はじめましての人も、そうじゃない人も、こんにちは。
とあるエンタメ企業の板垣です。2戦目です。
さてさて、弊社では「にゃんこ大戦争」というアプリを運用中でして、様々な企業様とコラボもさせていただいております(大人気アプリです!皆さん引き続きヨロシクお願いします!)。
今回は、その「にゃんこ大戦争」を、もしe-sports化するとしたら何をしたら良いのだろう?というのを、「運用チームに黙って勝手に考えてみよう」かなと。
怒られるかなぁ?
にゃんこ大戦争に限らず、他社のゲームでも同じことが言えると思いますのでね。まぁ大丈夫ですかね。
※「にゃんこ大戦争」がe-sports化されるという宣伝記事では「一切ありません」ので、予めご了承ください。
第1戦(過去記事)はコチラ
●「にゃんこ大戦争」って?
2012年末にリリースされたラインストラテジー型のシミュレーションゲームです。今年に入ってからは世界累計2400万DLを突破しました。スゴイですね!キャラクターが非常に特徴的で、そこが人気の秘訣となってます。
(http://www.ponos.co.jp/iphone/jp/appli/battlecats/battlecats.html)
プレイヤーの目的は「相手の城を破壊する」こと。出陣スロットの「にゃんこ達」を使って、敵陣を突破して城に辿り着き、城の破壊を目指します。ゲーム全体の流れは、下記のようなシンプルな流れになっています。
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最強の出陣スロットを組んで、どんどんステージクリアをして、ポイントをたくさん貯める。
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貯めたポイントを使って、にゃんこを強化。そして、さらに最強の出陣スロットを組む。
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● e-sports化するって??
前回の記事では、e-sports化する為には「ゲーム性側からのアプローチとしては、下記のすべてを満たしている必要がある」という話をしました。
・「他人と真剣勝負が出来るかどうか?」
・「公平感があるかどうか?」
・「相手との駆け引きが頻繁にあるか?」
・「やってない人も、見ていて楽しいか?」
にゃんこ大戦争は、元々こういった体験をコンセプトにしていないので、本来はe-sports化には適していません。
なので、今回は「無理やりe-sports化する方法を考えた」場合どうなる?という話になります。
これは、にゃんこ大戦争に限らず「現在、e-sports化に向いていないゲームを、無理やりe-sports化しようとした場合、何が必要なのか?」という話にも置き換えることが出来ますよね(そんな無駄なことして何になる?というツッコミが目に浮かびますが)。
では、考えてみたいと思います。
● 他人との真剣勝負が出来るように
にゃんこ大戦争は、ステージクリア型の一人で遊べるタイプのゲームです。なので、まずは対戦出来るようにする必要がありますね。画面左の城から出てくる敵が、現在はコンピュータなわけですが、他のユーザーが操作する敵と戦えるようになるイメージです。
【どんな課題がありそう?】
アプリ側だけでCPU敵と戦っている所を、サーバーを介して他人と対戦するように作り替えることが出来れば、他ユーザーと対戦することが出来ます。その対戦部分を、メインの遊びにシフトさせていき「相手に勝つこと」がゲームの目的になり得れば、e-sportsとして成り立ちそうな気はします。
…が、言葉にすると簡単に見えますが、そもそもの設計が違う為、これが結構、イチから作るのと同じくらい大変な作業なのです。
日々の運用&改善をしながら…ということを考えると、他人と戦えるようにするには、ザッと開発に1年くらいは掛かりそうな気がします。前述の通り、機能追加というよりは、作り替えに近い事をしなきゃいけないので、「出来なくは無いが時間もお金も掛かる」のが悩み処です。
※ちなみに「3DS版にゃんこ大戦争には対戦機能が入っています!」そちらもぜひどうぞ!
(http://www.ponos.co.jp/3ds/battlecats/index.html)
● 公平感が機能するように
公平性を保つ為、対戦専用の仕組みや、新たなルール作りが必要となりそうな気はしますね。例えば「対人戦としてキャラを使う際は一律レベル1となる」ような(ポケモンの対人戦での「一律レベル50での対戦」のような)。
あとは、対戦相手を決めるマッチングの仕組みも大事ですよね。サッカーで例えると、小学生チームと社会人チームが戦うような事は避けるようなイメージです。
【どんな課題がありそう?】
対戦専用とはいえ、ユーザーさんが今までやってきた努力が無駄とならない形での仕組み作りが必須となりますよね。例えばですが、対人戦用のレベル差を計る物差しを新たに作り、理不尽な戦い(不公平な戦い)を無くす仕組みを用意するのが、まず一つ。その上で、レベル差に応じて、使える使用できるキャラが増えていくような形とかはどうですかね?(入手済のキャラも、レベルさえ上げれば使えるようになるイメージ)
どうかなぁー、理不尽かなぁ…
まぁどんな形であれ、ユーザーさんが今までやってきた努力が無駄とならない形で調整出来れば、e-sports化出来る可能性はあるかなと(案外、やってみたらそのままでもイケる可能性もあるのですが、なんとも言えないですね。経験上、それ用の調整が必要だとは思います)。
● 対戦相手との駆け引きが成立するように
にゃんこ大戦争は、駆け引きが頻繁に発生するゲームシステムになっているので、e-sports向きだと思います。とても面白そうです。
だからこそ、「対人戦で自分の力を試したい!」という声もよく聞きますね。
では、対人戦で駆け引きを成立させるにはどうしたらいいでしょうか?
【どんな課題がありそう?】
出陣スロットを作る際、「このステージは赤い敵が出てくるから、赤に強いキャラを入れておこう」などと考えながら作りますよね。
それと同じような考え方で、対人戦にも「対戦相手はこうやって攻めてくるかもしれないから、このキャラを入れておこう」という、事前のセッティング戦略周りの要素が必須になってきます。そのセッティングを元に、対戦中の駆け引きを行っていくことになりますので。
なので、対人戦専用に、キャラに特性付けをする必要がありそうです。(出来るだけ既存のバランスに合わせた状態で)
「対戦の為の特性バランス」を調整して、すべてのキャラに対人戦用の意図を持たせるようなイメージですね。
● やってなくても、見るだけで楽しいように
にゃんこ大戦争のワチャワチャ感は、ボーッと見てられる要素だと思います。演出面に限らず、「同じ人達が戦ったとしても毎回違う結果になるようなドラマ性」があるか?という観点からも、映像として面白くなりそうな気はします。その上で、「やってなくても見て楽しいコンテンツ」にするには、どうすれば良いでしょうか?"
【どんな課題がありそう?】
今は、ユーザーさんがyoutubeなどに有志で動画を上げてくれいる状態ですね。その動画の楽しみ方としては「このステージって、こうやってクリアするのか!」という攻略要素的な意味合いが強いです。プレイしたことある人が、自分から探しに行って楽しむ方向性。
e-sports化するとなると、上級者達同士のプレイ動画を公式で見れるようにするなど「見る場所を増やす」という事を、運営側でもやっていく必要がありますよね。ゲームの中に、そういう機能を入れてみたり、外部業者と連携してみたり。加えて、「その動画の楽しみ方」もセットで分かりやすく提示していければ、「ゲームをやっていない人でも見て楽しい」という域にまで持っていける気はします。
● つまり、どうする?
何かしらの対戦機能を入れる。
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対戦用の専用ルールを作る。
↓
専用ルールに基づいて、ゲーム性(戦略周り)を調整する。
↓
ゲーム性に基づいた、全体のバランス調整を行う。(ユーザーさんの努力が無駄にならないように注意しながら)
↓
それらを、プレイしたことない人でも楽しめるコンテンツにする。
↓
そして世界へ。。。
結構、大変そうですよね。チョチョイのチョイっと出来る感じではないので、だいぶ腰を据えて作る必要がありそうです。
気軽に「e-sports化してみよう!」なんて言ったら怒られちゃいますね。現実的ではないかも。
とは言いつつ、実は裏で仕込んでる可能性もあるかも?なので、僕の方では何とも言えないですな。
(にゃんこ大戦争の情報をまるで知らない男!板垣。)
● 既存のゲームをe-sports化するということ
というわけで、最初からe-sports向きにするかどうかを考慮したコンテンツじゃないと、後から対応するのはとても大変だろうなぁ、という話でした。
当たり前の話ですね。(よく言われていることですが、改めて。)
今は、賞金大会を開いたりすることで既存ゲームのe-sports化を目指す動きが多いですね。ただ、ゲーム自身がe-sports化に向いてないモノだとすると、いまいち盛り上がりに欠けて終わってしまう、というジレンマがあります。
マーケティングの話、マネタイズの話が先行する中、「e-sportsに向いているゲームって何だ?」というゲーム性の話も、思った以上にちゃんと考えなきゃいけないなと。
改めて思い直した、今日此の頃でした。
●現在、鋭意採用中!
ポノス株式会社は本社が京都ですが、東京でも元気に営業中!
東京では、「見てる人が楽しい」をコンセプトにしたスマホ向けe-sports用タイトルの開発を進めています。現在、仲間を募集中!
興味ある方は、ぜひ一度お越しください!
著者
板垣護
ポノス株式会社、大江戸オフィスの総括。プランニング、ディレクション、プロデュース全般が専門で、エンターテイメント業界歴は15年くらい。好きなゲームは最近だとスプラトゥーン。だが、風雨来記というマニアックな旅ゲームまでカバーしてたりなど、ジャンルに隔たりがない公平なゲーム知識がウリ。ちなみに、『スプラトゥーン』ではS帯を行ったり来たり。ウラ甲子園に出場するも勝てた試しはない。
■バックナンバー
・★スマホe-sports★戦の時間だバカ野郎! 第1戦「『クラッシュ・ロワイヤル』はe-sportsタイトルとなりえるのか?」
会社情報
- 会社名
- ポノス株式会社
- 設立
- 1990年12月
- 代表者
- 辻子禮子、辻子依旦
- 決算期
- 11月
- 上場区分
- 非上場