創通<3711>は、10月8日、2015年8月期の連結決算を発表、売上高239億1000万円(前々期比7.2%増)、営業利益34億1100万円(同1.1%増)、経常利益33億9200万円(同2.0%増)、当期純利益20億9300万円(同3.3%増)と増収増益での着地となった。同社は7月8日に業績予想の下方修正を発表しているが、今回の実績値はその修正予想からは若干の上ブレとなっている。
各セグメントごとの状況は以下の通り。
①メディア事業…売上高177億7600万円(前々期比12.2%増)、営業利益8億9300万円(同22.0%増)
継続番組である「それいけ!アンパンマン」「カードファイト!!ヴァンガードG」「ジュエルペット マジカルチェンジ」「ダイヤのA-SECOND SEASON-」などのほか、「ガンダムビルドファイターズトライ」「ガンダム Gのレコンギスタ」「SHIROBAKO」「美男高校地球防衛部LOVE!」「がっこうぐらし!」などの新作テレビアニメーション番組などについてのプロデュースを実施し、作品数では前期を上回る24作品の製作出資・製作委員会の組成並びに共同運営、取扱作品を含めると26作品のプロデュース事業に取り組んだ。また、遊技機及びゲームなどのキャラクターグッズに関するプロモーションの収入並びに機動戦士ガンダムに係るイベント収入が前期を上回り、売上高を押し上げる主な要因となっている。
さらに、新たな試みとして、ゲーム会社との協業によりスマホゲーム『ケイオスドラゴン 混沌戦争』の企画・開発に参画するとともに、当該スマホゲームのプロモーション及び連動したテレビアニメーション番組のプロデュースを実施した。このようにテレビアニメーション番組以外でのキャラクターコンテンツの創出とともに、マルチメディア展開を行うという新しいプロデュース事業に取り組んだ。
就職情報事業を行う子会社ジェイ・ブロードは、同社の強みである薬学生・薬剤師を対象とした“めでぃしーん”事業を中心に順調に推移した。
②ライツ事業…売上高55億4400万円(前々期比6.7%減)、営業利益25億5900万円(同4.9%減)
「ガンダム」シリーズにおいて、「ガンダムビルドファイターズトライ」「ガンダム Gのレコンギスタ」の放送及び機動戦士ガンダム35周年イベントなどの影響により、玩具等既存カテゴリーの商品化の版権収入が好調に推移し、特にアジアを中心とする海外において伸長した。しかし、ゲームカテゴリーの主流が携帯ゲームやコンシューマーゲームからスマホゲームに移行する中、その対応が後手に回ったことで当該商品化の国内における版権収入が減少し、売上高において前期を下回る主な要因となった。
また、「ガンダム」シリーズ以外の版権収入については、遊技機などの商品化の版権収入は計画通り推移したものの、一部の作品を除くとヒット作品をプロデュースすることができず、DVD・BDの販売が伸び悩んだことから、当該版権の配分金収入がほぼ横ばいで推移した。
③スポーツ事業…5億8900万円(前々期比14.0%増)、営業利益4100万円(同26.4%増)
スポーツ事業は、新規の球場看板広告を受注したことなどにより、前々期に比べ売上高が増加した。
■今期は売上高2.5%増、営業利益2.6%増を見込む
続く今期(2016年8月期)は、メディア事業では、10月から大型プロジェクトである「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」の放送がスタート。同番組のプロデュース・放送事業とともに、関連する新しいキャラクターグッズの販促・プロモーションに注力する。また、2016年1月からはオリジナル作品である「プロジェクトアクティヴ(仮題)」の放送を予定している。さらに、ゲーム会社との協業によるスマホゲーム『夢色キャスト』の企画・開発に参画するとともに、同スマホゲームのプロモーション及びマルチメディアによる事業展開をプロデュースしていくとしている。
一方、ライツ事業は、「ガンダム」シリーズについて、ゲームカテゴリーの主流が携帯ゲームからスマホゲームに移行する傾向は続くものと予想し、その対応策として、グローバルに展開可能なスマホゲームの利点を活かし、海外での「ガンダムゲーム」の利用拡大に尽力することで版権収入の獲得に努めていく。また、大型プロジェクトである「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」に関連する新しいキャラクターグッズによる版権収入の増加を目指しとしている。
なお、2016年8月期通期の連結業績予想は、売上高245億円(前期比2.5%増)、営業利益35億円(同2.6%増)、経常利益35億円(同3.2%増)、当期純利益22億円(同5.1%増)の見込み。
会社情報
- 会社名
- 株式会社創通
- 設立
- 1965年10月
- 代表者
- 代表取締役社長 難波 秀行
- 決算期
- 3月