【セミナー】「ディライトワークスとはレストランである」「1日の業務はまるでMMORPG」という話も飛び出した塩川氏&加藤氏の講演をレポート
ディライトワークスは、6月1日、同社内にて、美味しいお肉料理を食べながらFGO PROJECTの未来にかけるディライトワークスの想いを語るイベント「肉会(MEAT MEET UP)Vol.1 FGO PROJECT総合プロデュースチームキャリア相談会」を開催した。
本イベントでは、「“FGOのある生活”をデザインするとは?」というテーマでディライトワークス執行役員クリエイティブオフィサーの塩川洋介氏と、プロデュース部マネージャーの加藤拓氏がトークセッションを行ったほか、プロデューサーやマーケティング担当者を加えたキャリア相談会兼懇親会を実施。本稿では、イベント前半に行われたトークセッションについてのレポートをお届けしていく。
▲本イベント後半の懇親会では、多彩な肉料理が振る舞われた。
【会社紹介】
▲2014年1月に設立されたディライトワークスは現在、約270名の社員を抱えている。家庭用ゲームを中心に開発してきた経験豊富なクリエイターが多数在籍しているため、平均年齢が高めになっているのも特徴だ。
▲「ただ純粋に、面白いゲームを創ろう。」という開発理念を掲げる同社には、気軽に話し合えるフリースペースやボードゲームカフェも備えられている。また、部活動や社内イベントなどもあり、社員同士が活発に交流しているとの話だった。
【登壇者】
▲ディライトワークス執行役員クリエイティブオフィサーの塩川洋介氏。スマートフォン向けタイトルの『Fate/Grand Order』(以下、『FGO』)を中心に、VRやアーケード、リアル脱出ゲーム、ボードゲームなど、『FGO』に関する全体のクリエイティブを統括している。
▲ディライトワークス プロデュース部マネージャーでプロデューサーの加藤拓氏。FGO PROJECTでは、PlayStation VR専用タイトル『Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト』や、2018年4月1日のみ配信されたRPG『Fate/Grand Order Gutentag Omen Adios』のプロデュースを担当している。
▲ディライトワークス 企画部第一企画セクションマネージャーでディレクターの浅沼拓志氏は本講演のファシリテーターを務めた。浅沼氏は、北米版・簡体字版・繁体字版・韓国語版など海外展開に関するプロデュース、およびディレクションを担当している。
■FGO PROJECTの内情も赤裸々に明かされるセミナーに
塩川氏、加藤氏、浅沼氏の3名が登壇したところで、今回の講演では4つのテーマについて三者三様の立場から多角的な視点で話が展開された。
1.ディライトワークスとは、レストランである
最初のテーマは「ディライトワークスって、実際どんな会社?」というもの。これに加藤氏は、「ディライトワークスとは、レストランである」との回答を示す。
これは、自分たちの作っているゲームを料理に見立て、そのうえで単純に料理(ゲーム)を作るだけではなく、内装やチラシなども含めサービス全体を通じてお客様が来店したくなる店をプロデュースしているという意味であると加藤氏は説明した。これに塩川氏は、クリエイターとして、美味しい料理を作ることはもちろん大事だが、どういった環境やタイミング、どの順番で出すとより美味しく感じてもらえるか、料理を作る人以外も一丸となって考えているところがディライトワークスの特徴であると述べた。
また、具体例として『Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト』ではサービスのコンセプトとして「マシュ・キリエライトに“逢える”Fate VRドラマ」というコンセプトを掲げていたが、コンテンツの開発だけではなく、各イベント会場でどのように展示をするか、どのようにお客様に伝えていくかとい部分も含めて構想を練ったという。開発と見せ方の部分を連携させながら、お客様が思い出や話題として持ち帰るところまでを“逢いに行く”体験としてデザインしていたと塩川氏は語った。
さらにここで、浅沼氏より『Fate/Grand Order VR feat.マシュ・キリエライト』を有料販売せず無料配信した理由が問われる。加藤氏は、この点はかなり議論したポイントだとしながらも、マシュに逢えるユーザーをより増やし、たくさんの方に喜んでもらえることに判断基準を置いて決定した結果だと答えた。
2.教えて! ディライトワークスでの1日
続いてのテーマは「教えて! ディライトワークスでの1日」。加藤氏にとって「それは、MMORPGをプレイするような毎日」であるという。現場では日々様々な事柄が同時多発的に起きる中、チームで情報を共有してチャンスを活かしたり、はたまた課題に取り組んだり。打ち合わせや提案書の作成、新入社員の教育など、幅広いクエストをこなすような感覚であると話す。
一方、浅沼氏はMMORPGに例えるのであれば「仲間をサポートするために、複数のフロアを行き来しながらデイリーミッションをクリアしています」とコメント。そうした日々の積み重ねで経験値が溜まり新しいことにも挑戦していけるのだと説明した。実際、FGO PROJECTでは海外展開に伴い、現地との時差に対応したり、各国の土壌に合わせてメッセージを提供していると具体例を挙げた。
最後に塩川氏のセミナー開催当日の一日は、TYPE-MOONとのミーティングに始まり、『Fate/Grand Order Arcade』の確認物のチェックや本セミナーへの登壇を行い、翌日は大阪でリアル脱出ゲームのスタッフトークに登壇、同時に今夏発売予定の『Fate/Grand Order Duel -collection figure-』についての事柄を決定したりと、多店舗展開を行う中で全店巡回をしているようなイメージだと語った。
3.ディライトワークスにいて、一番嬉しかった瞬間!
▲こちらの写真は2018年4月1日のみ配信された『Fate/Grand Order Gutentag Omen Adios』の打ち上げのときのもの。
第1部のパロディー的な内容も含まれており、ユーザーからも非常に好評だったという。App Storeへの反映時間などを含め4月1日にリリースするという計画を逃せないという状況で、最終的にユーザーに喜んでもらうという目標をメンバー全員で達成できたことが嬉しかったと、加藤氏、塩川氏ともに話した。また塩川氏は、ゲームの開発メンバーはもちろん、宣伝や広報の担当、アクセス集中に対応するサーバー担当、CS担当など全メンバーが密接に連携しなければ達成できないプロジェクトだったことから、より大きな一体感を得られたことが喜びに繋がったと分析。「このメンバーだから実現できた」というところが思い出深いと振り返った。
4. ”FGOのある生活”を、デザインする仕事とは?
4つ目のテーマは「“FGOのある生活”を、デザインする仕事とは?」。
まず、“FGOのある生活”について塩川氏は5月に開催された「Fate/Grand Order 春のミステリーフェア2018」の例を挙げた。こちらのキャンペーンでは、現実で体験できるリアル脱出ゲーム、Webで遊べるお試し謎、作中で遊べるミステリーイベント、さらにゲームを遊んだうえでWeb投票を行う犯人当て、と多角的に展開。これは一見メディアミックスと呼ばれる形に捉えられがちだが、そうではなく「ミステリー」や「謎」をテーマに“マスター”となってミステリーを体験できる瞬間を作っていると塩川氏は説明した。
ディライトワークスでは、こうした施策を今後もどうやって発展させていくかをひとつのミッションにしているという。そして、サービスを積極的に多角展開しているのは、2年~3年後を考えたときに「面白いゲームを作る」だけでは生き残っていけないと考えているからだと続けた。
塩川氏は最後に、今後は面白いゲームを作ることに加え、より面白い体験やサービスを設計できることが重要になると語る。「作ったゲームをより良いものとしてお客様に届けられるよう、ゲーム外のことも含めてサービス設計をしていきたいし、そうしたことを行うチームでありたい」と話をまとめた。
▲同じ志を持つメンバーを集めるという目的もあり、今回の「肉会(MEAT MEET UP)Vol.1 FGO PROJECT総合プロデュースチームキャリア相談会」が開催された。
さらに7月4日20時からは、早くも「肉会(MEAT MEETUP)Vol.2 FGO PROJECT マーケティングセミナー」の開催が決定したことも発表された。次回はマーケティング分野ということで、宣伝や広報に特化した話が展開されるという。どのような考えのもとマーケティング施策を行っているかが明かされるとのことだ。
なお、最後のテーマである“FGOのある生活”については、先日行われた発表会でも塩川氏より説明が行われている。今回の講演で興味を持たれた方は是非、下記の関連記事も併せてチェックしてみてはいかがだろうか。
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・【発表会】「ゲーム外を制する者が、ゲームを制す」…ディライトワークス・塩川氏が”FGO PROJECT クリエイティブプロデューサー”に就任した意図を明かす
(取材・文 編集部:山岡広樹)
■『Fate/Grand Order 』
(C)TYPE-MOON / FGO PROJECT
会社情報
- 会社名
- FGO PROJECT
会社情報
- 会社名
- ディライトワークス株式会社
- 設立
- 2014年1月
- 代表者
- 代表取締役 庄司 顕仁