【アナログゲーム再考(1)】ボードゲーム市場は着実に成長 『FGO』の登場は業界全体にポジティブ 『白猫TCG』開発責任者KMP氏に聞く



最近、スマホゲーム会社が自社で展開するスマホゲームをモチーフにしたボードゲームやトレーディングカードゲーム(TCG)を発売するケースが増えている。その代表例が『Fate/Grand Order』(FGO)、『モンスターストライク』、『白猫プロジェクト』などだが、今回、スマホゲーム開発者のための入門的な連載として「アナログゲーム再考」と題して展開していきたい。

まず、企画第1弾として、『白猫プロジェクトTCG』開発責任者であるKMP氏にインタビューを行い、アナログゲームの現状や『白猫プロジェクトTCG』の紹介、スマホゲームをTCGに落とし込んでいくにあたって注意したポイントなどを聞いた。連載第1回となる今回は、アナログゲームでTCGとともに大きな位置を占めるボードゲームの現状について話を聞いた。


――:よろしくお願いします。まず、トレーディングカードゲーム(TCG)はアナログゲームの一分野となります。マーケットの状況はどうなっているんでしょうか。

アナログゲームは、様々なジャンルがありますが、メジャーなのは、トレーディングカードゲームとボードゲームです。そのなかでボードゲームは、皆でワイワイと遊ぶパーティゲームが主流で、トレーディングカードゲームは、ボードゲームよりコアなゲーム性が特徴となっています。

ボードゲームは、パーティゲームですので、誰かの家に集まって友達や家族と一緒に遊んだり、最近ですと、ボードゲームカフェのようなお店で他のお客さんと遊んだり、といったことが多いです。もちろん、ボードゲームの中でも、最近ではコアなゲームも徐々に増えてきていますが、中心はあくまでカジュアルなゲームです。



――:大きな流れではないですが、スマホゲーム会社も少しずつボードゲームを出す動きがありますよね。自社で出したゲームをモチーフとしていたり、オリジナルゲームであったりと様々ですが。あの大物も控えていますし、オインクゲームズが『VOID』や『ふくろと金貨』などを出しています。

そうですね。例えば、オインクゲームズさんは、さらにカジュアルに寄せています。箱や「コンポーネント」(コマやタイル、ゲームボードなどの総称)、ゲームデザインがとても工夫されていて、遊びやすく、教えやすいゲーム性です。箱のデザインもおしゃれですし、価格も2000円前後とお手頃ですので、女性ユーザーからも人気となっています。



▲オインクゲームズがゲームマーケットで販売した『ふくろと金貨』。


――:コアなゲームというと、海外から輸入されるゲームが中心でしょうか。

はい。コアなゲームについては、海外から買い付けてきて日本向けにローカライズして販売するものが多いですね。例えば、国内だとホビージャパンさんが取り扱っている製品が有名ですね。パッケージをみると、海外テイストのものが多いです。ただ、国内でもコアなゲームは少しずつ出てきており、例えば、BakaFirePartyさんの『桜降る代に決闘を』がすごく人気になっています。



▲ホビージャパンが『ダンジョンズ&ドラゴンズ 』日本語版


――:『桜降る代に決闘を』はイラストを見ると、キャラクターのテイストが日本人の好みに合いそうですね。

『桜降る代に決闘を』は、お聞きしていると、もともとは小さいサークルから始まったみたいなんですが、少しずつファンを増やしていって、先日開催されたゲームマーケットでも大きなブースを出していて、ひときわ目立っていました。最近ではデジタル版のリリースも控えるなど、ボードゲーム界隈では注目すべきタイトルといえるかと思います。


――:コアなゲームの代表格はどういった作品でしょうか。

色々ありますが、『ウォーハンマー』ですね。ミニチュアのフィギュアを使って遊ぶのですが、フィギュアの塗装を自分でやる必要がありますし、相手までの距離を定規で測る必要があります。男の子心をくすぐるものです。すごく面白いのですが、複雑なゲーム性に加えて、イラストのテイストがやや日本人の好みと違う部分もあるため、これから遊ぼうという人には入りづらさがあるかもしれませんね。


――:国産では『桜降る代に決闘を』以外にはあるのですか。

こういったコアなボードゲームは、国産では、同人ゲームなどで見かけることがありますが、まだ大きな流れにはなっていないように思います。これ以外にもありますが、ややとっつきづらさがあって、難しいゲームと思われてしまっているのかもしれません。作り手にとっても販売する方にも、もう少し工夫できる余地があるのではないかと思っています。


――:あとは、ボードゲーム界のみならず、スマホゲーム業界でも注目を集めている『Fate/Grand Order Duel -collection figure-(以下、FGO)』がありますね。

そうですね。私も注目していますし、楽しみにしています。『Fate』『FGO』という人気作品を使っていることと、作品に登場する英霊たちのフィギュアが扱えることがすごく大きいと思っています。単にゲームとしてだけでなく、コレクション目的でのニーズも大きくなるでしょうね。この作品をきっかけに、『FGO』以外のボードゲームでも遊び始めてもらえれば、業界にとってもすごくいいことだと思います。



▲『Fate/Grand Order Duel -collection figure-』


――:『FGO』のミニフィギュアを見ましたが、すごくいい出来でしたね。

あのクオリティはすごいですね。ファンならば欲しくなります。ミニチュアフィギュアまで踏み込めるのはなかなかないですよね。私もスマホゲームのグッズを扱ったことがありますが、フィギュアは、型や製造工程、コスト、クオリティを管理するのが難しいので、それ相応のチームをつくって挑む必要があります。他のメーカーもやりたいと思っていても、なかなか踏み出せないと思います。


――:最後に、ボードゲームの市場は市場として成長しているのでしょうか。

一時のスマホゲームのように爆発的に伸びるわけではありませんが、若いファンが徐々に増えていて、市場規模そのものは少しずつですが、大きくなっています。今年のゲームマーケットに『白猫プロジェクトTCG』を出展して思ったのですが、これまで以上に若い方や女性、カップルでの来場者が増えてきたように思います。その意味で、『FGO』の登場で、こういった流れがいっそう加速するのではないかと期待しています。


――:ありがとうございました。次回はTCGの状況をお願いします。




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設立
2008年10月
代表者
代表取締役会長 チーフクリエイター 馬場 功淳/代表取締役社長 宮本 貴志
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9月
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売上高309億2600万円、営業利益28億5800万円、経常利益32億7600万円、最終利益18億9300万円(2023年9月期)
上場区分
東証プライム
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