KLab<3656>は、2月13日、2018年12月期の連結決算を発表するとともに、東京都内で決算説明会を開催した。説明会に先立ち発表された決算は、売上高326億7300万円(前期比22.0%増)、営業利益49億9500万円(同2.1%増)、経常利益49億9700万円(同3.0%増)、最終利益25億7000万円(同17.8%減)となった。
決算説明会では、第4四半期(10~12月)と2018年12月期の実績や今後の方針などについて一通り説明が行われた後、質疑応答が実施された。その内容も踏まえつつ、会見の様子をまとめてみた。
■QonQで減収減益も予想対比では上ブレ着地に
まずは業績を四半期推移(QonQ)で見ると、売上高は前四半期比13.5%減の77億3700万円、営業利益は同21.1%減の10億500万円、経常利益は同41.4%減の8億8800万円となり、最終損益は5900万円の赤字(前四半期9億1500万円の黒字)と最終赤字に転落した。売上高と営業利益、経常利益が前年同期比で減収減益となったのは「第3四半期決算の好調の反動」(常務取締役・高田和幸氏)によるものだという。
前四半期は、『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~ 』(以下『キャプテン翼』)において、各国代表の最新公式ユニフォームを着用した選手たちを販売したことが収益に寄与していたほか、3周年施策と「千年血戦篇」のキャラクターを販売した『BLEACH Brave Souls』(以下『ブレソル』)も好調で、その反動が出た格好だ。
ただ、同社の開示していた予想対比では上ブレ着地となっている。この要因については、「11月、12月の『キャプテン翼』が上ブレした」(高田氏)ことや、期中に『天空のクラフトフリート』の配信権をトライフォートに譲渡した一時的な収益もあるとしていた。
また、最終利益が赤字に転落したのは、上記の減収減益要因に加え、一部ゲームタイトルについての減損損失計上や、開発中の『ラピスリライツ』において使用する見込みのない固定資産を除却したことによる損失など特別損失9億5800万円を計上したためとなっている。
続いて海外売上高の推移を見てみよう。同社の第4四半期の海外売上高は、29億6100万円と第3四半期の30億7700万円からは減少したが、3四半期連続で約30億円規模の推移となった。『キャプテン翼』や『ブレソル』が上記の施策効果で第3四半期に好調だった反動が出たものの、11月と12月にリリースされた中国大陸・繁体字圏向けの『BLEACH』がこれをカバーした。
■『マジバト』は「パブリッシャーモデルでの実績」(真田社長)に 今期は3タイトルを配信予定
次に期中のタイトル展開について見てみると、2017年にリリースの『キャプテン翼』と『うたの☆プリンスさまっ♪ Shining Live』(『シャニライ』)が通年寄与したことに加え、『ブレソル』が国内外で好調に推移した。また、国内向けの新作としては、『ガールズ&パンツァー あつまれ!みんなの戦車道!!』(配信はバンダイナムコエンターテインメント)と『幽☆遊☆白書 100%本気(マジ)バトル』(以下『マジバト』)を2018年8月よりリリースした。
『マジバト』は、同社がIPを取得し、アクセルマーク<3624>が開発したタイトルであり、真田哲弥会長兼社長は、「パブリッシャーモデルでの実績ができた」としていた。
今期以降の新作パイプラインは、全部で4タイトルとなっており、そのうちの『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバルALL STARS』と『禍つヴァールハイト』、バンダイナムコエンターテインメントが配信予定の『テイルズ オブ クレストリア』が2019年のリリース予定となっている。
また、KADOKAWAとのメディアミックスプロジェクトである『ラピスリライツ』は、先日、中国の盛大遊戯/Shanda Games(シャンダゲームズ)と共同開発、運営を行うことが発表されており、日本国内だけでなく、中国本土での配信も予定している。
さらに海外展開については、中国の崑崙ゲームと共同開発した『BLEACH 境・界-魂之觉醒:死神』の韓国・東南アジアへ展開が予定されているほか、『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』の簡体字版も中国政府による正式版リリースの許諾待ちの段階にあるという。
■今期予想もレンジ予想で開示 グローバル展開で1タイトルあたりの収益最大化へ
2019年12月期の連結業績予想はレンジ予想での開示となっており、売上高320億~400億円(前期比2.1%減~22.4%増)、営業利益10億~45億円(同80.0%~9.9%減)、経常利益10億~45億円(同80%減~10%減)、最終利益7億~31億円(同72.8%減~20.6%増)の見込み。
予想の前提としては、新作が好調で既存タイトルの落ち込みが小さい場合が上限、新作が不振で既存タイトルの落ち込みが大きい場合が下限としている。また、新作タイトルの積極的なプロモーション展開やイベント出展による広告宣伝費の増加や新作タイトルリリースに伴う運営費用の増加などは、予想に織り込んでいる。
なお、今年3月の社長就任が内定している森田英克専務は、「日本だけで受け入れられるゲーム作りではなく、グローバルで受け入れられるゲーム作りを行っていく」とし、グローバル展開をより強化し、ゲーム1タイトルあたりの収益を最大化していくとしていた。
(編集部:柴田正之)
会社情報
- 会社名
- KLab株式会社
- 設立
- 2000年8月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 森田 英克/代表取締役副会長 五十嵐 洋介
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高107億1700万円、営業損益11億2700万円の赤字、経常損益7億6100万円の赤字、最終損益17億2800万円の赤字(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3656