【enza説明会①】BXD手塚晃司社長が語るプラットフォームの特徴と現状、そしてビジョン 「企画や開発が十数本動いている」との情報も
BXDは、8月3日、HTML5を使ったブラウザゲームプラットフォーム「enza」(エンザ)のデベロッパー説明会を東京都内で開催した。オープンに募集したものではなく、あくまでコンタクトのあった会社を招待したものにもかかわらず、120名を超えるアプリ開発者が集まった。セミナーの出席率は一般的に7割程度とされるが、今回は9割を超えたという。BXD関係者が「enza」の現状と将来展望、開発上の注意点などについて紹介した。
説明会では、トップバッターとして、「『enza』とは/ 『enza』 の未来について」と題して、BXDの手塚晃司社長(写真)がBXDの持つ「ビジョン」とともに、「enza」の「いま」と「未来」についてプレゼンテーションを行った。
まず、「enza」の紹介から行った。プラットフォームの名称である「enza」の由来は、多くの人が輪の形になって座る「円座」で、老若男女、様々な人種の人が「円座」になってワイワイ言いながら遊ぶプラットフォームになってほしい、という意味が込められている。
バンダイナムコグループは、キャラクター、IP(知的財産権)を活用したゲームを得意としていることから、『ドラゴンボール』や『アイドルマスター』などの作品や、そこに登場するキャラクターの好きな人が集まってワイワイ遊ぶイメージを持っているという。
そんな「enza」だが、以下の特徴を持っている。
(1)アプリなどのインストールが不要
学生を中心に「ゲームアプリで遊びたいのに、端末の容量がないために遊べない」という声を聞くことが多いという。「enza」では大容量のアプリをインストールする必要がないため、こうした問題が解決できる。通信量の問題が出てくるが、MVNOと提携し、カウントフリーの対象にしてもらっているほか、Wi-Fiの利用を促すことで対応しているという。
(2)すぐに遊べる
スマートフォンの標準ブラウザですぐに遊ぶことができる。ゲームなどの話題で盛り上がっている時、診断サービスのような感覚で遊ぶことができる。
(3)シェアでさらに楽しい
TwitterやLINEなどのSNSと連携しており、遠く離れた友達ともすぐに対戦することができる。
また、アプリストアを経由しないため、プロモーション上の自由度の高さが魅力となっている。MobageやGREEなどで盛んに使われていた、シリアルコードや2次元コード、招待コード、位置情報などが自由に利用できる。
シリアルコードのゲームでの利用は、一般的には商品購入やイベントなどで入手したシリアルコードをゲーム内に入れると、様々な特典がもらえるものだ。ゲームで遊んでいなかった人にとってはゲームを始めるきっかけになる。もちろん、すでに遊んでいる人にとっても特典がもらえるため、ゲームでより楽しめるようになるメリットがある。
実際、第1弾タイトル『アイドルマスター シャイニーカラーズ』では、こうした施策をすでに実施しているという。ゲーム内の楽曲を収録したCDや、リアル店舗、リアルイベント、ラジオ番組などと連携することで、大きな集客効果が生まれており、「プロモーション上でもとても有用な施策になっている」。
また、決済手段の充実も魅力だ。クレジットカードだけでなく、各種電子マネーなど12種類の決済手段に対応している。「(クレジットカードなどがないため)払いたいのに払えない」という状況を解消した。
続いて、手塚氏は、「enza」のポジショニングを紹介した。HTML5のプラットフォームは世界的にも注目を集めている。Tencentの「WeChat」のミニゲームは2017年12月に始まったが、公開から3日間で4億人がプレイするなど大きな盛り上がりを見せている。同様に、FacebookのInstant Gamesもカジュアルゲームが中心で、MAU(月次アクティブユーザー数)が8億人を超える。
ここで手塚氏は、このような競合するHTML5プラットフォームに対して「enza」は以下の強みがあると述べた。
・バンダイナムコグループの様々な作品を使ったゲームを作ることができること
・ネイティブアプリと遜色のないゲーム性を持つ、やりこみ要素のあるタイトルが提供できること
・個人情報の保護に対応していること
・様々な手段でプロモーションができること
・ゲーム内課金だけでなく、ゲーム外でもマネタイズが可能であること
それでは、「enza」に人は集まっているのか、そして今後、どうやって増やしていくのだろうか。これについては『ドラゴンボール ブッチギリマッチ』の事例を紹介した。サッカー選手の長友佑都さんを起用し、人気YouTuberのHIKAKINさん、はじめしゃちょーさんとのコラボ動画を展開している。動画の視聴数が爆発的に伸び、今後もこうした手段を通じてタイトルやプラットフォームの認知度向上を行っていくという。
最後に、2018年のタイトルラインナップは、すでに発表済みのもので4タイトルだが、これ以外にも「企画や開発が十数本動いている」という。「ドリコムさんが決算発表で頑張って投資しているという話があったが、それは可能性を感じているからこそできること。今後もこういう場を通じてノウハウを伝えてより良いゲーム、市場を育てていきたい」と語り、セッションを締めくくった。
会社情報
- 会社名
- 株式会社バンダイナムコエンターテインメント
- 設立
- 1955年6月
- 代表者
- 代表取締役社長 宇田川 南欧
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高2896億5700万円、営業利益442億3600万円、経常利益489億5100万円、最終利益352億5600万円(2023年3月期)
会社情報
- 会社名
- 株式会社ドリコム
- 設立
- 2001年11月
- 代表者
- 代表取締役社長 内藤 裕紀
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高97億7900万円、営業利益9億300万円、経常利益7億9300万円、最終利益1億400万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3793