【発表会】App Annie、2017年度 アプリ世界収益ランキングなどを表彰する「2017 Top Publisher Awards」を開催…日本企業は任天堂の初ランクインなど計15社が入賞
App Annieは、1月29日、都内ウエスティンホテルにて、2017年通年でのアプリ収益額におけるトップ52社にランクインした日本のパブリッシャーに向けた表彰式などを行う、「Top Publisher Awards 2017」を開催した。
なお、各ランキングの詳細は下記のサイトから確認可能。
【ランキングの詳細はこちら】
・2017 年トップパブリッシャー:世界収益ランキング編(TOP52)
・2017 年トップアプリ:国内ランキング編
・2017 年トップパブリッシャー:日本カテゴリ別 MAU ランキング
「Top Publisher Awards 2017」は、年間を通してアプリ市場の発展に大きく貢献したアプリ提供企業(アプリパブリッシャー)を表彰する場としてApp Annie主催で開催されている。この試みは、通年でのアプリ収益額における世界トップ52社をトランプカードに掲載する形で2011年からはじまり、2015年からは表彰式を実施している。受賞企業は「App Annie Intelligence」で提供される収益、ダウンロード、MAU といった指標に基づいて決定されている。
本稿では、当イベントに先駆けて行われたプレス向け発表会から、「Top Publisher Awards 2017」の様子をお届けしていく。
■アプリの「ダウンロード数」「利用時間」「消費支出」の世界平均は全て成長傾向にあり
プレス向け発表会では、App Annie CEOのバートランド・シュミット氏が、最新のアプリ市場動向を紹介し、世界収益ランキング トップ52や、非ゲームジャンルにおける国内ダウンロード件数ランキングや国内MAUランキングについての発表・解説を行った。
▲App Annie CEOのバートランド・シュミット氏。8年前、「アプリは世界を変える」という想いから創業されたApp Annieの狙い通り、現在、アプリはゲームをはじめ、ショッピングや金融、書籍、業務用ツールなど、あらゆる業界に関わり、多くの人々の生活を支えているとバートランド氏は話す。
まず始めにバートランド氏は、世界のアプリ市場動向についての解説を行った。
バートランド氏によると、2017年のアプリダウンロード数は世界で1750億。これは、2年前の2015年と比べて60%の成長率を遂げているという。また、世界基準で1人あたり1日平均3時間はアプリを利用していることになり、利用時間の平均は2015年比で30%増加していると紹介した。さらに、1ヶ月あたりのアプリ平均使用数は40で、端末の中に平均80個のアプリをダウンロード済みであるというデータを公開。ダウンロード数、利用時間ともに増加傾向にある現在、消費支出の面では860億ドルと2015年比で105%の成長率を遂げている。
そのほか、日本に注視すると、アプリのダウンロード数は25億で2.4%ほどを占めており、平均利用時間についても世界の平均より数値が高くなっているとのこと。1ヶ月あたりの平均使用数は35でやや世界平均に劣るものの、取得数は102個という結果から日本では端末にアプリを入れ続ける人が多い傾向にあることが特徴として表れていると語った。
▲消費支出に関しては、特に成長が見られるのがアジア太平洋地域で570億ドル(2015年比で145%増)。
こうしたデータから、バートランド氏は各国のアプリ市場が似たような成長曲線を描いていることを発見したと話す。多少の差異はあるものの、まず新興市場ではアプリのダウンロード数が増え、次に使用量(利用時間)が増加、こうして市場が成熟したところで収益の増加へと繋がっていくのだという。
▲また、日本や韓国は世界の中でも既に成熟度が高いが、インドやインドネシアにはまだ成長の余地があると見ていることから、アジア太平洋地域に関しては今後も伸びる可能性があるという見解を明かした。
ここからは、世界収益ランキング トップ52をはじめとした各ランキングについて、日本企業を中心に解説を行った。こちらの模様は、表彰式の写真と共にお届けしていく。
世界収益ランキング トップ52では、日本から15社がランクイン。昨年(2016年)は17社だったため2社減少する結果となったが、任天堂の初ランクインや、ソニーの躍進などが特徴として伺える。中でも、『Fate/Grand Order』は8・9月のナンバー1アプリだったと紹介した。
【世界収益ランキング トップ52にランクインした日本企業】
▲ラインナップからは、昨年も上位にランクインしていた企業が数多く見られた。
●登壇企業(※写真掲載順):サイバーエージェント、ディー・エヌ・エー、グリー、Klab、コナミデジタルエンタテインメント、LINE、ネクソン、セガゲームス、ソニー、スクウェア・エニックス、バンダイナムコエンターテインメント
以下は、バンダイナムコエンターテインメントの手塚晃司氏からのコメント。
手塚氏:本日はこのような栄えある賞をいただき、ありがとうございます。この場に戻ってこられたことを本当に嬉しく思っております。弊社では毎月、全員が集まる場でApp Annieさんのパブリッシャーランキングを見て「1つ上の順位と何百万ドル差だからもうちょっと頑張れ」ということを言われ続けてきました。我々にとっては成績評価がこちらの場だと思っております。
収益の話をすると、昨年は『ONE PIECE トレジャークルーズ』が2周年で過去最高売り上げを記録したという話をさせていただいたのですが、おかげさまで先日3周年でまた過去最高売り上げを更新することができました。また、今日は『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』の3周年でもあります。特に昨年は海外の数値が伸びており、『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』は世界22カ国でセールストップを獲得、39カ国でTOP10入りを果たしました。しかし、世界にはまだまだ競合が多数おります。同じ日本企業としてここにおられる皆様と共に友情・努力・勝利で頑張っていければと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
【2017年 日本アプリダウンロードランキング(非ゲーム)】
▲非ゲームを中心としたダウンロードランキングでは、料理動画を配信する「DELISH KITCHEN」など、新しいジャンルの台頭が目立つ結果となった。
【2017年 日本アプリMAUランキング(非ゲーム)】
▲MAUランキング トップ30の中にはYahoo!Japanのアプリが7つランクインしており、これはWebで浸透していたユーザーがアプリへと移行しているのではないかと説明した。
【2017年日本アプリ収益ランキング(非ゲーム)】
▲トップ10の中にLINEから4つのアプリがランクイン。サイバーエージェントが提供するマッチングアプリ『タップル誕生』の躍進も目立った。また、漫画アプリが9つランクインしていることを日本の特徴として挙げた。
続いて、「ショッピング」「ファイナンス」「エンターテインメント」というカテゴリー別ランキングは以下の通り。
▲ショッピングアプリは、10社中9つを日本企業が占めるも、トップはアメリカのAmazonという結果に。
▲金融関連トップ10は全て日本企業。バートランド氏は、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行という2つのメガバンクがランクインしていることを特徴として挙げた。
▲エンターテインメントジャンルは、テレビ局と関連した動画配信アプリが数多く見られ、中でもサイバーエージェントの『AbemaTV』の躍進が目立つところだった。
イベントの最後には、App Annie日本・韓国リージョナルディレクターの滝澤琢人氏より、以下のコメントがあり幕締めとした。
滝澤氏:この何年かデータを見ていて、競争が激しくなっていることを肌で感じております。その中でトップパブリッシャーの定義も変わってきていると思っており、昔は収益のみだったものから"時間"や"アクセス頻度"、また、お客様の満足度というところでは別の視点を持つ必要もあると思います。なので、一概に指標で比べること自体に疑問を抱きながらも日々試行錯誤をしています。しかし、全世界で統一して比べることで見えてくる視点もあると思いますので、全体的な観点からアプリ市場がどう動いているのかを年に一度見ていくことの重要性を耳にすると、改めてこういった場で定点観測していく意味があると実感させていただけます。ユーザーの期待値もだんだんと上がってきており、コンテンツを作り、知っていただき、使い続けていただくことが難しくなってきている中でサービスを生み出されている皆様方が、この機にこれまでの努力や苦労を振り返って次の機会に活かせる場になればと考えております。
(取材・文 編集部:山岡広樹)
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- data.ai(旧App Annie)