2017年3月に産声をあげた株式会社ファリアーが主催する、「駿馬 ~ゲームクリエイター育成講座~」も、今回で記念すべき30回目を迎えることになった。
「駿馬」は、首都圏、関西圏に偏在するゲーム企業に対し、ゲーム業界を志す学生は全国に数多くいること、そして、業界自体は、慢性的な人手不足なのに採用に苦しんでいる…この両者の苦労を橋渡しするために、
・駿馬 を実施して発掘・育成し
・駿馬KAIKOU を実施して、企業と学生たちをマッチングする
といったスキームで1都市3か月パックで開催されてきた。これまでも、北は札幌、南は福岡、それ以外にも、新潟、横浜、名古屋、京都、大阪などで開催されてきた。
そして、今回、名古屋で初の…
・2日間開催!
・ポートフォリオJAMコンテスト実施!
と2つの新たな試みがなされたのも注目だ。では、その内容を以下にレポートする。
今回は、従来の「駿馬KAIKOU」シリーズで実施されていた、
を実施しながら、上述したように、今回は初の試みとして、
・ポートフォリオJAMコンテスト
を実施するとのこと。そもそも「ポートフォリオでJAMとは?個人制作物では?」「ポートフォリオでコンテスト?審査基準とか、どうなるの?」など、当初疑問が山積していたのだが、馬場氏の説明を聞くうちに「狙い」と「実施手段」が理解でき、就職活動のタイミングで学生が絶対に一度は考え、自分なりの形を構築しなくてはならない、
動機の醸成
がなされることに気づいた時、最終プレゼンが楽しみになると同時に、学生たちが果たしてどこまで作り上げることができるか?やや心配にもなってきた…というのが正直なところであった。
しかも、気心しれた仲間同士ではなく、地元名古屋を中心に、大阪・京都・岡山から多くの学生が参加していたので、初見のメンバーでチームを組んでそれで、このワークをするというのはプロのクリエイターであっても決して「楽な」ワークではないであろう。
それだけに、どういう運営がなされるのか?注目していた。
ただ、その前に、イベントは、馬場氏からゲーム業界を目指す学生に基本的な講義と、そもそも、今回のワークの目的、各自が成し遂げ、持ち帰らないといけないものの説明からはじまった。
「面白さ」を伝える努力の重要性、伝え方も、伝わりやすい順序といったものを考えて提示しないと相手の頭に入っていかない、残りづらいといった話がなされた。そして、一番大事なのが、「動機」である、という話があり、学生たちに、「なぜ、ゲームクリエイターになりたいのか?」と問いかけた…
〇ポートフォリオJAM(コンテスト)開始!
講義終了後、ポートフォリオJAMがスタート!!
ワークのテーマは…なんと…
「キミたちは、ゲームベンチャー企業"株式会社〇〇〇"を起業する。
そのための「企業案内」をつくってください!!」
と、いうものだった。ポートフォリオはどこにいった?確かに企業案内ならばその企業のポートフォリオではあるだろうが…学生たちは当然、起業の経験もなければ、そもそも今日が初対面の学生たちなのだ…
馬場氏からは、「大切なのは、企業の理念と、社員の紹介ページ、ここにつきます。企業の理念、今回は「きみたちは、どんなゲームをつくりたい!と考えているから、どんなクリエイターになりたい!と考えているから、こういう会社を立ち上げるんだ」ということを、まずは、各個人からだしあって、そのうえでそれをまとめて「企業理念」としてすすめてください。
持ち帰ってほしいのは、このプロセスから生まれる「自分の真なる動機」です」」
と、説明がなされた。
まずは、各チームどこも、付箋などを活用して、とにかく、自分の動機を必死にあらためて書き出してみることを行っていた。そして、様々な議論が行われ2時間ほどが経過したとき、
「それでは、1チームごとに、わたしと企業さんに対して、中間報告をお願いします」
と馬場氏からアナウンスがあった。
事前にインフォされていたものの、まだまだ粗い状態のものを見せるのは勇気が必要で、学生たちも最初はやや及び腰であったのはいなめない。
しかし、1チーム15~20分あまり、びっちりとした指導がファリアー馬場氏はじめ、参加企業である三洋物産、ツェナワークス、ドリコムの担当者からなされると、質問ややりとりにも、熱を帯びてきた。
厳しい意見も多かったが、ポイントとしては、
・具体的に言わないと相手には共感を与えられない
・コア(=理念)をきめて、すべてがそれにぶらさがっている感じになるとわかりやすい
など
が、端的にアドバイスされていた。会場は20時で終了だったので、散会前に、学生たちが自主的に、チャットグループを作ったりしてこの後の時間の使い方を相談していたのが印象的だった。
イベントは、1日目に開催されたポートフォリオJAMのプレゼンテーションからのスタートとなった。が!開場から1時間は、「最後のあがきタイム」と称され学生たちがプレゼンの練習や、資料の最後の作りこみなどに時間を充てることができていた。
そもそも、朝8時半過ぎに会場に到着すると既に「開場はまだか?」と言わんばかりに作業しながら廊下で待っていた学生もいたほどだ…その熱意には感服するばかりだ。
〇ポートフォリオJAM プレゼンテーション!
発表は全部で8チーム。発表内容は、各チームの特色が出ており、
「世界に向けてゲームを発信する」
「埋もれているインディゲームの発掘を行う」
「競合他社に"勝つ"」
などなど、彼ら1人1人の「クリエイターになりたい志望動機」から絞り出され、最大公約数なのか?最小公倍数なのか?なんらかの統合がなされたものが「企業理念」として提示された。
また、社員の紹介ページでも、どん欲に個人のアピールをする学生もいれば、ゲームを作りたいと思い始めたきっかけとして「人と話すのが苦手だったが、ゲームを遊ぶことで友人ができたから」「ゲームをプレイしている時に人の輪の中に入ることができ、自分が肯定された気がしたから」などと話す学生もおり、ゲームやエンターテインメントといったものが、人を楽しませるのはもちろん、人生を豊かにするコンテンツである事を改めて、彼らの言葉から再認識した次第である。
発表終了後、参加企業によるブース説明会が行われた。
〇ドリコム
〇ツェナワークス
〇三洋物産
各社1回30分、みっちりと説明・質疑を行った。ワークショップを見守り、中間報告ではやりとりをし、最後のプレゼンテーションまで受けた学生たちなので、企業の側からしても説明しながら学生を指して質問をひきだしたり、学生も知った顔の方だからか、通常のKAIKOUよりも質問が多く出ていたように思われる…
その後各社の代表者が学生採用について語るパネルディスカッション"KAIKOUトーク!"へと続いた。企業から就職活動につながるヒントを得ようと学生からも質問が飛び交った。
トーク終了後、ポートフォリオJAMコンテストの表彰式が行われた。
ユニークな観点も多く、且つ、単に体裁よくまとまっているものだけでなく、粗くはあるものの制作者たちの熱意がこもったものが多く、各企業もNegativeチェックではなく情熱とポテンシャルをみての評価となっていたように思われる。そして、温かくも厳しい言葉とエール、そして、
「一日も早く業界の仲間として一緒に働く日が来ることを楽しみにしている!」
という旨の言葉も飛び出し学生をはじめ、会場のボルテージが一気にあがった表彰式だった。
邂逅には「出会い・めぐりあい」という意味がある。
駿馬は全国各地で開催されこれまでも多くの邂逅を生んできたであろうが、今回のJAMセッションを通じて、企業と学生、学生同士の邂逅はこれまで以上のものであったのではないだろうか?
次回は、来期の五輪時の夏のインターンや採用活動の困難さを見越して、関西地区の学生たちを早期に立ち上がらせるべく、「駿馬KANSAI」を実施するとのこと。関西のみならず、西日本の学生たちの熱意溢れるイベントとなることであろう。
「駿馬」は、首都圏、関西圏に偏在するゲーム企業に対し、ゲーム業界を志す学生は全国に数多くいること、そして、業界自体は、慢性的な人手不足なのに採用に苦しんでいる…この両者の苦労を橋渡しするために、
・駿馬 を実施して発掘・育成し
・駿馬KAIKOU を実施して、企業と学生たちをマッチングする
といったスキームで1都市3か月パックで開催されてきた。これまでも、北は札幌、南は福岡、それ以外にも、新潟、横浜、名古屋、京都、大阪などで開催されてきた。
そして、今回、名古屋で初の…
・2日間開催!
・ポートフォリオJAMコンテスト実施!
と2つの新たな試みがなされたのも注目だ。では、その内容を以下にレポートする。
■駿馬 DAIKAIKOU レポート -1日目-
今回は、従来の「駿馬KAIKOU」シリーズで実施されていた、
・勉強会(企業の方の見学(評価)を受けながらのワークショップ)
⇒(企業)会社説明するだけでなく、学生の能力の一端を垣間見ることができる
⇒(学生)会社説明を聞くだけでなく、自身の力の売り込みも可能となる
・ブースに分かれての企業説明会
・企業代表者によるパネルディスカッション(KAIKOUトーク!)
・作品講評会(もちこまれた作品の指導)
⇒(企業)会社説明するだけでなく、学生の能力の一端を垣間見ることができる
⇒(学生)会社説明を聞くだけでなく、自身の力の売り込みも可能となる
・ブースに分かれての企業説明会
・企業代表者によるパネルディスカッション(KAIKOUトーク!)
・作品講評会(もちこまれた作品の指導)
を実施しながら、上述したように、今回は初の試みとして、
・ポートフォリオJAMコンテスト
を実施するとのこと。そもそも「ポートフォリオでJAMとは?個人制作物では?」「ポートフォリオでコンテスト?審査基準とか、どうなるの?」など、当初疑問が山積していたのだが、馬場氏の説明を聞くうちに「狙い」と「実施手段」が理解でき、就職活動のタイミングで学生が絶対に一度は考え、自分なりの形を構築しなくてはならない、
動機の醸成
がなされることに気づいた時、最終プレゼンが楽しみになると同時に、学生たちが果たしてどこまで作り上げることができるか?やや心配にもなってきた…というのが正直なところであった。
しかも、気心しれた仲間同士ではなく、地元名古屋を中心に、大阪・京都・岡山から多くの学生が参加していたので、初見のメンバーでチームを組んでそれで、このワークをするというのはプロのクリエイターであっても決して「楽な」ワークではないであろう。
それだけに、どういう運営がなされるのか?注目していた。
ただ、その前に、イベントは、馬場氏からゲーム業界を目指す学生に基本的な講義と、そもそも、今回のワークの目的、各自が成し遂げ、持ち帰らないといけないものの説明からはじまった。
「面白さ」を伝える努力の重要性、伝え方も、伝わりやすい順序といったものを考えて提示しないと相手の頭に入っていかない、残りづらいといった話がなされた。そして、一番大事なのが、「動機」である、という話があり、学生たちに、「なぜ、ゲームクリエイターになりたいのか?」と問いかけた…
〇ポートフォリオJAM(コンテスト)開始!
講義終了後、ポートフォリオJAMがスタート!!
ワークのテーマは…なんと…
「キミたちは、ゲームベンチャー企業"株式会社〇〇〇"を起業する。
そのための「企業案内」をつくってください!!」
と、いうものだった。ポートフォリオはどこにいった?確かに企業案内ならばその企業のポートフォリオではあるだろうが…学生たちは当然、起業の経験もなければ、そもそも今日が初対面の学生たちなのだ…
馬場氏からは、「大切なのは、企業の理念と、社員の紹介ページ、ここにつきます。企業の理念、今回は「きみたちは、どんなゲームをつくりたい!と考えているから、どんなクリエイターになりたい!と考えているから、こういう会社を立ち上げるんだ」ということを、まずは、各個人からだしあって、そのうえでそれをまとめて「企業理念」としてすすめてください。
持ち帰ってほしいのは、このプロセスから生まれる「自分の真なる動機」です」」
と、説明がなされた。
まずは、各チームどこも、付箋などを活用して、とにかく、自分の動機を必死にあらためて書き出してみることを行っていた。そして、様々な議論が行われ2時間ほどが経過したとき、
「それでは、1チームごとに、わたしと企業さんに対して、中間報告をお願いします」
と馬場氏からアナウンスがあった。
事前にインフォされていたものの、まだまだ粗い状態のものを見せるのは勇気が必要で、学生たちも最初はやや及び腰であったのはいなめない。
しかし、1チーム15~20分あまり、びっちりとした指導がファリアー馬場氏はじめ、参加企業である三洋物産、ツェナワークス、ドリコムの担当者からなされると、質問ややりとりにも、熱を帯びてきた。
厳しい意見も多かったが、ポイントとしては、
・具体的に言わないと相手には共感を与えられない
・コア(=理念)をきめて、すべてがそれにぶらさがっている感じになるとわかりやすい
など
が、端的にアドバイスされていた。会場は20時で終了だったので、散会前に、学生たちが自主的に、チャットグループを作ったりしてこの後の時間の使い方を相談していたのが印象的だった。
■駿馬 DAIKAIKOU レポート -2日目-
イベントは、1日目に開催されたポートフォリオJAMのプレゼンテーションからのスタートとなった。が!開場から1時間は、「最後のあがきタイム」と称され学生たちがプレゼンの練習や、資料の最後の作りこみなどに時間を充てることができていた。
そもそも、朝8時半過ぎに会場に到着すると既に「開場はまだか?」と言わんばかりに作業しながら廊下で待っていた学生もいたほどだ…その熱意には感服するばかりだ。
〇ポートフォリオJAM プレゼンテーション!
発表は全部で8チーム。発表内容は、各チームの特色が出ており、
「世界に向けてゲームを発信する」
「埋もれているインディゲームの発掘を行う」
「競合他社に"勝つ"」
などなど、彼ら1人1人の「クリエイターになりたい志望動機」から絞り出され、最大公約数なのか?最小公倍数なのか?なんらかの統合がなされたものが「企業理念」として提示された。
また、社員の紹介ページでも、どん欲に個人のアピールをする学生もいれば、ゲームを作りたいと思い始めたきっかけとして「人と話すのが苦手だったが、ゲームを遊ぶことで友人ができたから」「ゲームをプレイしている時に人の輪の中に入ることができ、自分が肯定された気がしたから」などと話す学生もおり、ゲームやエンターテインメントといったものが、人を楽しませるのはもちろん、人生を豊かにするコンテンツである事を改めて、彼らの言葉から再認識した次第である。
■ブース企業説明会
発表終了後、参加企業によるブース説明会が行われた。
〇ドリコム
〇ツェナワークス
〇三洋物産
各社1回30分、みっちりと説明・質疑を行った。ワークショップを見守り、中間報告ではやりとりをし、最後のプレゼンテーションまで受けた学生たちなので、企業の側からしても説明しながら学生を指して質問をひきだしたり、学生も知った顔の方だからか、通常のKAIKOUよりも質問が多く出ていたように思われる…
■KAIKOUトーク!
その後各社の代表者が学生採用について語るパネルディスカッション"KAIKOUトーク!"へと続いた。企業から就職活動につながるヒントを得ようと学生からも質問が飛び交った。
トーク終了後、ポートフォリオJAMコンテストの表彰式が行われた。
ユニークな観点も多く、且つ、単に体裁よくまとまっているものだけでなく、粗くはあるものの制作者たちの熱意がこもったものが多く、各企業もNegativeチェックではなく情熱とポテンシャルをみての評価となっていたように思われる。そして、温かくも厳しい言葉とエール、そして、
「一日も早く業界の仲間として一緒に働く日が来ることを楽しみにしている!」
という旨の言葉も飛び出し学生をはじめ、会場のボルテージが一気にあがった表彰式だった。
邂逅には「出会い・めぐりあい」という意味がある。
駿馬は全国各地で開催されこれまでも多くの邂逅を生んできたであろうが、今回のJAMセッションを通じて、企業と学生、学生同士の邂逅はこれまで以上のものであったのではないだろうか?
次回は、来期の五輪時の夏のインターンや採用活動の困難さを見越して、関西地区の学生たちを早期に立ち上がらせるべく、「駿馬KANSAI」を実施するとのこと。関西のみならず、西日本の学生たちの熱意溢れるイベントとなることであろう。
▼第31回 駿馬 KANSAI -大阪- ~ゲームクリエイター育成講座~▼
会社情報
- 会社名
- 株式会社ファリアー
- 設立
- 2016年7月
- 代表者
- 代表取締役社長 馬場 保仁