ゲーム会社各社は、様々な特色ある福利厚生制度を導入しているが、今回、不定期連載としてゲーム会社のユニークな福利厚生制度を紹介していく。第1回目は、サイバーエージェント<4751>のゲーム事業に携わる子会社10社が所属するSGE(Smartphone Games & Entertainment)の社内カフェ「スゴリラカフェ」を取り上げる。今回、サイバーエージェントSGE統括本部の小柳津林太郎氏に「スゴリラカフェ」の概要と利用状況、課題について話を聞いた。また実際にカフェを利用する社員にも感想を聞いた。
小柳津林太郎氏プロフィール
サイバーエージェントSGE(Smartphone Games & Entertainment)統括本部 本部長。慶応義塾大学卒業後、2006年サイバーエージェントに入社。インターネット広告事業本部、子会社代表を経て、 2014年サイバーエージェントSGE統括本部の設立とともに本部長に就任。
■社内カフェ「スゴリラカフェ」は1日200杯提供
――:よろしくお願いします。制度の概要をおしえていただけますか。
「スゴリラカフェ」は社員の要望から生まれた社内カフェです。当社では、「あした会議」という経営陣による新規事業立案・課題解決を目的とした合宿を行っています。ゲーム事業に携わる子会社が所属するSGEでは、各社や各事業部の幹部が現場社員とチームを作り、担当役員である副社長の日高に対して経営的な提案を行っていきます。そのなかで、若手から福利厚生の一環として、社内カフェをつくってはどうかという意見が出て決まりました。実は、SGEには公式キャラクターがいまして、それがゴリラで「スゴリラ」という名前だったので、「スゴリラカフェ」という名称になりました。カフェは2カ所で作り、軽いミーティングや休憩の場として利用されています。
――:スゴリラカフェとはそういう意味だったんですね。カフェはテナントですか?
はい。Byron Bay Coffeeさんにお願いしました。やる以上、できるだけ良質なコーヒーを安く提供し、しっかりリフレッシュできる場にしたいと考えました。当社のスタッフが利用する場合、コーヒー1杯につき半額の補助を行っています。例えば、400円のコーヒーであれば、200円で飲めます。またサンドウィッチやミートパイなど食事も提供しています。利用可能な時間は、9:30~19:00で、その時間内であればいつでも利用できます。
――:利用状況はいかがでしょうか。
季節変動はありますが、1日あたり200杯くらい出ています。利用率としてはかなり高いです。カフェもスマートフォンゲームと同じで、日々の運用が大事だと考えています。Byron Bay Coffeeさんと話し合い、季節限定のドリンクやフードはもちろん、当社のゲームで3周年を迎えたゲームがあれば、コラボしたドリンクなども出し飽きられないようにしています。
――:導入の目的を教えて下さい。
社員のリフレッシュや交流の場になればと導入しました。最終的には事業成果の向上につなげていきたいと考えています。
業務に関係のない店員さんと雑談をしたり、ちょっとした休憩をとることで息抜きができますし、カフェの存在は、ナレッジマネジメントの観点からも重要だと考えています。SGEでは、重要なナレッジは人にたまるものと考えているので、ドキュメントに落として共有するのではなく、ナレッジを持った人同士がうまく交流できるよう、カフェを通し、人と人との交流を自然に生む仕掛けを作れたらと思っています。
――:運用にあたって気をつけていることはありますか。
常に変化を加える、ということです。提供する商品はもちろん、装飾においてもです。季節ごとに、ハロウィンやクリスマスの装飾をして変化を出したり、毎月、表彰式も行う月初会を実施しているのですが、そこでベストクリエイティブ賞を受賞した作品を掲示したり、参考図書として、雑誌や書籍を設置しそこで読めるようにしたりして、定期的に付加価値を加えています。メニューの入れ替えにあたっては、数字を見るだけでなく、店員さんのご意見も聞いて一緒に改善していくようにしています。
――:今後の課題ややりたいことを教えて下さい。
カフェは、福利厚生の一環としてやっていますが、社外の方からみたとき、ゲーム・エンターテインメントらしい、ユニークさを追求し続けたいと考えています。また福利厚生は間違えると、「より豪華にしよう」となって、価値だけでなく、コストも上がっていく恐れがあります。常に発想を変えて、同じコストでもいままでとは違う価値を提供していきたいです。
――:ありがとうございました。
■「スゴリラカフェ」利用者の感想
続いて実際に利用している岩上裕樹氏(エンジニア)、加藤 美咲氏(アニメーター)、阪本奈々子氏(ライター)に「スゴリラカフェ」の利用状況や使ってみての感想を聞いてみた。
――:皆さん、「スゴリラカフェ」を利用されているとのことですが、どういった利用のされ方をしているのでしょうか?
岩上氏:1日2回くらい利用します。値段が安くおいしいので、すごく助かっています。朝と午後3時ころに利用しますね。朝はいつも仕事前に氷少なめのアイスカフェラテを飲み、午後は季節限定のドリンクがあれば飲んでいます。午後は、他のプロジェクトや最近絡まなくなった人と一緒にカフェにいくことが多いです。雑談がメインですが、たまに仕事で困ったことがあれば話すこともあります。グループ内の様々なゲーム会社の人が集まりますので、カフェは交流するのにとてもいいと思っています。
加藤氏:週に2、3回で、午後3~4時に利用することが多いですね。利用目的は主に息抜きで、隣に座っている同僚と一緒に行きます。自分の世界に入って作業することが多いので、集中力が切れてしまった時に重宝します。好きなドリンクは、ソイ多めのソイティーです。量を調整してくれるので、ありがたいですね。
阪本氏:煮詰まった時にリフレッシュするために利用しています。あえて違うプロジェクトにいる人を誘って、雑談をして頭を切り替えたり、自分の考えていることを聞いてもらってシナリオ制作に役立てたりしています。また、入社したばかりの方との親睦を深めるためにカフェを利用することもあります。気軽に行けるので、お互い誘いやすいです。好きなドリンクは、夏はソイマンゴー氷抜きで、冬はホットココアのチリです。店員さんが、自分の好みを覚えてくれるので嬉しいですね。ソイマンゴーを注文すると、「氷抜き」ですよねと答えてくれるんです。名前も覚えてくれますし、コップに自分の似顔絵や好きなキャラクターを描いてくれることもあります。すごく上手です。
岩上氏:本当に店員さんの絵がうまいんです。私も、自分の好きなキャラクターを、コップに何度も描いてもらいました。飲み終わった後も保存しています(笑)
――:運用上、改善してほしいポイントはありますか?
加藤氏:ずっと改善が続いているので、特に思い浮かぶことはないですね。あえていえば、「アボカドシュリンプ」が大好きなのですが、すぐになくなってしまうので、なんとかしてほしいですね(笑) 美味しすぎるというクレームです(笑)
阪本氏:あとはアサイーボウルとか朝食メニューができたら嬉しいです!
――:ありがとうございました。
会社情報
- 会社名
- 株式会社サイバーエージェント
- 設立
- 1998年3月
- 代表者
- 代表取締役 藤田 晋
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高8029億9600万円、営業利益418億4300万円、経常利益414億7500万円、最終利益162億4600万円(2024年9月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 4751