ドリコム<3793>は、5月13日、2019年3月通期の連結決算を発表するとともに、アナリスト・機関投資家向けの決算説明会を開催した。売上高107億2000万円(前の期比18.7%減)、営業損益5億7700万円の赤字(前の期は1億9000万円の黒字)、経常損益13億4900万円の赤字(同2900万円の赤字)、最終損益17億1200万円の赤字(同2億0400万円の赤字)だった。
第4四半期(1~3月)の業績を見ると、売上高27億7300万円(前四半期比16.2%減)、営業利益1億2700万円(前四半期1億2600万円の赤字)、経常損益6600万円の赤字(同4億5800万円の赤字)、最終損益3億4000万円の赤字(同7億1700万円の赤字)となり、営業利益は黒字転換に成功した。
内藤裕紀社長は「アプリの立て直しとenzaへの投資を行い、9カ月から12カ月で改善すると申し上げていたが、営業利益ベースでは黒字に戻った。enzaもようやく成長軌道に乗り、流通金額も伸びてきた。また不採算アプリへの対応やコスト最適化を行うことで引き続き収益の改善も図った」と振り返った。
今回のレポートでは、第4四半期の状況を中心にまとめていこう。
さて、第3四半期から振り返っていくと、売上高はQonQ11.4%減の23億8700万円、営業損益は1億2600万円の赤字(前四半期1億6100万円の赤字)と赤字幅が縮小した。既存IPゲームが堅調に推移したが、一部タイトルの売上不振が影響した。不振だった18年3月期のリリースタイトルの減損処理を行い減価償却費が減ったことに加え、労務費と外注費の削減が進み、採算性の改善が進んだ。
続いて第4四半期の業績をあらためて見ると、売上高がQonQ16.2%減の27億7300万円と減収になった一方、営業利益が前四半期の1億2600万円の赤字の赤字から1億2700万円の黒字に転換した。不採算アプリへの対応を行いつつ、アプリの選択と集中を進めた結果、売上が低下したが、費用削減やenzaの成長で営業黒字となった。
営業利益の増減分析は、以下のスライドとなる。費用の見直しを地道にやっていったことが確認できるだろう。「コストの見直しを全面的に行った。ゲーム市場が成熟を迎える中、ヒットタイトルを出す難易度が高まっており、足元を固めることが重要。」とし、筋肉質な体質になったことを示した。
enza向け事業が黒字転換した要因としては、リリース以来、モバイルブラウザのみで提供していた『アイドルマスターシャイニーカラーズ(シャニマス)』が急成長したことがあげられる。3月半ばにPC版とモバイルアプリ版をリリースし、「ユーザー数とともに、流通金額が大きく伸びた」という。
現在、enzaでは6タイトルのタイトルを配信しているが、他のタイトルについてもマルチ展開を行っていく考え。「版元の考えや方針などによるし、アプリの開発費・工数なども兼ね合いもあるので、一概には言えないが、enzaで配信しているタイトルは原則、PCやアプリとして配信したい」と述べた。
既存アプリについても、第2四半期から黒字に転換し、黒字をキープしている。「IPタイトルを多く出す中で、結果が出るものでないものに分かれてきた。残念ながら結果が出ないタイトルは、運営費がかさみ、収益を圧迫していた。費用を改善する中で黒字化にこぎつけたアプリも出てきた」。
▲enzaと既存のゲーム事業の営業利益の推移。既存ゲームについては第2四半期から黒字となった。第3四半期の利益は低下したが、新作をリリースしてコストが発生したため。
続く第1四半期(4~6月)は、売上高21億円(前四半期比24.3%減)、営業利益5000万円(同60.6%減)、経常利益3000万円(前四半期6600万円の赤字)、最終利益2000万円(同3億4000万円の赤字)と経常利益、最終利益も黒字転換を見込む。売上高は開発に伴う一時的な売上が減少することによる。通期業績予想については開示していないが、「売上を伸ばしつつ、月次で安定して営業利益1億円を出せる状態を目指す」。
▲『ONE PIECE トレジャークルーズ』と『ダービースタリオンマスターズ』、『みんゴル』が注力タイトルとなっているようだ。」
(編集部・木村英彦)
会社情報
- 会社名
- 株式会社ドリコム
- 設立
- 2001年11月
- 代表者
- 代表取締役社長 内藤 裕紀
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高97億7900万円、営業利益9億300万円、経常利益7億9300万円、最終利益1億400万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3793