
7974
企業データを見る