【セミナー】Tapjoyがアプリ開発者向けセミナー「ゲームアプリ、海外展開の今」を開催…ミクシィ、Facebook、Tapjoyの海外で成功するための秘訣とは


Tapjoyは、4月19日、渋谷ヒカリエにて、アプリ開発者向けセミナー「ゲームアプリ、海外展開の今」を開催した。
 
本イベントは、アプリデベロッパーのアプリ内アクション率向上と収益最大化を実現するマーケティングオートメーション・プラットフォームで高い評価を得ている「Tapjoy」(タップジョイ)が主催するイベント。
 
当日は、ミクシィの柳本修平氏Facebookの田中俊之氏タップジョイ・ジャパンの佐藤康雄氏只隈茂朗氏らが登壇し、海外進出における最先端の取り組みについて、具体的な事例を交えて講演を行った。
 
本稿では、その様子をレポートしていく。
 

■台湾・北米での展開について『モンスト』の事例と効果を公開

 

 
まず始めに登壇したのは、ミクシィ XFLAGスタジオ アドテク部部長の柳本修平氏。「モンスターストライク 海外の取り組み」というテーマで、『モンスターストライク』(以下、『モンスト』)での海外展開の事例や、最近の取り組みについて紹介した。
 

▲ミクシィ XFLAGスタジオ アドテク部部長の柳本修平氏。
 
現在、『モンスト』は、北米、台湾、香港、マカオ、韓国で配信中であるという。今回は、その中より、北米と台湾において、日本との比較を交えながらUIやマーケティングの違いについてトークを展開した。
 

▲台湾版を2014年5月、北米版を2014年10月にリリースし、利用者数が順調に伸びている。香港・マカオには、台湾版と同じものを提供しているとのこと。
 
柳本氏曰く、台湾のユーザーは日本のトレンド、文化を好むユーザーが多いことから、ロゴやUIをカルチャライズせず、あえて日本のデザインをそのまま提供しているという。逆に、北米では日本版に馴染みがないため、現地の意見を大いに取り入れている。
 
 
▲北米では、ロゴに使われているキャラクター「リドラ」が弱々しく見えたり、右から左に流れるデザインが不自然だという意見があったようだ。
 
 

▲キャラクターは、基本的に同じものを配信しているが、地域ごとに年中行事に合わせてオリジナルキャラクターを登場させることもあるとのこと。
 
ブランディング動画については、「4人で一緒に楽しむゲーム」である部分は万国共通にして制作にあたっているという。また、台湾では街中や地下鉄にOOHを掲載。OOHを行うことでの効果測定は難しいが、台湾の人口密度が高い土地柄や、過去にOOHのみでWeb出稿のコンバージョンレートが上がった経験から、インパクトがあるのではないかと推察しているとの話だった。
 
 
 
 
また、Web出稿の体制についても国ごとに違いがあるという。
 
【Web出稿 体制】
・日本
配信:代理店
製作:代理店
 
・台湾
配信:自社
製作:自社
 
・北米
配信:自社
製作:製作会社、自社
 
配信に関しては、日本のみ代理店、台湾や北米は自社体制を中心に行っているとのこと。始めは代理店を使っていたが、知見を溜めるために自社に切り替えて運用することになったという理由があったようだ。ただし、配信ボリュームが増えたときに自社のを増やすことが難しく、即座に体制が組めないことや、クリエイティブが増やせないといった懸念が柳本氏より語られた。
 
そのほか、製作面では、北米だと日本人の感覚では難しいデザインもあるため、現地の製作会社と協力して作っているとの話も。
 

▲台湾で展開されているWebクリエイティブ。あえて日本語を使っているものもある。三国志をモチーフにしたクリエイティブは好評で、特に「黄忠」の人気が高かったとのこと。 
 

▲北米では、写真右上のようにシンプルなデザインのパフォーマンスが良いという話も。下の二つは、先述した現地の製作会社と協力して作成したものだという。
 
広告をどういったポイントで評価しているかについて柳本氏は、顧客維持率を示す「RR(リテンションレート)」を重視している点が特徴だとコメント。リテンションユーザーあたりのコストを指標としてハンドリングしているとのこと。
 

▲ターゲッティングの仕組みについても語られた。例として、一定期間ゲームから離れてしまったユーザーのデータをリスト化して配信メディアと共有し、よく使っていたキャラクターをバナーとして表示するといった取り組みを行っていることを挙げた。
 
最後に、柳本氏は、各国ごとの違いについてまとめ、講演の締めとした。
 
・北米
ローカライズが一定レベル必要
ユーザーは多様でターゲッティングが重要
AdNWは有象無象が存在し、詐欺っぽいものもある
広告技術は先進的
リーチを取る広告もWebが中心
 
・台湾
日本のコンテンツのままでも一定レベル受け入れられる
ユーザーは均一
TVCM、OOHを実施
 
・日本
ユーザーは均一
北米に比べれば広告技術は発展途上
 
 

■「何を」「誰に」「どう」広告で訴求すべき3点を解説

 


続いて、Facebook Client Partner,Global Gamingの田中俊之氏が登壇。「Go Global with Facebook - クリエイティブの最適化ソリューションについて」というテーマで講演を行った。
 

▲Facebook Client Partner,Global Gamingの田中俊之氏。
 

本講演では、クオリティの高いクリエイティブを作るため、ユーザーの興味を引くために重要となるポイントを3つに分けて紹介した。
 

▲田中氏は、Facebookの広告を活用するにあたって、ユーザーが反応しやすいポストの間に入らなければならないことを述べた。
 
●何を伝えるか
 
まず始めに、「何を伝えるか」。ゲーム業界の広告について、田中氏は日々、表現方法が似ているものが多いと感じているという。これについては、訴求内容が差別化できていないのではないかと考えているとのこと。田中氏は、クリエイティブは、ゲームをインストールさせるだけではなく、長期間遊んでもらうためのモチベーションになり得るブランドを感じてもらい、好きになるきっかけになるべきだと言及した。また、これを理解するために参考となるひとつの講演動画を紹介した。
 
サイモン シネック: 優れたリーダーはどうやって行動を促すか

 
 
多くの広告で、「What(何が)」や「How(どのように)」が優れているかは伝えられているが、「Why(何故)」について触れられていることが少ないという。Facebookでは、どのような想いで、何を信念としてゲームを作成し、ユーザーにどう遊んでほしいのかを重視しているとの話だ。また、これらを「ゲームのCore Value」と定義して抽出し、ダイレクトレスポンス広告からでもブランドを構築できる訴求内容を組み立てていくプログラムを実際に展開しているとのこと。
 
●誰に伝えるか
 
続いて、「誰に伝えるか」。最もやらなければならないのは「オーディエンスインサイトの分析」だと切り出した。海外展開をする際、ユーザーのペルソナ作成や分析は、日本のものの流用や、現地のものが翻訳されただけで後回しになるケースが多いという。Facebookでは、ユーザーインサイトに関する強力なソリューションがあるため、データセットを分析することで関連性の高いユーザーを探すことができるとのこと。
 
 
▲ユーザーインサイトをベースにしたクリエイティブを作成することが可能となることで、各国のユーザーが求めているものを提供できるとの話だった。
 
●どう伝えるか
 
最後に、「どう伝えるか」。現在、Facebook上で最も使用されているクリエイティブは「ビデオ」だが、製作する際にはモバイル用、ニュースフィード用に構成しなければならないという。今回の講演では、その際に気を付けるべきことについて、田中氏より語られた。
 

▲Facebookでビデオ広告を作成する際に注意すべきは、「最初の3秒」と「無音」とのこと。
 
比較として、TVCMではストーリーを展開するために導入を入れることもできるが、モバイルではユーザーの注意を引くためにまず最初に何を投げかけていくべきかが大事であると解説。その技術として、同じ場面を繰り返し再生したり、音声無しでも伝わるようテキストを入れるといった工夫が明かされた。
 
最後に、ローカライズを単なる翻訳と捉えてしまうと、伝えたいものが明確であっても伝わらない危険性があることを述べて講演の締めとした。
 

▲田中氏の講演まとめ。これらの点が、ユーザーの興味を引くために重要となる。
 

■Tapjoyが支援する海外展開 ~ Tapjoyの3つの使い方~

 

 
最後に、タップジョイ・ジャパン 執行役員の佐藤康雄氏と、部長の只隈茂朗氏が登壇。「Tapjoyが支援する海外展開 ~ Tapjoyの3つの使い方~」というテーマで講演を行った。
 

▲タップジョイ・ジャパン 執行役員の佐藤康雄氏。
 
 

▲まず始めに佐藤氏よりTapjoyの紹介が行われた。Tapjoyでは、以前から提供をしてきたリワード広告のネットワークに加え、現在ではマーケティングオートメーション・プラットフォームを提供し、分析からマーケティングアクション、マネタイズまでを一気通貫で支援しているという。
 
●海外展開時のTapjoyの使い方 ~収益最大化のために皆がやってくださっていること~
 
続けて、「海外展開時のTapjoyの使い方 ~収益最大化のために皆がやってくださっていること~」を題材に、「集客」、「分析とマーケティングオートメーション」、「広告マネタイズ」の面から話を展開した。この3点に関して機能開発を行ってきたという佐藤氏は、海外展開をする際には必須の領域だと感じていると語る。
 
【集客】


集客においては、当たり前のようだが、やはり広告メニューの使い分けとセグメントの活用が必須と語る。ここでは、時間の経過と広告メニューの使い分けによる米国でのユーザー獲得の推移事例を紹介。ローンチの際にCPIと動画広告で初速を上げ、アクティブ・非アクティブのユーザーが確認できたところでリターゲティングやCPE、動画広告を展開。その先でそのゲームにとってベストなパフォーマンスを出す広告メニューが分かってきたところで、ここからはゲーム内の新規イベント実行時や新機能投入時などに合わせて、より最適な広告メニューを使用してユーザーを獲得していくという。
 

▲例で挙げた米国マーケットにおいても、ユーザーは多様であることからセグメントの活用は必須と語る。Tapjoyでは、デバイス情報を中心に、アプリ利用動向など、主に5つの情報からセグメントを作成して活用することで最適化を図っているとのこと。
 
【分析とMA】


集客の後には、ゲーム内において集客したユーザーを定着・活性化させるために、各種分析や将来予測を活用し有意なユーザーセグメントを特定の上、マーケティングアクションを実施していく必要性があることを強調した。
 
Tapjoyのマーケティングオートメーション機能を活用することで、狙ったユーザーセグメントにリアルタイムでメッセージを出したり、プッシュ通知を配信したりすることが可能になるとのこと。「A広告経由の流入ユーザーだけにキャンペーン告知」を実施したり、「7日間休眠で課金経験のあるユーザーだけに自動でプッシュ通知」することなどを例として挙げた。
 

 
【広告マネタイズ】
 
日本では主に課金での売上が成功していることもあり、広告マネタイズに対してはまだまだ積極的でないケースもあるが、海外では広告マネタイズが必須の検討事項であることが、事例紹介と共に佐藤氏より語られた。
 

▲全体の売上を100%とした場合に、広告と課金の売上比率を表したグラフ。米国や英国では、日本と売上の比率が逆転していることが分かる。
 
ここからは只隈氏が登壇し、海外での集客事例や広告マネタイズを使った事例を紹介した。
 

▲タップジョイ・ジャパン 部長の只隈茂朗氏。
 
Tapjoyを使ってアプリの広告を実施するには、「CPI」、「CPE」、「ビデオ広告」という3つの方法があるという。その中で、まずは「CPI」を実施した事例を公開した。
 
 
▲Tapjoy経由で獲得したユーザーの27%がアカウントを作成。非常に高い成果を誇ったとのこと。
 
また、動画広告を実施した事例として、60日で広告費用の100%を回収できたこと、他の動画広告に比べ、約3倍の課金率を得られたことが紹介された。
 
 
▲Tapjoyで広告マネタイズを実施しているIPを活用したゲームアプリの一例。またトップセールスに入っているアプリもTapjoyで広告マネタイズを実施している。
 
次に、マネタイズの事例を紹介。具体的なメニューとしては、「オファーウォール」、「インタースティシャル広告」、「ダイレクトプレイ(動画広告)」の3つがあるという。
 
まず、オファーウォールでは、ユーザーをどのように遷移させるかという方法が変化しているとのこと。Tapjoyでは、3月にリリースした「Native to Earn」という最新のユニットを使って、新しい遷移の提供を行っている。これにより、空いているスペースにバナーやボタンを(非課金ユーザ—等の)セグメントされたユーザーにだけ表示し、オファーウォールに効果的に誘導している事例が紹介された
 
 
 
そのほか、只隈氏は、動画広告を入れる理由には、「ユーザーの継続率向上のためにインセンティブを付与すること」、「動画広告収益の最大化を計るため、インタースティシャルで動画広告を表示すること」などがあると説明した。
 

 
【インセンティブを付与する場合の事例】
 
 ▲動画広告でインセンティブを付与する場合の事例。インセンティブは仮想通貨の付与以外に時間短縮や、獲得したコイン等をX倍にするといった事例を紹介。

【インセンティブを付与しない場合の事例】


北米で利用されている、インセンティブを付与しない事例では、一定のところまでゲームが進むと、テレビCMのように動画広告が流れてくる。こちらは強制視聴となっており、見終わるとゲームを再開できるという。只隈氏は、日本ではまだ馴染みがないため違和感があるかもしれないが、YouTubeで目的の動画を視聴する前に広告が入る感覚に近いと説明した。

インセンティブを付与、付与しないに関わらず、動画広告は見せる頻度と見せる箇所を慎重に設計する必要があるとのこと。最後に、海外展開を行う際は、日本の感覚より貪欲に広告マネタイズを実施した方が成功に繋がるケースが多いと述べ、講演を終了した。
 
 
(取材・文:編集部 山岡広樹)
 
 
 
■関連サイト
 

Tapjoy公式サイト


 
株式会社MIXI
https://mixi.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社MIXI
設立
1997年11月
代表者
代表取締役社長 木村 弘毅
決算期
3月
直近業績
売上高1468億6800万円、営業利益:191億7700万円、経常利益156億6900万円、最終利益70億8200万円(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2121
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Meta(Facebook)

会社情報

会社名
Meta(Facebook)
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