
「世界に、“一番のワクワク”を届ける」をミッションとし、スマートフォン向けゲームの企画・開発・運営を行っているゲーム会社、f4samurai。
秋葉原に拠点を構える同社は、世界観の構築に強みを持ち、『オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-』(『オルサガ』)をはじめ、『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』(『マギレコ』)、『コードギアス 反逆のルルーシュ ロストストーリーズ』などを手掛け、いずれもヒット作として覚えている人も多いだろう。
そんなf4samuraiのゲーム開発はどのようにして行われているか。今回、gamebizでは、そんなf4samuraiの開発環境を、同社マスコットであるエフフォーくんと探る「f4samuraiマガジン」を特集掲載していく。同社がヒット作を輩出するその秘密について探ってみた。

皆さん、こんにちは! f4samurai・エフフォーくんです。
f4samuraiでは各職種で中途採用を積極的に行っています。
今回は、直近1年間に入社したコンテンツプランナーのKawakamiさん、プロジェクトマネージャー(以下、PM)のChinoさんの2人に、異業界から転職を決意した経緯や、ゲーム会社で実際に働いてみてのリアルな印象などを対談形式で語ってもらいました。
【目次】
どうしてf4samuraiに?
これまでの経歴とゲーム業界へ転職した理由

左:Kawakami(2024年中途入社)/ 右:Chino(2024年中途入社)
ーー:まずは現在の業務やこれまでの経歴など、自己紹介をお願いします。
Kawakami
新規プロジェクトでコンテンツプランナーを担当しています、Kawakamiです。入社は2024年7月で、前職のアニメ制作会社では制作進行を担当していました。
Chino
2024年12月に入社したChinoです。前職は建設会社で、経理業務を中心としたプロジェクト進行をしていました。現在は新規プロジェクトのPMとして、開発運用や進行管理を担当しています。
ーー:お2人とも異業界からゲーム業界への転職ですが、なぜゲーム業界に入ろうと思ったのですか?
Kawakami
前職のアニメ会社を退職し、次に何をやろうかと考えたときに「やっぱりクリエイティブなことに関わる仕事がしたい」という気持ちが一番大きかったんです。それで、今までの経験を活かせそうな分野を調べていった結果、ゲーム業界にたどり着きました。
実はそこまでゲームをプレイするタイプではなかったのですが、作品としてゲームを面白いと感じていて、関連する仕事をしてみたいと思っていたことと、当時はまっていたゲーム実況の動画がきっかけになりました。
ある実況をきっかけにすごく好きになったゲームタイトルがあって、その開発会社がエージェントさんと共同で、業界経験者向けのカジュアル面談イベントを開催するという情報を見つけました。「未経験でも参加できないか」と思いダメ元で応募したら、実際に面談していただけることになって。プロデューサーさんのお話を直接聞いて「やっぱりモノづくりって楽しそう」と改めて実感したんです。
結果的に採用までは至りませんでしたが、そのイベントを主催していたゲーム業界特化の転職エージェントさんにサポートいただき、最終的にf4samuraiへ入社することができました。
ーー:様々なご縁が重なって今があるのですね。Chinoさんはかなり異なった業界出身ですが、なぜゲーム業界に?
Chino
「好きなことを仕事にしたい」というのが一番大きかったです。新卒の就職活動の時期がちょうどコロナ禍で、社会全体が不安定だったこともあり、できるだけ安定した生活を送れることを第一優先として最初の会社を選びました。
実際に働いてみて、特に不満はなかったのですが、「もうちょっと自分の“好き”に素直になりたい」と思うようになりました。転職を考えていたタイミングで、転職サイト経由でf4samuraiからスカウトをいただき、ずっと好きだったゲームの業界に挑戦してみようと思いました。
ーー:ゲーム業界に入るにあたって、準備したことや工夫したことはありましたか?
Chino
ゲームのやり方を変え、研究したことですね。以前はただ「おもしろい」と思いプレイしていましたが、「なぜおもしろいんだろう?」「どういうマネタイズ構造になっているんだろう?」とゲームの構造や仕組みにも目を向けるようにしていました。どうすれば売れるのか、ヒットするのかを因数分解するつもりで、いろんなタイトルをプレイして研究しました。
Kawakami
えらいなぁ。私は、改めてゲームをたくさんプレイしたわけではなかったのですが、好きなタイトルのリアルイベントに足を運んでいました。その際、ゲーム制作に関わっているスタッフさんと直接お話させていただき、名刺をいただきました。今でもその名刺はお守りみたいに大切にしていて、転職活動のときには相談にものっていただきました。
「できること」と「やりたいこと」
踏み出したから見えたそれぞれの“適正”

ーー:Kawakamiさんはコンテンツプランナー、ChinoさんはPMとして活躍されていますが、その職種を選んだ理由を教えてください。
Chino
前職で4年間ずっと経理関係の仕事をしていたので、ゲーム開発に直接的に関わりたい気持ちはあったものの、「自分にできるのは経理しかない」と思っていたんです。
f4samuraiにも経理職で応募したのですが、経理だけでなく、プロジェクト進行の経験も加味してもらえて。採用通知の電話で「経理ではなく、PMはどうですか?」と連絡いただき、PMとして入社することになりました。
ーー:適性を見出された瞬間ですね。戸惑いはありませんでしたか?
Chino
全然なかったですね。僕は「経理をずっとやってきたから経理しかない」と思っていただけで、お金まわりの仕事は得意だけど、やりたいことではなかったんです。それよりも、人と関わって何かを進める仕事の方が好きだったので、PMは自分にフィットしていたと思います。経理にこだわらず道を変えられたのは、本当にありがたい機会でした。
ーー:Kawakamiさんはいかがですか?
Kawakami
前職の経験を少しでも活かせることを大前提に、仕事内容に繋がりがありそうな職種を探していました。前職でもイラストやビジュアルの管理をしていたので、そういった商材の進行管理ができる職種を中心に探しました。
その中で「コンテンツプランナー」は自分に合っていると感じて、自然とその方向に進んだ感じです。業務内容も前職の職種と近かったので「新しいことに飛び込むぞ!」というよりは、地続きの感覚でスムーズに移れた感覚があります。

ーー:ゲーム業界に入る前と入った後で、ギャップのようなものはありましたか?
Chino
入社前は、なんとなく静かそうで、全員がパソコンに向かって粛々と業務をしている、というイメージだったんですが……実際はものすごくしゃべりますよね?
Kawakami
しゃべりますね(笑)。
Chino
ですよね。前職ではどちらかというとワイワイ仕事をしていました。そういった雰囲気の職場ではなくなるのかなと思っていたのですが、あちこちで頻繁に会議をやっているし、立ち話や雑談をしながら仕事の相談をしている人も多くて。そういった風景は入る前は想像していなかったので、いい意味でギャップを感じました。
Kawakami
私は前職もクリエイティブ関係の仕事だったためか「クリエイティブな仕事=会話が必要」という認識があったので、Chinoさんとは真逆のイメージでした。むしろゲーム業界以外の会社のほうが黙々と作業していそうな印象がありますね。
専門用語や新たなスキルの習得
初のゲーム業界で大変だったこと

ーー:今のお仕事をする中で、特に大変だったことを教えてください。
Chino
正直今も完璧ではないのですが、最初の頃は会議で話している内容に全然追いつけなかったです。専門用語や業界用語が多いので内容がさっぱりわからないんです。「インゲームって何?」みたいな(笑)。だから、たまに知っている言葉が出てくるとすごくうれしくて。「ゲーム」という単語にすら喜びを感じていました。
Kawakami
PMは特に参加する会議が多いから大変ですよね。でもChinoさんは困っている素振りを全然していなかったので「業界経験者じゃないって言っていたよね……?」と少し疑いました(笑)。
Chino
あまり「分かっていない」という顔は社内外に見せないようにしていました。ただ、そのままではやっていけないので、わからないことはAIに聞いたり、社内用語は先輩やプランナー・エンジニアに教えていただきながら少しずつ勉強しました。「わからないから教えてください」と堂々と言えるのは入ったばかりの頃の特権だと考え、なんでも素直に聞くようにしていましたね。
Kawakami
私も前職と似ている職種とはいえ、ゲームやタイトルに関する知識はゼロからのスタートだったので、最初は「詳しい人の元で徐々に覚えよう」と思っていました。私の中で勝手に“金魚のフン作戦”と呼んでいました(笑)。でも、教えてくださっていた方が早々に担当を離れることになってしまって……。
それからは、「自分でやるしかない」と覚悟を決め、仕様の把握や他職種の方との連携を積極的にやるようになりました。最初は本当に必死でしたが、あのときの経験が今の知識や力になっていると思います。まだまだ知識不足だとは思いますが……。
Chino
十分すごいですよ! ゲームの知識や情報は幅が広いので、大変さがわかります。
Kawakami
ありがとうございます。私の業務はLive2Dの制作進行が中心なのですが、キャッチアップが必要なものとしてゲームエンジンのUnityがありました。ただ、f4samuraiに入るまでUnityは触ったことがなくて。Live2Dでできることと、Unity側で処理すべきことの線引きが曖昧なままだと、何を誰に相談していいのかもわからないんです。
なので、エンジニアの方に何度も相談を重ねて、今では「この問題はLive2D側で工夫すべきかな」「ここはUnityの制御の範囲かな」という判断を少しできるようになってきました。説明したり相談したりは、ようやくスムーズに行えるようになってきたと思っています。
0→1の成長と、前職からの”強み”

ーー:新たな業界・業務への挑戦を通して、新たにできるようになったことや成長したなと感じることはありますか?
Kawakami
0→1でできるようになったことと言えば、やはりLive2D周辺の知識が少しずつついてきたことですね。最初は「Live2Dしか触らないのかな?」と思っていたのですが、Unityを使う場面もあって、結果的にゲーム開発全体の環境についても、少しずつ知識が増えてきました。「必要な知識を覚えてきた」と実感できているのはうれしいです。
Chino
僕は「課題発見力」です。PMの役割のひとつに、誰も拾っていない問題、いわば“触れられていないボール”を見つけて、それを拾って整えて誰かに渡す、ということがあります。経理時代は、誰かの相談をもとに対処することが多かったのですが、今は“誰もまだ気づいていない問題”に自分で気づいて、対応する必要があります。その変化はすごく大きかったですし、前職で経験してこなかったからこそ、最初は意識して取り組んでいました。
Kawakami
確かに自分で判断して物事を動かすことはf4samuraiに入ってから増えたかもしれません。スケジュールを調整したり、人にお願いしたりする中で「自分の采配でプロジェクトが崩れる可能性もある」と思うと背筋が伸びます。
ありがたいことに、デザイナーのみなさんのスキル幅が広いので、その特性を踏まえて「今はこれをお願いしたい」「将来的にはここを見据えて調整したい」など、先を見越して仕事を組み立てることがが増えました。負担が偏らないように配慮しながら計画を立てることに関しては、前職よりも踏み込んだ内容に取り組めている気がしています。
ーー:業務の中で、前職の経験が生きているなと感じる場面はありますか?
Chino
複数の人の話を聞く姿勢は、前職から引き続き活かせていると思います。「この人はこう言っているけど、実は別の立場から見ると違う見え方をしている」など、物事の多面的な捉え方や“落としどころ”を見つけていく力は、PMにすごく必要なスキルなので、当時の経験が役立っています。
Kawakami
前職の制作現場で培った“踏ん張り力”でしょうか。様々なトラブルや厳しい状況を経験してきたおかげで、いざという時に一段ギアを上げられるのは強みだと思っています。また、前職でもいろんな個性的な人に出会ってきたので、ちょっとやそっとのことでは動じなくなったというか(笑)。「まあ、そういうこともあるよね」と思える許容範囲が広くなった気がします。
自分らしくいられる会社で挑戦できる環境
今後の目標とメッセージ

ーー:入ってみて、会社の雰囲気はどう感じましたか?
Chino
所属プロジェクトの先輩が入社当初からすごく間口を広げてくれたおかげで、早い段階で多くの方と関わりを持つことができました。f4samurai自体、自分から無理に馴染みにいこうとしなくても、受け入れてくれる土壌がある会社だと思いますね。
Kawakami
私も自分を作ったり、無理して距離を詰めるのが得意ではないのですが、f4samuraiはそのままの私として自然体で過ごすことができているので、すごく居心地がいいです。
ーー:f4samuraiの「ここが好き!」というポイントは?
Kawakami
私は「やる気があれば、何でもできる」と思えるところが好きです。入社当初は右も左も分からずにいたけど、自分から動いていれば、気づいたら色々任せてもらえるようになっていて。評価面談で「3ヶ月目から急に勢いがついたね」と言われて、自分では全く自覚がなかったのですが、「私のことをしっかり見ていてくれたんだ」と実感できて、その後のモチベーションになりました。
Chino
やっぱり「仲間意識の強さ」ですね。古くからいるメンバーと後から入ってきた人の垣根があまりなくて、職種やプロジェクトを超えた交流も多いです。懇親会や社員旅行もあって、部署をまたいで仲良くなれる機会が多いのも大きいと思います。
ーー:今後の目標やチャレンジしたいことはありますか?
Kawakami
まずは、今担当しているLive2D関連の進行業務をしっかりやりきることが目標です。その上で、他のコンテンツプランナーの方々のように、シナリオやカードイラストなど、別の領域にも手を広げていきたいですね。新しい知識を得るのが好きなので、Live2D以外のことも吸収して、自分の引き出しを増やしていきたいと思っています。
Chino
今は新規プロジェクトのPMをしていますが、運用フェーズに入った後もそのまま関わって経験を積みたいと思っています。また、チャンスがあれば、さらに新しいプロジェクトにも携わってみたいですし、イベント企画のような業務にも興味があります。領域を広げながら、どんどん挑戦していきたいですね。
ーー:最後に、f4samuraiへの転職を検討している方へのメッセージをお願いします。
Chino
職種によりますが、f4samuraiは「ゲームをたくさんしているか」とか「ゲーム開発に詳しいか」だけを重視している会社ではありません。なので、「業界での経験や知識がないから応募するのはやめよう」とは思わなくていいと思います。自分もそうだったように、ゲーム制作の経験がなくても、やる気があれば業務を任せてもらえる環境があります。新しいことに挑戦したい人には、とてもいい場所だと思います。
Kawakami
私も業界の知識は本当にゼロからのスタートでした。正直、勢いだけで来たようなところもありましたが、きちんと戦力として受け入れてもらえています。だから、まずは“勢い”を持って来てもらえれば、きっと道は開けると思います!
ーー:ありがとうございました!

他にも、f4samuraiではnoteおいても開発環境について発信している。気になる人は以下のnoteでチェックしてみよう。
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