最先端技術やユニークかつ懐かしさも融合したVRコンテンツが40近くも展示 秋葉原でVR三昧…「Unity VR EXPO AKIBA」取材(前編)
ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンは、7月17日、東京・秋葉原の「アキバ・スクエア」において、Unityを使って開発されたVRコンテンツの展示会「Unity VR EXPO AKIBA」を開催した。
「Unity VR EXPO」はUnityを使って開発されたVRコンテンツの展示会。会場内では大手開発会社から個人開発者まで、様々な企業・団体・個人が開発しているVRコンテンツの展示が行われた。前売りチケットを通した参加者数では、一般・学生を合わせて約1,000名規模にものぼり、VRコンテンツの関心の高さをうかがわせた。
本稿では、「Unity VR EXPO AKIBA」のレポート前編として各ブースの模様をお伝えしていく。
■講談社が放つVRプロジェクトが始動
既報(関連記事)だが、VRコンテンツを起点にイベント・商品開発などを行う講談社のアイドルキャラクター事業「Hop Step Sing!」が出展。その本事業として制作するVRコンテンツ第一弾『キセキ的 Shining!』は、VRならではの臨場感が楽しめるフルCGライブステージ動画アプリだ。スマートフォンをVRゴーグルに入れて、手軽に本映像を鑑賞できるアプリの形でGoogle Play、App Storeで8月中の有料配信を計画中。また、様々なVR機器へ対応させたバージョンの制作や、国内外のVR動画配信サービスへの提供も予定という。
アプリの開発には、音楽プロデュースを株式会社ランティス、映像プロデュースを株式会社ポリゴン・ピクチュアズが担うといった、TVアニメなどの第一線で活躍するスタッフが集結。キャラクターの声優は歌唱力重視で採用された若手の指出毬亜さん、鳥部万里子さん、日岡なつみさんが担当している。
実際に会場でVRを装着して体験。ポリゴン・ピクチュアズの繊細な3D表現はもとより、ダンスや演出、そして歌唱力重視で採用されたというのも頷けるほどの素晴らしい歌声、デモ版とはいえ好印象を受けるコンテンツとなっていた。今後VRアイドルらしさをどのように打ち出していくのかが注目される。
講談社は、VRコンテンツ制作を中核業務としたチームを新設するなどの気合の入れようだ。同社は、楽曲をVRコンテンツとしてリリースし、先端技術をエンターテインメントに積極活用する「VRアイドル」としての地位確立を目指すという。また、グローバルなキャラクターとして人気を獲得し、将来的にはライブイベントや企業タイアップといったバーチャル芸能人としてのビジネス展開も計画。「キャラクターの力によるオープンイノベーション」として、キャラクター3Dデータやシナリオデータを企業、研究機関、個人開発者に提供し共同研究する取り組みも実施するようだ。
■急降下など荒々しく揺れ動くドラゴンにまたがる
実際に体験したゲームシーンは上部の動画と変わらないが、程よい風(小型扇風機・スタッフによるうちわ)やドラゴンの動き(乗馬マシン)が相まって、かなりの臨場感だった。ドラゴンに身を任せながら、視点で迫り来る敵に狙いを定めて、Viveのモーションコントローラーのトリガーを引いて撃墜する。揺れ動くドラゴンの動きなど、その面白さをコンシューマタイトルで例えると、さながらセガサターンの名作ゲーム『パンツァードラグーン』の如く。
■「介護訓練VRシステム」…今後は持ち上げた感覚も意識
株式会社スリーディーは、仮想空間内で被介助者モデルに触れることができる介護訓練シミュレーター「介護訓練VRシステム」を展示。大きな特徴は、モーションキャプチャーシステムやKinectセンサーにより計測した介助者(ユーザー)の挙動情報をもとに、VR内部でリアルタイムに被介助者モデルとの接触力を計算できること。
展示されていたコンテンツでは、被介助者モデルをうまく抱きかかえるには、少々テクニックが必要であったが、将来的には豊橋技科大で開発中の「身体装着型ハプティックインタフェース」や他のハプティックデバイスを用いて、力覚情報をユーザーに伝えることで、ユーザーに「持ち上げた感じ」を与えることが可能になるという。
▲会場では、ユーザーがPC上の仮想オブジェクトに触れて操作できるデバイス「Geomagic Touch(ジオマジック タッチ)」も展示されていた。
■ユニティちゃんになりきって歌えます
ユニティちゃんの異様な被り物でギャラリーを集めていた「なりきりカラオケVR」。お手製の被り物の中にはモバイルHMDが組み込まれており、映像ではユニティちゃんの目線でステージに立つ光景が広がっていた。楽曲はユニティちゃんの代表曲でもある「UNITE IN THE SKY」、歌詞を追いながらVR上のステージで歌える。
■往年のゲームファンには堪らない本格操作が楽しめる対戦STG
Gear VRで体験する対戦型ハイスピードアクションシューティングゲーム『DOPAMINE』。アーケードで一世を風靡したセガの『電脳戦機バーチャロン』のコンシューマ用コントローラーを駆使して、宇宙(そら)を自由に飛び回りオブジェクトを破壊していく。
操作方法が『電脳戦機バーチャロン』と変わらないのは、往年のゲームファンとしてはニヤリとなるだろう。スティックを前に倒せば前進、後ろは後退、左右のスティックを互い違いに上下すれば旋回、左右に振ればブーストなど。基本的には、右トリガーを押すことでメインショットが撃てる。特徴的なのは、オブジェクトに視点を合わせることでターゲットし、左トリガーでホーミングレーザーを放てること。これがまた快感。
ふたり同時プレイも楽しめて、同じ空間内でスコアを競い合うことができる。また、メインショットで相手アバターを打つと相手のスコアを減らすこともできて、対戦は白熱すること請け合い。
■秋葉原の中心でエネルギーボールを繰り出す
様々なテレビ番組などで取り上げられているウェアラブルデバイスとARで実現するテクノスポーツ『HADO』は、会場入口にブースが置かれていたため、道行く人たちの注目を浴びていた。本作は長崎ハウステンボスで常設されているほか、期間限定ながらも多くのテーマパークでも設置されたことのある話題沸騰のコンテンツだ。当日は、最大3人1組のチームを作って遊ぶ「対人戦」が楽しめた。
頭にHMD、利き腕にアームセンサーを装着すれば準備完了。腕を前に突き出してエナジーボールを撃ち、相手のライフをより多く削ったほうのチームが勝利となる。腕を下から上に振り上げてバリアで防御ができるのだが、ゲージを消費するため「ここぞ」というときに発動するのがセオリー。ただ、味方がバリアを張っている際に、その後ろに隠れて応戦するなど、チームならではの立ち回りも可能だ。
避ける際には、そのまま体を動かしてエナジーボールを避けていくといった、フィールドを自由に動き回り味方と連携して楽しむ、まさにテクノ“スポーツ”といえよう。
【当日の模様を動画で】
■スマホをVRに持ち込んでみたら、こうなった
「スマホをVRに持ち込んでみた」では、その名の通りVR内でスマートフォンを操作することができる。ユニティちゃんのライブ会場でスマホを取り出して、カメラで撮影してはツイッターに投稿できるなど、一連のスマホならではの操作が楽しめる。両手で上下左右に引っ張れば、スマホの拡縮もできる。VRに特化したUIを作るのもいいが、目の前で踊るユニティちゃんを、馴染み深いスマホ操作で撮影できる独自の楽しみ方が味わえるコンテンツだ。
■夢の“お姫様抱っこ”をVRで! 目と目が合うとちょっと照れる…
『ソード&プリンセス』は、「姫を助ける勇者になろう」をコンセプトに、お姫様抱っこしながら楽しめるVRロールプレイングアトラクション。プレイヤーは、姫を抱きかかえたまま敵の魔法を避けていく。ただ避けるのではなく、姫に当たらないように立ち回らないといけないため、その姿はさながら勇者のよう。
▲姫の重さと姿勢は水袋などで擬似再現されている。
▲正面からは敵が魔法を繰り出してくる。
▲右隣りに目線を向けると、姫の顔が目の前に。抱きかかえている感触と、表情や声 (CV:四ッ谷ちとせさん) も相まって、目が合うだけでも少し照れくさい。そういう意味では、姫を守りながら戦う勇者になる感覚をきちんと演出されている。
▲姫に見惚れていたら、敵の魔法も避けられないため、真剣に姫を守り抜こう。ちなみに、ゲーム後半では思わぬ展開が待ち受けている。爽快感抜群の展開なので、ぜひ体験する機会があった際には、最後まで楽しんでほしい。
【当日の模様を動画で】
■賽の河原をVRで体験 この苦行が妙な癖に
“無駄な努力”の例えとしても使われる「賽の河原」をまさかのVRで体験。冥土の三途の河原にて、供養のため石を積んで塔を作り、鬼がそれを壊しに来る流れをそのままゲームシステムに。操作方法はトリガーを押して地面に落ちている石を掴み、離しては積み上げていく。河原には飛行している鬼と巨大な鬼が迫ってくるため、落ちている石を投げつけて撃退していく。制限時間内に多くの石を積み上げると、ランクが決まる。
▲適当に積み上げるとすぐに崩れてしまうため、大きい石から順々に積み上げていく。しかし、積み上げていくことだけに気を取られていると、鬼が近くまで迫ってきてしまう……。シンプルなゲームながらも、きちんと楽しめるほどのゲームバランスが備わっている。
■難度の高い縦列駐車では思わず後ろを振り返り…
Oculus Riftとステアリングコントローラーを使って自動車の車庫入れに挑戦できる『3D駐車シミュレーター』。教習所に置いてあるドライブシミュレーターのようだが、HMDを装着すれば、たちまち車内の運転席に。コンシューマ用のドライブコントローラーで、駐車場に車をうまく停めていく。現実世界でも難度の高い縦列駐車なども存在し、ついついバックの際には後ろを確認しながらペダルを踏むといった確かな臨場感が味わえる。
■実際に歩行して進んでいく臨場感抜群のFPS
多摩大学彩藤ゼミLEPが手掛けた『Law Enforcement Project』は、一見よくあるFPS(一人称視点のシューティングゲーム)と思いきや、じつは実際に歩行しながら進んでいくゲームとなっている。ゲーム中は、狭い通路を進んでいき、目の前に現れる敵を撃退していく。
▲狭い通路だからこそ行動が制限されるため、接触することなく壁づたいに歩くことができる。
▲途中、小型のエレベーターに乗り込むシーンがあるのだが、そこにもきちんと段差が用意されており、思わず驚く。
■『ピナのVR撮影会』…クロマキー合成の話題も
ドスパラブースでは、シーエスレポーターズの『ピナのVR撮影会』が展示されていた。学校を舞台にした本作は、モーションコントローラーでカメラを手に取り、目の前の女子高生の個人撮影会が楽しめるというもの。実際に目に映る彼女と、カメラ越しの彼女、ふたつの視点で楽しめるのが特徴。また、現在はVRの世界をプレイ中の人物と一緒に映し出せるクロマキー合成も開発中という。2016年9月15日より開催される「東京ゲームショウ」にも出展が決定しているようだ。
▲ゲームパソコン「GALLERIA」やVR関連機器などが販売されていた。なかでも先日国内販売パートナー実店舗での販売を開始した「HTC Vive」も会場で販売しており、実際に購入した方もいたようだ。
そのほかの出展ブースのレポートは後編に掲載。
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