ファリアーは、6月30日(日)、札幌にて、第27回『駿馬 SAPPORO KAIKOU』を開催した。
「駿馬(しゅんめ)」とは、ゲーム業界を目指す学生に向けてファリアーが全国各地で開催しているイベントの総称である。「駿馬 KAIKOU(邂逅)」は、そのイベントに企業も参加し、勉強会、会社説明会やトークセッション、個別指導と盛りだくさんの内容となっている。
今回で第27回となる駿馬。毎月全国どこかで開催され、ゲーム業界を目指す学生に向けて、ゲーム業界を「ただの夢」ではなく「目指す先」として具体的にイメージし、「夢から目標に」転化する機会を届けている。
今回の記事では、当媒体の連載記事「ゲーム業界活人研」( https://goo.gl/y4Rtmz )でもお馴染みのファリアー代表・馬場保仁氏が全国に届ける『駿馬 SAPPORO KAIKOU』の模様をレポートしていく。
■異なるバックグラウンドの仲間と同じワークに取り組む(講義&ワークショップ)
駿馬には、ゲームクリエイターを目指す学生が、学年・専攻問わず参加する。目指す職種も社会に出るタイミングも異なる学生がグループワークに取り組む経験には、社会に出た後のものづくりに大いに活かせる要素が溢れている。
さらに注目すべきは、いきなりグループワークを行うのではなく、個人ワークからグループワークへのつながりである。チームでものづくりする時、特に学校などでは「仕事する人に集中」が散見される。それは、気持ちや準備がスタート段階で差があるからである。なので、まずチーム制作に入る時には、「個人としての参加を果たそう!」ということで、個別に「アイデアの断片」を量産することから始めた…
今回は「アイデアの断片をたくさん出し」「人に見てもらい」「そこからさらに発展させ」「発表をする」という流れで行われ、ワークショップ初参加の学生や、まだ入学したての学生など、「グループで何かをする」という経験が浅い学生でも、自分の考えをしっかりと出して周りの意見を聞き、そこからさらに肉付けをすることが出来る構成となっていた。
昨今、勉強会やワークショップは多く開催されているが、声の大きい学生が中心となって一気に回ってしまうテーブルがあったり、良い意見を持っているにも関わらず引っ込み思案で話し合いの場に意見が出ることがなかったり…という場面をよく目にする。駿馬のワークショップを見て感じることは、ワークショップをやることが目的なのではなく、参加した学生が経験し、その経験を自分で繰り返せるように意識されたワークショップ、ということである。
これは、学校での勉強はもちろん、企業の若手育成や、指導者やメンターの育成にも活かせると感じる。
■特徴の異なる企業を知ることで選択肢を増やす(企業説明会)
ワークショップを終えた学生は、参加した企業の説明を聞くため、「自分たちで」会場のレイアウト変更を行った。ここも駿馬の面白い点であり、学生が嫌な顔一つせず「自分たちの事」としてテキパキとイベントを一緒につくっている。
今回参加した企業は、
・株式会社アカツキ
・株式会社ツェナワークス
・株式会社ディー・エヌ・エー
・株式会社ドリコム
の4社。ブースでの説明は、それぞれの特徴が良く出ていた。
【 アカツキ 】
会社のビジョンや新たな取り組み、若手の活躍やこれから目指す未来について熱量高く伝える。
【 ツェナワークス 】
代表やディレクター、女性クリエイターも参加し、業界の仲間として様々な角度から学生の質問に丁寧に答える。
【 ディー・エヌ・エー 】
手がける様々な事業は勿論、ゲーム・エンタメにかける思いを現場クリエイターと採用担当の掛け合いで伝える。
【 ドリコム 】
昨年のインターンや新卒研修を経て成長している社員について、学生がイメージしやすい実例で説明する。
各社それぞれのカラーが出ていたブース説明会だが、全ての企業に共通していたのは、学生からの質問に誠実に答え、業界を目指す学生に対してアドバイスをしていたことである。自社の話はもちろんだが、「この業界に進むのであれば」という姿勢で、これからの可能性に溢れる学生へ話をされていた。
学生からは、「聞くまで知らないことが多かった」「業界や企業をみる視点が変わった」などの感想があがり、複数の企業から話を聞くことで、今後の選択肢に広がりが出たのではないかと思う。
■若手への期待(邂逅トーク)
ワークショップ、ブースでの説明会、そして企業の代表者パネルディスカッション(邂逅トーク)へと盛りだくさんの流れだが、学生たちに疲れは見られず、もっと色々聞きたいと目が輝いていた。
登壇社の若い世代に対する期待は大きく、全社様々な表現で求める人物像を説明されたが、「周りにしっかり感謝が出来る」「ゲームをつくる思い・意思」「しっかりとした言語能力」「真摯であること」といった、クリエイティブな技術はもちろん、人としての振る舞いや、ゲームをつくりたいという意思を大切にしていることを熱く語った。
ゲームを作るための技術は教えてあげられるが、つくりたいという思いは教えられないし、そもそも教えるものではない。という言葉は、学生にも強く刺さっていた。
もちろん、技術が不要というわけではなく、ものづくりに必要な技術があることに越したことはない。とはいえ技術の移り変わりが早い昨今、今学ぶべき技術、企業に入るまでに習得しておくべき技術を1つに絞ることは難しい。
つくりたいという思いがあるから、自分で考え、つくるために必要な能力を身につけて「つくる」。そしてさらに磨きをかける。というように、自分の想いが自分を高めていく。安直に目の前のスキルにとびつくだけでなく、「なんのためにつくる」「なんのために学ぶ」を自分で想いもって考え、そして行動できる人材を求めている、ということを強く語っていた。
情報が増え、その情報を整理するだけでも大変な時代にはなってきたが、開発の環境は無料で手に入るものも増え、コンテストなど人の目に届く場所も増えてきている。今の時代だからこそ出来る学び方や経験の積み方はたくさんある。そんな環境をうまく利用して、ものづくりに取り組む若い世代に寄せる期待は大きい。
■ものを見て話す場の大切さ(個別アドバイス)
作品を持ってきた学生には、個別アドバイスタイムも用意されている。「つくりたい」という思いを形にし、実際にものをつくった学生だからこそ、アドバイスがもらえるチャンスである。
作品を見てもらうことで、次のステップに進むためのアドバイスを貰えるとともに、自分一人では分からないプロの視点での「質」についても知ることが出来る。とはいえ、すぐにプロの質に届くわけはない。すぐには届かない遠い話ではなく、「次までに〇〇をやってみよう」と課題を与える姿から学生の成長を思う気持ちが伝わってきた。
■最後に
全国各地を回り3年目に突入した駿馬。毎回思うことは、参加者の熱量がとても高く、数年後の業界を盛り上げる中心になっていて欲しいと感じさせられる。
情報が溢れ、選択肢も増えた時代だが、地域によって情報や機会にはまだまだ差がある。この取り組みが全国各地をつなぎ、ゲーム業界を目指す学生を増やすとともに、育成していく未来が楽しみである。
7月、8月、9月は名古屋にて開催!すでに参加学生のお申し込みも開始されているので、ぜひ名古屋近辺の学生はチェックしよう!
・7月20日( http://shunme-28.peatix.com )
・8月31日( http://shunme-29.peatix.com )
今後の駿馬からも目が離せない。
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【 講師 】
馬場保仁氏 株式会社ファリアー 代表取締役
【 プロフィール 】
1997年 セガ・エンタープライゼス(現セガゲームス)入社
『プロ野球チームをつくろう!』シリーズ
『Jリーグプロサッカークラブをつくろう!』シリーズ
『龍が如く OF THE END』
『スーパーモンキーボール』シリーズのプロデューサー / ディレクターに従事
2012年 ディー・エヌ・エー入社
スマートフォンアプリのエグゼクティヴプロデューサーに従事
2016年 ファリアー 創業 現在に至る
【 参加費 】
無料
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会社情報
- 会社名
- 株式会社ファリアー
- 設立
- 2016年7月
- 代表者
- 代表取締役社長 馬場 保仁