LINE、クラウドAIプラットフォーム「Clova」を発表…NAVERの共同開発プロジェクト IoT製品の企画・開発を行うウィンクルと資本業務提携も


LINE<3938>は、3月2日、スペインのバルセロナにて開催されている世界最大のモバイルカンファレンス「Mobile World Congress 2017」にて、新たな戦略としてクラウドAIプラットフォーム「Clova(クローバ)」(https://clova.ai/ja)を発表した。

同社は、これまでにメッセンジャーを軸としたプラットフォームを構築し、コンテンツをスマートフォンのインターフェースに合わせて、全てを最適化し、「LINEからすべてがつながる世界」を目指したスマートポータル構想を推進しており、大きな成長を遂げている。また、各国ごとに現地の文化や慣習、ユーザーニーズへの最適化を行い、モバイルメッセンジャーにおいて、アジアで強固なポジションを獲得している。

「LINE」をはじめとしたモバイルメッセンジャーは、各国で最も多く使われるサービスとなり、ユーザーにとって、中心的なインターフェースとなっている。情報とインターフェースは時代によって変化をしており、インターネット・PC からモバイルへと時代が変化していったように、次のパラダイムは目、鼻、手、口、耳といった五感を通じたAIであり、情報とインターフェースの関係はAIの進化によって革命的に変わっていくということを確信し、このたび、LINEの新たな戦略として、クラウドAIプラットフォーム「Clova」を発表した。

「Clova」は、LINEとNAVERの共同開発プロジェクトとして研究開発を進めている。日本をはじめ、アジアでトップシェアを持つメッセンジャーアプリであるLINE と、韓国の検索ポータルNo.1のNAVERが持つ開発技術や豊富なコンテンツやサービスを活用することにより、よりスマートなクラウドAIプラットフォームを実現した。

この「Clova」を搭載した製品として、アプリ「Clova App」および、初の自社デバイスとなるスマートスピーカー「WAVE(ウェーブ)」の発売を初夏に日本と韓国とで予定している。話かけると音声で会話をしたり、ニュース、天気・占い情報、コマース、カレンダー、翻訳などのコンテンツ・サービスや、音声で家の電気のオンオフなどを行うホームコントール、音声専用コンテンツとして読み聞かせなどができるオーディオブックなどが利用できるようになる。今後 LINEが事業を展開する他アジアの国や地域に提供範囲を拡大していく予定だ。
 

また、パートナーシップとして、ソニーエージェントテクノロジーを搭載したスマートプロダクトを展開するソニーモバイルコミュニケーションズ、スマートトイ分野で日本を代表する玩具業界のリーディングカンパニーであるタカラトミー、ホームロボット分野ではバーチャルホームロボット「Gatebox」を展開し世界で注目されているウィンクルといった企業と様々な領域でパートナーシップを推進していくことも併せて発表した。 これらの取り組みを皮切りに、あらゆるデバイス、あらゆるシーン、あらゆる環境とAIが溶け合っていく世界を目指していく。

LINEでは「Clova」を用いた様々なサービス、プロダクトの開発を推進し、“ポストスマートフォン、ポストディスプレイ、ポストタッチ”時代の、新しいコミュニケーションの可能性を切り開き、「Asia's Leading Cloud AI Platform」を目指していく。また、コーポレートミッションである「CLOSING THE DISTANCE」をもとに、世界中の人と人との関係性はもちろん、様々な情報やサービス、モノとの距離を縮め、心地よい関係性を創出していく方針だ。
 

■ウィンクルと資本業務提携を実施

 

クラウドAIプラットフォーム「Clova(クローバ)」を活用したバーチャルホームロボットの共同開発を目的として、ウィンクルと資本業務提携し、同社を連結子会社化することを合意した。

ウィンクルは、革新的なIoT製品の企画・開発を推進しており、同社が現在手がけているバーチャルホームロボット「Gatebox(ゲートボックス)」は、好きなキャラクターと一緒に暮らせる世界初のバーチャルホームロボットとして、2016年1月の構想発表および12月の予約販売開始以降、日本だけでなく、世界中で大きな注目を集めている。

今回、LINEは、ウィンクルと資本業務提携を行い、同社の株式の過半数を取得、連結子会社化することに合意した。この資本業務提携により、両社は、最新のプロジェクション技術とセンシング技術を搭載する「Gatebox」およびウィンクルの優れた技術開発力とノウハウを活かしながら、クラウドAIプラットフォーム「Clova」を活用したバーチャル
ホームロボットの共同開発を行っていく。
 

■「Clova」の特徴と技術的仕組み


「Clova」は、LINEとNAVERの共同開発プロジェクト。LINEは、メッセンジャープラットフォームのパイオニアとして、ニュース、ビデオ、音楽、決済、タクシー、コマースなどの多様なサービスを自社で展開している。また、新たな技術分野への取り組みとして、チャットボットや、AIを使った自動会話などを行っている。

一方、韓国でNo.1のシェアである検索ポータルサービスをもつNAVERも、先端技術への取り組みに注力しており、自然言語処理やドキュメント推薦エンジンなどの強固な検索技術に加え、音声認識・音声合成、画像認識、ニューラルネットワーク翻訳なども高いレベルで実現している。また、自動車の自動運転技術においても、すでに韓国国内でlevel3を実現している。

このように、「Clova」は、
①LINEが持つ、チャットをベースとしたコミュニケーション技術
②NAVERが持つ検索技術
③LINEとNAVERが持つ豊富なコンテンツやサービス
④LINEとNAVERが持つ数多くのユーザーベースとビックデータ
を保有し、量・質ともに兼ね備えた学習データを使用することができる良質でスマートなAIという特徴を持っている。
 

「Clova」の中核は、「Clova Interface」と「Clova Brain」の2つで構成されている。人間の五感にあたるのが「Clova Interface」であり、その中の耳と口にあたるのが「Clova Voice」だ。「Clova Voice」は、音声認識である音声合成などを行う。五感の目にあたる「Clova Vision」では、画像認識や顔認識などを行う。今後さらに、その他の五感に対応していく。

「Clova」にとって頭脳となる最も大事なシステムである「Clova Brain」では、NLU(Natural Language Understanding/自然言語理解)や、Dialog Managerなどで構成される「Clova Conversation」を中心に、より自然な言語翻訳処理を行うNMT(Neural Machine Translation)、ドキュメントやコンテンツなどを推薦するRecommendation Engineなどで構成される。
 

「Clova」は、人間の五感にあたる「Clova Interface」と頭脳にあたる「Clova Brain」を中核に、「Clova」とデバイスやアプリケーションをつなぐための「Clova Interface Connect」、「Clova」とコンテンツ/サービスをつなぎ、「Clova Brain」の機能を拡張していくための「Clova Extension Kit」でプラットフォームを構成している。

「Clova」は、音声認識などのInterfaceと、コンテンツやサービスをCloud上で単に結びつけるのではなく、この「Clova Brain」自体で、そこにつながるコンテンツ・サービスを最適化していくことを重要視するクラウド AI プラットフォーム。これにより、デバイス、インターフェース、コンテンツ・サービスまで最適化された一貫したユーザー体験を提供することが可能になる。

LINE では、「Clova Interface Connect」とつながるデバイスやAppについて、まずは自社開発のものから開始し、次にパートナーとの共同開発、今後は、サードパーティーへ開放していくことを計画している。また、「Clova Extension Kit」とつながるコンテンツ・サービスについても、まず、「Built in Contents/Service」として、LINEやNAVERが提供する自社サービスから開始し、次にパートナーとの共同サービス、今後は、サードパーティーへ開放していくことを計画している。
LINE株式会社
http://linecorp.com/

会社情報

会社名
LINE株式会社
設立
2019年12月
代表者
代表取締役社長 出澤 剛/代表取締役 慎 ジュンホ
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