カドカワ、2019年3月期は40億円の最終赤字 ドワンゴの固定資産など41億円を減損 書籍とゲーム、映像は好調 今期は大幅増益予想

カドカワ<9468>は、本日(5月14日)、2019年3月期の連結決算を発表し、売上高2086億0500万円(前の期比0.9%増)、営業利益27億0700万円(同13.9%減)、経常利益42億0500万円(同13.2%増)、最終損益40億8500万円の赤字(前の期は10億3800万円の黒字)だった。

 


営業利益と経常利益は2ケタ減、最終赤字転落となったが、「niconico」を中心とするウェブサービスが25億円の赤字になるなど苦戦したことが主な要因だ。「BOOK☆WALKER」など電子書籍を中心とする出版事業や、映像・ゲーム事業が好調に推移したという。経常利益はプラスだが、為替差益など営業収益が伸びた一方で、為替差損が計上されないなど営業外損失が減ったことによる。最終損益については既報のようにドワンゴの固定資産などを減損損失として計上したことによる。

映像・ゲーム事業を見ていくと、売上高は482億円(同1.8%増)、セグメント利益39億円(同36.3%増)だった。

映像では、「STEINS;GATEゼロ」「殺戮の天使」「やがて君になる」等の海外ライセンス販売が収益に貢献した。また、アニメの配信収入や「Re:ゼロから始める異世界生活」等の商品化許諾による収益貢献があり、国内外問わず豊富なIPを活用したビジネス展開を拡大させている。

ムービーウォーカーの展開するデジタル映画前売券サービス「ムビチケ」も好調に推移し収益貢献しているそうだ。

ゲームでは、3月発売の「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」が大変好調に推移し、利益拡大に大きく貢献した。また、「DARK SOULS REMASTERED」が国内外で引き続き好調に推移し、パッケージ販売だけでなく、海外ロイヤリティ収入も収益貢献した。

「METAL MAX Xeno」「コナン アウトキャスト」などのパッケージゲーム、歴代「アーマード・コア」シリーズのBGMを収録したCD集「ARMORED CORE ORIGINAL SOUNDTRACK 20th ANNIVERSARY BOX」、2015年3月発売の「Bloodborne」や2016年3月発売の「DARK SOULS Ⅲ」の海外ロイヤリティ収入も引き続き好調だった。

その一方、ドワンゴが11月に提供開始した位置情報ゲームアプリ「テクテクテクテク」においては、収益貢献が期待値を大幅に下回ったことから、アプリ開発費を一括費用化するとともに、2019年6月でサービス終了するにしたという。

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■2020年3月期の見通し

続く2020年3月期は、売上高2170億円(前期比4.0%増)、営業利益54億円(同99.4%増)、経常利益62億円(同47.4%増)、最終利益38億円(黒字転換)を見込む。

 
株式会社KADOKAWA
http://www.kadokawa.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社KADOKAWA
設立
1954年4月
代表者
代表執行役社長CEO 夏野 剛/代表執行役CHRO兼CLMO 山下 直久
決算期
3月
直近業績
売上高2581億900万円、営業利益184億5400万円、経常利益202億3600万円、最終利益113億8400万円(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9468
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