【年始企画】2017年の国内アプリストア売上ランキングを探る…任天堂やアニプレックスの存在感増す 『リネレボ』『アズールレーン』など海外タイトルも活躍

2017年の国内のアプリストア売上ランキングは、ミクシィ<2121>の『モンスターストライク』とFGO PROJECT(アニプレックス)の『Fate/Grand Order』をの首位争いを中心とした展開となったが、そのほかにも多くのタイトルが首位に立つ、群雄割拠の様相を呈した1年だったのではないだろうか。

具体的には、この1年では上記2タイトルに加え、スクウェア・エニックスの『ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト』と『星のドラゴンクエスト』『SINoALICE ーシノアリスー』、Cygamesの『グランブルーファンタジー』と『Shadowverse』、バンダイナムコエンターテインメントの『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』と『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』、ガンホー<3765>の『パズル&ドラゴンズ』、マーベラス<7844>の『剣と魔法のログレス いにしえの女神』、サムザップの『戦国炎舞 -KIZNA-』、コナミデジタルエンタテインメントの『実況パワフルプロ野球』、Netmarble Gamesの『リネージュ2 レボリューション』、Yostarの『アズールレーン』が、リリース後の状況や各施策の影響がダイレクトに反映されやすい傾向があるApp Storeで首位を獲得している。

メーカーもタイトルのジャンルも多様化してきており、テレビや家庭用ゲームなどが辿ってきた道をスマホゲーム同じように辿ってきている過程と考えることもできそうだ。
 

■アニプレックスや任天堂の存在感が増す


さて、そんな2017年のアプリストアの状況を数字面から見てみたい。なお、上記の傾向を踏まえ、この記事ではApp Storeのデータを中心に取り上げていくのでご了承願いたい。

まずは、1月~12月まで各月の初営業日(1日などが土日の場合は週明け初日)のトップ30にランクインしたパブリッシャーのデータを見てみたい。このデータは12ヶ月分ということになるため、1年を通じてタイトルがトップ30に入り続けると12という数字が残ることになる。実際にその形で12という数字になったのが、ミクシィ、ガンホー、サムザップだ。

言い変えれば、『モンスト』『パズドラ』『戦国炎舞』が年間を通して大きく寄与したが、これに続くようなタイトルがなかったとも言うことができる。
 

トップとなったのは、51という数字になったバンダイナムコエンターテインメントで、これは昨年の41と比べても大幅な増加となっている。上記の『ドッカンバトル』『デレステ』に加え、複数のタイトルが恒常的にランクインしており、まさに一人勝ちの様相を呈している。

昨年との比較で注目されるのは、アニプレックスや任天堂<7974>の存在感が増してきていることだ。なお、アニプレックスの16という数字には、FGO PROJECTの『FGO』を含んでいる。この『FGO』に加え、2017年は『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』も新たにリリースされ、上位タイトルとして定着してきており、IPホルダーとしての優位性を十分に発揮していると評価することができそうだ。

一方、任天堂は、2月にリリースした『ファイアーエムブレム ヒーローズ』と11月にリリースした『どうぶつの森 ポケットキャンプ』が寄与し、8という数字になった。同社にとっては、2017年がスマホゲーム元年と言える1年だったわけで、一定以上の成果を残すことができたとみて良さそうだ。

昨年の13から18と数字を伸ばしたKLab<3656>も注目したい。『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』への依存度が高かった2016年に比べ、『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』や『うたの☆プリンスさまっ♪ Shining Live』など新作も貢献してきており、1本足打法からの脱却が進んでいることが見て取れる。
 
 

■年後半は海外パブリッシャーのタイトルが恒常的にトップ10入り


また、今年は2016年以上に海外パブリッシャーの存在感が増した1年だったとも言えるだろう。上記のとおり、『リネージュ2 レボリューション』と『アズールレーン』がApp Storeで首位を獲得したのは、まさにその象徴的な出来事ではないだろうか。

特に年後半にかけては、トップ10圏内に恒常的にタイトルがランクインするようになってきており、優良な海外製タイトルが国内市場で受け入れられる土壌は着実に育ってきている。

海外、特に中国や韓国ではMMORPGなどでハイクオリティの新作スマホゲームが市場を賑わせており、これらのタイトルが今後日本市場においてさらにヒットするケースが増えていくことは十分に予想されることだろう。
 
 

■2017年は新作41タイトルがトップ30入りを果たす


続いて2017年にリリースされた主なヒットタイトルを見てみたい。表はApp Storeでトップ30入りを果たした2017年の主なリリースタイトルとなる。ちなみに最高順位はデイリーベースの定点観測によるもので、瞬間的にはさらに順位が上に行ったケースもあると思われるがご了承いただきたい。
 

まず注目されるのは、トップ30入りを果たしたタイトル数の増加だ。2016年には22タイトルがトップ30入りを果たしていたのだが、2017年は41タイトルとほぼ倍に近い数がトップ30入りを果たしている。これは市場のニーズの多様化により、1タイトルが爆発的なヒットになるというよりも、多彩なジャンルがそれぞれにヒットするという市場環境になりつつあることが大きく影響しているものと思われる。

また、1位を獲得したタイトルは『SINoALICE』と『アズールレーン』でともにIPタイトルではなく、オリジナルタイトルとなっているのも興味深い。もちろんIPタイトルも任天堂IPの『ファイアーエムブレム ヒーローズ』や「魔法少女まどか☆マギカ」の新たな物語を描く『マギレコ』が2位に入っており、新作についても多彩なタイトルが活躍した1年だったと言うことができるのではないだろうか。
 

■まとめ


2018年の国内アプリ市場も引き続き嗜好の多様化や、海外製タイトルの活躍といった傾向は続いていくことになるだろう。海外製タイトルは、『リネージュ2 レボリューション』がこれだけ受け入れられたことで、海外パブリッシャーがさらに本腰を入れてくることも予想される。

グローバルな競争がますます激化していく中で、国内メーカー各社はどのように対抗していくのかも注目され、ユーザーとのエンゲージメントの強化や、課金の形の考え方など色々な試行錯誤が続いていくことになりそうだ。

 
任天堂株式会社
http://www.nintendo.co.jp/

会社情報

会社名
任天堂株式会社
設立
1947年11月
代表者
代表取締役社長 古川 俊太郎/代表取締役 フェロー 宮本 茂
決算期
3月
直近業績
売上高1兆6718億6500万円、営業利益5289億4100万円、経常利益6804億9700万円、最終利益4906億0200万円(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
7974
企業データを見る
株式会社アニプレックス
https://www.aniplex.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社アニプレックス
設立
1995年9月
代表者
岩上敦宏
決算期
3月
直近業績
・売上高:2062億2200万円(前の期比36.6%増)
・営業利益:534億5300万円(同81.9%増)
・経常利益:537億5100万円(同84.2%増)
・最終利益:369億3600万円(同100.5%増)
上場区分
未上場
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​Netmarble(ネットマーブル)

会社情報

会社名
​Netmarble(ネットマーブル)
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