『ポケコロ』で知られるココネ執行役員の冨田洋輔氏が「600万人の女性が遊ぶNo.1可愛いアプリ『ポケコロ』のCX(カスタマーサポート」と題するセッションを8月25日開催の「CEDEC2016」で行い、『ポケコロ』におけるユーザー対応の状況を紹介した。いわゆるKPIなど「群」としてユーザーをみるだけでなく、1人1人のユーザーに向き合えるようにするための取り組みも重要さを強調するものだった。
まず、ココネと『ポケコロ』の紹介から行った。ココネは、2008年にNHN Japan元社長の千良明氏が創業した会社で、「オンラインゲームでNo.1になったので、日本に役立つ会社を作りたい」という思いから創業したという。もともと英語の学習サービスを提供し、学習カテゴリーで1位になったものの、ビジネスとして難しい部分があり、アバターサービス『ポケコロ』を2011年にリリースした。
リリース後、若年女性を中心に大ヒットし、2015年の非ゲームの売上高では日本国内で3位、世界でも10位に入ったという。『ニコラ』というティーンに人気の雑誌に掲載されたアプリランキングで、LINE、Twitter、YouTubeに続く人気を博しているそうだ。
ココネ躍進の原動力となった『ポケコロ』は、「理想のかわいい」が追求できる女性向けのアバターサービスだ。イメージとしては、シルバニアファミリーやリカちゃんのデジタル版と思ってもらうと理解しやすいのではないか、とのことだった。スマホの中でアバターなどを自由にデコレーションを行って個性を追求し、友達とつながることができる。
本題に入ると、ある日、千会長から呼びだされ、KPIについて聞かれた後、最も利用したユーザー名やどんな洋服を着ているのかと質問されて答えられずに「お客様に向き合っていない」と怒られたエピソードを紹介した。氏は、スクウェア・エニックスやグリーで勤務した経験から売上やMAU、ARPPU、課金率といったKPIについては頭に入っているものの、ユーザーを「群」として認識し、きちんと向き合っていなかったと反省したことを明かした。
そこで、自身はもちろん、会社として、1人1人のユーザーと向き合うための取り組みを始めたとのことだった。例えば、カスタマーサポートで活用するツールを改良し、問い合わせのあったユーザーのIDはもちろん、アバターなども一覧できるようにすることで、どんな洋服を着ていて、どんな好みを持っているのかがすぐにわかるようにしたという。これによって「着ている~~というお洋服が似合っていますね、可愛いですね」といった人間味のある返信などもできるようになった。
また、「会社のトップだけがお客様のことを考えている会社より、社員全員がお客様のことを考えているような会社のほうが強いし、それはココネの強みであり、戦略である」とし、管理部門はもちろん、エンジニアやデザイナーを含めた全社員が業務時間の中から一定時間、カスタマーサポートを行う取り組みも開始した。これによってカスタマーサポートにも大きな変化が生まれたという。
例えば、「新品の洋服を購入したが破れている部分がある」という問い合わせに対して、デザイナーがテンプレート的な回答を行うのではなく、「新品の洋服を購入していただいたのに縫製ミスがあり失礼しました」と返答しつつ、きちんと修正を行った事例を紹介した。また、ピンクメッシュを入手しそびれたので再販を希望するユーザーにはアバターを見ながら、こういう洋服も似合いますという提案も行うなどアパレルショップのような対応もみられた。実際に制作に携わっているスタッフならではの回答で、冨田氏自身にも大きな気付きになったそうだ。
こうした取り組みが奏功し、ユーザーから届く問い合わせメールの文面も大きく変わり、会社に対して激励・応援するようなコメントも増えていったという。
最後に事前登録を受け付けている『ディズニー マイリトルドール』を紹介しつつ、人材募集中である旨の告知を行って講演を締めくくった。関連記事もご参照いただければ幸いだ。
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(編集部 木村英彦)
会社情報
- 会社名
- ココネ株式会社
- 設立
- 2008年9月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 高谷 慎太郎