
「世界に、“一番のワクワク”を届ける」をミッションとし、スマートフォン向けゲームの企画・開発・運営を行っているゲーム会社、f4samurai。
秋葉原に拠点を構える同社は、世界観の構築に強みを持ち、『オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-』(『オルサガ』)をはじめ、『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』(『マギレコ』)、『コードギアス 反逆のルルーシュ ロストストーリーズ』などを手掛け、いずれもヒット作として覚えている人も多いだろう。
そんなf4samuraiのゲーム開発はどのようにして行われているか。今回、gamebizでは、そんなf4samuraiの開発環境を、同社マスコットであるエフフォーくんと探る「f4samuraiマガジン」を特集掲載していく。同社がヒット作を輩出するその秘密について探ってみた。

皆さん、こんにちは! f4samurai・エフフォーくんです。
今回は、2Dデザインやモーション制作を担う部署を統括するSanoさん、同チーム内でSDキャラクターや2Dモーションを中心に制作を行うKawamuraさんのデザイナーリーダー対談をお届けします。
長くf4samuraiを支えてきたSanoさんと、入社まもなくSanoさんからバトンを受け取り、多岐にわたる業務をこなすKawamuraさん。双方の経験と立場の違いを超えたお話から、f4samuraiのデザインチームが大切にしている考え方を深掘りしました。
【目次】
“なんでもやる”時代から、チームでつくる時代へ。2人のキャリアと今の役割

ーー:まずは自己紹介と入社の経緯を教えてください。
Sano
デザイナーのSanoです。f4samuraiには現在デザイン部門が3つあり、そのうちの2Dデザインや2Ⅾモーション周りをメインで担当するデザインⅠ部で部長をしています。Kawamuraさんは、その中で運営タイトルの2Dデザインチームをまとめてくれているリーダーです。
Kawamura
2DデザインチームリーダーのKawamuraです。SDキャラクターやモーション周りの制作業務を中心に行っています。
ーー:Sanoさんはf4samuraiに入社して13年と伺いました。f4samuraiに入る前は、どのような業務をしていましたか?
Sano
これまでのキャリアは9割がゲーム業界です。その中でもコンシューマー寄りの開発経験が多く、アーケードゲームや遊技機などにも関わってきました。一時期はIT系やデザイン事務所にも在籍していましたが、基本的にはずっとデジタルコンテンツをつくる仕事をしてきました。
f4samuraiに入社した当時は社員が20人くらいで、いわゆる初期メンバーという感じでしょうか。当然、今のように福利厚生も整っていなくて、トイレ掃除をみんなで持ち回りでやっていましたね。今の部長陣の半分くらいは、その頃に一緒に掃除をしていたメンバーなんじゃないかな(笑)。

ーー:そこから部長職に就くまではどんな変遷があったのでしょうか?
Sano
最初は本当に手探りでしたが、少しずつ会社が成長して、売上も上がっていって。新しいプロジェクトが始まるたびに、「Sanoさん入ってもらっていいですか?」という感じで、いろんな現場を最初に耕すポジションが多かったです。その流れの中で少しずつコアメンバー的な立場になっていきました。
2024年に組織体制を整備したタイミングで部長になりました。キャリア的にも年齢的にも部長職が的確と会社に判断されたのかなと思っています。自分ではあまり部長らしいタイプではないと思いますけどね(笑)。
ーー:現在は新規プロジェクトも担当されていると伺いましたが、現場業務も並行しているのでしょうか?
Sano
そうですね。とはいえ、以前よりは現場作業は減っています。今は全体の進行管理やクオリティを見守るような業務が中心です。運営タイトルの2Dデザイン業務はKawamuraさんに引き継ぎをして、ほぼお任せしています。
Kawamura
私が入社したのが約2年前で、運営タイトルの2Ⅾデザインリーダー候補としての採用だったため、入社直後からSanoさんの業務を引き継ぎ始めました。完全に引き継ぎが完了したのは入社からちょうど1年後くらいでしたよね?
Sano
そうだね。1年くらいは僕が並走しながら業務を教えていく形でした。2025年の4月くらいに引き継ぎを完了して、僕は運営タイトルから完全に離れました。
ーー:Kawamuraさんはリーダーとして、具体的にどのような業務を担当しているのでしょうか?
Kawamura
最初はSDキャラクターのイラスト制作から始まって、そこからゲーム実装時のデザイン調整、モーション監修、動画作成なども担当しています。制作から監修まで幅広く関わる感じですね。
入社前はSpineやAdobe After Effectsといったツールにあまり触れた経験がなかったので、最初は少し苦労しました。でもわからないことはすぐ聞くタイプなので、全体としてはスムーズに進められたと思います。
“見て覚える”から“仕組みで伝える”へ。
受け継がれていくf4samuraiのデザイン力

ーー:引き継ぎを行う際、お互いに意識していたことを教えてください。
Sano
僕が一番大事にしていたのは仕事の優先順位をつけることです。ただ、それを言葉で教えることはほとんどなくて、基本的には「見て覚える。わからなかったら聞く」というスタンスでした。Kawamuraさんはその“聞く”をちゃんとやってくれるタイプだったので安心して任せられました。あとはチームで行う仕事なので、「周りとのコミュニケーションはどんどん取ってほしい」とよく伝えていましたね。
ただ、僕のやり方をそのまま真似する必要はないと思っていて。ここぞというときはもちろん動きますが、基本的にはKawamuraさんのやりやすい方法で進めてもらうのが一番だと考えていました。その方が本人にもチームにも合った形になると思っています。
Kawamura
本当に、わからなかったらすぐ聞きに行くようにしていていました。それこそ何回も、何十回もSanoさんに聞きに行っていましたね。でも、それが大事だったのかなとお話を聞いていて思いました。自分がミスをすると、プロジェクト全体に影響を及ぼしてしまいます。だから「わからないままにしない」という姿勢だけは常に意識していました。
Sano
Kawamuraさんに引き継いだタイトルは、当時コロナ禍でのリモート業務も重なって、ローンチ前はかなりバタバタしていたんですよ。なので正直、マニュアル化も十分にはできていませんでした。
だから入社直後は「どうやったらいいですか?」という場面も多くて、かなり大変だったと思います。でもそこから、彼自身が率先してマニュアル化やフローの整備を進めてくれて。今は新しく入ってくるメンバーがスムーズに業務を覚えられるようになりました。自分が苦労した部分をそのままにせず、改善して次の人の助けになってくれています。
Kawamura
そういっていただけるのは嬉しいですね(笑)。
私はSanoさんからの「自分のやり方でやっていい」という言葉が、今でも印象に残っています。「リーダーとしてこうあるべき」という定義が決まっていないので自由に動ける環境ですが、その分、自分で考えて判断する責任もあります。
最初は「自分でいいのかな」と迷うことも多かったですが、リーダーとしての立ち回りや対応を繰り返していく中で、少しずつ自信がついてきました。困ったときに「誰に聞けば一番早いか」を自分で判断して動けるようになったのは、この1年半の大きな成長だと思っています。
人が元気であることが良い仕事の第一歩。
部長が語る、f4samuraiのマネジメント

ーー:Sanoさんがf4samuraiに入ってから、ずっと変わらずに意識している「仕事のマイルール」はありますか?
Sano
やっぱり「仕事の優先順位をつけること」ですね。これは最初からずっと変わっていません。あとは、入社当初は今みたいに分業化も進んでいなかったので、「わからなくても自分で調べてやる」というスタンスを持って仕事をしていました。当時は本当に大変でしたけど、あの経験があるから今の効率化のありがたみをひしひしと感じます。
マネジメントにおいて一番大事にしているのは、みんなが「元気でいること」ですね。体調もメンタルも含めて、健康に働けているかどうか。そこが崩れると良い仕事はできません。その次に意識しているのは、一人ひとりのキャリアプランをどうサポートできるかです。本人が「こうなりたい」と思っている姿に対して、自分がどこまで力になれるかを考えています。ちょっと甘いと言われることもあるので、最近は「もう少し厳しくしたほうがいいのかな」とも思い始めています(笑)。
Kawamura
他の部署はもっと厳しいんですか?
Sano
厳しいというよりは空気感や温度感が違うってことじゃないかな? 部署それぞれの色があるのも悪くないと思うけどね。
ーー:メンバーのみなさんに「ここだけは守ってほしい」というラインはありますか?
Sano
特に口に出して言ったことはないんですが……、プロとして最低限守ってほしいと思っているのは“スケジュールを守ること”。そして、そのスケジュールの中でしっかりアウトプットを出すことです。
「なんではっきり言わないの?」と思われるかもしれませんが、メンバーに守ってほしいことや指示を1から10まで伝えると、言われたことをただやるだけになってしまうと思うんです。だからあえてふわっと伝えて、その意図を自分なりに考えて動いてもらう。その方が最終的に個々人の成長に繋がると思っています。ちょっとえらそうな言い方かもしれないですけどね(笑)。
f4samuraiのデザイナーとしては、やっぱり「チームで作る」という意識を忘れずにいてほしいです。デザイナーに限らず、エンジニアやプランナーなど、職種を超えて相手の領域に踏み込んでいくことはエネルギーがいるし、勇気も必要です。でも、僕は部の目標として「一歩でもいいから踏み込んでいこう」といつも言っています。ギリギリのところでしっかり意見を交わしていくと、最終的には絶対にいいものになるんですよ。だから、多少ぶつかるくらいの熱量で挑んでほしいと思っていますね。
リーダーとして、等身大で向き合う。
挑戦を重ねながらチームを導く、次世代リーダーのリアル

ーー:Kawamuraさんは入社してから現在までで「ここがターニングポイントだった」と感じた出来事はありますか?
Kawamura
正直、まだないんですよ。入社からの1年はもう、ひたすら「引き継ぐ」ことに追われていました。今でこそ落ち着いていますが、当時の業務量はすごかったです。15〜6年社会人をやっていますが、その中でも一番忙しかったんじゃないかと思うくらい。責任も重くて、監修業務もあって、プレッシャーも大きかったですね。
リーダーになってまだ半年弱経ちましたが、よく「怖い」って言われるんですよ(笑)。ハキハキしゃべるタイプではないですし、あまり表情が動かないタイプなので。だから最近は意識的に笑うようにしています。
Sano
でももう、だいぶ印象変わってきたんじゃない? 最初の頃より全然柔らかくなったと思うよ。
Kawamura
いや、現場メンバーにはまだ「怖い」って言われています。ただ、雑談をがんばったりして無理している感があったので、あえてしゃべらない日を作ってみたこともあって……。そしたらメンバーに「今日すごい機嫌悪いのかと思いました」と言われました(笑)。
Sano
わかるなあ。僕も仕事中しゃべらないタイプだから、人によっては「怖い」って言われる。無言で仕事しているだけなんだけどね(笑)。
ーー:細かなニュアンスをメンバーに伝える場面も多いと思いますが、伝え方の面で気をつけていることはありますか?
Kawamura
普通の業務のやりとりだったら、特に意識していることはあまりなくて、形式ばったことは考えずに話し始めてしまうタイプです。
ただ「これはまずいかも」という時は、Sanoさんや関係各所にすぐに確認を取るようにしています。1人で抱えて考え込むよりも、直接話して一緒に正解を探す方が早いと思っているので、完璧さよりスピードを重視します。一緒に考えてもらう時間を長く持てるようにしている、という点は気を付けていることかもしれません。
ーー:Sanoさんから見て、Kawamuraさんのこの1年の成長はどんなふうに見えますか?
Sano
やはり、すごく成長している印象はありますね。最初から仕事ができる人という印象ではありましたが、入社後は特に会社に馴染む努力をすごくしてくれたなと感じています。僕が無理を言ってお願いした案件も多かったんですけど、苦労しながらも自分で考えて前に進めようとする力が強いので、その分、成長スピードも早いですね。
Kawamura
そんなに成長できているかな……。あ、でも良い服は買うようになりました(笑)。
Sano
—(笑)。オフィスで見ていてもKawamuraさんの席にはいつも人が集まっているよね。他のセクションの人も相談に来ていて、信頼されているなと感じます。
Kawamura
いやいや、自分の仕事を愚直にやっているだけなんです。でも、たくさんの方に相談されるのはありがたいですね。
楽しく働くことを大切に。
お互いへの尊敬と、未来の仲間へのメッセージ

ーー:お互いに尊敬しているところを教えてください。
Kawamura
Sanoさんは、とにかく知識の幅が広いところがすごいなと思います。2Dデザイナーは一般的に絵を描く領域に集中することが多いんですけど、SanoさんはSpineやAdobe After Effects、jsonの構造まで、幅広いツールや仕組みに精通しています。そこが、会社にとって大きな強みだと思うんです。自分も、そういう“全体を理解できるデザイナー”になりたいと思っています。
Sano
僕から見ると、河村さんは“誠実でプロ意識が高い人“ですね。入社当初から責任感が強くて、仕事に対して真面目に向き合う姿勢が一貫している。それは本当に尊敬しています。
ーー:今後の目標を教えてください。
Sano
もうすぐ定年なので、穏やかな老後を迎えたいです(笑)。あとは、みんなが自分のやりたいように楽しく働けて、組織としてちゃんと続いていってくれることが今の一番の望みです。この先、僕が何か大きく影響を与えることはないかもしれないけど、“みんなが自分の力で伸びていく”という状態が理想ですね。
Kawamura
私個人として「こうなりたい」というよりは、チームのメンバーがいろんなことに挑戦できて、誰かが抜けても困らない、そんな強いチームをつくりたいと思っています。2Dデザインチームではキャラクターも背景もルームデザインも担当していて、本当に領域が広いんです。だからこそ、個々が偏らずにいろんなことを経験して、お互いに支え合えるチームになれたらいいなと思っています。
ーー:最後に、f4samuraiへの入社を考えている方やキャリアに悩んでいるデザイナーのみなさんへメッセージをお願いします。
Kawamura
挑戦する意欲と、それを続ける力を大事にしてほしいです。もらった仕事をこなすだけではなくて、自分から仕事を取りに行く姿勢があると、よりf4samuraiで活躍の場が広がると思いますね。
キャリアに悩んでいる方は、あまり悩みすぎないことも大事だと思います。悩むくらいなら思い切って一回やってみた方がいいです。失敗したときのことを考えるから悩むんだと思うので「とりあえずやってみよう」くらいの気持ちでいいんじゃないかと思います。
Sano
向上心を持つことは大切にしてほしいです。でも、それ以上に「どうやったら楽しく仕事できるか」を考えるのも大事だと思います。正直、仕事は楽なことばかりではありません。だからこそ、メンタルコントロールや自分に合った環境づくりに目を向けてほしいと思っています。つらいまま落ち込んでいくのではなく、つらいからこそがんばって前を向けるように努力する。それが結果的に、仕事も人生もいい方向に向かうはずです。「楽しく働く」というのは、案外いちばん難しくて、いちばん大事なことだと思っています。
ーー:ありがとうございました!

他にも、f4samuraiではnoteにおいても開発環境について発信している。気になる人は以下のnoteでチェックしてみよう。
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