沖縄デジタルコンテンツ産業振興協議会(OADC)とは何をする団体なのか? 沖縄のIT産業振興の一翼を担う社団法人


沖縄デジタルコンテンツ産業振興協議会(OADC)は、モバイル・コンテンツ・フォーラムと共同で、11月21日より「NEXT CREATORS FORUM」を開催している。そもそもOADCとは一体何をする団体なのか、よくわからないという方も多いだろう。実は記者もモバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)の沖縄版という程度の認識だったのだが、かなりアグレッシブに活動しており、沖縄のIT産業活性化の一翼を担う団体となっている。イベント期間中、OADC の佐藤慎吾氏(写真)がその活動内容の紹介を行った。

沖縄デジタルコンテンツ産業振興協議会は、沖縄のリーディング産業である情報通信分野、特にデジタルコンテンツ関連産業の企業誘致、人材開発、技術革新等を促進することで、沖縄県内産業ひいては日本産業の活性化と振興に寄与し、より多くの愉しいデジタルコンテンツを沖縄から世界に届けることを目指す一般社団法人だ。

沖縄をデジタルコンテンツの制作拠点の集積地にするため、大きく、

(1)モノづくりの支援「沖縄クリエイティブシティ」と、人材育成に関する支援
(2)沖縄進出に関する支援


を行っている。

まず、人の支援に関しては、新規の雇用に関しては一人前になるまで時間とパワーが必要ということで、教育に関連する支援を行っているという。2014年度の実績では、1人あたり230万円弱の支援を行った実績があるという。

メニューとしては、金銭面の支援だけでなく、エンジニアやデザイナーの教育研修も行っているという。OADC負担でJavaやHTML/CSSなどの集中研修を行い、7割程度がJava Silverに合格できるレベルまで育成し、その後、受け入れ先の企業でOJTを行うことで戦力化できているという。また自前で育成する企業に対しては1人あたり100万円前後の人件費の助成を行ったとのこと。
 

沖縄の若手IT人材は、専門学校や高等専門学校で1200人、ITに関連する大学だと200人で合計1400人になるという。受け皿となるのは400人程度で、その他1000人はIT業界以外で就業しているという。ゲームが好きでプログラミングをしているものの、ゲーム会社に入らずに居酒屋などでアルバイトしている、というケースも多々あるそうだ。
 

また沖縄の若手人材は、地場意識が強く、生活の拠点を沖縄にする人が多く、高い就業意欲と学習能力が特徴で、離職リスクも低いという。あるモデルケースでは、1人が家庭の事情で離職した以外、1人も退職していないとのことだった。また私見と前置きしながら、沖縄という歴史的にも特殊な環境で育ったため、クリエイティブな部分で天才型の人材に巡り会える可能性が東京に比べて高いのでは、とコメントした。
 

一方、モノづくりに関しては、「沖縄クリエイティブシティ」に関しては、モデル事業への補助金も出しているという。電子書籍のパブリッシングと販売事業、スホアプリの開発事業などを支援した。案件によって異なるが、総事業費の4分の3を助成する、といったことも行ったという。2014年度で新規2件、2015年度はさらに2件の支援を行った。
 

モデル事業の選定条件は以下のとおり

・新規性
・高付加価値・高収益
・県内連携強化
・海外配信

また、今回開催した「NEXT CREATORS FORUM」も大きな活動の一つとなる。ゲームやスマートフォンアプリ、IT企業の関係者に来てもらい、ハッカソンやセッショントークなどを通じて、沖縄にどういった人材がいるのか、実際に確認してもらいたいと考えたとのことだった。
 

このほか、施設の貸出も行っている。沖縄県庁近くにある那覇スタジオやうるまスタジオ(うるま市内)などで、沖縄に進出する際、回線やファシリティ、内装工事などの問題で進出できない場合もあったため、共益費込みで坪単価1万3000円程度で県庁近くにあるスタジオを貸し出す、といったことも行ったそうだ。稟議が通りやすくする工夫もあるため、試験的に進出したいという場合にも対応しているという。
 

ちなみに、OADCではコンテンツ企業の誘致を行っているが、沖縄に進出もしくは進出する意向を示している16社が会員として加入している。進出に際して、ビジネスはどうするのか、人材や拠点、ファシリティはどうするのか、といった具体的な段階からコンサルティングしているという。そして、興味のある場合、問い合わせてもらえればツアーなどを組むことも可能なので、気軽に問い合わせてほしいと呼びかけ、講演を締めくくった。


 
■関連サイト
 

沖縄デジタルコンテンツ産業振興協議会

 
  (編集部 木村英彦)