【インタビュー】『クラッシュフィーバー』スタッフが語る「Save Point」の魅力 仕事効率化の秘訣はプロジェクト管理ツールにあり
日本だけでなく、世界中で人気を博し1000万ダウンロードを達成したワンダープラネットのスマートフォンゲーム『クラッシュフィーバー』。本作を支えているクラウド型プロジェクト管理ツールが、MUGENUPが提供している「Save Point(以下、セーブポイント)」だ。
セーブポイントは、イラストデータの制作管理を一元で管理できるのが魅力のクラウド型プロジェクト管理ツール。今回はセーブポイントを導入している『クラッシュフィーバー』(以下、『クラフィ』)でアートディレクターを担当している磯部真実氏に、セーブポイントの魅力を伺った。
■制作初期段階から導入していたセーブポイント
――:まずは磯部さんがこれまで携わられた業務について教えてください。
新卒で入社して、5年目になります。『クラフィ』は来年の7月で4周年を迎えるのですが、スタート時から開発に携わっています。主な業務としては、最初はデザイナーとしてバナーやキャラクターなどの幅広いデザイン分野を担当し、現在はアートディレクターとして本作のクオリティの承認と管理を行っています。
――:海外でも大人気の『クラフィ』ですが、改めてどのようなゲームかご紹介いただけますか。
本作は、「気持ちイイ!」をテーマにした”ブッ壊し!ポップ☆RPG”で、今までにない爽快感を味わえるのが魅力となっています。仮想空間が舞台なので、キャラクタービジュアルは現代風にしつつも近未来感を入れた感じにしています。音楽も爽快感をイメージし、他のゲームにはないようなテンポが速めで気持ちの良いものをノイジークロークさんに作っていただいています。
――:では早速、セーブポイントについてお聞きしたいと思います。セーブポイントではどのようなことができるのでしょうか。
セーブポイントは『クラフィ』の開発初期から導入しているツールで、ユニット制作時にMUGENUPさんと弊社のクリエイターがやり取りをする際に使っています。ユニットが完成するまでの工程には構図やラフ、着彩などがあり、全て別々に進行しているのですが、スタートから納品までを一元化して管理できるのがセーブポイントです。また、スケジュールや納品日といった管理も行えます。『クラフィ』のほかにも、弊社の他のタイトル開発でも利用しているのですが、非常に使いやすくてとても重宝しております。
▲セーブポイントの使用画面。
――:ラフや着彩など、工程別にイラストの進行度を確認できるというイメージでしょうか?
はい。現在どの段階にあるのかはすぐに分かりますよ。私たちはそこまで細かく分けてはいませんが、ステータス部分を自由に変えられるので、ラフ確認中、着彩確認中など工程ごとに分けているチームもあります。
▲イラストが完成するまでにはこのような工程を経ている。
――:制作初期からセーブポイントを導入されていたとのことですが、その経緯を教えてください。
リリース前からMUGENUPさんとやりとりさせていただく中で、ご提案いただいたイラストの方向性が『クラフィ』のイメージにぴったりだったことから、一緒にお仕事をすることになりました。
当時は同じくMUGENUPさんが提供する「ワークステーション」というツールを使用していたのですが、ある日、「セーブポイントに切り替えてみてはいかがですか」とご提案がありました。せっかくのご提案ということで試しに使ってみたところ、Photoshopを立ち上げずにPSDデータを確認できるなど、非常に使いやすかったんです。それまではイラストに特化されていないツールを使用していたので、セーブポイントの使いやすさに感動しました。そこから、弊社では全てのプロダクトでセーブポイントを使わせていただく形になったんです。
――:使いやすさが一番のポイントというわけですね。
はい。ツール自体も、見ただけでどのように操作をしたらいいのかがすぐに分かるUIになっているのもポイントですね。国内で開発されているツールですので、もちろん日本語対応もしていますし、チュートリアルも用意されています。
――:そのほか、セーブポイントならではの特徴を伺えますか。
データ管理の部分ですね。セーブポイント導入前は、ストレージにデータをアップするにしてもアドレスやパスワードを入力する必要がありましたし、情報共有のためにメールにCCを付けたり……それだけでかなりの工数を割かれていました。データをローカルPCに落として保存している場合は、他の人に見せる場合はそれをまた移動させなければならないので、共有までの時間がかかっていました。
また、『クラフィ』ではセーブポイントを複数のメンバーが活用しています。キャラクターイラストの構図や色彩、表情など、納品されたデータをチェックし、キャラクターの詳細を決める指示書を作っているメンバーもセーブポイントを見ています。彼らが指示書を作る際に、次に制作するキャラクターが以前のものと被らないように過去のデータをチェックするのに、セーブポイントがすごく便利なんですね。セーブポイントのように誰もが一斉にデータを見られるツールはとてもありがたいです。
▲納品データの精査にも役立っているという。
さらに、セーブポイントではラベル機能も利用しています。例えば「バレンタイン」というラベルを付けておけば、バレンタイン関連のキャラクターがすぐに閲覧できるようになっています。季節もののイベントなどを行う際には、ラベルで検索して過去のイラストを見ながら「昨年はセクシー路線だったから今年はキュート路線でいこう」といったように、デザインを膨らませたりアイデアを出したりしています。
▲ラベル機能。
▲「クリスマス」のラベルで検索をかけたもの。
■データの一元管理で各国や別職種との連携もスムーズに
――:実際にキャラクターデザイン制作はどのような工程で行われているのでしょうか。
まずその月に何体のキャラクターデザインをしていただきたいかをスプレッドシートで発注し、見積もりをいただきます。その後、MUGENUPさんにラフを数点セーブポイントにあげていただき、私どもから「Aがいいです」「Bがいいです」とご依頼します。そういったやり取りを繰り返しながら、線、着彩と工程を踏んでいきます。
例えば、メビウスというキャラクターを作るのであれば、セーブポイントにメビウス専用の掲示板を用意して、その掲示板内でやり取りを行うというイメージです。
弊社が契約しているプラン上、容量はかなりあるので、セーブポイントではイラストのデータ管理まで行っています。メビウスと検索をするとそのキャラクターに関するこれまでの情報が出てくるので、そこからデータを引っ張ってくるというクラウドサーバーやデータベースのような使い方もしています。
▲「メビウス」のラベルで検索をかけたもの。
――:自分のPCや会社のデータベースを探さなくても、セーブポイントを開けば調べられるわけですね。
はい。なので、プランナーを始めとするデザイナー以外の職種の方にもアカウントを所持していただき、何か探したいキャラクターがいるときはすぐに調べられるようにしています。これまではデザイナーが別のツールを使って各スタッフに渡していたので、セーブポイントのおかげでそうした時間を短縮できるようになりました。
――:デザイナー以外の方々も最初から使用されていたのでしょうか?
元々はデザイナーとプロデューサーのみが使用していました。しかし、運営を続ける中でどうしてもイラストを見ながら進めていかなければならない状況が発生したんです。そこで、プランナーもセーブポイントを見られるようにした方がいいと提案があり、アカウントを追加していきました。現在では、『クラフィ』に携わるスタッフは、ほぼ全員がセーブポイントのアカウントを持っています。
――:セーブポイントに掲示板としてこれまでのやり取りが全て残っているのは大きいですよね。
そうなんです。例えば、イラストが完成したら途中経過のデータは削除して、容量をセーブするのが普通ですよね。しかしセーブポイントであれば、それを残しておけるんです。実際、『クラフィ』の公式イラスト集「クラッシュフィーバーキャラクターイラストレーションズ」を先日発売したのですが、イラストの制作過程や没案など、セーブポイントにデータが全て残っていたからこそ掲載できたイラストが数多くあります。欲を言えば、セーブポイントを使用する前にやり取りをしていた過去のイラストデータも移行したいです(笑)。
▲掲示板の一覧。
――:キャラクターのほか、背景でもセーブポイントを使われているとのことですが、何か違いはありますか?
背景は、主に新イベント開催時に発注します。背景制作の流れもキャラクターイラストと一緒で、ラフや着彩のやり取りを行います。ただ、キャラクターイラストよりもやり取りは少なめでスムーズです。
――:どのようにして『クラフィ』の世界観にテイストを合わせているのでしょうか。
キャラクターの線は赤茶色、キャラクターにはALICEマークが入っているなど、基本的なルールは最初にパワーポイントでレギュレーションを作り、開発初期の段階で共有しました。とはいえ、最初からスムーズに進んだわけではありません。月に一度MUGENUPさんと定例会を行って、イラストの方向性について擦り合わせをするなど、経験を重ねて今のものができ上がっています。
――:『クラフィ』は世界各国で配信されていますが、グローバル版でもセーブポイントを活用されているのでしょうか。
グローバル版でも使わせていただいています。国内版とはチームが分かれており、多少異なる部分はあるものの、本作は国内発信のタイトルなので、グローバル版も国内のチームと同様にセーブポイントでデータが見られるようになっています。メリットとしては、絵柄の統一性が図れるうえ、国内外を含めた全ディヴィジョンを統括する担当者が全世界のデータを一斉に見られる点です。例えば、台湾や香港ではこんなキャラクターを出しているから被りをなくそう、という話もできる点が便利です。
海外展開については、文化的な違いを感じたこともありました。あるケースでは、制作途中で繁体字チームから「中国では白は縁起が悪いから赤い服の方がいいよ」とコメントをいただいたんです。こうした文化的な違いを含め、自分の国ではこんなキャラクターが好まれるという情報を共有いただけるのがありがたいです。セーブポイントを使っていると各スタッフが気付いたことを早い段階で共有できるので、「ここゴミが付いている」など、細かいところまで気軽に指摘し合えるのがいいところですね。
▲グローバルでのやり取りの一例。
――:新入社員やそれまで違うツールを使っている方がチームに入ってきた際、セーブポイントへの学習コストはどのようにされているのでしょう。
本当に簡単に使えるツールとなっているので、学習コストはほぼゼロです。「メールアドレスに招待が届いているから見てね」と伝えておけば、あとは自分で見てパッと分かるような設計になっています。もちろん、社内のルールなどについては教えますが、セーブポイントの使い方という意味では一から説明した記憶がないです。学習コストがほぼかからないのは、弊社としてもとてもありがたい点です。
これだけ使いやすいのも、セーブポイントには掲示板のようなものがずらっと並んでいて、SNSなどに見られるコミュニティーツールに慣れている人であれば直感的に分かるように作られているからだと思います。新しくセーブポイントを触る方には、まずセーブポイントにある掲示板を読んでいただき、実際のやり取りを見ながら学ぶ時間を設けています。そこで、「なるほど、こういうやり取りをしているんだ」「こんな風に伝えたら、クリエイターさんによく伝わるんだ」と勉強できるわけです。
それに、今どちらが仕事のボールを握っているかがひと目で分かるのも嬉しいです。イラストは全て合わせて1000体以上を管理しており、常に30体以上の制作ラインが稼働しています。そうすると、今作業するべきなのは誰なのか、というのがすぐには分からなくなってしまうことがあります。ただ、セーブポイントではステータスを「確認中」にするだけで自分にボールがある案件を一斉表示することができます。この機能のおかげで、まだ届いていない、やり取りを忘れているといったことはなくなりました。何かあれば赤いバッジが付いて知らせてくれますし、設定によってはメールでの通知も可能です。
デザイナーチームは毎朝、「今日はこういったタスクをします、セーブポイントで確認中になっているイラストは5件です」と情報共有を行います。それもあって、自身や周りの状況をとても把握しやすいです。
■これからのセーブポイントに期待すること
――:社内の方々から使い心地に関してどのような声が挙がっていますか?
スケジュールを一斉に見られるのが便利です。予定が近くなると色が変わって知らせてくれるのでひと目で分かりますし、忘れる心配がありません。デザイナーに関しては数十体のイラストを同時期に制作進行しているので、それらを通常のスケジュール管理ツールで管理しようと思うと大変なんです。そのため、セーブポイントで一元管理しています。プランナーにも、イラストのスケジュールについて調べたい場合は、セーブポイントから確認してもらっています。
――:先ほど、他のタイトルでもセーブポイントを使われているとのことでしたが、そちらのチームからはどういった声が挙がっていますか。
そのチームでアートディレクターを務めている方は元々『クラフィ』のチームに在籍していたこともあり、セーブポイントに慣れている人がリーダーに立っています。その作品ではキャラクターにモーションが付くので、工程は非常に細かいです。指示書のやり取りもセーブポイントで行われているそうで「セーブポイントなしではやっていけない」という話を聞きました。
そのほか、以前3Dビジュアルについてもやり取りさせていただいたことがあるのですが、その際も問題なくやり取りできました。様々な案件で情報やデータを受け渡しできるのは、「ありがたい」のひと言に尽きます。
――:セーブポイントを長く使用されてきて、今後増やして欲しい機能はありますか。
レギュレーション資料もセーブポイントに入れて全員で共有できると助かります。また、キャラクターを図鑑のように一覧で見られるサムネビューという機能があるのですが、登録するためにいくつかボタンを押さないといけないんです。細かなところではありますが、より使いやすく改善されたら嬉しいです。
既に使い方も分かりやすく、コミュニケーションコストの部分では非常に助かっておりますので、さらにオンライン上だけでフィードバックができるようになるとありがたいです。スケジュールに関しても先ほど話したように予定が近くなると通知が来るようになっているので、SNS系のツールへの連動を深くしていただけるとより助かりますね。
あと、これまではPSDデータをローカルにダウンロードして、Photoshopで開いてから修正指示を書いていました。それが最近、PSDをダウンロードしなくてもその場で指示を書ける機能が追加されたんです。利用してみて凄くいい機能だと感じたので、この辺りがより充実すればセーブポイントだけで全てのやり取りを完結できる良い時代が来るかもしれません。
――:最後に、読者の方々にひと言をお願いします。
私は『クラフィ』に携わってからセーブポイントを利用しているのですが、とてもスムーズなやり取りができています。メールやストレージでのやり取りにコストをかけている人は、是非一度、このツールを試してみてください。
――:ありがとうございました。
■『クラッシュフィーバー』
© 2016 WonderPlanet Inc.
会社情報
- 会社名
- 株式会社MUGENUP
- 設立
- 2011年6月
- 代表者
- 代表取締役 伊藤 勝悟
会社情報
- 会社名
- ワンダープラネット株式会社
- 設立
- 2012年9月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 常川 友樹
- 決算期
- 8月
- 直近業績
- 売上高24億4900万円、営業利益1億2100万円、経常利益1億1300万円、最終利益9200万円(2024年8月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 4199