
「世界に、“一番のワクワク”を届ける」をミッションとし、スマートフォン向けゲームの企画・開発・運営を行っているゲーム会社、f4samurai。
秋葉原に拠点を構える同社は、世界観の構築に強みを持ち、『オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-』(『オルサガ』)をはじめ、『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』(『マギレコ』)、『コードギアス 反逆のルルーシュ ロストストーリーズ』などを手掛け、いずれもヒット作として覚えている人も多いだろう。
そんなf4samuraiのゲーム開発はどのようにして行われているか。今回、gamebizでは、そんなf4samuraiの開発環境を、同社マスコットであるエフフォーくんと探る「f4samuraiマガジン」を特集掲載していく。同社がヒット作を輩出するその秘密について探ってみた。

皆さん、こんにちは! f4samurai・エフフォーくんです。
f4samuraiで活躍するメンバーにインタビューし、担当業務や仕事の価値観を掘り下げていく「わたしのあゆみ」シリーズ。
今回の社員インタビューでは、2019年中途入社のコンテンツプランナー・Hashimotoさんをご紹介します。
Hashimotoさんの入社の経緯や、ゲームプランナーとコンテンツプランナーの両方を経験したからこそ感じる自身の成長などを語ってもらいました。
【目次】
f4samurai入社までのあゆみ

Hashimoto / コンテンツプランナー 2019年中途入社
ーー:まずは自己紹介をお願いします。
IPタイトルでコンテンツプランナーを担当しているHashimotoです。2019年に入社し、タイトルの立ち上げから携わっています。f4samuraiのプランナー職は「ゲームプランナー」と「コンテンツプランナー」に分かれており、私はゲームプランナーとして入社しました。2024年5月頃にチーム内のコンテンツプランナーに異動し、現在はイラストやシナリオなど、制作物の進行管理を担っています。
ーー:f4samurai入社前のキャリアを教えてください。
前職は新卒で入社した会社で、同じくゲームプランナーとして自社タイトルの運営に携わっていました。f4samuraiのようにゲーム設計・コンテンツ制作進行の統括という役割分担はされていなかったので、プランナー業務を包括的に担当していました。
ーー:新卒からゲーム会社だったのですね。学生時代からゲーム業界を志望していたのでしょうか?
そうですね、中学生の頃から「エンタメに関わる仕事がしたい」という思いがずっとありました。特に学生時代はテレビや映画といったメディア系に関心が強く、大学も芸術系に進学しました。授業で模擬テレビ番組を制作したり、映画を撮ったりと幅広く経験したのですが、学んでいく中で「自分がやりたいのはこの方向性じゃないかも」と思い始めて。それでも「エンタメに携わりたい」という気持ちは変わらなかったので、就職活動でもエンタメ会社を幅広く受けていました。

最終的に内定をいただいたのがゲーム会社で、当時自分が遊んでいたタイトルを扱っている会社だったこともあり「この会社でゲームプランナーに挑戦してみたい」と思い、入社を決めました。
ーー:そこからf4samuraiに転職したきっかけは何だったのでしょうか?
前職では自社タイトルの運営を担当していましたが、もっと規模の大きなIPタイトルやメディアミックス展開がある作品に携わりたい気持ちがずっとありました。20代後半から「このままでいいのかな」と考えることも増え、キャリアを見直そうとしていたタイミングで、前職の同僚であり、現在f4samuraiで働いているメンバーと再会しました。
そのときに「もし転職を考えているなら、ちょうど新規プロジェクトで人を探しているから一度会社に来てみない?」と誘っていただいたんです。
当時、前職でも「新規案件のディレクター職に挑戦してみないか」と声をかけていただいていたのですが、リリースは数年先でしたし、中身もまだ固まっていない状態でした。それならf4samuraiで、今よりも規模感の大きいプロジェクトに新規メンバーとして関わって成長したいと考え、入社を決めました。
ゲームプランナーからコンテンツプランナーへ
役割の違いと乗り越えてきた壁

ーー:入社当初はゲームプランナーとしてキャリアをスタートしたとのことですが、ゲームプランナーとコンテンツプランナーでは具体的にどう違うのでしょうか?
ゲームプランナーはゲーム内のシステムに近い部分の設計を担当します。例えば、マスターデータの管理や新機能を作る際の仕様検討です。UIデザイナーやエンジニアに「こういうことを実現したい」と伝え、仕組みとしてどう作れるかを一緒に考えるのが主な役割です。
一方でコンテンツプランナーは、そのさらに手前の段階から関わります。年間単位のスケジュールを立案し、イベントごとに必要な制作物を整理して、Live2DやSDイラストなどの制作進行を管理します。加えて、イラストやシナリオのクリエイティブ確認も業務の一環です。同じプランナーという職種ですが、見ているスコープが違うというイメージです。
▼参考記事(f4samurai公式noteより)
【お仕事紹介】ゲームプランナー|「おもしろい!」を創り出す設計のプロ
【お仕事紹介】コンテンツプランナー|開発を前に進め、クオリティを担保するプロジェクトの要
ーー:現在はコンテンツプランナーとして、主にどのような業務を担当していますか?
制作物全体のスケジュール管理と確認が中心です。どのチームがいつ何を作るのかを把握し、完成したイラストや監修物の取りまとめまで幅広く見ています。私は特にイラスト周りを担当していて、シナリオ担当者と分担しながら進めています。
ーー:ゲームプランナーからコンテンツプランナーへ異動することになった経緯を教えてください。
当時、コンテンツプランナーの人数が不足していて、既存メンバーだけでは回しきれないという状況でした。IPプロジェクトでは複数の外部企業様と関わるため、調整に時間がかかることもあります。私はゲームプランナーの頃からクリエイティブ面に関しても確認や提案を行っていました。そのような姿勢やプロジェクト初期から関わっていたという経緯もあり、アサインしていただいたのかなと思っています。
ーー:実際にコンテンツプランナーに異動して大変だったことは何かありますか?
やはりクリエイティブの確認には苦戦しました。前職でも制作物のアイデア出しやざっくりした方向性出しは経験がありましたが、細かい色や表現に具体的なフィードバックを担当した経験はなく、いきなり専門的な領域に飛び込む形になりました。知識の蓄積もない状態だったので、「これを見て私に判断できるのか?」と最初は正直不安だらけでした。

加えて、スケジュール面でも捉え方の違いを痛感しました。ゲームプランナー時代は決まったスケジュールを受けて動いていたのですが、コンテンツプランナーはスケジュールの“大元”を自分たちで作る立場になります。
ゲームプランナーより手前、かつ年単位といった長いスパンでスケジュールを見る必要がありますし、期限がある中で無限に制作物を生み出せるわけでもありません。ゲームプランナー時代に感じていた「どうして急にスケジュールが変わるんだろう?」という疑問も、コンテンツプランナーの業務を経験してようやく解消できましたね。
ーー:そうした大変さをどう乗り越えたのでしょうか?
正直、今も勉強中ですが、とにかく“わからないことを放置しない”ことを大切にしてきました。ゲームプランナー時代も新機能を任されたときに、新機能のメインとなる部分の知識がゼロだったので毎日のようにエンジニアメンバーに質問していました。何度も質問してしまうことに申し訳なさは感じつつも、途中で諦めて放棄するということだけはせず、できるまでやろうと決めていました。

あとは、怒られたときにただ落ち込むのではなく「言われたことを受け止めて、次に生かそう」と考えをすぐに切り替えていました。怒られたことは事実だから落ち込んでも仕方がない、それなら「次はこうしよう」と切り替える方が前に進めます。もちろん落ち込む瞬間はありますが、「これで全てが終わるわけではない」と思えば気持ちを持ち直せるなと。これは性格的にタフな部分と、f4samuraiのチームの空気感に助けられている部分、両方あると思います。
具体的な克服法ではないかもしれませんが、この“腐らない姿勢”のおかげで、今もf4samuraiで働き続けられているかなと思いますね。
ーー:そのマインドは元々の性格でしょうか?それともf4samuraiに入って培われたものなのでしょうか?
どちらかといえば後者です。元々、自分に自信があるタイプではなく、クリエイターのように自分の手で何かを生み出せるわけでもないので、自己評価は高くはありませんでした。でも、f4samuraiに入ってからは性格的なところを含めて「ここを伸ばした方がいいよ」と具体的にフィードバックをいただけたり、周りに新しいことに積極的に挑戦する人が多かったりして、自然と自分の心持ちも変わっていったように思います。
特に、ただ粘り強く仕事を続けるだけではなく「どうすれば成長できるか」を考えるようになったのはf4samuraiに入ってからですね。今では、自分に足りない部分を前向きに受け止め、少しずつ積み上げていける環境にいると感じています。
両方の視点を持つからこそ見えるもの
キャリアを変えたリリース経験

ーー:ゲームプランナーとコンテンツプランナー、両方の経験があるからこそ発揮できる強みはありますか?
例えば「ゲーム内の新しいイベントを実施したい」という話になった際、ゲームプランナーの都合や仕組みを理解している分、設計視点の提案ができます。「この形式なら既存のシステムで対応できる」「これは新しい開発が必要になる」「ここは注意が必要」といった判断をコンテンツプランナーだからこそ、企画の初期段階から提示することができます。現実的な落とし所を見極める役割を担えるのは、両方の立場を経験したからこその強みだと感じています。
ーー:ゲームプランナー・コンテンツプランナーとして6年築いてきたキャリアの中で、ターニングポイントになった出来事はありますか?
やはり担当した新規タイトルがリリースされたときが自身のターニングポイントになったと感じています。プロジェクト始動期から機能企画を担当していて、リリース前は何もかもが初めての挑戦でした。多くの方に助けてもらいながら、メインプランナーとして携わった機能が形となり、世に出たことは強烈に記憶に残っています。
リリースの瞬間はもちろん、当時の作業内容や日々の流れまで鮮明に思い出せるくらい、自分にとって大きな経験でした。改めて「自分はこのプロジェクトに関わっているメンバーなんだ」と強い意識を持つようになりましたね。
ーー:その経験は、その後のキャリアにどんな影響を与えましたか?
「これ以上、大変なことはないだろう」という気持ちになれたことです。リリース前の忙しさを乗り越えた経験があるから、以降の開発や運営で新しい課題が出てきても「やるしかない」「あれを経験している自分なら大丈夫」と思えるようになりました。
新規タイトルのリリースは一度きりで、その後は既存の仕組みに機能を追加する形が多くなります。だからこそ「ゼロから作り上げてリリースまで持っていった」という実績は、自分の中で揺るぎない自信になりました。リリースという形で世に出せたことは、自分のキャリアの中でとてもインパクトがありましたし、あの経験があったからこそ、今も前を向いて仕事に取り組めていると思います。
“ユーザー視点”と“IPらしさ”
コンテンツプランナーとして大切にしていること

ーー:コンテンツプランナーとしての仕事のやりがいを教えてください。
やりがいを感じるのは、以前よりも“手前の部分”を担うようになったことですね。ゲームプランナーのときは社内での設計業務が中心で、外部の方との関わりはほとんどありませんでした。今はスケジュール全体を見たり、他社様とやり取りしたりと、企画に近い部分から携わるようになり、その変化が大きなやりがいだと感じています。
ーー:仕事をする上で大切にしていることや意識していることはありますか?
当たり前のことですが、ユーザーの方々の存在を常に意識することです。IPタイトルでは原作IPサイドに監修のご協力をいただいているのですが、その先には必ずユーザー様がいて、私たちの最終目標は “ユーザーのみなさまが喜ぶものを作ること”だということを忘れないようにしています。
それと同時に“IPらしさ”を重視することも大切にしています。ユーザーのみなさまもIPそのものやキャラクター、ストーリーの魅力に惹かれてプレイしているはずです。
例えば、新しい衣装を提案するときは必ず監修確認をいただきます。その際に「どういう意図でこのデザインになったのか?」を問われることも多く、単に要素を盛り込むだけではIPらしさが出ていないとフィードバックをいただくこともあります。そういったやり取りの中で“自由な創作ではなく、一貫して守るべきIPらしさがある”と再認識しますね。
仲間と一緒に成長できる環境で、“任せて安心”な存在へ

ーー:f4samuraiの好きなところを教えてください。
やっぱり“人“が好きですね。社員同士の仲が良く、イベントや懇親会も自然と人が集まるところが“エンタメに関わっている会社”という雰囲気がしてとても好きです。月に一度のチーム懇親会や、職種ごとの交流会もあって、そこで違う部署の人と話せるのも楽しいですね。
それから、役員陣とも距離が近いのがありがたいです。役員は役職者でないと会う機会がないという会社もたくさんある中で、f4samuraiは役員陣が私のような現場社員まで気にかけて、声をかけてくださるんです。前職では「このステップに進むならこういう性格じゃないと」という暗黙の前提がありましたが、f4samuraiでは「この人はこういう性格だから、こう進めよう」と一人ひとりを見てくれる会社だと感じています。経営陣が個人をきちんと理解して動いてくれるのはとても心強いです。
ーー:最後に、今後の目標を教えてください。
コンテンツプランナーになって1年ほど経ちますが、直近ではチームメンバーが変わったこともあり、新しいタスクをメインで任されるようになりました。まずはその仕事をしっかり問題なく回せるようになることが目標です。
外部とのやり取りにもまだ慣れていない部分があるので、「任せて大丈夫」と思ってもらえる存在になりたいですね。良い意味で「Hashimotoに任せておけば安心」と周囲から思ってもらえることが次のステップであり、今の自分の大きな目標だと思っています。
ーー:ありがとうございました!

他にも、f4samuraiではnoteにおいても開発環境について発信している。気になる人は以下のnoteでチェックしてみよう。
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