そこで今回は、サイバードのデザインチームに所属する中村氏、平山氏、櫻庭氏に、デザイナーが働く環境改善の取り組みや組織のあり方、そして今後求める人材像などを聞いた。
■デザイナーがチームの一員として、企画段階から参加できる環境に
株式会社サイバード
ゲーム事業本部デザインチームリーダー兼
UX委員会所属
■中村 氏(以下、中村)
ゲーム事業本部BFBスタジオアートディレクター兼
UX委員会所属
■平山 氏(以下、平山)
ゲーム事業本部イケメンスタジオデザイナー兼
UX委員会所属
■櫻庭 氏(以下、櫻庭)
――最初に、サイバードで働くデザイナーの環境についてお伺いさせて頂きます。まずは、みなさんが現在携わっている業務やポジションについて教えて下さい。
中村:弊社のデザインチームのリーダー職が主な仕事です。また、UIやUXの品質向上を主な目的とするUX委員会という組織があり、そのリーダーも兼務しています。
平山:私はサッカー育成ゲーム『BFB 2016』のアートディレクションをメインに担当しています。また、これと並行して、中村と連動する形でUX委員会の業務や、デザインチームの組織づくりにも関わっています。
櫻庭:私は昨年の7月にサイバードへ入社し、現在は『イケメン王宮◆真夜中のシンデレラ』というタイトルを担当しており、『イケメンシリーズ』の新作ではアートディレクターも務めております。そのほかにも弊社で各種キャンペーンを行う際には、Webサイトのデザイン、コーディングもこなす場合もあります。
――デザイナーの業務は多岐にわたると思いますが、各メンバーの担当はどの様に決まっていくのですか?
中村:基本的には新卒入社か中途入社に関わらず、各デザイナーの得手不得手や考えを把握し、出来る限りその人にマッチした現場へアサインする様にしています。もちろんタイミングによっては弊社の戦略上力を入れているプロジェクトに入ってもらう可能性もありますが、まずは出来る限り本人の意思を尊重する様に心がけています。
中村:弊社のデザインチームのリーダー職が主な仕事です。また、UIやUXの品質向上を主な目的とするUX委員会という組織があり、そのリーダーも兼務しています。
平山:私はサッカー育成ゲーム『BFB 2016』のアートディレクションをメインに担当しています。また、これと並行して、中村と連動する形でUX委員会の業務や、デザインチームの組織づくりにも関わっています。
櫻庭:私は昨年の7月にサイバードへ入社し、現在は『イケメン王宮◆真夜中のシンデレラ』というタイトルを担当しており、『イケメンシリーズ』の新作ではアートディレクターも務めております。そのほかにも弊社で各種キャンペーンを行う際には、Webサイトのデザイン、コーディングもこなす場合もあります。
――デザイナーの業務は多岐にわたると思いますが、各メンバーの担当はどの様に決まっていくのですか?
中村:基本的には新卒入社か中途入社に関わらず、各デザイナーの得手不得手や考えを把握し、出来る限りその人にマッチした現場へアサインする様にしています。もちろんタイミングによっては弊社の戦略上力を入れているプロジェクトに入ってもらう可能性もありますが、まずは出来る限り本人の意思を尊重する様に心がけています。
――携わる作品やプロジェクトごとに、業務の内容も変わってくるのですか?
平山:グラフィックデザインという意味では同じでも、求められるものは変わってきますね。『BFB 2016』の場合は3Dの選手モデルを作成していますが、外注のスケジュールや品質管理と調整が主な業務となります。また、告知用のバナー作成となると、2Dを専門とするチームの担当となります。
櫻庭:私が『イケメン王宮』に関わることになった当初はデザイナーが不足していたため、プランナーの負担が多くなっていたのですが、現在はデザイナーも増員され、素材となるイラスト制作や外注のクオリティチェックは出来るだけデザイナー側に集約させる様にして、効率化を図っているところです。
中村:やはりプランナーだけに任せず、必要に応じてデザイナーがより深く案件に関わることがプロジェクトを成功させるためにも重要だと思います。弊社も以前はデザイナーの人数が少なく、常に充分なリソースを割ける状況ではありませんでした。1人のデザイナーが複数案件を担当するケースもありましたが、この1、2年でデザイナーも増え、デザイナーならではのインプットがしやすい環境になりつつあると思います。
櫻庭:今はデザイナーがただ指示された通りに制作する作業員ではなく、チームの一員として企画段階からしっかりと関わることが出来る様になって来ましたね。また今後も、よりデザイナーが貢献出来るような風土になる様に取り組んでいる最中です。
――他社と比較して、サイバードならではの特徴的な部分はありますか?
平山:実は私たちは3人ともここ1、2年で他のゲームメーカーから転職して来まして、以前は比較的大きな組織で開発するコンシューマタイトルにも携わってきました。純粋にゲームを制作する環境としては以前の会社の方が整っている部分もありますが、弊社ではそういった自身の経験も活かしながら、やりたいことを自由にやりやすいと感じています。また、会社がより良い方向へ進むために意見を言える環境であることも利点ですね。
櫻庭:私も今は転職して来て良かったと自信を持って言えますね。環境はもちろん精神的にも自由に働ける社風で、やってはいけない暗黙のルールも一切ありません。提案したことに対してのレスポンスも速いし、何より実現しやすいのは魅力です。
中村:3人とも以前は大手のメーカーに勤めていて、何か提案するにもそのために必要なステップが多かったので、スピード感の違いは全員共通して感じており、環境を変えて良かったと言えることのひとつです。
――自分の考えを表現しやすいと。
平山:風通しが良いのは間違いないです。自分なりの主張を持っている人は働きやすいと思いますが、どちらかと言うと受け身な人は慣れるまで時間がかかるかも?知れませんね(笑)。
――なるほど。とはいえ、少なくともみなさんは働きやすさを感じているのですね。
櫻庭:デザインチームだけでなく社員の誰もが良い人で、入社した時は感動したくらいです(笑)。仕事の量はあっても、負担がかかり過ぎない様に勤務時間も適切に管理されていますし、仮に遅くまで残っていた場合でも、みなさんが声をかけてくれるんです。
中村:これは弊社のカルチャーと言っても良いかと思います。ゲーム開発では追い込みの時期になると、どうしても夜遅くまで働きがちです。しかし、何日も終電で帰る様な状態が続いたりすると、長い目で見ればむしろ非効率ですよね。上司、部下に関わらず声をかけ合い、周囲をサポートすることが習慣化しているのです。
――技術・スキルや環境面で、サイバードならではと言えるところはありますか?
中村:Adobe Creative Cloudなど、一般的に求められるグラフィックデザインツールは基本的に導入しています。また、近年はUI、UXの重要性が語られていますが、弊社では「Prott」というプロトタイピングツールを導入していまして、UIの遷移や画面間の相関関係の質を上げる目的で使用しています。「Prott」だと、たとえ絵心がなくてもスマートフォンひとつあればそのUIが使いやすいかどうかシミュレート出来るため、重宝しています。デザイナーが作ったものをエンジニアやプランナーが手軽に確認出来るのも魅力的です。
平山:「Prott」はもちろん、それ以外にも新しいツールがあれば積極的に導入を検討します。勉強会という形で、試しに触ってみる機会も作っています。
櫻庭:自分次第でスキルアップ出来る環境が用意されているので、使ってみたいツールがあれば、すぐに導入を検討してくれます。
■組織として環境改善に取り組むUX委員会 「モノクラブ」など一風変わった活動も
▲UX委員会ロゴ
――UI、UXといえば、みなさんは社内にあるUX委員会にも所属しているんですよね。こちらはどのような経緯で立ち上がった組織なのでしょう?
中村:立ち上がったのは昨年の春ごろです。それ以前からUI、UXの重要性は多くの場面で語られて来ましたが、会社として体系立てて取り組めていないという課題があったのです。もちろん各プロジェクトごとで気を配ってはいましたが、より横の連携を強めてノウハウの共有を進めることで、同じ様な問題でいちいち悩まず、スムーズに制作出来る様に出来るはずだと考えました。そこで、まずはデザイナーが中心となってUI、UXの品質向上につながる活動を出来るところから進めて行こうと思ったのが組織の始まりです。
――具体的に、どの様な活動をしているのですか?
平山:先ほど話した「Prott」の導入を検討したのも委員会ですし、最近だと必ずしもUI、UXに限定せず、デザイン全体に関わる案件も話し合っています。デザイナーの働く環境の改善であったり、あるいは、その活動を対外的にアピールしたりと多岐にわたります。現在UX委員会には15名ほど所属していますが、メンバーが円滑に作業出来る様に、組織構築にも力を入れているところです。
――15人のメンバーは、やはりデザイナーがメインなのでしょうか。
平山:いえ、デザイナー以外のメンバーも存在しますし、ゲーム事業本部だけでなく、他部署も含め、社内全体のメンバーで構成されています。
中村:現在軸足はあくまでもゲーム内のデザインに置いていますが、弊社はゲーム以外のサービスも幅広くリリースしていますので、今後も社内全体に良い影響が出るように取り組んで行きます。
――委員会が発足してから具体的に変わったこと、実績などはありますか?
平山:「Prott」をはじめ、クラウド型の制作管理ツール「Save Point」などを幅広く導入出来たことは実績と言えますね。効果的にツールを導入することで作業効率が向上し、クオリティも以前に比べて高いものを提供出来ています。それぞれのツールはまだまだ導入期間が短いものの、すでに変化が起きているチームもありますね。また現在は『イケメンシリーズ』をテーマにしたUI、UXのガイドラインも社内資料として作成しており、冊子にしてデザイナーだけでなく非デザイナー職のメンバーにも周知することで、社内全体で共通認識を持てる様に進めています。
それから、これは意識面の話になりますが、サイバードがデザイン面に注力していることを社内の全メンバーにアピール出来ているのも実績のひとつです。これらの活動は私たちが運営しているデザイナーブログでも紹介しており、中途採用で面接にお越し頂いた方にも「ブログを見ました」と言って頂くことが増えて来ました。いずれもポジティブな印象を持ってくれている様で嬉しいですね。
――具体的なガイドラインまで作成するというのは珍しいですね。
中村:冊子にしてまとめるのは確かに珍しいですね。これはデザイナーに限らず全社的に提供して、誰でも閲覧しやすい様にしています。現場からは必要以上に悩むことなく作業を進められるという声もあり、好評です。
――なるほど。他にはUX委員会での取り組みやその他感じたことはありますか?
櫻庭:実績とは少し違いますが、それまで全く接点のなかった別のチームのスタッフから「UI改修について聞きたいです。」と言われる事があって、とても嬉しかったですね。社内全体で、UIに対する意識に変化が生まれて来た証拠だと思います。
中村:昨年の7月からは、UX委員会主導の「モノクラブ」というクラブ活動も行っていまして、これも実績のひとつです。「モノクラブ」では、一見ゲームとは関係のない文化やエンタテインメントに触れて、新たな発想を得ようという目的で始まったクラブ活動です。
陶芸教室で実際に茶碗を作ったり、暗闇の中で歩行や飲食などの体験をする「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」に行ったり、飴細工や食品サンプル制作に至るまで、内容は様々です。普通に考えれば仕事に直接は関係ないことかも知れませんが、気分転換になるとともに感性も刺激されるし、参加者同士のコミュニケーションも活発になります。もちろん軸足は業務に置くのは当然ですが、参加者も多く好評ですよ。
――逆に、改善し足りない点や今後の目標はありますか?
中村:委員会を発足してからはデザインを見直す環境が整って来ましたが、もちろんその結果を我々が提供するプロダクトやサービスに反映しなければ意味がありません。とはいえすぐに結果が出せるものばかりでもないので、継続的に取り組まなければいけないですね。それこそライフワークの様に意識付けていきたいです。
櫻庭:デザイナーだけでなく、会社全体でUI、UXをもっと良くしたいと考えているんです。UX委員会では、そんな思いを後押し出来る様に活動を広げていきたいですね。
――分かりました。では、今後の採用面にも関わってくると思いますが、求めているデザイナー像はありますか?
平山:案件ごとに必要とされるスキルも変わってくるので、これまでにどんな作品に関わって来たかを重視しています。また、画力はもちろんのこと発想力もあると嬉しいです。オリジナル性というか、引き出しが多いとすぐに活躍出来るはずです。弊社はデザイナー側から提案するケースも多いので、知識やノウハウ、業界のトレンドを幅広く知っておいてほしいです。
中村:2Dや3D、映像編集、イラスト等、守備範囲が広ければそれだけ活躍出来るのも事実ですが、そんな方は中々いないので、まずは1つでも絶対に自信があってアピール出来る物を持っているという点を重視しています。あとは必要以上に弁が立つ必要はないのですが、コミュニケーション能力の高い人が望ましいです。デザイナー同士だけでなく、異なる職種間でのコミュニケーションも必須なので。
櫻庭:自分の職種以外のことにも考えが及ぶ人だといいですね。例えばUIのデザインをする時でも、プログラムの知識があるとないとでは、最終的な出来が変わってきます。色々な視点から柔軟に考えられる人と一緒に働きたいですね。
――ありがとうございました。
(取材・文:ライター ユマ)
会社情報
- 会社名
- 株式会社サイバード
- 設立
- 1998年9月
- 代表者
- 代表取締役社長兼CEO 長嶋 貴之
- 決算期
- 12月