セルシス、「CLIP STUDIO PAINT」の最新バージョンを公開 アニメーション機能を大幅強化 東映アニメのデジタルタイムシートも無償配布



セルシスは、イラスト・マンガ・アニメーション制作ソフト「CLIP STUDIO PAINT」の最新バージョンVer1.8.4を11月29日に公開した。 CLIP STUDIO PAINTを持っている人は無償でアップデートして利用できる。

今回のアップデートで、 アニメーション機能強化、 汎用デジタルタイムシート情報ファイル入出力、 AIを利用した自動彩色機能などが追加となった。また、アニメーション機能強化にあわせて、 汎用デジタルタイムシート情報ファイルに対応した「東映アニメーション デジタルタイムシート」を無償配布し、 アニメーション制作に活用できるという。 

セルシスは、アニメーション制作工程のデジタル化推進支援を目的に、他ソフトとの連携の強化、各社のアニメーション制作工程管理ツールとの親和性の向上を可能にする、汎用デジタルタイムシート情報ファイルを提唱している。今回、汎用デジタルタイムシート情報ファイルのフォーマットを公開し、誰でも広く利用できるようになった。


■ アニメーション機能強化について 
東映アニメーション デジタルタイムシートへの入出力機能に加え、 カメラワーク機能、 オーディオ入出力機能などを実装した。 コンテやレイアウトなどの上流工程において、 カメラワークの再現やサウンドの確認を行うことができるようになったり、 作画環境が向上し、線撮やプリビズにも対応できるようになる。また、レイヤー上限枚数を従来の10倍の10,000枚に増やすことをはじめとする、 アニメーターの要望に応えた改良も多数盛り込まれている。
 


■ 「東映アニメーション デジタルタイムシート(略称、 TDTS)」について 
TDTSは、 東映アニメーションが開発し、 東映アニメーションとセルシスが共同で行う実証実験でも活用した、 紙のタイムシートを踏襲したWindows用のタイムシート編集ソフトウェア。 CLIP STUDIO PAINTと、 汎用デジタルタイムシート情報を介して連動し、 タイムシートと同様の表示形式でCLIP STUDIO PAINT EXのタイムライン情報を編集することができる。 これにより、 アニメーターに馴染みの深い、 タイミングや指示をタイムシートで確認しながら作業を進めていくワークフローが構築可能。 

TDTSはセルシスが運営する「創作応援サイト CLIP STUDIO」より無償配布する。 個人・法人や商用・非商用を問わず利用できる。 今回配布するTDTSは原画工程の運用に対応している。 引き続き、 動画以降の工程についても実証実験を行っており、 動画以降の工程に対応したTDTSは東映アニメーションと協議の上、 提供を検討していく。
 


■ 「自動彩色機能」追加 
AIを利用した「自動彩色機能」を追加した。 レイヤーに描画された線画を参照して全自動で彩色する「全自動彩色」と、 線画のほかにヒントとして色を指定するレイヤーを作成して、 イメージに近づける「自動彩色」を実装した。 この機能は先行プレビュー機能として提供する。

この機能はネットワーク環境を通じてサーバーに画像を送る形で提供される。なお、 サーバーへ送信された画像は個人を特定できない形でセキュリティやプライバシーに最大限配慮して取り扱われ、 著作権は著作者本人に帰属し、 セルシスは保有しない。また、 外部に公開されることはないとのこと。
 


■ 新サービス「CLIP STUDIO SHARE」の提供開始 
マンガやイラスト集などの作品を気軽に電子書籍化して共有し、 スマートフォン、 タブレット、 PCなどの最適なビューアで閲覧できるサービスの提供を開始した。 作品のデータをアップロードすることでURLが発行され、 共有できる。 また、 Twitter上で閲覧しやすくなるインライン再生や合言葉による限定公開、 読む方向を縦スクロールなどに指定するなど作品や目的に応じた柔軟な設定が可能。