【NDC16】日本では見られない競技スポーツ感たっぷりのe-sports専用施設「Nexon Arena」取材レポート 施設運営担当者へのインタビューも実施
ネクソン<3659>の連結子会社であるネクソンコリアが、4月26日~4月28日の期間、ネクソンコリアのオフィスおよび近隣施設にて、開催している韓国最大規模のゲーム開発者の祭典「Nexon Developers Conference 16(NDC16)」。
今年で10周年を迎えるNDCは、世界中からゲーム開発者が集いゲーム開発に関するノウハウや経験の共有を目的に、2007年より開催されているカンファレンスだ。
本稿では、NDC16を開催するネクソンコリアが、韓国の江南(カンナム)にて、2013年12月より運営しているe-sports専用施設「Nexon Arena」を取材する機会をいただけたので、施設内のレポートや運営担当者へのインタビューをお届けしていく。
■韓国のゲーマーたちが熱狂する「Nexon Arena」とは?
本会場では、最大7 vs7のチーム対戦ができよう、選手のブースが設けられているという。取材日には、『スタークラフトII』の試合が行われていた。また、プロリーグだけではなく、アマチュア大会の決勝戦が行われることなどもあるという。
▲会場前面の巨大スクリーンで試合を中継。実況や解説もばっちりサポート。
▲出場選手はブースの中でPCを操作。余計な音や視界が遮断されているため、試合に集中することができそうだ。
▲チーム戦時には、5人まで待機選手が座れるスペースが用意されている(写真左)。また、韓国のプロチームにはスポンサーが付いていることも少なくないとのこと。
また、プロモーションラウンジでは、大会とは別に舞台を用意し、プロモーション活動が行われている。
▲メイン会場の客席(500席)が埋まった際には、来場者をこちらのスペースに誘導することもあるとのこと。入場無料の時代には、1200人以上の来客があったとの話も。
▲これまで、Nexon Arenaで開催された大会の詳細を掲示。優勝者や賞金、日程についても記載されている。
▲本会場は、日本円にして約300円で入場可能となっている。チケットはインターネットでも購入可能で、入場料から得られた収益はすべて寄付に充てられている。
続いては会場の2Fへ。ここでは、観客席のほか、カフェラウンジでポップコーンの販売が行われていたり、大会を終えた選手と触れ合えるスペースが設けられていたり、1Fよりさらにゆったりと観戦できるスペースが用意されていた。
▲こちらは、試合の中継を行っている放送室。
最後に、Nexon Arenaの運営・管理を務めるShim Hyun氏へのインタビューを実施。Nexon Arena設立のきっかけや、韓国のe-sports事情を伺ってきた。
▲Nexon Arenaの運営・管理を務めるShim Hyun氏。
――:Nexon Arena設立の経緯を教えてください。
Shim Hyun氏(以下、Shim):1番のきっかけは、ユーザーがゲームとe-sportsに触れられるスペースを作りたい、コンテンツの裾野を広げようという想いからです。また、Nexon Arenaは放送局と共同で設立しており、e-sports専用のチャンネルも用意しました。
――:ネクソンが大会を主催することもあるのですか?
Shim:アリーナで開催されている大会は大きく2つに分けられます。ネクソンゲームの大会につきましては、ネクソンが主催してアリーナで開催しています。一方、取材日に行われていた『スタークラフトII』の大会などを含め、韓国のe-sports協会が開催しているパターンもあります。
――:試合はどのくらいの頻度で行われているのでしょうか?
Shim:一年を通して1~2ヶ月ほどオフシーズンを除けば、ほぼ毎日、リーグが行われております。夏休みや冬休みなど、来客が多い時期には、複数のタイトルでリーグが2度開催されることもあります。逆に、オフシーズンは、週末こそスケジュールが埋まりますが、平日は1~2日の開催になりますね。これは、出場選手の中に学生の方が多いので、試験期間と重なることが大きな要因となっています。
――:来場者の年齢層や男女比はいかがですか?
Shim:10代後半~40代まで幅広く来場いただいている印象です。開催されている大会のタイトルをどのユーザー層が楽しんでいるかという影響が大きいですね。その中でも、20代~30代前半の方が最も多いと感じています。男女比につきましては、9:1ほどで男性が圧倒的に多いです。ただし、『アラド戦記』など、女性ユーザーの来客が増えるゲームも存在します。また、声援を送ったり、積極的にアピールをするのは主に女性ファンですね。
――:e-sports専用施設というのは、韓国では馴染みのあるものなのでしょうか?
Shim:はい、e-sportsの競技場というのは韓国では珍しいものではありません。
――:では、その中でNexon Arenaの規模はどの辺りの位置付けになるのですか?
Shim:Nexon Arena以外に、もうひとつオンゲームネット(OGN)がソウル市と手を組んで大規模に展開しているe-sports施設があるのですが、そこに次ぐ規模となります。ゲーム会社が運営するe-sports専用施設としては、Nexon Arenaが唯一のものであることは間違いありません。
――:入場料が約300円というのはかなり安く感じるのですが、経営についてはどのように考えておられるのでしょうか。
Shim:そもそも入場料が安いのは、売り上げや販売を目的としたものではないからです。以前、入場料無料の時代に来場者が多すぎて雨が降る中300人ほどのお客様を待機させてしまった経験から、そういった状況を防ぐために、来場しやすい範囲で入場料を設けさせていただきました。
――:では、運営に関する資金についてはどこから調達されているのですか?
Shim:Nexon Arenaの運営に関しては、全額ネクソンから別途予算が組まれて投資されているという形になります。
――: Nexon Arenaの今後の展望をお聞かせください。
Shim:設立のきっかけになった部分でもありますが、ゲームとe-sportsの裾野を広げたいという想いは変わらず持ち続けています。今後、より多くの方に気楽にゲームに触れてもらうために、スペースを拡大していくことも考えております。
(取材・文:編集部 山岡広樹)
■関連サイト
会社情報
- 会社名
- 株式会社ネクソン
- 設立
- 2002年12月
- 代表者
- 代表取締役社長 イ・ジョンホン(李 政憲)/代表取締役CFO 植村 士朗
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上収益4233億5600万円、営業利益1347億4500万円、最終利益706億0900万円(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3659
会社情報
- 会社名
- NEXON Korea(ネクソンコリア)