ドリコム<3793>は、7月27日、東京都内で2017年3月期の第1四半期(4~6月)の決算説明会を開催した。同日に発表した第1四半期の連結決算は、売上高17億5000万円(前年同期比7.1%増)、営業利益2億3300万円(前年同期2億500万円の赤字)、経常利益2億2200万円(同2億1000万円の赤字)、四半期純利益1億1500万円(同1億5300万円の赤字)と黒字転換を達成した。
説明会では、同社の内藤裕紀社長が2017年3月期の第1四半期(4~6月)の実績や今後の戦略についての説明を行った。そのコメントを取り上げつつ、説明会の内容をまとめてみた。
■『トレクル』の寄与で1Qは予想を上ブレして着地
まずは業績を四半期推移(QonQ)で見てみると、売上高は前四半期比6.4%増、営業利益は同2.0倍、経常利益は同2.1倍、四半期純利益は同24.2%減となった。他社配信IPゲームの『ONE PIECE トレジャークルーズ』(バンダイナムコエンターテインメント配信)が国内外で順調に推移し、7月14日に業績予想の上方修正を実施するなど予想を上回っての着地となった。
ただし、利益面についてはやや特殊な要素もある。同社はオリジナルタイトル路線からIPタイトル路線に大きく舵を切ったのだが、そのIPタイトルの開発にあたって、IPホルダーとの協業の形をとっている。「製作委員会的な形での負担の分散を行っている」(内藤社長)とのことだが、さらに細かく言うと、運用時の負担をドリコムが大きく担う分、IPホルダーが開発フェーズで費用を負担する形になっており、これが項目上の資産計上という形で利益面に寄与しているとのことだ。
■新作『ダービースタリオン(仮)』は上期中のリリースに向けて準備中
次にIP戦略の進捗状況に目を移すと、大きな部分では変化はなく、2018年3月期の上期までに4~5本をリリースするスケジュールで開発が進められている。前回の2016年3月期の決算説明会の席上で発表された新作『ダービースタリオン(仮)』については、開発が最終段階に入っており、「現時点で(当初の予定通り)上期中のリリース目指している」(同)とのこと。「秋の重賞戦のプロモーションには合わせたい」(同)という狙いがあるようだ。
また、2018年3月期下期以降に向けた新規IPタイトルへの取り組みも本格化しており、そのための開発力強化に向けた採用の強化も第2四半期の取り組みになってくるとしていた。
■2Q予想は保守的な数字…『ダビスタ(仮)』の広告宣伝費や採用強化の費用も織り込む
続く第2四半期期間(7~9月)の予想については、売上高15億5000万円、営業利益6700万円、経常利益7800万円、四半期純利益3500万円とQonQで減収減益の見通しとなっている。「ある程度見通せる数字」(同)という保守的な予想になっているが、売上高については、『ONE PIECE トレジャークルーズ』で5月に実施した配信開始2周年記念イベントの貢献分がなくなるという前提になっている。
また、利益面については、『ダービースタリオン(仮)』の事前登録開始とともに広告宣伝費が先行発生することや、前述の採用の強化などの負担を織り込んでいる。さらに研究開発費が第1四半期対比で倍増しているが、これには2018年下期以降に向けて本決まりでないIPタイトルのプロト制作の費用などが計上されているとのことだ。
(編集部:柴田正之)
会社情報
- 会社名
- 株式会社ドリコム
- 設立
- 2001年11月
- 代表者
- 代表取締役社長 内藤 裕紀
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高97億7900万円、営業利益9億300万円、経常利益7億9300万円、最終利益1億400万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3793