CyberZ、「OPENREC STUDIO」設立イベントを開催…CyberZ山内社長、Aiming萩原和之氏、グラビアアイドル倉持由香さんが語るゲーム実況の魅力と将来性
CyberZは、4月6日、ゲーム実況専用スタジオ「OPENREC STUDIO」(オープンレックスタジオ)を東京都内に設立し、オープニングイベントを開催した。
今回設立されたスタジオは、動画クリエイターを対象としたゲーム実況専用スタジオで、国内初になるとのこと。「動画クリエイターが毎日通い、配信したくなる」というコンセプトを掲げ、いつでも簡単にゲーム実況動画やイベント企画などを撮影・編集し、ライブ配信できる施設となっている。
施設内には、動画クリエイターの利用目的に応じた完全防音のスタジオを複数設置し、各スタジオには動画配信に最適な音響機材をはじめ、各種家庭用ゲーム機やポータブルゲーム機など、さまざまなスマートデバイスを完備しているという。
また、動画クリエイター同士のコミュニケーションスペースとして、バーや喫煙所を設け、ゲーム実況動画の新たな取り組みが生まれる新拠点となることを目指しているとのこと。
CyberZとしては、今回の「OPENREC STUDIO」を活用し、ゲーム実況者と組んでゲームアプリのプロモーション支援を行うとともに、「OPENREC」を活用した動画コミュニティをメディアとして育てていく考えのようだ。
■「OPENREC」の特徴…自撮りが行えるほかプロモーション支援なども
まず、CyberZ取締役の大友真吾氏が登壇し、「OPENREC」のサービス紹介と今後の展開について語った。まず、「OPENREC」とは、スマートフォンアプリにSDKを導入すると簡単にゲームの録画・投稿が行えるツールだ。今回、あらためてリリースしたのは、海外ではゲームプレイ動画は大きく普及しているものの、国内ではまだ市場開拓の余地があると判断したからだという。
大友氏は、「OPENREC」には3つの特徴があると述べた。1つ目は、実況中のプレイヤーを撮影する「自撮り」が行えることだ。CyberZの親会社であるサイバーエージェントの提供する『ウチの姫さまがいちばんカワイイ(ウチ姫)』にも実装されている。大型のソーシャルゲームで、プレイ中にプレイ動画と自撮りが行えて、かつ投稿が行える機能が実装されたのは『ウチ姫』は初めてとのこと。実況中、インカメラで撮影した自分の姿がサムネイルとして表示される。
2つ目は、ゲーム内にある動画コミュニティがゲームのデザインに合わせてカスタマイズできることだ。『ウチ姫』のゲーム内コミュニティでは、ゲームの中のUIを踏襲した形のゲーム内コミュニティとなっている。
3つ目は、オフィシャルゲーム実況者によるプロモーション支援で、CyberZでは、ゲーム実況者と協力してゲーム開発会社向けに提供するとのこと。ゲーム実況者以外にも、グラビアアイドルや声優などオフィシャルプレイヤーが50人ほど登録している。
4つ目は、「OPENREC STUDIO」があることだ。ここにはゲーム動画の撮影ができる小部屋が5つ用意されている。ベーシックなスタジオから和室や女の子っぽい部屋、豪華な部屋などがある。ここで簡単な動画を撮影・編集して、Youtubeやニコ生などで配信できる。RAZERの最新機器を導入するなど設備も整っており、きちんとした撮影ができるという。
大友氏は、「今後はゲーム開発会社にSDKを入れていただき、既存ゲームの活性化を図っていただきたい。またゲーム実況者にも『OPENREC』を使っていただき、より楽しいゲーム実況が行なうとともに、今後の仕事にも展開していけるようにしたい。当社も含めた3者がWin-Winになれる関係を目指したい」と意気込みを語った。
なお、「OPENREC.tv」という「OPENREC」で投稿した動画が撮影・編集・投稿できるほか、様々な実況者による動画が視聴できるアプリで、現在、ベータ版として提供されている。5月中にもフルリニューアルして正式サービスする計画だ。
■Aiming萩原氏、グラビアアイドル倉持さん、CyberZ山内社長によるトークセッション
続いて「スマホゲーム×ゲーム実況の未来はあるか」というテーマでトークセッションが行われた。登壇者は、Aiming取締役COOの萩原和之氏(写真右)、グラビアアイドルの倉持 由香さん(写真中央)、CyberZ社代表取締役社長の山内 隆裕氏(写真左)が登壇した。
まず、Aimingが東証マザーズ上場した日にApp Storeの売上ランキングで『剣と魔法のログレス』首位を獲得したが、萩原氏は「Aimingは狙い撃ちという意味。社名と同じく狙った」と明かした。Aimingとしてのゲーム実況への取り組みについて聞かれると、「一部タイトルで活用しているが、十分に活かせていない」とのことだった。マーベラスとの共同タイトル『剣と魔法のログレス』では、WEBプロモーションとテレビCMを中心としたプロモーション活動を行ったが、ゲーム動画や実況に対応した機能は入っていないそうだ。もちろん、ゲーム動画もかなり投稿されているが、いずれもプレイヤーが自分たちで機材を用意して撮影した動画になっているとのことだった。
ただ、動画の活用経験が全くないわけではなく、旗艦タイトル『ロードオブナイツ』で、6人のアイドルを盟主に仕立て、プレイヤー間で協力して自分の推すアイドルを勝たせるイベントを行ったそうだ。隔週で動画配信なども行ったところ、動画を見つつ、ゲーム内でアイドルと触れ合えるという絶妙な距離感で非常に盛り上がったという。
続いて、倉持さんは、実況を行う立場からゲーム実況の現状についてコメントした。ゲーム実況は、ゲームタイトルの増加とともに配信数が増えているだけでなく、配信方法についても多様化しているとの見方を示した。かつては自宅などで実況者が一人で淡々と撮影・配信するタイプのものが主流であったが、最近では、特定の場所に集まってワイワイと配信するケースも増えているという。その意味で「OPENREC STUDIO」のようなスタジオがあると重宝するそうだ。
ここで山内氏が「OPENREC STUDIO」の開設にあたって、ゲーマー御用達となっているRAZER製品が多数導入されていると説明した。これを受けて、倉持さんは、ゲーミングヘッドセット「Razer Kraken」や、ゲーム実況に対応したマイク「Razer Seiren」などゲーム実況に最適な機器が揃っていることは「非常に魅力的」と語った。
2番めのテーマは、海外における動画実況の動向だった。萩原氏は、東・東南アジアと比較すると、日本ではプロのゲーマーが少ないと感じているそうだ。東アジアや東南アジアでは、Eスポーツが流行し、賞金1億円の大会があるなどプロゲーマーが生計を立てられる環境になっているという。そして、プロがプレイ動画を投稿し、そこから収益を上げる仕組みも存在しているという。その意味で日本はプロのゲーマーが少なく、動画で収益を上げる仕組みも十分ではなく、これから市場として立ち上がっていくのではないかとの期待を示した。
倉持さんは、自身で海外の大会にエントリーしたことがあると明かしたうえで、「日本ではプロゲーマーがゲームだけで食べていくのは難しく、実現できているのはほんの一握り」と、萩原氏と同じ見方を示した。ただ、大学の講義などでEスポーツがテーマとなっていることから、「Eスポーツは、少しずつその文化として根付いてきているのではないかと思います」と語った。「大学の授業でウメハラさんのスライドを見るとは思いませんでした」と笑いを誘った。
最後のテーマは、動画市場に期待することだった。萩原氏は、ゲーム動画がプロモーション活動を行う上で、重要な位置を占めるようになるとコメントした。ゲームの面白さは、実際に遊んでみないと伝わらないものだが、ゲームの実況動画は「ゲームの面白さをうまく切り出して伝えてくれる」という。そして、「今後のゲーム市場の盛り上がりに必要不可欠な存在で、「OPENREC」とともにゲーム業界を発展させていきたい」とまとめた。
続いて倉持さんは、ゲーム実況は、様々な機材を用意しなくてはならず、実際にやるとなるとハードルが高いだったという。特に機材に疎い女子には厳しいものがあったが、「今後、『OPENREC』のゲームアプリへの導入が進むことで、手軽に実況配信が行えるようになれば、女子の実況者が増えていくのでは」とコメントした。
両者のコメント受けて、山内氏は、「ゲーム市場は非常に熱いが、これに付随するゲーム実況市場もかなり熱い。今後、Eスポーツも控えており、『OPENREC STUDIO』を起点として様々なコンテンツを配信していきたい」と締めくくった。
(編集部 木村英彦)
会社情報
- 会社名
- 株式会社CyberZ
- 設立
- 2009年4月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 山内 隆裕
- 決算期
- 9月