ブシロード<7803>の第2四半期(19年11月~20年1月)の連結決算は、売上高が前年同期比で14.6%増の91億2300万円と過去最高を更新した。四半期ベースで初となる売上高100億円達成も視野に入ってきた。イベントとスポーツ事業を展開する「ライブIP」と、スマホゲームや物販、トレーディングカードゲーム(TCG)などを展開する「デジタルIP」の売上がそれぞれ拡大した。
また本業の儲けを示す営業利益も、35.4%増の10億2900万円と大幅に伸びた。同社の手掛けるIPの認知・規模拡大を狙った各種イベント開催による販促費や人件費など販売管理費が11.6%増の32億2600万円と増えたものの、増収効果で吸収した。
セグメント別に見ると、「デジタルIP」の売上高は6.1%増の62億1800万円、営業利益が1.5%減の5億0200万円だった。スマホゲームと物販(MD)が好調だったが、『アルゴナビス from BanG Dream!』や『D4DJ』、『Reバースfor you』などの新規IPに関連した先行投資が増えたため、営業利益については横ばいだった。
主力のTCGの売上が24.5%減の20億65万円と低下したものの、スマホゲームが26.5%増の24億4200万円と伸び、TCGを上回った。『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバルALL STARS』や『ヴァンガードZERO』が寄与したほか、『バンドリ!ガールズバンドパーティ!』と『新テニスの王子様 RisingBeat』など既存タイトルが好調だった。
このほか、物販が59.9%増の12億0900万円と大きく伸びた。ライブ会場や通販などで販売したグッズ売上が伸びるなどイベント事業との相乗効果が出ただけでなく、一般流通における「鬼滅の刃」グッズなど他社IPのグッズも好調に推移したという。またカプセルトイにおいてもオリジナルブランド「TAMA-KYU」がメディアで多数取り上げられるなど順調だった。
もう一つの柱であるライブIPも伸び盛りだ。売上高が38.1%増の29億0400万円、営業利益が93.8%増の5億0200万円と大きく伸びた。営業利益はデジタルIPに匹敵する水準となった。
音楽部門は、売上高が47.9%増の11億0200万円だった。「バンドリ!」史上最大規模のライブ「Rausch und/and Craziness」で5万8584人を動員した。音楽ソフト展開もオリコン週間シングルランキング1位を獲得した「イニシャル/夢を撃ち抜く瞬間に!」を含む1月リリースの「バンドリ!」関連CD3タイトルが出荷枚数15万枚を突破した。さらに「D4DJ」初のシングルCD「Dig Delight!」もオリコン週間シングルランキング9位を獲得した。
スポーツ部門は、33.0%増の18億0400万円だった。新日本プロレス史上初の東京ドーム興行で7万0071人を動員した。また、11月にリリースしたスマートフォン向けアプリ「新日コレクション」の積み上げによりコンテンツ売上高も伸長。これらによって当部門が四半期過去最高売上を達成し、ライブIP事業としても過去最高売上を達成したという。
続く2020年7月期通期の連結業績は、従来予想から変更なく、売上高360億円(前期比11.9%増)、営業利益31億円(同1.4%増)、経常利益31億円(同2.3%増)、最終利益18億円(同横ばい)の据え置きとした。
ただし、コロナウイルスの感染拡大により、主催イベントを延期・中止することになった。この影響額を算定中のため、現時点で予想に反映していない。同社に限ったことではないが、どういった影響が出てくるのか懸念される。
(編集部 木村英彦)
会社情報
- 会社名
- 株式会社ブシロード
- 設立
- 2007年5月
- 代表者
- 代表取締役社長 木谷 高明
- 決算期
- 6月
- 直近業績
- 売上高462億6200万円、営業利益8億8200万円、経常利益18億9800万円、最終利益8億400万円(2024年6月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 7803