【モバイルファクトリー決算説明会】『駅メモ!』は「新規会員のマネタイズ進む」(宮嶌氏) 位置ゲームの新作中止…ブロックチェーン関連でゲームを開発中
モバイルファクトリー <3912> は、1月19日、東京都内で決算説明会を開催した。同日発表した2017年12月期の連結決算は、売上高24億3700万円(前々期比17.6%増)、営業利益7億3600万円(同20.5%増)、経常利益7億2200万円(同18.1%増)、四半期純利益5億1100万円(同24.2%増)と2ケタ増収増益を達成した。
説明会では、同社の宮嶌CEOが今回発表された2017年12月期決算における注目のポイントを説明した後、質疑応答が行われた。その質疑応答の内容なども踏まえつつ、会見の様子をまとめてみた。
■3周年イベント開催や会員のマネタイズ進展で『駅メモ!』が好調
まずは第4四半期期間(10~12月)の業績を四半期推移(QonQ)で見てみると、売上高は前四半期比21.4%増の6億9000万円、営業利益は同27.9%増の1億9000万円、経常利益は同27.9%増1億9000万円(同27.5%増)、四半期純利益は同40.2%増の1億4300万円と大幅増収増益での着地となった。
主力の位置情報連動型ゲーム『ステーションメモリーズ!』(以下『駅メモ!』)が11月に3周年の周年イベントを開催したこともあり、売り上げを大きく伸ばした。さらに「『駅メモ!』は3Qで獲得した会員のマネタイズが進んだ」(宮嶌氏)ことも売り上げを伸ばす要因となったようだ。
次に費用面を見てみたい。前四半期と「広告投資を増やした」(同)ことで広告宣伝費は前四半期比500万円の増加となっている。さらにこの四半期は2018年12月期にリリースに向けて開発していた新作位置情報ゲームの開発中止を決定しており、その他原価が前四半期比6700万円増加する結果となっている。
つまりこれらの費用負担をこの四半期は20%超の営業増益を確保したことになる。
■新作位置情報ゲームの開発を中止…年間で約1億1000万円のコスト計上に
主力の位置情報ゲームの状況をさらに詳しく見てみると、『駅メモ!』が前四半期に続きDAU(日次アクティブユーザー数)を伸ばしたことに加え、新たな会員のマネタイズが進んだことで課金額も上昇し、前四半期比で38.0%増の増収を達成した。
『駅メモ!』は、アクティブ率向上施策として、引き続き他社との協業や、地方創生の取り組みを進めている。なお、2017年12月期は年間でO2Oイベントを16個開催し、41.5万人の送客効果が発生したとしている。
その一方で、前述のとおり、開発中だった新作は開発中止となり、年間で約1億1000万円がコストとして計上された。開発中止の理由は「投資回収が難しいと判断したため」(同)で、現時点で同社は位置情報ゲームの新作には着手していない状況となる。
■ブロックチェーン関連サービス第一弾はゲームを開発中
今後の取り組みとして大きく取り上げられていたのが、ブロックチェーン関連サービスだ。すでに第1弾としては「ゲームを予定している」(同)とするなど、開発に着手している。
現行プラットフォームの規約の縛りのない分散型プラットフォームとなり得るブロックチェーンを活用することで、「仮想通貨」を使ったユーザー間のトレーディングを取り入れたサービスを実現することを目指しており、「活用したサービスはゲームだけではない」(同)と次を見据えた取り組みとして進めているようだ。
■まとめ
なお、2018年12月期の連結業績予想については、スマートフォンアプリ市場の事業変化が激しく、ブロックチェーンを活用した新規サービスの状況についても不確実性が高いことから適正かつ合理的な数値の算出が困難であるため、非開示としている。
新たな取り組みとして進めているブロックチェーン関連サービスは、2018年中のサービス開始を目標としているが、現時点で業績面への寄与度をどう判断すべきかは難しいところ。そのため、基本的にはほぼ既存タイトルの『駅メモ!』の推移が同社の業績判断の指標となるだろう。
アプリ版が4年目も成長を持続しているのかどうか、まずは第1四半期を見て、2018年のスタート状況をしっかりと確認したい。
(編集部:柴田正之)
会社情報
- 会社名
- 株式会社モバイルファクトリー
- 設立
- 2001年10月
- 代表者
- 代表取締役 宮嶌 裕二
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高33億7000万円、営業利益9億4500万円、経常利益9億4000万円、最終利益ゼロ(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3912