LINE<3938>は、7月30日、新しくスタートするアドネットワーク事業に関するセミナーを開催した。セミナーでは、LINEが展開する国内最大級の運用型広告プラットフォーム『LINE Ads Platform』(以下、LAP)とパブリッシャー向けサービス『LINE Ads Platform for Publishers』(以下、LAP for Publishers)を発表。さらに、パブリッシャーの事業成長を支援するプログラムである「Publisher Growth Program」(以下、PGP)の詳細も公開となった。
また、会場では『DELISH KITCHEN』や『FiNC』、『AbemaTV』、『TikTok』といった国内トップアプリの代表者を交えたパネルディスカッションも行われた。本稿では、セミナーの発表内容、パネルディスカッションの模様について紹介する。
■LINEのストロングポイントは、約8100万のMAU
まずは、LINE執行役員の池端由基氏が、国内最大級の運用型広告プラットフォーム『LAP』について紹介する。
▲池端由基氏。
『LAP』とは、LINEのタイムラインやニュース、漫画といった様々な掲載面に運用型広告を配信できるサービスのこと。LINEはMAU(月間アクティブユーザー)が約8100万、DAU(日間アクティブユーザー)が約86%と高く、抜群の広告効果を誇っている。さらに現在は8000を超えるパートナーと運用しており、LINE広告における売り上げの推移も上々。
そんな『LAP』を、さらに強固なプラットフォームにするための新しい取り組みが「Smart Channel」というシステム。トークヘッドにコンテンツや広告を出し、ユーザーにとって最適な情報を日々掲載しているのだ。
「Smart Channel」の動画フォーマットに対応した広告ラインナップ「Talk Head View」のテストでは、1日で4700万人、15~29歳が90%という結果を出している。
■大規模アドネットワークプラットフォームとしてスタートする『LAP for Publishers』
続いて、LINE LAP for Publishers事業本部 事業本部長/ファイブ代表取締役社長・菅野圭介氏が登壇。アプリパブリッシャー向けサービス『LAP for Publishers』の概要についての発表が行われた。
▲菅野圭介氏。
4600以上のパブリッシャーが参画する見込みがあり、日本国内でも大規模のアドネットワークプラットフォームとしてスタートする『LAP for Publishers』。
菅野氏は「(ユーザーを保護する観点から)情報の取り扱い、広告の掲載基準に関して高い水準を設け、ラインクオリティを大事にしたい」と話す。インターネット広告の事業に携わる当事者として、アドフラウドなどの社会問題の改善・是正に関わりたいと続けた。
広告UIについて、「カスタムレイアウト機能」を紹介。本機能は、アプリのデザインに合わせてオブジェクトやテキストなどのサイズを1ピクセル単位で調整ができるというもの。アップデート無しでサーバーサイトのみで完結するため、アプリのパブリッシャーの負担を軽減するという仕組みだ。
また、機械学習の研究にも力を入れているという菅野氏。先行して行われたテストマーケティングの結果では、CPM(インプレッション単価)が2倍、75%のキャンペーンでCPA(顧客獲得単価)が改善している結果が出ていると話した。
■『PGP』は、3つの視点からパートナーパブリッシャーをサポート
『LAP for Publishers』がパートナーパブリッシャーに対して提供する『PGP』について、LINE LAP for Publishers企画・推進室 室長・木原宏樹氏が説明を担当する。
▲木原宏樹氏。
『PGP』とは、パブリッシャーの事業成長と収益拡大を支援するプログラムのこと。様々な課題に対して幅広く支援ができるように、以下の3つの視点からのサポートを予定している。
①OA(Official Account)Program
LINEの公式アカウントを無償提供し、マーケティングを支援する。アカウント開設や友達の増加、プッシュメッセージを送る運用、コストといった4つのポイントを全面的にサポートする。
②UA(User Acquisition)Program
LINEポイントのCPIメニューを使ったダウンロード促進プログラム。『LAP for Publishers』チームが仲介に入り、CPIを特別な形で提供し、ダウンロード数の促進を促す。
③Retention Program
動画に関する商品を提供、広告のフォーマットをサポートする。ユーザーへの報酬となるLINEポイントを最大無償という形で提供するため、導入へのハードルが低くなっているのが特徴。
各プログラムは、秋以降のリリースを予定しているそうだ。
■『DELISH KITCHEN』&『FiNC』が国内最大級の規模にまで成長したキッカケとは?
パネルディスカッションでは、料理動画アプリ『DELISH KITCHEN』よりエブリー代表取締役 社長 CEO・吉田大成氏、ヘルスケア/フィットネスアプリ『FiNC』よりFiNC Technologies 代表取締役 CTO・南野充則氏が登壇。それぞれのアプリを国内最大級の規模にまで成長させたキッカケについてのトークが行われた。
▲左から菅野圭介氏(モデレーター)、吉田大成氏、南野充則氏。
アプリが成長した理由について南野氏は、ユーザーフレンドリーな「チュートリアル」の作り込みがキッカケとなったと話す。
他にも、アプリを初めてすぐにトレーニングの成果が感じられるよう、ポップアップやアドバイス管理画面を作り徹底したとコメント。歩数や睡眠時間、食事のメニューなどのデータを入力する手間を無くすよう、「歩数ハック」や「睡眠予測のアルゴリズム」といったテクノロジーにも力を入れたと振り返った。
吉田氏は、数多くのレシピメディアが存在する中でも、献立や食材、レシピといった「何が主婦の課題なのか」を徹底的に突き詰めたという。アプリのコンセプトを「(ユーザーと)レシピとの出会い」に決め、お勧めの精度を上げるなど検索の手間を省くことが、ユーザーの高いアプリ継続率に繋がったのだという。
また、成長を支えた広告収益ソリューションとして、吉田氏はFIVEとの取り組みを紹介。開始後約1年半で、FIVEとのネットワーク広告収益は約45倍に急成長。ブランド広告の配信実績は累計70キャンペーンに到達したと話した。
■『AbemaTV』&『TikTok』がLINEに参画
今回のサービス提供開始に合わせ、LINEの新たなパートナーパブリッシャーとして、AbemaTVが提供する動画配信アプリ『AbemaTV』と、ByteDanceが提供するショートムービープラットフォームアプリ『TikTok』が参画する。
パネルディスカッションの第2弾では、『AbemaTV』より広告本部本部長/サイバーエージェント取締役・山田陸氏、『TikTok』よりBytedance Product Marketing Division 本部長・岩田幸也氏が登壇し、参画における期待について語られた。
▲山田陸氏。
▲岩田幸也氏。
プログラムに参加した理由について、山田氏は『AbemaTV』のアクティベーションを高めるためだと話す。また、何千本というオリジナルコンテンツをユーザーに届けたいという目的についても語られた。
岩田氏は、LINEと協力することでインプレッションの価値やブランドインパクトを高めていきたいとコメント。ユーザーにとって、より満足してもらえるようなサービスを提供していきたいと続けた。
LINEのサービスやプログラムについて、様々な情報が公開となった今回のセミナー。コミュニケーションインフラとして、LINEはさらに可能性を広げることになりそうだ。
(取材・文 ライター:島中一郎)
会社情報
- 会社名
- LINE株式会社
- 設立
- 2019年12月
- 代表者
- 代表取締役社長 出澤 剛/代表取締役 慎 ジュンホ